プリオホールディングスpresents「辰巳琢郎の日本ワインde乾杯!」 2025年2月27日OA

2025年1月のゲストは北海道三笠市の「山﨑ワイナリー」栽培責任者の山﨑太地(やまざきたいち)さんです。
この番組のゲストとしてはまだ39歳という若手ですが、ただいま絶賛大学生中。
そしてリクエスト曲は4週に渡り吉田拓郎コンプリート!(全4回 4回目)

辰巳:2月最後の回になってしまいました。楽しい話、まだまだ聴きたいところですが。
お客様は北海道三笠市からお越しくださいました、山﨑ワイナリーの山﨑太一さんです。
そしてプリオホールディングスの総調理長、井村貢シェフです。

全員:よろしくお願いします!!!

辰巳:まずは乾杯しましょう!

全員:カンパ〜イ🎶


【PINOT NOIR Navy Label 2022】

辰巳:今日は赤ワイン。

井村:酸がキリッとしてて、でも飲みやすい。グイグイ飲んじゃいそう笑。

辰巳:熟成もちょっと入ってるような気もしますが、チャーミング。ぁ、2022年なんですね。もうちょっと古いかと思った。

山﨑:2022年のピノ・ノワールです。

辰巳:これも「Navy Label」ですね。

山﨑:はい、今月はこの場にふさわしいワインを蔵から必死に探してきました笑。

辰巳:このワイナリーのワインはなかなか手に入らないですからね。年間生産量ってどれぐらいでしたっけ?

山﨑:6万本ぐらいです。

辰巳:6万本も造ってるのになかなか手に入らない。

山﨑:9割ぐらいは地元で販売してますから。

辰巳:そこがすごいんですよ、地元にも愛されてる。新しいワイナリーも増えてるんですけど、「その地元にワイン文化がない」、とか、「ちょっと高い」とかでなかなかね。このワインはおいくらですか?

山﨑:これも(他の「Navy Label」と同じ)4000円です。

辰巳:もうちょっと安いレンジのワインもあるんですよね?

山﨑:はい、2000円ピッタリぐらいから。

辰巳:それもドメーヌものでしょ。

山﨑:もちろんですっ!

辰巳:それで2000円で出せてる値付けも素晴らしいし、地元を大事にしてる。そもそもどうしてワインを作るかってとこで、そういう”地元愛”もあるんでしょう?

山﨑:そうですね。元々いいワインを造るのが目的ではなくて、あくまでも「いいワインを造って、それを使っていい地域を創る」。
なので、ワインは目的やゴールではなくて、僕にとっては『道具』。まず地域、そこを目掛けてやることたくさんあります。
今日の、お二人とワイン飲みながら美味しい料理を食べるというのもいい勉強ですのでシェフ、このお料理の紹介お願いできますか?笑。
香りもいいしもう待てないです笑。(←ほぼ編集要らずの話し上手です)

辰巳:ちょっと毎回来てくださいよ、MC手伝ってください笑。
シェフこのお料理は春巻き?

井村:春巻き、ではないです。牛頬肉と香草風味の鶏のムースを包んであります。

辰巳:牛と鳥のドッキング・・・へぇぇ。


【牛頬肉とほうれん草のソテー シルクスイートのピューレ添え】

井村:八王子のほうれん草とシルクスイートという甘〜いさつまいもと一緒に。本当はパイ生地で包もうかと思ったんですけど、ワインをテイスティングしたときに「ちょっとパイが強いな」と思ったんで、春巻きの皮にしました。

山﨑:塩味が山﨑ワイナリーのピノ・ノワールにピッタリで。このワインを飲んでこのお料理をもう一口食べたくなる。
もう一口食べてまた飲みたくなるような。美味しいです♡

辰巳:塩味でいうとシェフのお料理はわりと薄味ですけど、これはけっこうビシっと効かせてますね。

井村:はい、やっぱり「ワイン美味しく飲んでもらいたいな」ってのが大事なことなんで。

辰巳:でもやっぱり日本ワインを応援するなら、そういった第一次産業、食文化、地域文化応援しようということがすごく大事なこと。
そう思って「日本のワインを愛する会」を立ち上げたんですけど、この若さでよく地域に根ざしてやってる。そ、がスゴイ!

山﨑:僕が農業やワインを志すきっかけとなったのは、、、。僕らの農村には防風林ってのがありまして、聴きなれない言葉かもしれませんが、強い風から農村や農地を守るために木を植えて森林帯を作るんです。

辰巳:確か仙台や富山の砺波平野にもありますね。

山﨑:おっしゃる通り。その防風林の意味について考えて気がついたんですけど、「あれを植えた人は、その効果や恩恵に与れない」。
木が成長して風を防ぐまでには長い時間がかかるので即効性がないのにそれでも植えた。それは次にこの土地で農業や生活をする人たちに、今よりもいい暮らしや農業ができるという願いを込めた贈り物だっていうこと。その恩恵を受けて僕自身が成長したからには、次(の世代)は僕なりの防風林だったり、僕なりの受け渡し方をしたい。そのために僕自身はワインっていうものを選んで今それに取り組んでいるところです。

辰巳:すばらしいことです、なかなか若い人からは聞けない。

山﨑:僕4代目ですから笑。

辰巳:4代目の自覚?

山﨑:は〜い😎

辰巳:ではお料理をいただきながら、リクエスト曲を聴きたいと思います。今月はずーっと吉田拓郎さんが続きましたけど、今日はやっぱりそれですか?それはそれですごいんですけど笑。

山﨑:やはり時代ってものは流れていくものだし、今僕が考えていることも10年後お会いしたらぜんぜん違う話をしてるかもしれない。
ただ、今日の話も10年後に僕がする話も「今、僕が考えていること」です。そういったものを感じてもらえる曲だと思ってますので、皆様にも聴いていただきたいと思います。吉田拓郎で爆(←貫きました)「流星」。

辰巳:(このまま曲に行くかと思いきや)ちょ、ちょっと、、、。吉田拓郎さんってね、1週目2週目は(辰巳さん世代は)よく知ってる曲ですが、先週はわりと新し目でしたよね?このあたりがリアルタイムで聴いてた世代ですか?

山﨑:先週の「アゲイン」がリアルタイムに発売されていた2014年は古い方の歌を聴いてました。
アーティストさんが20代と50代に作ったものには違いがありますよね。当時の想いや熱量、社会に対する要求や変革・・・。
同じアーティストさんの曲を図らずとも(←図らずとも?)4週連続で聴いていただきましたのでそれぞれの時代を是非!

辰巳:「吉田拓郎さんのヴァーティカルテイスティング」みたいなもんですね笑。

山﨑:いいですねぇ。アーティストのテイスティング笑。

辰巳:この番組4年間やってて全部同じアーティストは初めてです。


吉田拓郎「流星」(1979年)
https://www.youtube.com/watch?v=LgO68spnh3c

辰巳:これもなかなかしみじみ。変わるものは変わるけど変わらないものは変わらないという。知らない曲でもすぐ「拓郎さんの歌だ」ってわかる、これまた’個性’でしょうね。

山﨑:はい、そうですね。(←なんだか自分のこと褒められてるように嬉しそうでした)

辰巳:でもその中にいろいろな想いが入ってるんでしょうねぇ。そうか、拓郎好きだったんだー?もう何度も会ってるのに今日初めて知りました。

山﨑:そうですか。隠したことは一回もないです、伝わらなかったのかなぁ笑笑。

辰巳:歌の話ってなかなかしないですもんね。

辰巳:太一さん今大学生でもあるんですよね?学生としていろんなグループやりながら勉強もして、教えたりも?

山﨑:はい。室蘭工業大学の博士後期課程。土木工学という博士号を取る過程におととしから入り直しまして、ワインの”ワ”の字もない研究なんですけど、ま、”社会インフラ”という部分で、勉強させていただいてます。

辰巳:土木ってね、基本的に”人間が土をいじる”耕作なんですよ。僕はそう感じてて実際そうですよね。人間が自然をどうやって手なずけるか、やっつけるのか、あるいは共生するのか???最近ちょっと敏感なんですよ。

山﨑:実生活と直結した学問ですし、日本はさまざまな「災害大国」と呼ばれる場所なので、そういった観点での土木ってのももちろんあるんですけど、僕はワインを専業としておりますので、本質は「僕たちが造っているワインをいかに社会に適合し、うまく組み込んでいくか」。その”組み込み”を僕は土木というアプローチを使って研究に取り組んでおります。

辰巳:「社会に組み込む土木」っていまいちピンとこないんですけど、もうちょっと具体的に言うと?

山﨑:土木の世界はさまざま。道路であったりいろいろな公共物がありますが、実際に車を運転するときに、道路景観であったり、その土地ごとに適合した土木工事があります。それを「いかに社会実装していくか?」が土木のこれからのテーマにもなってますし、温暖化で様々な変革が起きてる中で、道路はただ通り過ぎるだけでなく、そこには美しい景色や景観、街と街をつなぐ歴史や文化を感じてもらうことで道路に対する愛であったり、街に対する想いをこれから創っていこうというのがこれからの土木の役割でもあるのかと。

辰巳:そういうのをご自分で研究してるんですか?それともそういうのを専門に教えてる教授とかいる?あるいはまったく新しい学問?

山﨑:残念ながら”土木とワインを結びつけた研究”ってのはまだ顕在化してませんので、僕自身はその一役を担えればと。
ただブドウを作り、ワインにするだけではなく、それをどうみなさんの生活の中に手に取って彩ってもらえるか?ってのを考えてます。

辰巳:うーん、これが4代目ですよ。

山﨑:卒業できれば博士号獲れるんですけど、そこには様々なハードルがありますので、、、。その、ワインという飲み物にとどめずに、様々な地域の願いや想い、それを代弁する可能性もありますし、その町その地方にしかないものを表現するものでもありますので。
今日本中にはたくさんのワイン造りに挑戦してるところが増えて、これもますます進んでいくと思います。
このワインを一時のブームで終わらせることなく僕がここまで来たように、次の世代の方々が「ワインに関わりたい」と思う人がたくさん増えますように。

辰巳:今日本のワイナリーも500軒以上になって、でも日本人みんなワイン飲むわけじゃないんで過当競争になってこれから大変じゃないですか!?それでも(日本ワイン界は)まだまだ明るいと?山﨑ワイナリーが始められた20年前はまだブルーオーシャンだったじゃないですか?でも今は変わってきたと?

山﨑:はい、せっかく広い青い海にいたのに笑どんどん入植してきてこれからはもちろん心配ではあるんですが、、、。これからのワイナリーってのは、『”ブドウ栽培している地域”から”求められるワイナリー”」が残っていくと思ってますので、「自分たちの町には〇〇ワイナリーがあるんだ」「こんな景色があるんだ」っていう地域の魅力、誇ってもらえるようなワイナリー。
造ってる自分たちもそうですし「ブドウ畑周辺の街並みと延々と繋いできた人々の営み」をセットできっちり残るのが’必要なワイナリーになる’と思います。
そういったワイナリーが全国津々浦々にできることを期待しております。

辰巳:海外にもどんどん発信してますよね?外務省さんにも?

山﨑:はい。少しスケールの大きい話かもしれませんけど、国益っていうのもワインからもたらせればと思います。酒税もきっちり収めていきますので。みなさん、飲めば飲むほど国に税金入りますから笑、ぜひ日本のワインを飲んでほしいと思います。

辰巳:本気で言ってる?笑。

山﨑:僕はいつだって本気ですよ笑。

辰巳:まぁそれはある程度稼げる、、、稼げるって言葉はあんまり好きじゃないですけど、単に好きなワイン造ってるだけじゃなしに長い将来そうじゃないといけないし、プラスアルファの思いがどれだけあるかで違ってくる。

井村:(この番組のゲストとしては39歳とお若いゲストでしたが)失礼ながらすごく考えがしっかりされてて、深いお話でした。

辰巳:そういうのがワインにも表れてますよね。

井村:美味しいだけじゃなかった。一つずつに意味があったんだなと。

辰巳:北海道からはるばるありがとうございました!

山﨑:こちらこそ、素晴らしい時間をありがとうございました!

辰巳:2月のお客様は、北海道三笠市、空知地区の代表ワイナリーになりました「山﨑ワイナリー」4代目の山﨑太一さんでしたー。

全員:ありがとうございました!!!

YAMAZAKI WINERY
http://www.yamazaki-winery.co.jp/index.html

収録会場:エネコ東京
https://eneko.tokyo

News Data

プリオホールディングスpresents 「辰巳琢郎の日本ワインde乾杯!」

2025年2月27日放送回

ワイナリー

YAMAZAKI WINERY
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収録会場

エネコ東京
https://eneko.tokyo/

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