「日本ワイン de 乾杯!」公開収録&ワインディナー会 (2021年4月24日開催)

 気持ちのよい春の陽気の元無事開催されました。表題の番組は地元八王子の「Tokyo Star Radio」で放送している当会の辰巳琢郎会長のラジオ番組。7月からスタートしましたが、今回はその公開収録、終了後はこの番組のスポンサーでもある「ヴィラ・デ・マリアージュ多摩南大沢」渾身のディナーという番組初の贅沢な企画です。

 時は急遽出された3度目の緊急事態宣言前日。辰巳さん、参加予定の皆さんのガッカリした顔、美味しいお料理とワイン、サービスを提供してくださる人たちのもっとガッカリした顔を想像せずに済んだのは、不謹慎承知で言いますが”ラッキー”、でした。

【「辰巳琢郎の日本ワイン de 乾杯!」番組公開収録】

 まずは番組の公開収録。ゲストは「横濱ワイナリー」の代表、町田佳子さん。在来線で来られる、おそらくこの会場にいちばん近いワイナリーです。金融業界から環境保全団体、WWFで活動された後、2017年から現在に至ります。はい、タダモノではありませんでした。興味深い話が盛りだくさんのこの模様は5月、4週に渡り放送されますのでぜひお聴きください。放送終了後には当会HPにも随時アップしますのでこちらも併せて御覧くださいね。

「辰巳琢郎の日本ワイン de 乾杯!」5月放送予定
*Tokyo Star Radio(77.5MHz)
5月 6日(木)20:30~20:55/5月 7日(金)18:30~(再放送)
5月13日(木)20:30~20:55/5月14日(金)18:30~(再放送)
5月20日(木)20:30~20:55/5月21日(金)18:30~(再放送)
5月27日(木)20:30~20:55/5月28日(金)18:30~(再放送)
*インターネットで聴く場合
https://775fm.com
このページの”インターネットでも全国で!”をお読みください。
(こちらの放送も上記のスケジュールです、アーカイブではありませんのでお気をつけください)
*日本のワインを愛する会HP
https://jpwine.jp
放送終了後に随時アップいたします。こちらのトピックスをチェックしてください。

【Va!! Pique-nique】


 予定より30分ばかり押しましたが、だいぶ陽が延びて午後5時半の八王子はまだ陽がたっぷり。メインのディナータイムを前にまずは緑溢れる長池公園を眺めながらのピクニックです。2月に番組のゲストで来てくださったルミエールの木田茂樹社長も急遽駆けつけて、ルミエールの「スパークリングロゼ」と横濱ワイナリーの「Cidre フジリンゴ2020 ペティアン」でアペリティフ。バスケットに詰まったフィンガーフード(ヤングビーフソーセージのアリュメット・ホワイトソーセージのブロシェト・ニーム風ブランダード・見附橋フロマージュ)を楽しみました。

【ワインディナー会】 
 
 ピクニックをしている間に程よく陽が傾き、待ちに待ったディナーの開幕です。「これが本番よっ!」と思っている参加者が大勢いらしたと推測します笑。
 ”3度目の緊急事態宣言滑り込みセーフ”とはいえ、会場内のコロナ対策は万全以上。いつもなら倍以上の席数を設けられる広い会場は40名様限定、各テーブルにはお隣の方との完全なパーテーション、個々の席には消毒液を完備など、”念には念を”が徹底されていました。
 ここからは「Villas des Marriage 多摩南大沢」の本領発揮です。
お料理の総指揮は井村貢シェフ。番組でも日本ワインに合わせたお料理を毎週作ってくださっています。番組中は、本人は気づいてないかもしれない大阪弁が随所に出てしまう楽しいおにぃさん。その実、「日本エスコフィエ協会ディシブル会員」「辻調理師専門学校外部委員」「若手シェフに料理哲学を伝える会『タスキドール』会員」など、日本のフランス料理界を牽引している一人だったりします。
サービススタッフはこれまで多くの結婚式を仕切ってきた精鋭たち。「人を喜ばせるプロ」の集団のサービスの心地よさをあらためて感じた次第です。

 さて、これからはディナーのメニューと日本ワインのペアリングをご紹介。以下順番に提供されました。

[Premier]
中西ファームの朝獲れ野菜を使った”八王子ヴルーテ”
~のらぼう菜・ケール・かつお菜・ベビーリーフなど10種類の野菜~
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小布施ワイナリー 小布施ブラン 2012(長野県)

実はこのお料理、3月の番組ゲスト、くずまきワインの漆真下満さんがいらした時に登場しています。その時辰巳さんが「ちょっとドロドロにしてあっためた青汁」っと表現したことを思い出してちょっとニヤニヤしましたが、今回のテーブルに再度上がるほど辰巳さんのお気に入りだったとは。八王子の青菜の旨味がギュッと詰まってる「食べる」スープでした。
これにぶつけてきたのは長野のワイナリーの小布施ブラン ヴィンテージなんと2012年。「辰巳セラー(っと勝手に呼んでいる辰巳さんの家のワインセラー)」にはとんでもないワインが眠っているらしいんですが、今回出てきたのがコレです。しっかりと熟成が入っていてパイナップルなどのトロピカルフルーツのトロ~ン感がある一方で紅葉が少し進んだモミジのイメージ(注:実際にモミジが香ったわけではありません)。このマリアージュは流石に難しかった。
「採れたて超新鮮な野菜」と「蔵で長い間眠っていた葡萄酒」、という対極・究極の組み合わせでした。

[Deuxieme]
日の出町 野口農園のトマト”りんか”のトマトファルシ
那智勝浦産FIPびんちょうマグロとわさび菜のピューレ添
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勝沼醸造 勝沼ロゼ 2020(山梨県)

”詰め物料理”という意味のファルシ。今回はくりぬいたトマトの中にびんちょうマグロを詰めてある1品です。まず「りんか(409)」という品種のトマトが甘いことったら!そこにトロリと脂の乗ったびんちょうマグロ。こちらも甘く食感もピタリとマッチします。コントラストをつけるのは下に敷かれたわさび菜のピューレと炭酸が効いたグリンピースのエスプーマ。ファルシの甘さをわさび菜の辛さ、エスプーマの刺激がピリリと締めてくれます。
ワインは勝沼醸造の発売されたばかりのロゼ。赤ワインに近い鮮やかな色とトマトが重なります。メルロー80%、マスカット・ベーリーA20%。ロゼならではのキュートな甘みと酸味がトマトと合うのは言わずもがな。なおかつ樽由来のキャラメルのような香りとほんのりとした苦味が、添えてある春野菜とピタリと決まりました。

[Le poisson]
東京西洋野菜 スティッキオのリゾット 桑の葉茶の香り
熱々のスープを注いで
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横濱ワイナリー醸造 まほろばKyoho Rose 2020(神奈川県)

イタリア野菜フィノッキオ(英名:フェンネル)を日本で品種改良した「スティッキオ」、華やかなグリーンを演出する桑の葉を加えたリゾットに超濃厚なブイヤベースを注いだ”洋風お茶漬け”。香りの複雑味はマックス、そしてなぜこれが「Le poisson(魚料理)」なのかわかる一皿です。
合わせたワインは今回の番組ゲスト、横濱ワイナリーが登場。山形県(高畠)の樹齢60年!の巨峰を使ったロゼです。濃く淹れたローズヒップティーのような色と巨峰の華やかな香り。この香りとスティッキオの鼻をくすぐる艶っぽい甘さがカンペキに溶け込んだ上に魚介のスープが覆い被さると、3組の結婚式を同時に祝ったような感覚。個人的にはこの日いちばんのマリアージュでした。

[Le viande]
東京産ジャージー種 牛ロースとフィレ肉
あきる野 野村さんが作ったラディーナのローストとピューレ
トリュフ風味のカブのクリュと紅軸ソレル添え
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楠ワイナリー ピノ・ノワール 2018(長野県)
岩の原葡萄園 深雪花 赤(新潟県)

お料理のクライマックスは王道の牛肉。乳牛として知られるジャージー牛、雄は脂身まで美味かった!シンプルにローストしたロースとフィレ肉、台座は香ばしくローストしたあきる野の甘~いカブとピューレ、お肉の旨味を見事にキャッチしてくれています。
おっと、メインには2種類のワインが待ち構えておりました。なんだか挑戦的です。双方とお肉の部位を比べてみたところ、ロースに軍配が上がったのは楠ワイナリーのピノ・ノワール。心地の良い酸味がロースの脂身をうまく受け止めた感じがします。一方”マスカット・ベーリーA”のお膝元、岩の原の看板「深雪花」にはフィレ。寒冷地のベーリーAの酸味と特有のあのお茶目な甘みが噛むほどにじっくりと旨味が感じられるフィレと好相性。敷き詰められたカブオンパレードにもこちらが合ったかな。

[Le dessert]
磯沼牧場のミルクで作ったブランマンジェ ソフトクリームを添えて
×
辰巳琢郎プロデュース 今様 2018

ビックリするほど濃いぃミルク味の白いプリンの上にビックリするほどの濃いぃミルク味のソフトクリームが乗っかっています。スイス連邦の最高峰に登った気分。
合わせたのはヤマブドウを偏愛する辰巳さんがほぼ毎年プロデュースしているロゼスパークリング「今様」。2018年ヴィンテージは辛口よりも少し甘みを残したセックです。口の中が幸せなイチゴミルク味になりました。

[Vins des Desserts]

デザートワインは岩手県「くずまきワイン」のヤマブドウがラインアップ。左から「山ぶどうワイン」、「月舘」(つきのやかた:基本的に出回っているのは岩手県内だけのようです)、「壱穂」(”穂”の右上に小さいマルがついて”いっぽ”:ふるさと納税の返礼品のようです)、「ゆい」、と辰巳さんプロデュースの「今様」。

【People】

大阪弁の楽しいおにぃさんは厨房に入った途端GrandChefになります(井村貢総料理長)


山梨から駆けつけてくださったルミエールの木田社長(手前左)とラジオゲスト、横濱ワイナリーの町田さん(同右)。楽しそうですねぇ


番組Pのまりちゃん(手前左)と下田ディレクター(同右)ひと仕事が終わった後のお料理とワインはさぞかし美味しかったことでしょう。(ぁw、まりちゃんは車でワインは飲めず、残念)


お肉料理に寄り添っていたラディーナ(カブの一種)を作ったあきる野の野村さんの家業は種屋さん。「日本の”種苗法(農林水産省)”」について根掘り葉掘り聞きまくる辰巳さんに応戦しています。


野村さんと同テーブルだったのは”「八王子ヴルーテ」の素”を作っている中西ファームの伊藤さん(中)と荒井さん(右)。若者中心の『キラキラ農業』やってます!

【後記】
会場内、いい空気でした。最上のお料理とワインのマリアージュはもちろんのこと、井村シェフのお料理のそこここに見られる”地産地消””サスティナブル”と、お招きしたラジオのゲスト、横濱ワイナリー町田さんの「何も足さない、引かない”ワイン造り”」とは見えない線がスーッと通ってる感じがしたし、中西ファームのお二人も大いに刺激を受けたようで「八王子でワイン造り」を本気で考え出したらしいです。なんだか八王子羨ましい。ともあれ「百聞は一食に如かず」、しばらくの期間、この日と同じマリアージュが楽しめます。騙されたと思ってわざわざ足を運んでください!(小山田貴子)

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