ヴィラ・デ・マリアージュpresents 「辰巳琢郎の日本ワインde乾杯!」 2023年11月30日OA

2020年7月から始まったラジオ番組『ヴィラ・デ・マリアージュpresents「辰巳琢郎の日本ワインde乾杯!」
2023年11月のゲストは山形県の株式会社高畠ワイナリーの村上健(たけし)会長です。
フラッグシップのアルケイディアで乾杯!今月は放送が5回あったんですがさすが元営業!話足りない足りない。
10年間高畠ワイナリーに尽力され早逝された川邊久之さんのお話もあります。(全5回 5回目)

辰巳:お客様は山形県の高畠ワイナリー、村上健、、、会長です。9月に会長になられたばかりで。まだしゃちょーしゃちょーと呼んでしまいますが、その際はお許しください。

村上:はい、よろしくお願いしまーす!

辰巳:まずは。今日は色の濃いぃワインをお持ちいただきました。

村上:我々高畠ワイナリーのフラッグシップでもあります、2019年の「アルケイディア」、の’セレクトハーベスト’。ボルドースタイルの赤ワインとして造っております。カベルネ75%、メルロー21%、プティ・ヴェールドが4%。

辰巳:ぁ、最近はプティ・ヴェールドも栽培してるんですか。これはおいくら?

村上:税抜で5423円。

辰巳:これもかなりいいワイン、高いは高いんですけどお手頃感あると思います。フラッグシップですからね。ではこちらで乾杯したいと思います。

全員:カンパ〜イ🎶

【2019 高畠アルケイディア セレクトハーベスト】
https://takahata-winery-club.com/item-detail/1494940/

辰巳:もう一人、この会場「Villas des Marriages 多摩南大沢」の井村貢シェフです。シェフ、このワインいかがですか?

井村:しっかりとした、安定感あるワインですよね。でも飲みやすさもあってすごいバランスの取れたワインだなぁと。

辰巳:「アルケイディア」ってどういう意味ですか?

村上:(意味は英語で)『理想郷』ではあるんですけど、「アルカディア」とすると商標に引っかかってとれず。”読み”を「アルケディア」にさしてもらって登録させてもらってます。

辰巳:元々はギリシャ語ですかね。高畠は理想郷?前々回「まほろばの里」というワインの話になりましたけど。

村上:そのまほろばは「風光明媚」の住みやすい場所とかそんな意味合いがあるそうです。ですから奈良とかいろんなところでこの言葉は使われてます。

辰巳:このワインはいつ頃から造ってるんですか?

村上:2014年から。セニエは24%ぐらい、樽熟も24ヶ月してます。

辰巳:高畠はロゼワインも美味しいんですよ。今日はロゼないんですか、あんまりロゼお好きじゃないんですか笑?

村上:いやいや、そんなことはないんすけど。社内で話し合いをした結果「是非!」というワインを今月は5種類。

辰巳:そうですか。そしてこちらのワインに合わせたお料理は?

井村:今日は豚のロース肉を香草焼きにしました。それに少し酸味を合わせたかったのでドライトマト、コルニッションを合わせたソースをシンプルにジャガイモと一緒に。

辰巳:こういうときお肉は豚に合わせようとか牛に合わせようとかするんですか?

井村:これぐらいしっかりした赤だと牛肉や鴨だと思うんですけど、旨味の強さは豚が強い。「味」を考えたら豚が僕は合うんじゃないかと思います。

全員:ではいただきます!!!

【豚ロース肉の香草焼き ソースアロマティック】

村上:しっかり豚の味がして、しかも柔らかい酸もあって美味しいです♡

辰巳:高畠の名産品って?(先週松茸の話もありましたが)ワイン、ブドウ以外に何があります?

村上:今の季節だとラ・フランス。山形は「ラ・フランス」売り出してますけど、元々は高畠。高畠のラ・フランスは非常に小玉、ちいちゃいんですけど、’滑らかさ’という意味では高畠には敵わないと思います。本当に美味しいと思います。

辰巳:ワイナリーは1軒だけ?

村上:そうです。(お隣の)赤湯には6軒。

辰巳:米沢は1軒?

村上:その1軒・・・は停止してしまいましたんで稼働してないですね。ほんとに老舗なんですけど今お休みしてると。今後また稼働するんだと思います。

辰巳:浜田さんとこね。大阪の会社のね・・・。それがどうなったかちょっと心配はしてるんですけど。

辰巳:高畠さんは安定してて経営もしっかりされてて。社長歴は?

村上:12年間やっとりました。おかげさまで2020年に新しい設備投資をして、オーパスワンでも使ってる選果機を入れたんです。我々もビックリしたんですけど「絞った果汁の味わいがぜんぜん違う!」。高単価・高品質なワインにはこの機械を使ってるんですけど、まだリリースしてないんです。
2020年(ヴィンテージ)以降はこれから新たなブランドとして立ち上げて、、、。選果機は能力が遅いんです。時間がかかってしまうもんですから、少量なワインしか造りづらい。

辰巳:2週目のピノ・ブランだって少量でしょ?

村上:少量なんですけど、”より厳選したもの”に使いたい。「こんなに果汁が違うのか!?」ってぐらい違う、もうビックリする。

辰巳:そういうの持ってきてくださいよ〜笑。

村上:まだ売る前なんで汗。

辰巳:発売前に’ちょっと試飲’とか笑。

村上:じゃ、6週目はそういう回に爆。(←6週目はないっす、のナイスなフォローありがとうございます)

辰巳:そうですかー😭。にしても高畠ワイナリーさんはどんどん進化してますよね。村上さんが社長時代には川邊(久之)さんという醸造責任者がいらして。この番組の前身だった番組にも出演していただいたことがあるんです。
川邊さんはいつから(高畠ワイナリーに)いらしたんですか?

村上:2009年からです。そんなには長くなかったですけど、この「アルケイディア」も川邊の。。。

辰巳:やっぱり(彼が来て)変わったんですか、技術的、ポリシー的には?

村上:「いいものを造りたい」という思いはみんな同じだったんですけど、”より厳選したもので””少量で造っても構わない”と。その判断を川邊がして。

辰巳:アイテムもかなり増えましたね。

村上:増えましたねぇ、増えすぎです笑。私から言わせてもらうと「もうちょっと減らしてくれよ」。70種類ぐらいありますんで。(驚!)

辰巳:これは社長でも覚えきれないでしょ?

村上:ですね。お店専用のワインだったり、1000本未満はどうしてもワイナリー限定。その中でもユニークなワインもあります。ビジュ・ノワールなんかは非常にユニーク。

辰巳:はいはい、あれはとてもユニーク。畑増やしたらもっと獲れるんじゃないですか?

村上:これから増やそうとは思ってます。

辰巳:川邊さん、とても残念です。

村上:そうですね、昨年(2022年)12月に亡くなられました。2年ぐらい前に病気がわかって治療に専念してたんですけど、なかなか解放に向かわなかったんですね。

辰巳:昔のロン毛の写真とか見せてもらいましたけどね。謹んでご冥福をお祈りしたいと思います。でもこうやって(彼の)話をしたり、ワインを飲むことも大事なことだと思います。

川邊久之さん(1963-2022)

ロン毛をバッサリと切り独立されたばかりの川邊さん(編集者撮影)

2022年12月、食道がんのため59歳で逝去されました。2009年から高畠ワイナリーに、2019年、独立し「エノリューション」を立ち上げワインコンサルタントとして全国を飛び回っていらっしゃいました。ご葬儀の時、現村上会長から「味覚や臭覚が失われるのは嫌だ」、と抗がん治療を拒否したというお話を伺いました。
「川邊さんらしい」、ですが今の「日本ワイン」業界に川邊さんがいらっしゃらなくなったのは惜しいとしか言いようがありません。
(以上編集者独談)

以下は2019年のこの番組の前身「辰巳琢郎の一緒に飲まない?」川邊さんゲストの2回です。(↓独立直前まだロン毛です)

https://jpwine.jp/topics/627/(2019年5月2日OA)
https://jpwine.jp/topics/723/(2019年5月16日OA)

村上:今は後任の松田(旬一さん)が一生懸命頑張っていて、彼(川邊氏)の望む踏襲は積極的に受け入れる思いでやっとります。

辰巳:次のフェーズに入ってきたと?

村上:今年は卵型のタンクを入れたりだとか、様々な取り組みを強化しております。

辰巳:それは楽しみです。さ、ここでリクエスト曲を伺いたいと思います。

村上:(ワイナリーでは)春と秋に大きなイヴェントをさせてもらっていて、先日までステージに上がっていただいてたミュージシャンの歌をリクエストさせていただいたんですが、〆には必ずこの歌を流すんです。なぜかというと。みなさんにたくさんのワインを飲んでいただいてヘベレケになってるんですけど、この酔っ払った”ならず者たち”を「家路に帰ってゆっくり休んでくれ」と、そういう意味を込めて。

辰巳:「ならず者の歌」?

村上:イーグルス、「デスペラード」。

辰巳:みんなならずモンなんですか?

村上:ワイナリーにいらっしゃってくださる方はみなさんお行儀がいい、悪さもない。

辰巳:じゃ、ならず者じゃないじゃないですか?笑。

村上:、とはいうものの、酔っ払ってますから「ゆっくり家に帰ってくれ」と。

辰巳:では村上会長の5曲目のリクエスト。イーグルスの「デスペラード」。


「デスペラード」イーグルス(1973年)
https://www.youtube.com/watch?v=FiPqUjLMuA8/

辰巳:5週にわたってお話伺ってきましたけど、僕も日本ワインを応援して20年、ようやく、だいぶ広がってきた、今認められてきた。そういうところだと思うんですけど、でもまだまだ!っというお話もあります。これからどうしたらいい?

村上:山形のワイン組合の代表、ほか諸々委員会としてお願いしてるんですけど、山形のワインの品質的に、どうしても劣るものが出てきたりしてるもんですから、なんとか「品質の向上・安定」を目指していきたい。そういう思いで「技術の向上」を図りたいと考えております。

辰巳:でもそれだけじゃ一般の人が飲もうとはしないじゃないですか?

村上:そうですね。’品質向上’と’需要回復’の両輪で進んでいきたいと思ってますし、このコロナ禍でできなかったことを今後「山形のワイン」を知ってもらえるように、強化してまいりたいとみんなで話し合いしています。

辰巳:実際は、ま、コロナは別として、高畠さんのワインは安定してるんですか?

村上:コロナ別としたら安定はしてますけど、コロナ前からしたらまだ足りない。でも順調に伸びてはいます。

辰巳:設備投資もしてまだまだいけると?

村上:そうですね。(設立)30年経ってますんで更新もかなり加速しています。

辰巳:でも(日本におけるワインの消費量)そんなに増えてないんですよ。もちろんコロナの影響があるにしても。これを今後どう見るか、経営者として?

村上:いやぁこれはね、正直言っていずれ淘汰されるだろうとは思ってます。進出されたメーカーさんも選別されるだろうなぁと。「安定した品質で生産するメーカーさん」と「どうしても波のあるメーカーさん」では大きな差が出てくるだろうなぁと。いくらコアなファンがいるとしても、安定した品質を維持していないメーカーは厳しい、というふうには思ってます。

辰巳:今は(醸造)免許も取りやすくなってますし、補助金も国、自治体からもでてすごく「押せ押せ」状態なんでしょうけど、それもいつまで続くか。。。その中でどこが残っていくか、ですよね。

村上:山形でも1社停止してますし、まぁいろんな話が出てきてます。消費者にしっかりわかるワイン造りをしてないと、ますます厳しくなるだろうなぁと思います。

辰巳:ニホンジンにワインは向いてるんすか、どうすか?日本人の中心にワインが来ることがあるのか?

村上:いやぁ難しい話なんですけど、やはり「若い人にいかにワインを取り込んでもらえるか」が大きな課題なんじゃないでしょうか?

辰巳:それもね、やらなくちゃと思ってるんですけどね。最近若い人の”お酒離れ”、飲まない人増えてるでしょ?それから車社会がどんどん発展して、お酒飲めない状況になってきてるじゃないですか?逆風ですよね?

村上:そうはいうものの、ワインってのはまだまだパイが小さいですから、伸び代はまだまだ。可能性はあると思ってます。

辰巳:円安で輸入ワインもどんどん値上がりしてるので”チャンス”でもある。

辰巳:シェフは日本ワインはこの番組で初めてぐらいで知って3年半。どんな感じですか?

井村:海外のワインはそれはそれで良さがあると思うんですよね。日本ワインもそれぞれ’その良さ’はあるし。でも僕としては日本で飲むならその気候風土に合ったワインの方がいいと思ってます。だって料理も和の食材使ったり和のアレンジしたりするじゃないですか。それとおんなじ。気候・環境に合ったものを飲むのがいちばん美味しいと。

辰巳:ずっとフランス料理といっしょにフランスワインを共にしてきたシェフ、もう戻れない?

井村:もう(フランスワインには)もど、、、らないですね笑笑。

辰巳:言い切りましたっ!

村上:えぇぇぇぇ!?

井村:逆に日本ワインに合う料理(フレンチ)を作り続けたいなと思ってます。

辰巳:山形には奥田シェフという人もいますし、もっともっと地元の食材ともコラボして発展していくのが”ワインの鉄則”だと思います。

辰巳:また山形にも伺いたいと思います。

村上:ぜひお待ちしていております!

辰巳:11月のお客様は先日会長になられました、高畠ワイナリーの村上健さんでした。

全員:ありがとうございました!!!

お断り:番組の収録日、OA日、この原稿の掲載には時差があります。また、この番組はお招きしたゲストのワイナリーのワインと、収録会場の「Villas des Marriages 多摩南大沢」の井村貢シェフが作るお料理のマリアージュをみなさまにもお越しいただき楽しんでいただくのがコンセプトの一つですが、現時点でお店でお楽しみ頂けるワインとお料理のマリアージュの詳細については直接お店にお問い合わせください。

高畠ワイナリー
https://www.takahata-winery.jp/

News Data

ヴィラ・デ・マリアージュpresents 「辰巳琢郎の日本ワインde乾杯!」

2023年11月30日放送回

ワイナリー

高畠ワイナリー
https://www.takahata-winery.jp/

収録会場

ヴィラ・デ・マリアージュ多摩
https://villasdesmariages.com/tama/

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