2020年7月から始まったラジオ番組『ヴィラ・デ・マリアージュpresents「辰巳琢郎の日本ワインde乾杯!」
2024年3月のゲストは長野県の「たかやしろファーム」代表、武田晃(たけだ こう)さんです。
ヴィニフェラしか栽培していないというたかやしろファーム。今週はピノ・グリから造られたオレンジワインで乾杯!
「ワインは旅をしない(by武田さん)」。その真意とは?(全4回 3回目)
辰巳:3月3週目です。ゲストは長野県のたかやしろファーム&ワイナリーの武田晃社長です。そしてこの会場「Villas des Marriages 多摩南大沢」の井村貢シェフです!
全員:よろしくお願いします!!!
辰巳:さ、まずはワインで乾杯してから始めたいと思います。今日は赤ワイン?ロゼワイン?どっちでしょ?
武田:オレンジワイン笑笑。
辰巳:ピノ・グリオレンジ・・・。オレンジっていってもなんかロゼに近いような、うす~い赤ワインのような。では乾杯しましょう。
全員:カンパ〜イ🎶
【2022 ピノ・グリ オレンジ プライベート・リザーブ】
https://www.takayashirofarm.jp/p/item-detail/detail/i89.html/
辰巳:思ったより渋い。
井村:思ったよりふくよかな味。ふわぁっと、でもキリッと、喉越しがいい。
辰巳:これはピノ・グリを、いわゆるマセラシオン?
武田:そうですね。本来オレンジワインの場合は(醸しの?)時間が決まってるんです。私はよくわからないんですが他の国では決まってるみたいなんですね笑。これは私は把握してないんですけど、そんなには漬け込んでないんじゃないですかね。(←諸所検索しましたが時間等のルールについては編集者にもわかりませんでした🙇)
辰巳:これはピノ・グリですから本来はオレンジワインとは言えないんですよね。
武田:そうなんです。でも、日本ワイナリー協会の表示検討委員会では、多分今度決まると思うんですけど「(黒葡萄以外で)醸し発酵したものは、すべてオレンジ」。ただ、グリと言ってもお客さんにはわからない。
今は甲州のオレンジもあるしデラもある。本来は”グリ”なのに。そうなると(日本では)消費者の混乱を招くだろうってことで「(白ブドウのほか、甲州やデラウェア、ピノ・グリなどのグリも含めて)オレンジでいきましょう」。を今検討中です。
辰巳:国際ルールに反して独自のルールを出していこうと?
武田:そうなんです。とにかく日本の場合は「消費者を最優先しようじゃないか」ってことで。
辰巳:だから。日本語にしましょうよ、英語とかフランス語ではなく笑。(オレンジワインを)ミカン色ワインとか皮仕込みワインとかね爆。なんでもかんでも向こうの文化を横文字にするのは最近抵抗あり、ですよ。
井村:ですよね。ワインのラベルでも日本語で書いてあったりすると馴染みが深い。
辰巳:さ、今日のお料理はなんでしょうか?
井村:八王子産の小ぶりのブロッコリーを使った丸ごとローストです。ソースは香草風味。
【ブロッコリーのまるごとロースト】
辰巳:ガバッといきます。いい香り。香草と塩分もしっかりとありますね。
井村:バジル、パセリとか5種類ぐらいのハーブをペーストにしたものをソースの中に入れてます。
辰巳:ワインを飲むとこの香草がすごく馴染む。
井村:ふゎっと広がって、
武田:ぁ、ほんとだ。いいですね。
辰巳:このピノ・グリの白もあるんでしょ?
武田:いや、ないです。ぜんぶこの造り。(白も)やってみたんですけど、ひじょ〜にたんぱくというか、う〜ん、、、余韻が足らなかったんです。醸すほうが若干渋みも出ますし。
辰巳:このワインはいつから?
武田:栽培してから5年目ぐらいですかね。今は試験品種として作ってるんですけど。
辰巳:今何品種栽培されてるんですか?
武田:多分20種類ぐらい。
辰巳:日本の品種は?
武田:作ってないです。
辰巳:交配品種も?
武田:はい。山葡萄系は栽培しているところから買わしてもらって、っていうか勝手に持ってくるから買ってる笑。自社はヴィニフェラだけ。
辰巳:それは方針として?
武田:中野市はブドウ農家さんが多くて、みなさん品種に対してうるさいんです。だから甲州のワインとか持ってってもあまり飲んでくれない。
辰巳:でもナイヤガラは造ってたでしょ?
武田:これも頑張っても500〜600本しか売れなかった。地域の人はほぼヴィニフェラしか飲まないんです。
辰巳:ほぉぉぉ。一番人気は?
武田:やっぱシャルドネです。シャルドネ、メルローは人気ありますね。
辰巳:有名だから?それともこの地に合っててワインとしても美味しいから?
武田:この地には合うと思いますね。それと地域の人が西洋品種のネーミングをよく知ってるというか、。まぁ中野市はほとんどがブドウ農家ですから。
辰巳:たかやしろさんがブドウを買う人たちは?
武田:近所の人が多いです。今生産してるのはシードルも合わせて5万本弱。シードルはほぼ県内での販売です。
辰巳:確かにシードルは他所では見ない。意識して出してないとか?
武田:いや、何も宣伝してないし問屋さんも長野県内だけですんで。ほとんど都心では無名っていう。
辰巳:いやぁ、この値付けも優しいし、特殊なワイナリーですよね笑。
武田:よく『安い!』って言われるんですけど僕にとっては高い笑笑。
辰巳:「地元の人に買ってもらおう」ってのがあるんですよね?
武田:そうですそうです。
辰巳:最近の新しいワイナリーはそうもいかなくてかなり高いですよね。
武田:そうですね、だいたい倍ぐらい。
辰巳:でもそれぐらいにしないとやっていけない。そこらへんが難しいところだと思うんですけど?長野県のワイン協会の理事長としても、そのあたりはどういうふうに考えられてますか?
武田:やはり”ワインは地域にある”ということですね。テロワールは大切にしなきゃいけないし、「ワインは旅をしない」のが原則だと思ってるんです。これは玉村豊男さんも「そうだよね、旅はしない。本来は来てもらってこの風土の中でワインを飲んでもらったりご飯を食べたりするのが一番だよね」、ということで今我々長野県がやってるところです。
辰巳:ワインに限らず、「食」って絶対そうなんですよ。最近はようやく出てきましたけど”わざわざ田舎に(交通の弁の悪いところに)食べに行く”。このレストランも八王子の、まぁ、東京都心からは不便なところにあるんですけど、いろんな生産者も(わざわざ)いらっしゃって。本来はそうあるべき姿なんですよね。
武田:「地域に愛される」。それが基本だと思ってます。
辰巳:で、(長野の)農家に婿入りされて。24〜25歳のころ?
武田:27歳ですかね。大学入るのも遅れてましたし、卒業も遅れてましてー。遊びすぎて笑笑。
辰巳:あれ、入るのも遅れてたんですか?
武田:2年ぐらい(←2浪ですね)笑。親父お袋が「なんとかしてくれ」ってんで「しょうがない、行くか」って感じですね笑笑。
辰巳:いい大学目指して浪人したわけじゃ?
武田:ぜんぜん笑。東京に出て予備校にもちょっと行きましたけどすぐに遊び呆けましたんで笑笑。
辰巳:東京に出て浪人生活したらダメダメですよね笑笑。
武田:兄が東京で学生生活送ってましたんで、その影響で「やっぱ東京はいいなぁぁぁ」っと。
辰巳:浪人2年、卒業は?
武田:留年1年で笑。
辰巳:合計7年ですね笑。おんなじようなもんですね、僕も大学で3留したんで笑。
武田:だから僕は24歳で卒業してサントリーフーズに2年間勤めて婿に入りましたんで。それからキリンビールの卸に勤めて14〜15年。
辰巳:サントリーフーズからキリンビールの卸って、これもなかなか(日本の)酒の世界の王道。
武田:先日も日本ワイナリー協会で、サントリー(ワイン)の吉雄(敬子)社長と話していて「めずらしい経歴ですね」って言われました笑。
辰巳:今や長野県のワイナリー協会の理事長。
武田:嫌で嫌でしょうがないんですけどねぇ。
辰巳:でもなんでそんなことになったんすかねぇ?わりと頼られるタイプ?
武田:いやいやいや。私の前任は五一ワインの菊池(敬)さんで、副会長が信濃ワインの塩原(悟文)さんだったんです。塩原さんはそのときまだ現役で醸造されてましたんで「(協会の仕事は)できませんよ」。そしたらあろうことか菊池さんが「副会長の中から理事長を出さなきゃダメ」だと。
辰巳:ん?武田さんは副会長をされてた?
武田:してました、4年間。それで菊池さんから頭下げられて。いけないことにこれが3人とも(菊池さん、塩原さん、武田さん)東京農大のOBなんですよ笑笑。「やだっ!」とは言えない・・・。
辰巳:ワインの世界にも学閥ってあるんですね。
武田:いやいや、ないですないです汗。
辰巳:この番組のゲストには農大出身たくさんいらっしゃいました。
井村:そうですよね、だいたい農大笑。(←シェフざっくりすぎます、でも半分ぐらいはそうだった、かも)
武田:そんなこんなで受ける羽目になっちゃいました笑。
辰巳:でもそれなりに、、、しっくりきてます笑。
辰巳:ではここでリクエスト曲を。今日はなんでしょうか?
武田:ヒグチアイさんの「大航海」で。
辰巳:な、な、なんですかそれ?キャンディーズ、ボブ・ディランときて、
武田:ヒグチアイさん。実は彼女は、私のワイナリーを継ぐ息子の、
辰巳:彼女?
武田:吉田高校(長野県長野吉田高等学校)んときの軽音楽班のときの同級生だったもので。
辰巳:今おいくつ?
武田:34じゃないですかね。
辰巳:アニメか何か?
武田:「進撃の巨人」のエンディングテーマです。(←注:調べたところ「進撃の巨人」のエンディングテーマは「大航海」ではなく「悪魔の子」でした。)
辰巳:(そのアニメは)観たり聴いたりしたんですか?笑。僕も聴いたらわかりますか?
武田:わかります。(←どうでしょう?)
辰巳:シェフがやけに詳しそう。
井村:はい、ヒグチアイさん知ってます。
辰巳:なんか差をつけられてる・・・。さぁどんな曲でしょうか?
ヒグチアイ「大航海」(2024年)
https://www.youtube.com/watch?v=iaIfUpMcO5o/
辰巳:たかやしろファーム、武田さんの、
武田:いや、息子のリクエストです。プロモーションしてこい!って言われて笑。
辰巳:(ヒグチさんは)息子さんの元カノとか?笑。
武田:ぜんぜん関係ないです。ただ高校の軽音楽で一緒だっただけ。
辰巳:息子さんは?
武田:おととし結婚しまして。(孫は)今お腹の中〜。
辰巳:それはおめでたい!ご兄弟は?
武田:その長男の下に娘の2人。
辰巳:じゃ、その長男が継ぐ?
武田:はい、でもどちらかというと運営の方で。醸造の方は、サンクゼールにいた池田(健二郎)さんが。
栽培は出資者の3軒と、もう1軒のご夫婦が醸造を今勉強しています。
辰巳:お名前は?
武田:武田です。
辰巳:そうだそうだ、武田さんと武田さん。ほか2軒は?
武田:武田です。
外野:ビックリ!!!
辰巳:元々のルーツはいっしょなんですかね?
武田:元々は山梨から。
辰巳:武田信玄の武田?
武田:はい。うちの近くはほぼ武田ですね。
辰巳:その時代は信州も領土でしたからね。
武田:でも甲府市内には武田っていう苗字はほとんどないんです。合戦のとき、渋湯田中温泉、の渋温泉のほうに逃げて行ったらしいんですよ。千曲川を渡れば新潟の上杉側になりますんで。
辰巳:武田さんの元々の苗字は?(←武田さんは長野の奥様のご実家に婿入りされました)
武田:「ながい(永井)」、”永久”の永のほうです。でもその昔は”長い”のほうの長井でした。途中で長岡藩の牧野さんていう殿様から苗字を変えていただいた。
辰巳:そういう番組NHKにもありますが(←ファミリーヒストリー?)面白いですよねぇ。ワインってその土地の歴史も詰まってるから楽しいんでしょうね。ワインやってよかったですか?
武田:んまぁ最初は苦労しましたね、特に売ることに関しては。
辰巳:じゃぁ来週はその苦労話とかしましょうか。この番組無駄話多くてなかなか大事な話できてない汗笑。ではまた来週!
全員:ありがとうございました!!!
【大切なお知らせ】
下記「お断り」の通り、番組内でご紹介した「ゲストのワイナリーのワインと、井村貢シェフが考案したお料理をペアリングさせたメニュー」をこの収録会場「Vellas des Marriages 多摩南大沢」にて提供していただいていましたが、残念ながら2024年6月末日にて同店が閉店されることになりました。当番組のコンセプトは閉店まで変わっておりませんが、今後の営業日、時間、メニュー等は直接お店にお問い合わせください。
なお、当番組は会場を変更して継続する予定ですので引き続きよろしくお願いします!
お断り:番組の収録日、OA日、この原稿の掲載には時差があります。また、この番組はお招きしたゲストのワイナリーのワインと、収録会場の「Villas des Marriages 多摩南大沢」の井村貢シェフが作るお料理のマリアージュをみなさまにもお越しいただき楽しんでいただくのがコンセプトの一つですが、現時点でお店でお楽しみ頂けるワインとお料理のマリアージュの詳細については直接お店にお問い合わせください。)
Takayashiro Farm&WINERY
https://www.takayashirofarm.com/
News Data
- ヴィラ・デ・マリアージュpresents 「辰巳琢郎の日本ワインde乾杯!」
2024年3月21日放送回
- ワイナリー
Takayashiro Farm&WINERY
https://www.takayashirofarm.com/- 収録会場
ヴィラ・デ・マリアージュ多摩
https://villasdesmariages.com/tama/