2020年7月から始まったラジオ番組『ヴィラ・デ・マリアージュpresents「辰巳琢郎の日本ワインde乾杯!」
2024年3月のゲストは長野県の「たかやしろファーム」代表、武田晃(たけだ こう)さんです。
武田さんの最終週。「いかに東京に出て遊ぶか?」という学生時代の目論見から半世紀。今や「長野県ワイン協会」の理事長も務めています。
武田さん、これから長野のワインはどうなりますか?(全4回 4回目)
辰巳:3月ももう終わり。今月のお客様は長野県「たかやしろファーム」の武田晃社長です。そしてこの会場「Villas des Marriages 多摩南大沢」の井村貢シェフです。
全員:よろしくお願いします!!!
辰巳:まずは乾杯しましょう、今日は赤ワインです!
全員:カンパ〜イ🎶
【2012カベルネソーヴィニョン プライベート・リザーブ】
https://www.takayashirofarm.jp/p/item-detail/detail/i15.html/
井村:すごい香りが豊かで余韻が残るワイン。好きです♡
辰巳:これもグビグビいけますかね?笑笑(←シェフ、美味しいワインにはつい”グビグビ”発言が出ます)
井村:これはクイクイ笑笑。
武田:ありがとうございます!これは、カベルネ・ソーヴィニヨンの2012年ですね。
辰巳:熟成感が出てきて、柔らかさも感じられる。これは現行(ヴィンテージ)ですか?
武田:はい、今売ってます。
辰巳:それはいいですね。そんなに余裕のあるワイナリーだった?笑。
武田;カベルネに関してはあります笑笑。
辰巳:カベルネってタンニンもゴツゴツしますしね。
武田:ある程度寝かせないと無理。
辰巳:どうですか、カベルネ?合うんですか?
武田:長野県では標高400m地帯では合うと思います。昨年の日本ワインコンクールで、マンズワインさんの「千曲川カベルネ・ソーヴィニョン」が金賞を受賞しましたし、その場にいらしたマスター・オブ・ワインのサラ・ジェーン・エヴァンスさんもメッチャクチャ褒めてました。
辰巳:このワインも褒められました?
武田:これは出品してないですからー笑笑。
辰巳:それとこれとだったらどっちがいいと思います?
武田:やっぱりマンズさんの方がいいでしょ爆。
辰巳:でもこれもいいですよ。
武田:樽には1年ぐらい、瓶で10年。その前からもいくらかはリリースはしてたんですけど、本格的には今回初めて。
辰巳:これはちなみにおいくら?
武田:一応5000円です。当初より若干上げました笑笑。
辰巳:海外のワインも上がってきてますし。円安、資材費の高騰、、、。いろいろキツイんじゃないですか?
武田:キツイですねぇ。今長野県に(ワイナリー)80社ありますけど、
辰巳:!もうすぐ山梨を抜きそうな、
武田:そうなんです、今年も5社ぐらい予定されてますし、あと3年もすると越えそうな。でもまぁ山梨は100弱ぐらいありますんでね。
辰巳:(山梨は)そんなにないでしょ?
武田:あるんです、造ってないだけで。(←免許あるけど醸造はしていない)
辰巳:その、長野県のワイン協会の理事長も務める武田さんとしては「長野県の(ワインの)将来」は?
武田:展望としてまずは「長野に来て(長野のワインを)飲んでいただきたい!」。長野の風土の中で長野の食材と一緒に食べたり飲んだりね。県外からの新規参入の方が非常に多いんですね。そうすると考え方が、「それなら東京で、大阪で売ればいいだろ?あるいは輸出でも」と。『地域と共に生きよう』という意識の方が今ちょっと少なすぎる。
辰巳:地域性を持たないと?でも武田さんも元々は新潟県から来たわけで、最初はそんな意識なかったんじゃないですか?
武田:長野に来て会社勤め(キリンビールの卸)した頃はなかったですけど、ワインを造り始めてからは地域の公民館やそういうところに持って行って飲んでもらいました。でも最初の10年間はワインブームも去った後だったんで苦労しましたよ。資金繰りは大変でした。
辰巳;日本ワインをこれから応援しようという動き、旧「日本ワインを愛する会」ができた頃ですね。「どうなるんだろ?」って頃だと思うんですけど?’ワイナリーを作る’こと自体は決まってたんですか?
武田:はい、それは2000年ごろ、大手ワイナリーさんから「(ヴィニフェラの)原料供給をしていただきたい」と言われ。でも”ポリフェノールブーム”が終わっちゃってメーカーさんも在庫過多になってましたんで、(日本ワイン用の)栽培の方まで原料を買い取ることができないことになり「断念してくれ」。
私はその頃からカベルネ・ソーヴィニョンを作ってましたんで、「じゃぁ仲間内集めてやってもいいよ」と。その後長野県の中野市の市長さんが入ってくれまして「だったら長野は日本を代表する(ワインの)ブドウの産地でもあるし、中野市にワイナリーあってもいいんじゃ?」っというオススメもあり『なんとなく』始まっちゃった笑。はっきり言って卸やってる人間にとってはワイン売ることは難しいのわかってるから基本的には(自らは)絶対手ぇ出さないです笑。(←市長さんに丸め込まれちゃった?💦)
辰巳:その大手メーカーさんってのはサントリーやメルシャン?
武田:いや、マンズワインの小諸さん。竜眼から始まって非常に多くの契約栽培やってましたんで。
辰巳:なるほどー。それじゃ、サントリー、キリン、マンズさん、全部回ってるんですね笑。
武田:だから栽培の関係はマンズさんに全部教わりました。志村(富男)先生とか中山(正男)先生とか。
辰巳:最終回にしてそんな話聞けてよかった♪
さ、今日のお料理は?
【牛ささみ肉のソテー 生ハムとくるみのコンディマン】
井村:牛肉、ですね。上に生ハムとくるみと胡麻を使ったそぼろみたいなコンディマンを乗せてあります、。生ハムの塩味を生かして、ちょっと香ばしいくるみとはすごい合うんじゃないかなぁ。
辰巳:いぁ、ほんとに美味しい♡
武田:ほんとに合います。
辰巳:この12年間寝かせたワイン。まだタンニン感や骨太ではないですけど芯がきちっとありますね。逆にキリッと入ってくる。食事をカバーしすぎない感じでいいと思います。これは樹齢はそれなりにいってるんですか?
武田:植えたのが長野オリンピックの年ですから、もう25年になりますか。
辰巳:カベルネっていう品種はどうですか?
武田:長野の標高400mのところではメルローより面白いと思います。
辰巳:ピノ・ノワールも作ってるんでしょ?ほかの品種は?
武田:新しいところではプティ・ヴェールド、アルバリーニョ、タナ、、、。
辰巳:シラーなかったでしたっけ?
武田:前の場所はちょっと土壌に合わなかったから改植しました。で、また植えたんです。シラーに合う場所がわかったんで。シラーは基本的に樹勢が強いんで日本では合わない。みなさん非常に苦労なさって改植してる方多いです。
辰巳:そうなんですか。今後は何に期待されてます?
武田:やっぱり赤だったらカベルネ・ソーヴィニョンになるかと。
辰巳:白だったら?
武田:うーん、シャルドネとソーヴィニョン・ブランを超えるものはないんじゃないですかね、今のところ。
辰巳:(2週目に登場した)シェンブルガーも美味しかったですけど。
武田:品種毎に特質がありますからね。
辰巳:では、食べながらですが、今週のリクエスト曲を。今日は何にしましょう?
武田:グリムスパンキーの「ラストシーン」で。
辰巳:・・・これ、どういう曲ですか?
武田:笑、グリムスパンキーは長野県出身で、
辰巳:ぁ、外人さんじゃないんですね笑。
武田:すごい人気ある2人組のロックバンド。
辰巳:ふんふん、ってシェフ知ってるんすか?
井村:知らないっすよ笑笑。(←うなずき上手)
武田:NHKとかけっこう音楽番組にもでてまして、’長野県では’FMラジオでしょっちゅう流れてくるんですよ。女性の声がいいんですっ。
辰巳:刷り込まれてるんですね笑。ではお聴きください。
Glim Spanky「ラストシーン」(2023年)
https://www.youtube.com/watch?v=wlVXjhMt1Pw/
辰巳:長野県出身って?
武田:そうなんです、南信地方出身。バンビー(Vin Vie)の近く。
辰巳:伊那のほう?
武田:そうす。
辰巳:バンビーは確か松川。
武田:そうですそうです。(グリムスパンキーの)一人の方は高校は確か松川だったと思います。70歳の私でも知ってます笑。(←ギター&作曲の亀本さんは松川高校の生徒会長さんやってたらしいです)
辰巳:長野って大きくて。日本で3番目?
武田:・・・4番目だったと思います。
辰巳:”県”では3番目!北海道は”道”ですからー笑。でもそんな中で長野県でも中野市っていちばん北の方じゃないですか?理事長職って会議あって周るのは大変でしょ?
武田:こんなに大変だとは思いませんでした。今年2年目になりますけど、イヴェントや会議が多くなりまして、紐付きで役柄がついてきて。。。笑。
辰巳:どうですか?
武田:今長野で発酵関係、「*発酵バレー長野」っていうのやってるんですけど、味噌醤油日本酒と一体になったイヴェントを企画してまして、(*発酵バレー長野:https://hakkou-valley.nagano.jp/)
辰巳:そこでも役職を?
武田:そこは副会長。会長は日本のシェア25%、マルコメ味噌の青木(時男)さんっていう大社長が。実は’信州味噌’って日本全国で50%のシェア持ってるんですよ。その25%をマルコメ味噌さん1社が持ってるんです。
辰巳:そういうトップメーカーが引っ張るって大事っちゃぁ大事ですよね。
武田:そうなんです。
辰巳:長野(のワインメーカー)だとアルプスさんがそうですね。
武田:もうダントツですよね。
辰巳:「とにかく長野県に来てもらおう」、来て飲んでもらうっていう、
武田:そうですね、観光地も多いし東京から近いってのもありますし。
辰巳:あと空港、松本空港をもっと活用すべし!長野市は県庁所在地ですけど北の方だし、松本とかあの辺がワイン産地の中心だし。観光客呼んだり色んな交流あるんじゃ?
武田:そうですね、今松本空港利用して福岡便もありますし北海道便もあるので、そのツアーの中にワインも組み込みたいなという業者さんもけっこう出てきてるんです。
辰巳:また時間なくなってきちゃったんですが汗、ワイン造りに関しては栽培、醸造も他の人にお任せするんですか?
武田;そうですね、早く引退したいもんで笑笑。
辰巳:社長はまだやってるんでしょ?
武田:えぇ。でも若い人に任せたいんでできるだけタッチしないように。
辰巳:今月4週伺ってきましたけど、ほんとに’風に吹かれて’(←2週目のリクエスト曲は「風に吹かれて」ボブ・ディランでした)、どんどん中心に行かれて今「王道」。まだまだやらなくちゃいけないことは?この70年間風に吹かれて?ですからねぇ爆。この先は?同じように『来たものは拒まず』?
武田:そうですね。生食ブドウも作ってますんでね、それで一発当てて大儲けしてみたいですね爆。今思いました、あまりにもワインの経営が大変だったから笑笑。今生食用ブドウの需要が非常にあるんで、う〜んってなります(10R300万とか)。今(ワイン用)甲州2反で40万ぐらい。生食用もキロ400円ぐらいですんで1反と考えて40万。ほかの生食用はその倍。
辰巳:この現状が、高齢化、改植もありますけど、ワインブドウが減ってくる危機的な状況でもあるんですよね。行政的にもやれることいっぱいあるはず。
武田:私たちのやってる頃は、(ワイン用)ブドウ栽培の応援をしてくれてたんです。苗木とかも1本あたり200円とか補助金も農水から。今は市町村でやってるところはあれど、そういうのがあんまりなくなっちゃったんですよね。だからある程度の資金が(自己に)ないと開業できない。
辰巳;それでも長野にワイナリーは増えてる?
武田:そうです。(ブドウも)買う、というよりは自分で栽培してますし、後継者までは考えてなくて、立ち上げるだけで精一杯。販売とか次の世代にどう繋ぐか、50年後100年後を見据えてっていうところまではぜんぜんいってないもんで。「今後をどうする?」「お借りしてる土地どうする?」」「どうやって守ってく?」をきちんと考えていく時代だと思います。
辰巳:これはブドウ、ワインだけじゃなく、農業全般の問題ですね。今後はそっちのもっと大きい方の問題にも活躍していただきたいと思います。ワインも美味しかった♡ 今後の活躍にますます期待しております。
3月のお客様は長野県のたかやしろファーム代表&長野県ワイン組合会長の武田晃さんでした。
全員:ありがとうございました!!!
【大切なお知らせ】
下記「お断り」の通り、番組内でご紹介した「ゲストのワイナリーのワインと、井村貢シェフが考案したお料理をペアリングさせたメニュー」をこの収録会場「Vellas des Marriages 多摩南大沢」にて提供していただいていましたが、残念ながら2024年6月末日にて同店が閉店されることになりました。
当番組のコンセプトは閉店まで変わっておりませんが、今後の営業日、時間、メニュー等は直接お店にお問い合わせください。なお、当番組は会場を変更して継続する予定ですので引き続きよろしくお願いします!
お断り:番組の収録日、OA日、この原稿の掲載には時差があります。また、この番組はお招きしたゲストのワイナリーのワインと、収録会場の「Villas des Marriages 多摩南大沢」の井村貢シェフが作るお料理のマリアージュをみなさまにもお越しいただき楽しんでいただくのがコンセプトの一つですが、現時点でお店でお楽しみ頂けるワインとお料理のマリアージュの詳細については直接お店にお問い合わせください。)
Takayashiro Farm&WINERY
https://www.takayashirofarm.com/
News Data
- ヴィラ・デ・マリアージュpresents 「辰巳琢郎の日本ワインde乾杯!」
2024年3月28日放送回
- ワイナリー
Takayashiro Farm&WINERY
https://www.takayashirofarm.com/- 収録会場
ヴィラ・デ・マリアージュ多摩
https://villasdesmariages.com/tama/