プリオホールディングスpresents「辰巳琢郎の日本ワインde乾杯！」 2024年12月12日OA

2020年7月から始まった*ラジオ番組「辰巳琢郎の日本ワインde乾杯！」。2024年7月放送分から『**プリオホールディングス提供』になりました。引き続きお楽しみください。
（*Tokyo Star Radio：https://775fm.com/ **プリオホールディングス：https://prior.co.jp/）
2024年12月のゲストは高知県香南市「井上ワイナリー」代表取締役の井上孝志さんです。
今週は高知で醸した甲州のオレンジワインで乾杯！なんでも「井上ワイナリー」にはここでしか栽培していないオリジナル品種があるとか。その名前には高知ならではの由来がありました。
（全4回 2回目）

辰巳：12月の2回目。ゲストは高知県「井上ワイナリー」代表、井上孝志さんです。そして、プリオホールディングス総料理長、井村貢シェフです。

全員：よろしくお願いします！！！

辰巳：今日もエネコ東京からお送りします。まずは乾杯しましょう！今日はオレンジワインかな？

全員：カンパ〜イ🎶

【tosa cavatina 醸し甲州】
https://www.tosawine.com/products/detail/206/

辰巳：なるほどなるほど。綺麗に透き通ったオレンジワインです。これ濾過はしてます？

井上：はい。

辰巳：最近は（濾過してない）自然派のオレンジが多くて、、、。これは透明感の高いオレンジ。

井村：透明感とおっしゃいましたけど、喉越しも香りの広がりもすごいクリア。でも口に含むとすごく旨みが感じられるようなワインだと思います。

辰巳：旨みすごいですよね。このワイン甲州ですけど、ブドウは高知で作ってるんですか？

井上：残念ながら（？）この甲州は山梨からいただいたものです。

辰巳：高知でも作ろうと？

井上：甲州の畑は最近1枚用意しました。

辰巳：やっぱり日本を代表するブドウですからね。ネーミングから来る「山梨しか作っちゃダメだっ」ってイメージはほんとに良くない笑笑。「この名前は変えるべき！」と前々からよく言ってるんですけど。そう思いません？

井上：私も遠慮しながら高知で作ってます笑。

辰巳：遠慮しなくてもいいように名前変えませんか？っていうお話です笑。ま、それはさておいて。2021年からワイナリーを創業して今4回目の醸造だと思いますが、毎年何本ぐらい造ってるんですか？

井上：去年がだいたい25000本、今年は35000本ぐらいです。

辰巳：でもあの醸造所だともう少し、5〜6万本、もっといけるんじゃないですか？

井上：そうですね、10万は無理ですけど。

辰巳：三宝山という山の中腹に立派なワイナリーが。上の方には動物園ありましたよね？

井上：はい、すぐ近くに。朝動物の鳴き声聞こえます笑。

辰巳：動物の鳴き声聞こえるワイナリーってなかなかない。もうすぐ動物ラベルのワインが出るかもしれません笑。

井上：そして目の前に太平洋が見えます。

辰巳：高知といえばの”坂本龍馬”のイメージが強いんですけど、ここはただ目の前が太平洋。まっすぐ行けばアメリカ爆。高知の人ってどうしてもおおらかなイメージがありますけど、井上さんは普段どんなふうに見られるのか、酔っ払ったらどんなふうに壊れるのかはよく知らないんですけど、わりとシュッとしてるんですよ。本当のところはどうなんですか？

井上：わ、わりとこんな感じでやってるんじゃないですかね。

辰巳：日本酒なら１升いけるとか？

井上：よく言われますけどねぇ。１升は・・・。

辰巳：ワインなら？

井上：1本、ぐらいじゃないですかね。

辰巳：1本ってことはないでしょ、高知の人がワイン1本って・・・。

井上：それはちょっと偏見じゃないですか？笑。

辰巳：僕の高知の知り合いの中では女性の方が強いですね。男性はそうでもない人もいるんですが女性は軒並み・・・笑。

井上：女性同士で普通に飲みに行ってますから。

辰巳：高知は「（経済的に）女性が家を支える」という風潮が長年ありますからね。

井上：ハズレてはいないと思います笑笑。

辰巳：井上石灰として明治17年に創業して、井上さんは４代目５代目？

井上：６代目。社長になって来年（2025年）で20年になります。

辰巳：そうでしたか。ワイナリーよりも石灰の方にいる時間のほうが長いんですか？

井上：そうですねぇ。地元のお付き合いも含めて「石灰工業」としてのほうが多いです。

辰巳：四国って昔は海の底だったんですよね？それが持ち上がって、だから石灰岩がたくさんあって。ワイナリーのすぐ裏には日本三大鍾乳洞と言われる龍河洞があったりカルスト大地があったり。要は『石灰岩の地域』なんですね。

井上：秩父三宝山亜帯という埼玉県の秩父から同じ層が高知まで続いてるんです。（←会場内ビックリでした）
だからその辺りはいい石灰が採れるので石灰の会社が多いんです。岐阜、滋賀、高知を通って九州は津久見。その辺りはセメント会社さんがあったりして。

辰巳：面白い話ですねぇ。さ、お料理が出てきました。綺麗な赤い果実が散りばめられてずっと気になってたんですけど、これはなんでしょ？

【中西ファームの紫水菜とマグロのサラダ仕立て】

井村：いろいろ赤いものが乗ってるんですけど、主役は一応紫水菜。下には水菜をマリネしたもの、上には備長マグロをマヨネーズで和えたもの。赤いのはザクロとビーツのソースです。

辰巳：見た感じクリスマス🎄

井村：ちょっと意識してます🎅

辰巳：水菜がビネガーしっかり効いててキリッとしてます。

井村：ワインとお料理の旨味の掛け合わせを楽しんでいただこうと。

井上：さっぱりキリッと味が切れててすごい相性がいいです。

井村：料理食べながら飲むと、味がよりハッキリ出てくるような気がします。

辰巳：この水菜自体にも味があって。

井村：最近出初めたころなんですが（12月初旬）、味に旨みがあるんです。

辰巳：ではこれをいただきながら、リクエスト曲を聴きたいと思います。今日はなんでしょう？

井上：ダイアナ・クラールの「カリフォルニアドリーミン」。昔からあった曲だと思うんですけど、それをダイアナ・クラールがちょっとジャズ調で歌ってるんですよね。

辰巳：どうしてこれを？

井上：これは「ほんとに好きだなぁ」というだけの理由。例えば今頃の時期、ちょっと寒くなったなぁっていう時に聞くとなんかしんみりしていいんです。

Diana Krall「Kalifornia Dreamin’」（2014年）
https://www.youtube.com/watch?v=fk6JtDhA7WI/

辰巳：井上石灰工業の話をし出すとそれだけで時間かかっちゃって💦ICボルドー液作ったり合成ゴムなんかも作られているという現在の本業があるわけですよね。そういう会社がワイナリーを持ってるっということは、営業の面でもかなりプラスになるような気がしますが？

井上：おっしゃる通りでね。特徴的なのは、採用の時、学生さんが会社訪問に来るじゃないですか？そのときにワイナリーやってるってわかると学生さんたちがすごく集まるんですよ。

辰巳：”ワイナリーを持つ”ということはリクルートにも影響があるんですか？

井上：印象が全然違うみたいです。でも「ワインをやりたいんですっ！」って来られると「ぃ、いずれね💦」みたいな笑。「うちは一応化学薬品が本業なので」と説明すると興味を失う人もいるんですけど、逆に興味を増す人もいます。いずれにせよ学生さんたちがよく来てくれるようになりましたね。

『2017年に模様された井上ワイナリーのメーカーズパーティでのショット』（写真提供：辰巳さん）

辰巳：井上さんは学生時代は何を勉強されてたんですか？

井上：法律でした。

辰巳：法律！？化学じゃなくて？東京で？

井上：いや、大阪。関西大学で。

辰巳：ぁ、そうでしたか。僕のイメージですけど、高知の人って関西じゃなしに東京、か、海外目指す人が多いような。

井上：私の場合は親戚が大阪、京都、神戸に多くいたもんですから何かと安心かなと。

辰巳：大学は4年間で卒業して？

井上：そうです。就職は日本ゼオンという合成ゴムの原料メーカー。東京で1年、それから名古屋、大阪と合計5年ぐらいいました。

辰巳：ってことは今はライバル会社ってこと？

井上：いや、ライバルではないです。むしろ取引さんのひとつで、いい関係です。

辰巳：じゃぁ関西にも関係は深いんですね？

井上：そうですね。今だに親戚も多いですし。

辰巳：こちら関西人2人だし（←辰巳さん、井村シェフは大阪人　なんか嬉しそうです）。関西弁は？

井上：高知もどちらかというと関西のほうですから、もちろんなりますね。

辰巳：奥様は？

井上：地元高知です。

辰巳：幼馴染？それとも戻ってきてから？

井上：戻ってきてからです。

辰巳：由緒正しい出の６代目ですから”結婚”って個人のもんじゃないんじゃないですか。

井上：いえいえ、そんなことはないです。普通の恋愛結婚。

辰巳：普通の恋愛って・・・笑。いつぐらいからですか？

井上：（丁稚奉公から？）帰ってきてからですから30過ぎですね。それまでは仕事一辺倒。

辰巳：名古屋で1人、大阪で2人とかなかったんですか？爆。

井上：いやいや笑。

辰巳：まずかったらカットしますから、と言いながらしないんですけど笑笑。で、奥様は高知の人なんですね。高知って独特の雰囲気ありますからね。お酒も奥さんの方が強いんですか？

井上：けっこう飲みますね。亡くなった家内の親父さんもけっこうお酒好きだったんですよ。そういう家庭で育ってるから少々飲みすぎてもそこまで怒られない、まぁこんなもんだろうと。そういう意味では楽ですよ笑。

辰巳：高知の女性は”はちきんはちきん”と言いますけど、そっち系ですか？

井上：う〜ん、はちきんどころか9きんぐらいじゃないですか？

辰巳：シェフ、わかりますか？

井村：いや、知らないです。

井上：諸説あるんですが、男勝りの女性のことです。（「はちきん」諸説含めてこちらをお読みください。https://ja.wikipedia.org/wiki/はちきん/）

辰巳：でね、この井上ワイナリーさんには「はちきん」というブドウ品種を栽培されてるんですよね？

井上：はい、厳密にいうと「エイトゴールド」爆。

辰巳：ちさぽんという僕のテレビ番組（「辰巳琢郎の葡萄酒浪漫」）を手伝ってくれてたソムリエールの走りみたいな人がいるんですけど、彼女が名付けたってホント？

井上：元々の品種の由来の話をしてる時に「それはもうはちきんでしょ」と一発で彼女が言いました。でもそれじゃ面白くないので「エイトゴールド」。

辰巳：今日は「エイトゴールド」ワインはないんですか？

井上：こんなに話振っていただいたのにスイマセン、ないんです。

辰巳：そのエイトゴールドはなんの掛け合わせでしたっけ？

井上：ピノ・ノワールと（山梨の）ヤマブドウです。

辰巳：高知県ってものすごく雨の多いところで、そんなところにワイナリーなんて！と反対されたと思うんですけど？

井上：ありましたありました。「社長の道楽でしょ」「趣味でしょ」とか言われましたね。

辰巳：実際のところはどうなんですか？笑

井上：深い質問ですね笑。もちろんそういう部分もありますけど、やるからにはビジネスですからきちんと収益出さなければいけませんので。そこは腕の見せ所ですね。

辰巳：ブドウは植物ですからね、基本的には雨がないよりは降った方がいいんですよ。だって水がないと育たない、砂漠でブドウはできない。中途半端な勉強だと「ブドウに雨はダメ」ってなるんです。

井上：雨の何がダメかっていうと、結局病気が出やすいってことがいちばんのポイントだと思うんですよね。*志村先生も言ってたのは「（ブドウは）もうお腹いっぱいだから水は（これ以上）吸わない」。（*山梨県の「志村葡萄研究所」志村富男氏）

辰巳：そういうことなんだと思います。今回脱線も多かったですが笑、あと2回ありますのでよろしくお付き合いいただければと思います。

全員：ありがとうございました！！！

井上ワイナリー
https://www.tosawine.com/

井上石灰工業
https://www.inoue-calcium.co.jp/inoue_winery/

収録会場：エネコ東京
https://eneko.tokyo/