プリオホールディングスpresents「辰巳琢郎の日本ワインde乾杯!」 2025年1月23日OA

2025年1月のゲストは新潟県「カーブドッチ」取締役・ワイン部門担当の掛川史人さんです。
今回は掛川さんが「土曜日の自宅のベランダ」で飲みたいという「ファンピーのオレンジ」で乾杯!4年間のフランス生活から帰国してすぐにカーブドッチに就職して・・・?(全5回 4回目)

辰巳:1月4回目、今月は放送が5回あります。お客様は新潟県からお越しくださいました「カーブドッチ」の掛川史人さんです。そして、今月は「Villas des Marriages さいたま」からお送りしております。こちらの総料理長、井村貢シェフです。

全員:よろしくお願いします!!!

辰巳:まずは飲みながら。これもオレンジですかね?

全員:カンパ〜イ🎶

【2023 ファンピー・オレンジ泡】
https://nwinecoast.thebase.in/items/64298734/

辰巳:先週も「いっかく」というオレンジをいただきましたが、これもオレンジ?

掛川:これもオレンジですね。いっかくはケルナーとかのワイン用ブドウなんですけど、これは山形のデラウェア、がベースになってます。

辰巳:新潟でデラとか食用ブドウは、

掛川:ほとんど作ってないですね。だって’隙あらば米作る’とこですから笑笑。

辰巳:💡そうか〜。

掛川:空き地ができるとすぐ米植えたがる笑。

辰巳:でも今のワイナリーの畑あるとこは米づくりには向かないとこでしょ?

掛川:砂地なんでね笑。

辰巳:ひょっとしたら長芋とかネギとか作れそう、そんな土壌ですもんね笑。

掛川:土の中に埋める作物ばっかり笑。

辰巳:掛川さんとしては、こういうデラとか食用ブドウから造るワインはどう思われてるんですか?

掛川:ものすごく大きな可能性があると信じていて、力強くやっていきたいとは思ってますね。

辰巳:やっぱりね、こんなに美味しいブドウを作れるのは、世界広しといえど日本だけです!これを端から否定してかかるのはどうかと落さんにも言いたい。ヴィティス・ヴィニフェラにこだわる人が多すぎて、、、。そのこだわり自体は悪くないんですけどね、こういう美味しいワインを飲むとどうしても思ってしまうんですよ。

掛川:国内向けに関していうと、ワイン用ブドウとしっかり取り組んでいかないといけないと思うんですよね。日本のワインが世界水準に近いクオリティになるという証明になるのかなぁと。一方で、例えば、外国に向けてのワインを造っていきましょうと考えた時には、「カベルネ、シャルドネ造ってもしょうがないでしょ。やっぱ甲州、マスカット・ベーリーA、か、”世界最高の食用ブドウ”よね」。になる。

辰巳:あとはヤマブドウね。あの質の土地にヤマブドウ合いそうな気はするんですが、まだやってないですか?

掛川:まだやってないです。酸が残る品種なんですごくいいなぁとは思ってるんですけど。

辰巳:シェフ、今日のお料理はなんでしょ?

【スズキのペルシアード 藤化粧カブとマッシュルームのエチュべとほうれん草のソース】

井村:スズキと八王子の藤化粧カブとほうれん草のソースを使ったお料理です。

辰巳:シェフ、このワインはどうですか?先週もオレンジワインだったんですけど、オレンジワインは好きですか?

井村:モノによります笑笑。個性が強すぎるのってお料理にも合わせにくくて、「だったら単体で飲んだ方がいいなじゃない?」って思うこともあるんですけど。ファンピーに関しては、「このワインとガブを組み合わせたら面白いなー」と思いました。

辰巳:そういえばこのワインの説明聞くの忘れてました。この、「ファンピー」とは?

掛川:”楽しくてハッピーなワイン”を造りたいなと思って、”FUN”と”HAPPY”を掛けました。

辰巳:名前自体は掛川さんがつけられるでしょ?

掛川:そうです。この名前は語感が楽しいんですよね。

辰巳:そしてこれは確かお財布にも優しいんですよね?

掛川:そうですね、比較的低価格ラインで3000円ぐらい。

辰巳:いちばん安いワインはおいくら?

掛川:僕たちの中では2200円ですかね。このファンピーシリーズがいちばん安いと思います。

辰巳:このお料理と合わせてみてどうですか?

掛川:美味しいです♡オレンジワイン特有の苦味があるんですけど、それがとってもよく合うなぁと。

辰巳:この苦味っていうのが、日本料理独特の、っていうか、日本人には合うんでしょうね。苦味の中から旨みに通づるような・・・。

掛川:ヨーロッパのワインだと、いわゆる”ミネラル感”みたいな”締める役割”というか、”カチっ”っと印象なんですけど、日本の雨が多くて柔らかい土壌だと酸味は得てしてあるんですけど、ともすると、’ふゎ’っとしてしまうところを、苦味が絞めてくれる。そんな印象もありますね。

辰巳:日本のワインは果実味もそんなに強くないしね。あれ、今月のワインは樽も使ってない?

掛川:2週目のサブルの白は樽使ってますよ。

辰巳:ぁ、そうでしたか。今回のオレンジワインは前回とは立ち位置も違ってますよね?これはスパークリングで瓶内2次で澱引きなし?。

掛川:そうなんです。多分ファンピー飲むには会場が素敵すぎるんですよね笑笑。これはもっとラフなイメージ。この雰囲緊張するじゃないですか。

辰巳:ぇw、緊張してるんですか?

掛川:そうそうそう笑。シェフの顔見て一層緊張笑笑。お料理のスタイルも素敵だし美味しいんですけど、僕のイメージとしてはもうちょっとラフな感じ。エスニックだったりとかね。最初に飲んだアルバリーニョや次のサブルはこの場にふさわしいちょっと緊張感を持った感じだけど、いっかくなどの「動物シリーズ」ははもうちょっとビストロみたいなところで楽しんでいただくイメージで造ってます。このワインだったら「土曜日の自宅のベランダ」「女子会」、とか。ワインってシチュエーションによって違うんで。

辰巳:そんなこと元々考えながら造ってるんですか?

掛川:そうですよ。

辰巳:入ったのは2002年でしたよね。1992年にワイナリーができて10年後。当時中学生だった湘南BOYがフランスで勉強して戻って。他には行かず真っ直ぐ「カーブドッチ」に就職。フランスで4年、勉強してきたか遊んできたかどうかはわかりませんが笑、日本に帰って初めて就職してどんな感じでしたか?

掛川:帰ってきた時の(自身の)外観が金髪バァーーですごいチャラい😂。すぐにワイン造りに取り組んだわけではなく、最初は営業に配属されたんで髪黒に戻してピアス取って笑、酒販さんとのお話や催事やってました。

辰巳:そういう酒販店さんとのお話ってぺーぺーの人がやるもんじゃ・・・

掛川:あのー、あれです、「お待たせしましたー」っていう配達です笑。先輩についてって’横にいる’みたいな『外から見た「カーブドッチ」』を僕に見せてくれて。翌年からは畑専属で3年ぐらい、2006年からは醸造責任者。2010年からは役員として原料調達から営業まで全部・・・。

辰巳:ってことは30歳で役員になったわけですね。その前に20代で醸造責任者。その頃はどんな方がやってらしたんですか?

掛川:落さん直属の部下だったり、でしょうかね。

辰巳:その落さんとはどうだったんですか?(←掛川さんのお母様と共同経営でしたが、十数年前にカーブドッチを離れられました)第一印象だとか最初にワイナリー入って何を教えられたとか、ちょっと興味あります。

掛川:非常に魅力的な方だったなぁという強い印象があります、これは気ぃ遣ってるとかでもなんでもなくて。

辰巳:ワイン業界では悪口しか言わないような人ですけど、非常に楽しい人ですよね、”人たらし”。

掛川:夢が本当に大きくて。印象に残ってるのは、僕の仕事中に「早く丁寧に」って言うんですよね。「ゆっくり丁寧」か「早くある程度のクオリティ」か、普通どっちかでしょって言ったら「両方やらないとダメだ、それができたら”アナタがやる意味が生まれるから”」と最初に言われて。そう言う観点が僕にはなかったから。

辰巳:”誰がやってもおんなじ”ではダメだと?それはやっぱり個人を大切にしよう、育てようと思うところがあったんでしょうねぇ。

掛川:ひとつひとつに実は理由があって意味があって、ってことを、(落さん)口が悪すぎてなかなか伝わらないんですけど笑、たまにポロッと言う一言が今でも心に残ることがたくさんあります。

辰巳:他にも披露していい話があれば。

掛川:あんまりないですけど笑。うちは今は滞在型のワイナリーなんですけど、お客様を迎え入れるっていう観点では一番最初にワイナリーができる時からされてた。「出来たばっかりのワイナリーのワインを世界のワインと比べると、味わい的にもぜんぜん足りないんだから。そこは謙虚に受け止めて、足らない部分を一緒にいる時間を大切にする、とか、ワインがダメなら綺麗な薔薇でお客様を迎える、とか」、と。大きな愛を持った人だなぁと思いますね。

辰巳;僕が初めてお邪魔したのは2006年とか2007年とかその辺りなんですけど、もうその時は(掛川さんは)いらしたんですよね?

掛川:はい、でもお会いしてないと思います。

辰巳:そのころはまだ落さんが全部アテンドしてくださってましたから。番組(BSテレ東「辰巳琢郎の葡萄酒浪漫」)にも出てくださってね。とても情熱的な方でした。

掛川:2006年っていうとかなり早い時にいらっしゃいましたね。その年から私ブドウ作ってましたけど、ホントに大変でした。

辰巳:瓶内2次発酵のあの回し方。フランス式じゃなくてドイツ式で、それがすごく印象に残ってて「独特なワイナリーだなー」って。いろいろ思い出します。ここでリクエスト曲を聞きたいと思います。今週は何にしましょう?

掛川:えーと、これも有名じゃないんですけど、、、

辰巳:いいですよ、もう慣れました爆。

掛川:ムクというアーティストの「Bite You」。

辰巳:ムク?日本人?

掛川:そうです、でも綴りはフランス語です。曲名は(英語で)”アナタを噛む”ですけど。

辰巳:ドラキュラかなんかの話?笑。

掛川:そんな感じ?笑(←テキトーすぎ)


muque「Bite you」(2024年)
https://www.youtube.com/watch?v=RcDBofJ-_oA/

辰巳:懐かしい曲が好きだと聞きましたが?

掛川:そうですね。何でも古いものが好き。

辰巳:昭和歌謡?

掛川:、も好きですし、アンティーク物も好きですし、あとは古いものが現代風にアレンジされてるもの。

辰巳:ワインって西洋の文化ですけど、”日本で造る”とか”和”に対するというこだわりとかはありますか?例えば4年間フランスで修行してきて「日本は日本だ」とか「これはこうしなくちゃ」みたいな何か。

掛川:当たり前なんですけど、まずは食文化が違いますし環境も違いますので。ヨーロッパって”コウスイの国”ですよね。

辰巳:香りの方じゃなしにね。

掛川:硬い水の方。

辰巳:(日本は)水が柔らかいから「出汁文化」ができた、みたいな。

掛川:おっしゃる通り。そこは”違う文化”の上に立ってるので。でも、僕たちのワイン体験はまだヨーロッパのワインなので、フランスのミネラリーなワインを好む傾向があるなぁと。でも実際問題、日本で普通に生きていると、なんかこういう「ダラ〜」っとしたものの方がいいのかなと。

辰巳:「ダラ〜」!笑。

掛川:このFunpeeの緊張感のなさが。

辰巳:リラックス感?

掛川:「どれぐらいの硬さを持たせるか?」っていうのをできる範囲で調節するんですけど、例えばわかりやすく言うと、So2を最後にいっぱい使うと硬くなります。じゃぁそのレベルのワインはどういうところで消費されるんだろう?っというところからSo2をどれぐらい使うかを考えます。

辰巳:このファンピーはSo2使ってない?

掛川:はい、まったく使ってません。

辰巳:ファンピーって何種類ぐらいあるんでしたっけ?

掛川:7種類です。そういう”柔らかさ”が日本(ワイン)の特徴なのかなぁと。

辰巳:まぁ僕もね、今日は一応ジャケット着てますけどね、いつもは作務衣が好き。作務衣着てると’日本ってこんな感じ’と思います。湿気の多い国だから襟元も開いててね。それは食文化にもワインにも絶対影響してくると思っていて、そう言う意味でも日本人がもっともっと生活習慣から変わっていくとまた違ってくるのかなぁと思います。

掛川:僕もそう思います。

辰巳:その辺にも日本ワインのヒントがあるような気がしますけどね。

掛川:個人的にはワインを音楽に例えることが多くて。もっとワインは”ジャンル分け”をしてくといいのかな、あとは”名前がつく”のがいいのかなぁと思います。

辰巳:名前?例えば?

掛川:今の日本ワインの状態だと、音楽だったら「今日ライブに行こう!」ってなった時、それが演歌なのかロックなのかアイドルなのか、がわからない。とおんなじで「今日ワイン飲みに行こうよ」ってなった時に、それが日本ワインバーなのかゴリゴリのブルゴーニュなのか、ナチュラルワインバーなのかがわからない。

辰巳:ちょっとこの話面白いんで、来週その話で締めましょうかねぇ。ということで、続きはまた来週!

全員:ありがとうございました!!!

CAVE D’OCCHI WINERY
https://www.docci.com/

収録会場:Villas des Marriages さいたま
https://villasdesmariages.com/location/saitama//

News Data

プリオホールディングスpresents 「辰巳琢郎の日本ワインde乾杯!」

2025年1月23日放送回

ワイナリー

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収録会場

収録会場:Villas des Marriages さいたま
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