2020年7月から始まったラジオ番組『ヴィラ・デ・マリアージュpresents「辰巳琢郎の日本ワインde乾杯!」
2023年10月のゲストは山梨県山梨市の東晨(とうしん)洋酒株式会社、醸創責任者の田草川和仁さんです。
ワイナリーの後継者候補としてラグビーの名門、日川高校から東京農大に進学しますが、在学中結局はラグビーの呪縛から逃れられず。
卒業後はワイナリー飛び越して北海道で牛飼い?(全4回 3回目)
辰巳:10月のお客様は山梨県山梨市、東晨洋酒株式会社の田草川和仁代表です。
田草川:よろしくお願いします!
辰巳:まずは乾杯しましょう。今日は赤ワインです。
全員:カンパ〜イ🎶
【マスカット・ベーリーA&ヤマソーヴィニョン バレルエイジド 2017】
辰巳:今日も「Villas des Marriages 多摩南大沢」井村貢シェフにも同席していただいてます。シェフ、このワインいかがですか?
井村:熟成した香りがします。
辰巳:マスカット・ベーリーA、ヤマ・ソーヴィニョンの混醸なんですが割合は?
田草川:半々ぐらい。
辰巳:2018年?
田草川:ヴィンテージは2017、瓶詰めが2018年です。ぁ、これ混醸じゃなくてブレンドです。別々に仕込んで、それを一緒にして樽。たまったまなんですが、このタイミングでいくつかの樽がちょうど空いたので満たさにゃいかんな。いたずら心が働いて「入れたらどうなるかな〜」で、これになった。
辰巳:ほんとはステンレスタンク?ホーロータンク?で?
田草川:うちはホーローです。
辰巳:これは(生産本数)1460本。普通のワイナリーなら「こんなに少ないの?」とか言われますが笑、先週、先々週のワインは約300本ですからね。これは一応5樽分。ベーリーAとヤマブドウ系のブレンドって意外と合うんですよね。これも普通にスーッと入ってくる。思いつき?遊び心?たまたま樽が空いてた?
田草川:もうその時の状況でうちのワインころっころ変わる笑。
辰巳:臨機応変ってのは大事なんですね。
田草川:い〜い表現です、ありがとうございます!爆。
辰巳:アメフトとラグビーの違いはそこ。アメフトは作戦が決まってて、監督から「次はこの作戦で云々・・・」っていうフォーメーションがあるけどラグビーはほんとに選手に任されてる。あんな臨機応変なゲームないすよ。野球は「打つ時は打つ、守る時は守る」、でしょ。ラグビーは「どっからどっからどこまでが攻めでどっからどこまでが守りかわかんない」。
田草川:フルコンタクト。
辰巳:ほんとおもしろい。またラグビーの話になってしまいましたが笑。”ラガーワイン”で有名な東晨洋酒なんですが、そういえば(ラベルに)ぜんぜん”SUN RIVER”って書いてませんね。
田草川:SUN RIVERは最近ちょっと控えてるんです。あんまり日川日川言ってもね笑。
辰巳:出身の日川高校の”SUN RIVER”。一応メールアドレスには残してありますね。
田草川:そうですね。
辰巳:ここのワインがマイナーなのはね笑、ま、マイナーの良さはあるはあるんですけどね。普通ワインのラベル見たら「どこどこのワイナリー」ってわかるもんなんですけど、ここのはまったくわからないんですよ。(アイテム毎にデザインが)みーんな違うんで。
田草川:よく言われます笑。
辰巳:そうでしょ?それ狙いですか?
田草川:ブドウを栽培してたり、仕込みしてる時もそうなんすけど「ぁ、これ、こういう名前にしたいな」「この名前にするんじゃこういうラベルがおもしれーかなー」を考えながら作業してるんす。だもんで、思いつきになっちゃう。
辰巳:それは面白いと思いますよ。それにしても、例えば”台紙の色を揃える”とかそれぐらいの共通点あってもよさそうな笑。
田草川:ん、ま、なんか、よくいえば「引き出しがいっぱいある」爆。
辰巳:引き出しだらけの田草川さん。この道路標識みたいなデザインは?
田草川:大学卒業してすぐにアメリカで1年間農業実習してたんですよ。ま、そのときの写真をラベルに。
辰巳:農業実習?
田草川:農大の拓殖学科ってのがあって、そこで農業実習ってのを斡旋してて。で、「卒業したら誰か一人は農業実習に参加しなさい」っていう農大のラグビー部の’変な慣習’があって。1歳上の実習に行った先輩に「次オマエな」って指名されたんです。
辰巳:なんの研究されてたんでしたっけ?
田草川:醸造微生物研究室。発酵に関わる酵母だとかカビだとかを研究するところ。
辰巳:家の仕事としては、お父さんもワイナリーの発起人の一人で社長も経験されてますが、その、グループで(?)ワイン造りをしようといつ決めたんですか?
田草川:そんなのぜんぜん頭になかった。
辰巳:それでも”発酵微生物”にいったわけでしょ?
田草川:・・・。
辰巳:長くなりますか?来週にした方がいいすか?笑。
田草川:長くはない。ま、大学に行こうという時に、(周りが?)「オヤジがワインやってんだから(当然)農大行くんだろ?」みたいな。
辰巳:でもお父さんの同級生7〜8人で立ち上げたわけだから、その息子たちも同じ立場でしょ?
田草川:そうは勧められてたんすけど”ワインやる頭”はぜんぜんなかったです。でもなんか知らんけど「フランスには行こう!」、ということは当時から思ってたらしく、高校生の頃NHKのフランス語講座とかは聴いたりしてました、これでも笑。大学もあんまり行く気もなかったんですけど、(東京農大に)”ラグビー推薦枠”ってのがあって、「ラグビーやらせてやるから大学行け」って。
辰巳:それは親から?
田草川:いや、(日川高校の)ラグビー部の監督さんから。この監督が1年から3年まですっと担任だったんです。
辰巳:でもね、(先週までの話で)花園ベスト4になったけど、失礼ながらずっと控えの選手だったんでしょ?だったらもっ上の選手がいたんじゃ?
田草川:その選手たちは早稲田や明治、強いところへ。
辰巳:じゃ、たまたま東京農大へ?
田草川:ん、まぁそうですねぇ。最初はラグビーで行く方向だったんですけど、いろんな事情があって、、、。「やっぱオマエ、学校推薦?校長推薦?でいったほうがいいよ。」ってな話になって。
辰巳:それは推薦になったら試験も受けなくてよくて?
田草川:「ラグビー推薦」は名前書きゃよかったんですよ。「校長推薦」の場合、一応「国英数理」のペーパーしなきゃいけなくて。しかもそれまで私立の文系のコース(クラス)だったのに、高校3年になって急遽私立理系のクラスの単位をとらなきゃならないってことで、「数3」の授業まで受けなきゃいけなくなって。もうチンプンカンプンで聴いてました。それで学校推薦で農大に行けたんですけど、そうなると「ラグビーやらなくていいんじゃね?」。だから大学行ったら”キャンパスライフ”を謳歌!っという夢と希望に溢れた一瞬があったんですけど爆。ラグビー推薦で行ったいっこ上の先輩から電話があって、「寮が空くんだよねー」爆。
聞いたら1年の寮費が36000円なんすよ。その先輩、それを(田草川さんの)親にも話をしてしまって、そりゃ(親は)大喜びですよね、「オマエそこ入れ」。そうなると必然的にラグビーもついてくる笑笑。
辰巳:女の子はついてこない?爆。
田草川:ね、爆。結局大学もラグビー三昧で終わってしまう笑笑。その寮も6畳一間に3人!
辰巳:3人!?もちろん男ばっかり?
田草川:もちろんもちろん。
辰巳:それはぁぁぁ、ちょっとぉぉぉ、ね、笑。
辰巳:でもお父様の代からブドウ栽培やってていずれはワイン造らせようとかそんな頭あったわけでしょ?
田草川:でしょうけどね、でも自分としてはそんなのぜんぜん頭になかった。
辰巳:ここが番組的に一番大事なんですけど爆、「どの辺でワインを真剣に造ろう」と思ったんですか?
田草川:ま、大学卒業しました、アメリカに行きました、帰ってきました。それから家の(ブドウ)畑の手伝いをするんですけど、その、”アメリカとのギャップ”が凄すぎて。1エイカー(24ha)からいきなり1反分(10R)の世界に・・・。「なんでこんなチマチマした仕事せにゃいかんのかなぁ」、でだいぶ病んできちゃいまして。そんな時「フロムエー」見てたら、話スゲ〜飛びますごめんなさい。「北海道の北の大地で『牛と一緒に楽しい生活しませんか』」と。もう即電話笑。そっから北海道(中標津)で牛飼。
辰巳:ちょっとここでね。そういえばね、料理まだ食べてないんすよ笑。こんな展開になるとは。今月5週やりますか?笑
田草川:申し訳ない💦。
辰巳:とりあえず料理をいただきましょう。シェフ、このお料理はなんですか?
井村:真鯛のグージョネットっていうフランスの伝統的な料理。キノコのクリームソースと赤ワインソースの2種類を合わせてあります。グージョネットっていうのは「グージョン」っていう小魚がフランスにはいるんですけど、その形に見立てて細長く魚を仕立ててあります。上にある香草の香りキノコの香り赤ワインの香りを、今日のワインに合わせてみました。
【真鯛のグージョネット 香草風味】
辰巳:そんなにタンニンはガツンとこないんで、こういう魚料理にはいい。田草川さん、いかがでしょうか?
田草川:魚と赤ワインって・・・
辰巳:このワイン柔らかいですしね。
田草川:ソースも柔らかくて美味しい。
辰巳:ちょっとこれ召し上がりながら曲を聴きたいと思いますが、今日は何を?
田草川:(先週から)アニメが続くんですけど、「宇宙戦艦ヤマト」。その中でも、「さらば宇宙戦艦ヤマト・・・」っていうい〜〜〜ぃ映画があるんです。それの主題歌?エンディングテーマで沢田研二さんの歌う「ヤマトより愛を込めて」。これも中学の時の曲です。
沢田研二「ヤマトより愛を込めて」(1978年)
https://www.youtube.com/watch?v=4PDN_zZB-Gc/
辰巳:これは僕の学生時代に聴いた、懐かしい沢田研二さんの前世時代の歌ですねぇ。いい歌です。
辰巳:で、アメリカに行って、今度は北海道の牧場に?
田草川:そうです。急遽牛飼いに笑。
辰巳:それがどこでワインになるんすか?笑。
田草川:そのころはぜんぜんワインは頭になかった。このまま日本中、いや、世界中、『俺のタネ撒こうかな』爆。
辰巳:アメリカの女性?、北海道の女性?爆(←そっち?)
田草川:それも面白いかなとも思ってたんですけど(←ぇw)、(北海道に)3ヶ月ぐらいいた頃親父が体壊しまして「帰ってこい」と。僕は頑なに拒否してたんですが、そこの牛飼いのおばちゃんに「帰ってあげなきゃダメだよ」と説得されて泣く泣く帰ってきた。
田草川:それまで東晨洋酒は笛吹市の一宮にあったんですよ。そこの国分寺ってところで営業してたんですけど、たまったま僕の帰ったタイミングでそこの史跡発掘調査に伴って「立ち退いてくれないか?」。「じゃ、どっかに移転しなきゃ」、であちこち土地を探してたんですけど、結局今のうちの畑の一角。
辰巳:それまではお父さんの同級生の時の生徒会長さんが社長やってたんでしょ?
田草川:で、移りました。蔵を建てなきゃなんだけど、僕は工事とかは何もやることなかったんで、(ワイナリーに)アルバイトで入ってました。
辰巳:お父様はその後大丈夫だったんですか?
田草川:はい。
辰巳:仮病だった、とか?爆。
田草川:笑笑、一応入院してたんで仮病じゃなかったとは思うんですけど。新しく建物(ワイナリー)を建てたときに「オマエが建てたんだからオマエがやるんだろ!?」っと、なし崩し?強制的?に携わることに。
辰巳:それは何年のこと?
田草川:平成2年。ちょうどアメリカにいたときに昭和から平成に変わりました。
辰巳:今日ももう時間きちゃいました、これから佳境なのに笑。この続きはまた次回!
全員:ありがとうございました!!!
お断り:番組の収録日、OA日、この原稿の掲載には時差があります。また、この番組はお招きしたゲストのワイナリーのワインと、収録会場の「Villas des Marriages 多摩南大沢」の井村貢シェフが作るお料理のマリアージュをみなさまにもお越しいただき楽しんでいただくのがコンセプトの一つですが、現時点でお店でお楽しみ頂けるワインとお料理のマリアージュの詳細については直接お店にお問い合わせください。)
東晨洋酒株式会社
https://yn-sunriver.jimdofree.com/
News Data
- ヴィラ・デ・マリアージュpresents 「辰巳琢郎の日本ワインde乾杯!」
2023年10月19日放送回
- ワイナリー
東晨洋酒株式会社
https://yn-sunriver.jimdofree.com/- 収録会場
ヴィラ・デ・マリアージュ多摩
https://villasdesmariages.com/tama/