
2020年7月から始まった*ラジオ番組「辰巳琢郎の日本ワインde乾杯!」。2024年7月放送分から『**プリオホールディングス提供』になりました。引き続きお楽しみください。
(*Tokyo Star Radio:https://775fm.com/ **プリオホールディングス:https://prior.co.jp/)
2024年12月のゲストは高知県香南市「井上ワイナリー」代表取締役の井上孝志さんです。
今回はオレンジワインではなく”オレンジのワイン”で乾杯です。異業種からの新規参入はやはり、、、いろいろ苦労がありました。(全4回 3回目)
辰巳:12月の3回目、いよいよ暮れが押し迫ってまいりました。お客様は高知県の「井上ワイナリー」の井上孝志さんです。そしてプリオホールディングス総料理長、井村貢シェフです。
全員:よろしくお願いします!!!
辰巳:まずは乾杯しましょう。前回はオレンジワインでしたけど、今回は本当にオレンジのワインでございます。
全員:カンパ〜イ🎶
【山北みかんワイン】
https://www.tosawine.com/products/detail/141/
辰巳:みかんです。「山北みかんワイン」
井村:ほんとに「みかん!」を感じるワインですけど、僕には飲み口が柚香(ゆこう)を思わせるエレガントな香りを感じました。そしてみかんの輪郭がはっきりしてる味わい。
辰巳:ワインは基本的にはブドウから造るものですけど、リンゴから造るシードルもありますし、ハワイなんかではパイナップルからも造ってる。ぁ、沖縄もか。でもみかんから造ってるのは僕が知る限りでは日本だけじゃないかな。最近は瀬戸内とか和歌山、奈良でもちょこちょこ始まってますけど。みかんをワインにしようと思ったのはどうしてなんでしょうか?
井上:私どものブドウ畑があるところは山北というみかん産地なんです。高知ではみかんは基本自家消費なんですね。
辰巳:だって高知は柑橘王国。柚子、直七(なおしち)とかじゃばらもそうですね。このみかんは温州みかんですよね。たくさん作られてるんですか?
井上:今は農家さんが減ったので生産量は落ちましたけど、その中でもキレイにできるみかんもあれば、ちょっと傷がついてジュースなどに回すのもありますよね?そういうのを「もったいないから分けてください」と言って、ワインに仕上げましたら女性に大人気!
辰巳:僕のワイン会なんかでもよく食前酒で出すんですけど評判が良くて。夏場は特に。アルコール度数も8%と低いですしね。だからこのみかんワインはお料理と合わせたことがあまりないんですが、今日は作っていただきました。これはなんでしょうか?
【八王寺産椎茸と真鯛のエカイエ風】
井村:真鯛と青梗菜を貝のだし汁で煮込んだお料理です。柚子を使ってるのでワインとの相乗効果が起きるかなと思って。上に乗ってるのは椎茸です。今回も八王子の中西ファームのお野菜を使ってます。
辰巳・井上:いただきます!
辰巳:おいし♡柚子の香りがさらに広がっていく、ワインをソースとして考えるようなお料理ですね。
井上:椎茸が絶妙な歯応えで、すごく合いますね〜。
辰巳:食中酒としてもいけますねぇ。ちなみにこのワインはおいくらですか?
井上:1970円です。
辰巳:みかんはそれなりにお安く(買えるんですか)?
井上:笑、そうですね。
辰巳:ご自分のところで作ってるわけじゃないんでしょ?
井上:いえ、残念ながら。山北のみかんが人気があるのは’香りがすごくいい’からなんです。みかんワインは他にも有りますけど、飲み比べると香りが違うんですよ。
辰巳:みかんってやっぱり石灰土壌がいいんですか?
井上:そうですね。
辰巳:「井上石灰工業」はICボルドーという簡易ボルドー液を作っていらっしゃるんですが、ボルドー液は確かみかんの栽培にもいいんですよね?明治時代ぐらいにみかんが病気でやられた時にボルドー液が発明されたんだったっけな?
井上:そうです、よくご存知で。
辰巳:当時のみかん産業には大きな救いだったとか。
井上:韓国の済州島ってみかんの一大産地なんですけど、そこではICボルドーを全面的に使ってます。風が強いエリアは(みかんに)傷がつきやすいじゃないですか。そういうところから菌が入りやすくなるので保護剤として塗っておくと。
辰巳:まぁ農薬ですけど”殺菌剤”。そういうふうに考えていいんですか?
井上:そうですね。虫は殺さないですから「殺菌剤」です。
辰巳:そのボルドー液を作っている会社が4年前に立ち上げたのが「井上ワイナリー」。土地柄もあるし、造り手や経営者の意向がワインには必ず表れてはくるんですけど、もうちょっと井上さんの言葉で「どんなワイナリー?どんなワインを造りたい?」
井上:高知県でワインを造るとなると、やっぱり山梨や長野とどうやって差別化しようかな〜、がいちばん大事なとこだったんですよ。何にしようかな〜と考えた時に、高知って食材が豊かなんですね。量は多くないですけど’海の幸’’山の幸’があるのでそれに合うワインをそれぞれの産地で造ろうと。
その箇所箇所にワイナリーを作るわけにはいきませんから、地域ごとに畑を作って、そこの産品に合うワインを造れば人が廻ってくれるんじゃないかと。ちょっとした観光誘致ができたりとか、地元の経済や中山間地域の活性化だとか、いろいろな経済効果に繋げたいなぁというのがこの事業の大きな目的です。
辰巳:「(有名処の)このワインが好きだからこういうワインを造りたい」とかいう人も多いんですけどね。
井上:とにかく『高知らしさ』を出したい。
辰巳:高知らしさったって難しいですよねぇ。
井上:魚介類に合わせやすいだとか、いちばんは鰹のたたき。これには是非合わせたいです。(←ですよね)
辰巳:鰹のたたきだったら何に合わせるんですか?
井上:私どものワインだったらヤマブドウ系の赤ワイン、「富士の夢」。作りやすく収量も安定してますから。色も濃くて特徴的じゃないですか。あれと鰹のたたきと合わせるんですよ。鰹のたたきだけじゃなくて他の和食とも合わせられます。
辰巳:なるほどー。今は山北のみかんワインを飲みながら話を進めておりますが、ここでリクエスト曲を聴いてみたいと思います。今日は何にしましょう?
井上:アデルの「スカイフォール」、007です。最新作のもういっこ前の曲かな。007は昔から格好いい!っと思っていて。『男のロマン』ですよ笑。
辰巳:その想いを馳せながら聴いてみましょう。
Adele「Skyfall」(2012年)
https://www.youtube.com/watch?v=PstTvspnhYU/
井上:格好いいでしょ?笑。
辰巳:今日はパリッとネクタイもして、もしかしたらどっかのアレかもしれないっていうイデタチの井上社長なんですけど笑。今から7年前、オープニング記念パーティに僕もゲストでお邪魔したんですけど、あのころはブドウ栽培だけやってて、醸造は委託されてたんですね?
井上:山梨のすずらん(酒造工業)さんです。2021年に(自社のワイナリーが)できるまでずっと。その日の昼間に収穫したブドウをトラックの夜行便走らせて、私たちは高知から最終便で羽田に飛んで、その日のうちにレンタカーで山梨まで行って、翌朝そのトラックを迎えるという(驚!)
辰巳:大変でしたねぇそれは。そうか、高知からだと羽田まで一度行かなくちゃいけない。だったらもっと近い所で造ればよかったのに。
井上:他もご相談はしたんですけど、小ロットで受けてくれるところがなかなかなくって。
辰巳:すずらんさんもいろんな所のワイン造ってますから(委託醸造には)慣れてますしね。で、井上さんとはその2017年のパーティの時に初めてお会いしたときに、「高知にこんなワイナリーできるのはいいなぁ」と期待してたんですけど、期待以上の素晴らしいワイナリーになりましたね。
井上:ありがとうございます。
辰巳:今年の春、高知のワイナリーバスツアーを企画してお邪魔したら大好評でしたから。やっぱり「観光ありき」な所とそうじゃない所がありますからね。(井上ワイナリーは)から最初から観光地として捉えてましたし。
井上:隣に動物園があって、そこは年間20万人ぐらいの観光客が来るんですよ。家族連れも多いし。
辰巳:やっぱり動物ラベル作るしかありませんね、カーブ・ドッチみたいな笑。僕まだ動物園行ってないんですけどね笑。植物園はすばらしい!朝ドラ「らんまん」(2023年)の牧野富太郎さんの。もう1日いても飽きない。
井上:今だにずーっと人気ありますね。駐車場もいつも満車です。
辰巳:高知県観光特使として言います。「皆さん是非高知に来てください。空港からまずはワイナリーへ。」で、あとはレストランです笑。まだ(併設)レストランないんですけど、作る予定あるんですか?
井上:具体的にはまだないんですけど、ご要望もかなり寄せられております。
(前回も掲載しましたが、こちらが2017年のメーカーズパーティの写真です)
辰巳:ワインやり出してどうですか?楽しいでしょ?
井上:面白いですねぇ。日頃接する方も全然違うタイプだしこれはこれで楽しいです。ただねぇ、夜のお付き合いが多くなって、、、。普段家にいる時は健康のために1時間ぐらい歩いて運動してるんですけど、それができなくなりますから。体重が増えましてね💦4kgぐらい太りました。
辰巳:そうなんですか。家は高知市内なんですか?
井上:その隣の南国市というところ。
辰巳:そっからワイナリーまで歩けばいいんじゃないですか?爆。1時間ぐらいで行くんじゃ?
井上:いやぁ1時間じゃ・・・💦
辰巳:さっきちらっと伺ったら、最初は新しい畑をなかなか借してくれなくて苦労したと?
井上:苦労しましたねぇ。「何をしでかすのか?」という目で見られました。畑ってネギとか大根とかの野菜植えたらだいたいは1年で終わるじゃないですか。でもブドウやるとなったら10年20年単位ですから「もしかしたら返してもらえないかも」っと思われちゃったり。
辰巳:ぁ、そういう考え方もあるんですね。野菜類は確かにそうですよね。果樹栽培ってみんなそうかもしれませんが、ブドウの場合も多年生で、毎年同じタームでどんどんやっていくわけですからね。
井上:田舎の方だとその「何するのかしら?」っていう目を気にしながらやってますから。でも幸い、うちの母の実家がここの近所でしたから口きいてもらうと「それなら」という方が一人二人増えていきました。もはや今となったら「待ってましたっ!うちの畑も使ってください!」
辰巳:誰かがOK出し始めたら我も我もと?
井上:実はみんな困ってらしたんです。耕作放棄地でしかないのに、毎日草が生えたら刈らなきゃいけない。これが大変らしいんですよね。本当は誰かに売り渡したいけど先祖代々の土地ですからそういうわけにいかない。「そんなことなら喜んで使ってくれ」とお申し出いただいてるんですが。。。
辰巳:でもブドウ栽培に向いた土地もあればそうでない土地もあるだろうし、アクセスの問題もあるだろうし、、、。今はどれぐらいになりました?
井上:2.5haになりました。もう少し増やしたいと思ってます。
辰巳:どんどん増えるんじゃないですかー?
井上:えーとねぇ、やっぱり人手の問題ですよね。ただでさえ人手がない中で、農作業となればなかなか集まりにくいですね。
辰巳:シェフ、こちらでレストランでもやりませんか?
井村:そうですね。すばらしい食材はいろいろあると思うんで。
辰巳:今度イヴェントしましょう。今日はこのぐらいにしてまた来週。
全員:ありがとうございました!!!
井上ワイナリー
https://www.tosawine.com/
井上石灰工業
https://www.inoue-calcium.co.jp/inoue_winery/
収録会場:エネコ東京
https://eneko.tokyo/
News Data
- プリオホールディングスpresents 「辰巳琢郎の日本ワインde乾杯!」
2024年12月19日放送回
- ワイナリー
井上ワイナリー
https://www.tosawine.com/- 収録会場
エネコ東京
https://eneko.tokyo/