
2025年1月のゲストは新潟県「カーブドッチ」取締役・ワイン部門担当の掛川史人さんです。
今回はカーブドッチ人気の「動物シリーズ」から「いっかく」で乾杯!地元鎌倉の高校卒業3日後から4年間のフランス生活が始まるお話。(全5回 3回目)
辰巳:新年3回目の放送。1月のお客様は新潟県からお越しくださいました「カーブドッチ」取締役、掛川史人さんです。そして「Villas des Marriages さいたま」の井村貢シェフです。
全員:よろしくお願いします!!!
辰巳:今日は最初からお料理のいい匂いがしますが・・・まずはワインで乾杯しましょう!
全員:カンパ〜イ🎶
【2023 いっかく(アッサンブラージュ)】
https://nwinecoast.thebase.in/items/55765830/
辰巳:ロゼ?いや、これはオレンジかな?
掛川:これは北海道のケルナーと、山形のソーヴィニョン・ブランを使ったオレンジワインです。名前は「いっかく」。
辰巳:なんでいっかく?
掛川:なんでなんですかねぇ。いっかくってちょっと尖ったツノがあるじゃないですか。それがこのワインの酸味といいいますか、ギュッとするのを連想させるというか。。。
辰巳:ネーミングはどなたが?
掛川:ワタシです笑。
辰巳:なんだ、最初に「なんでですかねぇ」なんて言うから笑。
掛川:最初にラベルがありまして。これに合うワインなんだろうなぁって考えてたらオレンジワインになりました。
辰巳:「いっかく」って以前にも確か、、、ヒトミワイナリーかな?ありましたね。
掛川:ぁ、ありましたね。h3の有名なやつ。
(h3 IKKAKU 参考サイト:http://www.nigoriwine.jp/HWHP/web/shop_onlist/wine_2203-2022.html/)
井村:オレンジワインというと’ちょっと個性が強い’イメージがあるんですけど、これは確かに個性はあるんですけど、すごく優しい味わいですよね。スーッと喉を通っていく間に香りも広がっていきますし。
辰巳:これは天然酵母?
掛川:そうです。
辰巳:でも全部が全部天然酵母ではないんでしょ?
掛川:動物の名前がついてるのは天然酵母です。
辰巳:これは自然派系の掛川さんが造り始めた「動物シリーズ」ですよね?
掛川:はい、亜硫酸も一切入らない。
辰巳:ちょっと酸化傾向というか、揮発酸系もありますけど、
掛川:ボク大好きなんです♡
辰巳:美味しいんですけどね。
掛川:怒られちゃうことも苦笑。
辰巳:オーソリティの方からは反対されることもあるワインですけど。でも食事によっていろいろなワインがあっても僕はいいと思います。ワインの面白いところって幅の広さだと思ってるんで、”単品”で言うもんじゃないなという気はします。ということで、今日のお料理はなんでしょう?
【カリフローレのロースト 生ハムのヴィネグレットソース】
井村:カリフローレをシンプルにローストしました。先ほどから香りがたってると思うんですが、これは生ハムの、要するに屑肉をどうやって使おうかと思って生まれたソースなんです。骨付き生ハムのスライスをお客さんの間の前で出していくとどうしても屑が出るんで、無駄が出ないようにと編み出したソースです。
辰巳:それをカリフローレに纏わせて、トマトの他に(赤ワイン)ビネガーがけっこう効いてます。
井村:トマトの甘さが引き立つようにビネガー使ってます。
辰巳:こういうビネガーがピチっときたお料理にこういう系統のワインはほんとに合いますよね。若干サクエチ(酢酸エチル)残るぐらいが僕は好きなんですよ。
掛川:ボクも好きなんですよー。
井村:ワインの香りがたってくるような気がする・・・。
辰巳:シェフはこういう自然派のワインってどうなんですか?
井村:僕はもう美味しければなんでも。ワインに関しては、造ってらっしゃる方が背景にいるってことを考えると、「どうやったら美味しく飲めるか?」をいつも考えますね。
辰巳:「いかにしてこのワインに合ったお料理を作るか?」これが真骨頂だと思います。さ、今日もリクエスト曲を聴きたいと思います。これまでまったく知らない曲ばっかりだったので、次何がくるか不安でしょうがないんですけど笑、音楽好き?
掛川:すごく好きですね〜。ずーっと聴いてます。
辰巳:(これまでのゲストの造り手の方も)「昔バンドやってて」って人が多いんですけど?
掛川:ちっちゃいころからピアノを10年ぐらいやって(小学1年生から中学3年生まで)、そのあとフランスの時代はやってないですけど、帰ってきてちょっとギター触って、それからアフリカの太鼓を10年ぐらいやってました。ぜんぜん上手くはないんですけどね。
辰巳:アフリカの太鼓の曲リクエストにしませんか?
掛川:いや、次の曲に関してはみなさんサビは絶対わかると思います。パンピーというグループの(←この段階で会場内誰もわからず)、加山雄三さんの名曲「お嫁においで」のリミックスにラップ乗っけてるっていう。
辰巳:あれ、そんなワインあるでしょ?
掛川:ぁ、それ「ファンピー」ね笑笑(←このワインはワインは来週以降登場しますよ)。
辰巳:それに掛けたと思ってたのに違うんですね。では聴きましょう。
掛川:「お嫁においで2015」フューチャリング パンピー。
「お嫁においで 2015」加山雄三 feat.PUNPEE
https://www.youtube.com/watch?v=gLS_4iPoZ40/
辰巳:知ってるメロディーだとホッとしますね笑。
辰巳:子供時代にピアノやってたと?お坊ちゃんだったんですね?
掛川:うーーーーん、どうなんでしょうねぇ。でもいろんなことを経験させてはもらっていたなぁとは思います。
辰巳:お母様もアグレッシブな方だったみたいだし、
掛川:、っていうか極度にアグレッシブ笑。
辰巳:元々何をされてた?
掛川:結婚する前は三菱商事?にまぁずっといて、
辰巳:お母さんおいくつ?
掛川:いくつだっけなぁ、確か私の30年上、だったような。
辰巳:1950年。いわゆる団塊の世代の最後ぐらいの年代だろうなと。その千恵子さんが男3兄弟残して「ワイナリーやる」で新潟行っちゃった。そっからどうしたのか?、が知りたい。だって掛川さん中学生でしょ?
掛川:そうです。地元鎌倉の中学1年生。でも春休み夏休み冬休みは強制召集されまして笑、「働け」と。
辰巳:剪定とか?
掛川:それは技術が必要なので出来ないので。酷い話だなぁと思うんですけど、ナタ🪓1本渡されて、まだ中学生の私に’薪を割れ’と。
辰巳:でもそれ基本じゃないすか?笑。
掛川:だって周りには誰もいなくて、ただ薪を割る小屋に連れて行かれて「1日中薪を割れ」って、、、。「僕は一体何をしてるんだ?」。。。
辰巳:それはわかりますよ。でも年取って「あれは良かったな」ってことないすか?笑。
掛川:良かったですよ、薪割り以外は笑笑。ブドウの畑をみんなで植えてる時に参加させてもらって、まだ何っにもない砂浜の頃も知ってますし、ちょっとづつ物も建っておっきくなっていくっていうのを(春夏冬休みの度に)見て、
辰巳:だんだん綺麗になっていくという形を見て、子供心ながら感動したりしたんですか?
掛川:感動的というか、『なんか出来てきたな』。母が大変なことをしてたのはわかってたんですけど、難しいことがわからないので。たまに母が帰ってくると散々酔っ払っててよく愚痴を言うという笑。「事業って難しい。。。」とか。
辰巳:地元で受け入れられない、とか農業って難しい、とか?
掛川:そういうこともたくさんありますね。
辰巳:農業って外から参入しようとするとハードル高いって話は全国で聞きますけど。お母さんが住んでたのは新潟市内?
掛川:そうです。
辰巳:今合併してカーブドッチも広い意味では新潟市なんですけどね。
掛川:よくわかんないですけど、母親は帰ってくる度にわんわん泣いてることがちょっとづつ前に進んでる、形になってるってのは「すごいなぁ」という尊敬の念はありました。
辰巳:そのときお兄さん2人もいっしょ?
掛川:いや、関係ない。
辰巳:だって召集かけられたでしょ?
掛川:真ん中の兄はアルバイトできてましたけど、長男は農業にはまったく興味なし、次男も重度にグレてたし。私だけが農業に興味あり。
辰巳:農業好きな人は就農するとグレないとか?
掛川:じゃないですかね。僕はぜんぜんグレなかった。
辰巳:農業に対する考え方は、子供の時から関わってると根本的に、、、
掛川:それもたまたまなんですよね。おやじがコンポストっていう生ゴミを肥料にする装置を、まだ当時珍しかったんですけど庭に持ってて、そこからたまたま分解されなかったかぼちゃが出てきたのを僕が発見して、「ゴミ箱なのに(分解されてない)食べ物が出てくるなんてすごい!」。そこから”作物を作る”ということが急に楽しくなって「やらせてくれ!」になりました。
辰巳:ワインを初めて飲んだのはいつ頃ですか?
掛川:初めてちゃんと飲んだのは、高校卒業してフランス行ったんですけど、その時です。
辰巳:!高校卒業してフランス行った!?
掛川:卒業して3日後に。
辰巳:大学には行かずに?
掛川:はい。
辰巳:それはもう完全にお母さんが継がせようと思った英才教育?3人兄弟の末っ子の史人にと?
掛川:高1の時に「やるか?」と聞かれて「やる」と。だからその時にはもう進路が決まってました。
辰巳:高校は地元の?
掛川:はい、鎌倉の。入ってからはまだ新潟の大学に行くつもりで勉強してて塾とかにも通ってたんですけど、高2の春ぐらいに「大学に行ってもしょうがないからフランスに行ったら」(←母より)。「あーいいねいいね」。受験勉強嫌じゃないですか。しなくていいんだったらフランス行くって言って。
辰巳:じゃぁその時からフランス語勉強したんですか?
掛川:いやいや、しないす。
辰巳:だって独りで行ったんでしょ?
掛川:渡仏して1年ぐらいは語学学校行かしてくれたんで。
辰巳:フランスのどこに?
掛川:最初はパリ近郊の、ランブイエという所の治安のいい語学学校に入れてもらって、1年してブルゴーニュに飛んで全部で4年間いました。ずっと遊んでましたけど笑。
辰巳:何して遊んでたんですか?
掛川:酒を飲んで、友達と遊んで、女性とロマンスをして笑。
辰巳:ロマンスは金髪ですか?笑。
掛川:金髪だったり黒髪だったり笑。
辰巳:心細くなってホームシックにはならなかった?
掛川:なりました。「もう一回行くか?」って言われて同じシチュエーションだったらもう行かないでしょうねぇ。
辰巳:農業してワイン造りたいっていう気持ちは強かったんですか?
掛川:いや、そこまでは。まだ「ワインが何であるか?」がわかってなかったんで。でもフランスに渡った初日に、日本でも有名な坂口(功一)さんという方がいらして、
辰巳:坂口さん?
掛川:日本にワインを輸出してる方なんですけど、その方が(パリ近郊に)デッカいシャトーを持っていらして、そこに招いていただいてすごくいいワインを飲ませていただいて。よく覚えてはいないんですけど、”19〇〇のモンラッシェ”を”まともなワイン”として(人生で)一番最初に飲んだんです。も〜う感激して「これはなんだ!?」「こんなのがブドウからできるのか?」ってんで「ワイン、面白そうだな」と思った記憶はありますね。
辰巳:それから変わった?
掛川:変わんないっすね笑笑、ずっと遊んでました。けどその思いは強くなっていったのは確かです。
辰巳:ブルゴーニュの学校行ったんですか?ボーヌ?ディジョン?
掛川:両方いました。
辰巳:その時に、今日本でも活躍してる、
掛川:ダイヤモンド酒造の(雨宮)吉男さんや農楽蔵の佐々木(賢)くんは向こうで会ってますね。ボーヌ、ディジョンの同期です。グランポレールの久野(靖子)さん・・・何人もいます。
辰巳:今になって若い時に知り合った人はいい財産というか。そういう意味でも若い頃の留学ってのはいいのかもしれませんね。
掛川:大変でしたけど非常に大きな大きなものをいただいたなと思いますし、「ワイン造りはブドウ作りだよ」ってのがスッと入ってきました。ブルゴーニュって本当に手作業も多いですし、非常に細かい農家さんがたくさんいる地域なんで。
辰巳:なるほど。1年間パリの近く、3年間ブルゴーニュに。ほか旅は行ったりは?
掛川:はい、シャンパーニュもだし、ラングドックも。あとスペイン好きなんで行ってましたねー、サイコーです。
辰巳:5週あるとそういう話がゆっくり聞けていいなぁ。あと2回ありますので、続きはまた来週お願いします。
全員:ありがとうございました!!!
CAVE D’OCCHI WINERY
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収録会場:Villas des Marriages さいたま
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News Data
- プリオホールディングスpresents 「辰巳琢郎の日本ワインde乾杯!」
2025年1月16日放送回
- ワイナリー
CAVE D’OCCHI WINERY
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収録会場:Villas des Marriages さいたま
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