2020年7月から始まったラジオ番組『ヴィラ・デ・マリアージュpresents「辰巳琢郎の日本ワインde乾杯!」
2024年5月のゲストは長野県塩尻市の「(株)アルプス」代表取締役社長兼営業本部長、矢ヶ崎学(やがさきまなぶ)さんです。国内でもトップクラスの『日本ワイン』生産量を誇る「アルプス」の5代目の2週目。
引き続きハードロック・ヘビメタをこよなく愛する矢ヶ崎さん、「’デトロイトがロックのシティ’(by KISS)なら’塩尻はワインのシティ’でしょ」と説きますが、、、。自社畑の新作、竜眼で乾杯!(全5回 2回目)
辰巳:5月の第2週目です。お客様は長野県塩尻市「アルプス」の矢ヶ崎社長です。そして、この会場「Villas des Marriages 多摩南大沢」の井村貢シェフです。
全員:よろしくお願いします!!!
辰巳:ではまず乾杯して飲みながらお話を伺いましょう。
全員:カンパ〜イ🎶
【ALPS FARM 塩尻竜眼 2023】
http://www.alpswine.com/products/wine/wine6/556890.html/
辰巳:こちらはスキっとした白ワイン。
矢ヶ崎:今年の3月5日に新たにリリースしました「アルプスファームシリーズ」。アルプスの自社農園オンリーで造ったワインのシリーズで、ブラッククイーン(赤)と竜眼(白)があってスティルヴァンです。
辰巳:透明の瓶に黄緑のラベル。この”RG”って?あっ、”竜眼”?
矢ヶ崎:そうです。
辰巳:なんかレーザーラモン・・・笑笑。連想します。
矢ヶ崎:下見ていただくと、塩尻ワインシティと。これは「塩尻がワインの街だ」ということをもっとアピールしようと。
辰巳:これはゼッッッタイ必要。
矢ヶ崎:そうなんですよ。僕ハードロックが好きで、特にKISSが好きで、彼らの曲に「デトロイトロックシティ」ってのがあって。要するに「デトロイトはロックのシティ」、「塩尻はワインのシティ」、だろ?ってことで笑。
辰巳:ぁ、KISSから来てるんすか?KISSはデトロイト出身?
矢ヶ崎:ニューヨーク。ただ、デトロイトでブレイクしたので、そのために「デトロイトロックシティ」という曲を作って4枚目のアルバムに入れてるんです。じゃぁ塩尻は”ワインシティ”だと。
辰巳:僕ね、百瀬塩尻市長にも言ってるんですけど、「ワインシティもいいけど”ワインキャピタル”にしませんか?」。だってワイン集積地の都市って世界各地にあるじゃないですか?山梨には勝沼がありますから、そうなれば2大都市みたいな感じでしやすいかも。
矢ヶ崎:勝沼さんにもとりあえず”ワインシティ”を名乗っていただければ笑。
辰巳:歴史的にも規模的にも2大産地。この先余市が割って入るかもしれない勢いはありますけどね。かつては赤湯とかもね。
シェフ、塩尻って日本ワイン飲んでなかった頃は知らなかったでしょ?
井村:勝沼は知ってましたけど、塩尻は・・・💦
矢ヶ崎:塩尻ってそういうのが結構下手で、ワイン以外にもギターの生産って松本・塩尻って日本一なんですよ。ロックの話ばっかりで恐縮なんですけど笑、僕なんかは「ギターとワインの街」って言ったらかっこいいから塩尻で作ってるギターを駅に飾ったりすればいいんじゃない?って言ってるんですけどちっとも進まない。
「塩尻ワイン&ロック・シティ」でもいいじゃないですか笑。
矢ヶ崎:当社のワイン飲まれる方って統計的に高い年齢に偏ってる部分があるし、なかなかアルコールを召し上がらなくなっているので、ミュゼ・デュ・ヴァンのシリーズはそれとして、ミレニアムの方達が視覚的に手に取りやすいデザインで、このシリーズはそういう形でいこうっという意味合いもあるんですよね。
辰巳:これはおいくら?
矢ヶ崎:1980円です。
辰巳:今まで竜眼って出してませんでしたっけ?
矢ヶ崎:出してます。「ミュゼ・デュ・ヴァン」で。これよりも同価格、もしくはもう少し安い。それとこの竜眼との違いは、「自社農園」といういうことと「樽は使っていない」。あとは「酵母を変えた」。若い人たちは(樽の)オークフレーバーを嫌う方がいらっしゃいますんで、
辰巳:オレ若いのかな?もうオークフレーバーいらない笑笑。
矢ヶ崎:若いんだと思います笑。そういう意味合いもあってミュゼ・デュ・ヴァンとは少し意味合いを変えています。
井村:とにかく香りがいい。余韻がいろんなフルーツの香りがします。
辰巳:シュール・リーは?
矢ヶ崎:してないす。竜眼ってさっぱりしてて香りもそんなになくてフラット。
辰巳:甲州に近い、見た目も。だからDNA的にも近いんじゃないかと言われてますけど?
矢ヶ崎:うちの「ミュゼ・デュ・ヴァン」の竜眼召し上がっていただいてたワインラヴァーが、この竜眼を召し上がった時には「ぁ、違う」は簡単にお気づきになれると思いますよ。「ミュゼ・デュ・ヴァン」は樽入れてましたけど、古樽だし強くはないんですが、これとは少し違うと思います。
辰巳:こちらに合わせましたお料理、今日はなんでしょうか?
井村:今日は八王子ののらぼう菜のタルトです。上に載せてるのはグリーンピースのムース。
【八王子産のらぼう菜のタルト グリンピースのクリーム】
矢ヶ崎:のらぼう菜、初めて聞きました。
井村:アブラナ科、かき菜の仲間です。
矢ヶ崎:先週のソーヴィニョン・ブランもそうでしたけど。この竜眼も「野菜」の発想がなかったんですけど、合いますね♡
辰巳:若い人にも「野菜とワイン」って大事だと思ってまして。井村シェフは特に野菜のスペシャリストなんです。
矢ヶ崎:野菜とワイン♡
辰巳:竜眼ってこれから長野を代表する白ワイン、
矢ヶ崎:、にしたいと思ってます。竜眼のいいところは、甲州、シャルドネよりも反収が多い。1.5〜2tぐらい獲れるので、お手頃な価格で提供もできますし、樽を使わなければその分のコスト削減もできますので。できれば2000円以下のワインを・・・。そうしないとなかなか日本のワインの消費量って増えないと思います。
辰巳:それを大きなメーカーがやっていかなくちゃいけないんでしょうけど。大変なことなんでしょうけどそれは必要なこと。
矢ヶ崎:ですね。今アルプスファームもそろそろ50haになるんですけど、
辰巳:!!!そんなになりますか!?ずっと奈良井川沿いにあった?
矢ヶ崎:今は片丘の方にも岩垂の方にも・・・点々と場所を選んでやってます。当初はメルローやカベルネやシャルドネ(ヨーロッパ品種ですね)をやるために始めたアルプスファームですけど、最近は竜眼やブラック・クイーン、これまで契約農家の方々に作っていただいていたコンコードなんかも自社で作っていかないといけないような状況になってきてますんで、これから畑の面積を増やしていく上では、竜眼、ブラック・クーイン、コンコードがメインになっていくと思います。
辰巳:頼もしいなぁと本当思います。日本の(ワイン用)ブドウが減って取り合いみたいになってるんでね。
矢ヶ崎:これまで栽培者の方に頼りすぎてたというか、やっぱり社会情勢が変わって確保も難しくなったので。
辰巳:それで「アルプスファーム」。サントリーさんも「フロムファーム」を。やっぱり『ワインは農業』だということをどのメーカーも意識し始めてるんじゃないかと思います。大きな一歩だと思います。
辰巳:ちょっとここでリクエスト曲を聴きたいと思いますが。
矢ヶ崎:先ほどの話ですが「塩尻がワインシティ」、「デトロイトがロックシティ」笑。当然ながら、KISSの「デトロイトロックシティ」をお願いします笑。
辰巳:チョー有名曲とのことですが、では聴けばわかりますね(←はて、どうでしょう?)
KISS「Detroit Rock City」(1976年)
https://www.youtube.com/watch?v=WxNvdQCbLco/
辰巳:はい、懐かしいKISSの「デトロイトロックシティ」でした。『塩尻はワインシティ』。今日はこれを覚えていただければ笑。
辰巳:塩尻のワインの歴史っ明治の終わりぐらいから始まったんでしたっけ?
矢ヶ崎:そうです。明治政府が、桔梗ヶ原は水もないし痩せてたんで、ブドウを20種類ぐらい植えさせたんですよ。それで残ったのがコンコード、ナイヤガラ。
辰巳:それって明治の終わりぐらい?*五一さんはその頃?
矢ヶ崎:五一さんは大正、だと思います。
辰巳:僕も記憶が定かじゃないんですけど、
矢ヶ崎:僕も他社のことは・・・笑。(*五一わいんは1911(明治44)年創業でした)
辰巳:でも桔梗ヶ原ってのは、京都から牛を連れてきたけど、あまりにも荒れ果てててこれ以上歩けない。それで引き返したから桔梗(帰京)ヶ原だという説も。だってほんとに荒れた酸性土壌でしょ?アルプスとか木曽とか、酷い火山灰土壌だったとか。
そこに水を掘ったとか肥を運んで土を豊かにしたとか芝居(ワインガールズ:https://winegirls-stage.com/)ではやってたんですけど、実際はどうだったんですか?
矢ヶ崎:そのストーリー通りの背景はあったとは思います。
辰巳:で、その後戦争になって、軍事物資として、
矢ヶ崎:そうですそうです、酒石酸。
辰巳:ロシェル塩作りのために奨励されて、そこに補助金も?
矢ヶ崎:はい、潤ったみたいです。
辰巳:潤ったけど男たちは戦争に捕られ残った女子子供たちが頑張って引き受けた?
矢ヶ崎:戦後はやっぱり厳しかったみたいですよ。
辰巳:軍事物資としての使い道がなくなった。
矢ヶ崎:その時代ワインっていうと赤玉さん(←サントリーの赤玉ポートワインですね)。
辰巳:(多くのワイナリーは)その時の酒精強化ワインの原料として、あとはハチブドー酒の原料としてコンコードとかを供給してたみたいなんですが?
矢ヶ崎:そうですね。もちろん造りはしてましたけど、ワインの需要は(ほとんど)無くなったので。昭和20年以降は、アメリカから来たコンコードっていうブドウでジュース用に。固有名詞出していいかわからないんですけど、ウェルチは(🤫)、ブドウジュースの原料といえば’コンコード’。そういうことで、父がブドウジュースの作り方を学んで、コンコード、ナイヤガラを使ったブドウジュースを作って、それを大手の飲料メーカー様や製菓メーカー様に納めるってのが昭和30年代はメインだったと思います。自社ブランドのジュースは細々と。
辰巳:ワインも細々?
矢ヶ崎:はい。
辰巳:塩尻っていいうと勝沼とおんなじで一升瓶ワインとかありますけど、今も?
矢ヶ崎:はい。あとは長野は観光地なので、観光地用のラベルを作って”お土産用としてのワイン”はけっこう需要ありましたけど、その当初はサッパリ。
辰巳:どのあたりから需要が?
矢ヶ崎:私が入社したのが平成2年。それまでは北海道大学の理学部にいました。うちの父も北大の農芸化学にいましたので。彼はクラーク先生に憧れて『大志を抱いて』、の門を潜ったんですけど、ワタシはまったく’大志’なんてものはなく、親孝行?爆。ほんとはもう少し共通一次の成績が良ければ、辰巳さんみたいに京大行きたかった。ま、共通一次のスコアもそれぐらいだったし。ぁ、僕高校までサッカーやってたんですよね。
辰巳:松本深志高校といったらサッカーの名門じゃないですか?
矢ヶ崎:当時「頭」っていったらヘディングぐらいしか使ってなかったんで浪人しまして爆。今はもうない東京の大塚、武蔵予備校というところに入りー、その夏、北大のキャンパスってのを見に行ったんですよ。
辰巳:あのキャンパス見たら行きたくなりますよね〜♪
矢ヶ崎:そうなんです♡
辰巳:僕も高校2年生の時に北大のキャンパス行っていっぱい写真撮って「(京大には決めてたけど)北大にかなり揺れた」笑。
矢ヶ崎:そう、それだけ魅力的なキャンパスで”いいな〜”って思っちゃったんですよね。
辰巳:今でもいい大学ですいよ。
矢ヶ崎:東京オリンピックでもキャンパスの中走りましたしね。ま、それは置いといて。北大に入って、教養課程終わると学部けっこう選べるんですよ。理一、理二、理三って別れてて薬学部にも行ければ農学部も理学部も工学部も行けるシステムだったんですけど、父が農学部だったもんで、農学部に行くと、父の同級生が教授でいる。それだけは避けたい爆。で、理学部化学科に。
辰巳:そういえばその北海道時代の話は一回も聞いたことなかった。次回はその話をぜひ!今日はここまでにいたします。本日のお客様は長野県「アルプス」代表取締役、矢ヶ崎学さんでした。
全員:ありがとうございました!!!
【お知らせ】
2020年7月から4年間、会場を提供していただいた「Villas des Marriages 多摩南大沢」が6月末、惜しまれつつ閉店されました。なお、番組は「プリオホールディングス(https://prior.co.jp/)」系列の店舗に会場を移して継続されています。
引き続きお楽しみください。
株式会社アルプス
http://www.alpswine.com/
News Data
- ヴィラ・デ・マリアージュpresents 「辰巳琢郎の日本ワインde乾杯!」
2024年5月9日放送回
- ワイナリー
株式会社アルプス
http://www.alpswine.com/- 収録会場
ヴィラ・デ・マリアージュ多摩
https://villasdesmariages.com/tama/