ヴィラ・デ・マリアージュpresents 「辰巳琢郎の日本ワインde乾杯!」 2023年1月12日OA

2020年7月から始まったラジオ番組『ヴィラ・デ・マリアージュpresents「辰巳琢郎の日本ワインde乾杯!」』
2023年1月のゲストは大阪の「カタシモワイナリー(カタシモワインフード株式会社)」代表取締役、高井利洋さんです。
(高井の”高”は正しくは”はしご高”です。)
大阪弁強化月間の2週目は「甲州ブドウ」についての”異論!反論!objection?”笑。(全4回 2回目)

辰巳:さ、新年2回目の放送です。1月のお客様は大阪からいらしてもらいました、カタシモワイナリーの高井利洋社長です。
(いつも通り、この会場「Villas des Marriages 多摩南大沢」の井村貢シェフにもご同席いただいてます)

全員:よろしくお願いします!!!

辰巳:まぁなんといいますかねぇ。最初にお会いしたのはまだ50代前半ぐらいでしたっけ?(今年72歳になられます)
それなりに歳は取られましたけど、、、。

高井:だいぶ真っ白に(←髪、ですかね)笑。

辰巳:大阪のワインに対する情熱が熱くて、中でも「甲州」という葡萄品種に対する・・・。

高井:”甲州”言うたらアカーンっ!爆。

辰巳:もう”甲州”いうだけで(過敏すぎるほどの)反応。「”山梨の葡萄”や」っと言わなアカンという。

高井:歴史もっと勉強せなあきまへんで。

辰巳:カタシモワイナリーさんは歴史でいうと、大正3年、1914年、第一次世界大戦が始まった年にできたんですが、
ブドウはもっと前から作ってたんですよね?

高井:創業130年。

辰巳:その時に植えてたブドウってなんなんですか?

高井:最初はミカン畑を切って。「河内ミカン」有名やったんですよ。その後「中野清さん」いう方から”紫葡萄”を教えていただいて。

辰巳:「いわゆる甲州」に近い品種ですね笑笑。

高井:そうですね。1300年前に仏教とともにジョージアから来たブドウです。
77%はジョージア由来の、23%は中国。

辰巳:あー、シルクロードを通って朝鮮半島から日本に上陸して、瀬戸内海を通って大阪に上陸してるんですね?

高井:聖武天皇の頃こと。

辰巳:飛鳥時代にはもう入ってたという話もありますけど?

高井:奈良時代にはもっともっといろんなものが入って来てたんですけど。それだけ古いのが「紫葡萄」。

辰巳:それが点々と伝わって山梨に入って来たのが「甲州」だと?

高井:だからそれが甲州(山梨)で根付いたから「甲州」という名前に。我々がどう紐解いても(おそらくルーツが)
「甲州」という名前は出てこない。真ブドウとか堅下本葡萄とか言われていたのが甲州で、大阪では『甲州』って言葉はいっこも出てきてない。

辰巳:甲州の話(アンチ’甲州’名称)しだしたら高井さんの右に出る者はいない笑笑。
今日はその辺を深掘りしたいと思います。
まずは乾杯。”甲州”という名前がどこにも出てないというワインです。

全員:カンパ~イ🎶

カタシモワイナリー[堅下本葡萄 合名山南西畑 2021]
https://kingselby.shop-pro.jp/?pid=111036573&_ga=2.122047875.904003761.1680771935-1057099041.1559615107

辰巳:う~ん、美味し♡。「合名山南西畑2021」。柏原市の合名山(ごうめいやま)という自社畑の名前ですよね?

高井:(樹齢)100年以上の木が今(日本に)5~6本ありますけど、そのうちの4本がうちにあるんです。そのブドウのワインがこれ。
堅下本葡萄って昔から言われてるものです。

辰巳:その2021年、”限定生産 819本”。

高井:我々は畑毎にワイン造ってるもんで、だからそれ毎に味がちゃうんですよ。

辰巳:でも本来そういうもんですよね。それぞれ小仕込みで。

高井:だから2本、3本売れるんですよ。おんなじ品種でも畑違うから笑。

辰巳:さすが大阪人爆。

高井:シェフもわかりまっしゃろ?

辰巳:はい、もう一人の大阪出身の井村シェフです。まずはこのワインいかがですか?

井村:ドライだし、いろんな料理に合わせやすいと思いました。香りもやわらくて。

辰巳:ちょっと甲州に似てません?爆

高井:似てませんっ!!!

辰巳:味は似てる感じするんですけど笑、そんなことないすか?

高井:ぜんぜんちゃいますよ!

辰巳:この「堅下本葡萄」というのは、どっから来てるブドウでしたっけ?

高井:大阪には2種類の甲州ブドウがあるんですけどね。ひとつはさっき言った”紫葡萄”、
もうひとつは明治9年に新宿御苑から甲州ブドウがやってくるんですよ。でもそれが「どこから来たのか?」がわからない。
山梨県人に聞けば「山梨から」っていうんです笑。私は「おかしんちゃうか?」・・・爆。
向こう(山梨県のワイナリー)は90社、こっちはたったの8社。それ言わないと多勢に無勢なんで、
私が声を100倍ぐらい大きくして笑笑。

辰巳:ぜんぜん負けてませんっ!笑。
で、堅下本葡萄というのはいつから?

高井:私が小さい頃からもうそう言われてて、「甲州ブドウやなしに「堅下本葡萄」なんやなぁ」思って育ってきてたんで、
我々の地域では誰も「甲州」なんて呼んでなかった。

辰巳:例えば。高井さんのところは柏原市ですけど、お隣の羽曳野市とかも「堅下本葡萄」という言い方するんですか?

高井:向こう(羽曳野)にはほとんどないんで。ほとんど堅下にしかないから面白いんですよ。
飛鳥ワインさんが一部造ってますけどそれ以外はないです。ホントに土着のブドウ。

辰巳:この辺また深掘りしたらおもろいんですけど、ちょっとここでこのワインに合わせたお料理を食べてみたいと思います。
今日のお料理は、タルト生地の上にほうれん草のソテーみたいのが乗っかって、
その上にホタテとエビ、その上にニンニクチップ?(←辰巳さん、シェフの説明前に全部説明しちゃいました笑)

全員:いただきます!

[中西ファームのほうれん草のタルト ソースヴェール]

高井:このソース、メチャメチャ美味いですね。

辰巳:これにワイン飲むとまた違う味わいになってきますね。

井村:白ワインベースのソース、日本ワイン使ってます。
(←お店でグラスワイン提供の際に中途半端に残ってしまったワインを利用したソース)

辰巳:輸入ワイン使わんところがまたいいですね。

井村:(日本の素材に日本ワイン使うと)合うんですよ。

高井:ホタテとソース、ワインがいろんな口の中で合わさって。

辰巳:いろんな旨味がある。

高井:これ(ワイン)胡麻とも合うんですよね。

井村:なので、パイ生地には胡麻も使ってます。

高井:楽しいです♪

辰巳:この、ほうれん草に合うってのがなかなかの発見。

井村:ワインの香りの中に’青っぽさ’を感じたんでそこで合わせたいなと。

辰巳:「堅下本葡萄」というブドウ、高井さん的には山梨の「甲州」とどう違う?

高井:見たら一目でわかる!まず(房の)大きさが山梨の甲州より半分から1/3ぐらいちっちゃい。粒も小さい。
色は、光をあてると(光合成すると実が)紫になるけれども、葉っぱ残して光余り当てないと水晶みたいな白っぽくなるんすよ。
だから収穫時期によってぜんぜん違うものができるのがこのブドウの特徴。
それから”旨味”が違う、アミノ酸の香りが。さっきのお料理とこのワインの旨味が合うんですねこれが。
なんていうのかなぁ、山梨のと比べるとボディ感がある。

辰巳:なるほど。樽を使う必要もない感じ?

高井:そうですね。シュール・リーにする必要もないし、そのまま旨味が出てくるのも面白いところ。

辰巳:この酸味は?大阪にしてはしっかりしてる気がする。

高井:ド根性でっしゃろ爆。

辰巳:ナニワのド根性!?笑笑。

高井:やっぱりそこがナニワのいいとこ、コシがあるとこじゃないですか?

辰巳:運動部でうさぎ跳びするみたいに?

高井:歩いて(?)ジョージアからシルクロード通って大阪にたどり着いたことですさかい、
そんじょそこらに負けへん根性はある笑。

辰巳:じゃ、このブドウ(堅下本葡萄)から山梨に派生して「甲州」になった?

高井:そう言うてたけど、それ言うたらまた怒られますんで笑。

辰巳:何でですのん?

高井:「お前が言うのは勝手やけど」。

辰巳:山梨には海ありませんしね、空からもブドウが降ってくるわけないんですよ。

高井:えぇこと言いますなぁ笑。

辰巳:どっかからは入ってくるんですけど。もしかしたら愛知の方かもしれないし、江戸経由かもしれないし。

高井:おっしゃる通り。まぁ理智的には大阪、京都、まぁこの辺でしょう。

辰巳:その辺はきちんと主張してもいいと思います。

高井:大阪の、甲州ブドウの歴史を文章にしてまして、国税庁に送ったんです。『これが「甲州ブドウのルーツ」ですっ』って。

辰巳:それはハッキリしたほうがいい。僕はわりと公にも言ってますけど、地域名がブドウ品種名になるのは世界的にも
「もうやめよう」という動きになってますんで、早いこと日本も『甲州』という言い方を早めに変えたほうがいいですよ。
、は言ってます。また外圧かかってくるとバタバタするので。その辺はきっちりすべきやと。
(フランスの)「ミュスカデ」も「ムロン・ド・ブルゴーニュ」になったりだとか、
(イタリアの)「プロセッコ」も何だっけ?・・・変わりましたよね。最近名前がパッと出てこない笑。
(←品種名が「プロセッコ」から「グレラ」になりました)

辰巳:話途中ですがここでリクエスト曲をお願いしたいと思うんですが、今週は何を?

高井:「神田川」。大学時代にすごく流行ってまして。

辰巳:神田川っ!かぐや姫。今日は嬉しいな、知ってる曲ばっかり♡学生時代は同棲してはったんですか?

高井:してませんですけどね、初めて恋をしましてねー。楽しかったですねぇ笑笑。

辰巳:じゃ、曲を聴きながらいろいろ伺いたいと思います。

かぐや姫「神田川」(1973年)
https://www.youtube.com/watch?v=-FuuZlRqMIQ

辰巳:この辺りの歌は歌詞全部覚えてますね。僕は中三でシェフは生まれて1歳ごろ。高井社長はどんな恋愛?

高井:もうよろしいやんそんなこと笑。

辰巳:ワイナリーに、それを継ぐべく子供として生まれたわけじゃないですか。ブドウ作りは4代目で?

高井:同じ村に住んでた13人の僕の友達は全員百姓継がなかったですね。みんなサラリーマンで出てって僕一人が残った。
みんなブドウ作っててワインも造ってたけど、オジィちゃんの代でやめてしまった。
それ見て僕も「これはアカン」と思ってました。それでいったん神戸の商社に就職しまして、

辰巳:何で神戸?

高井:楽しいかと思って笑。

辰巳:大学は近畿大学ですよね。僕も近大で客員教授もやらしてもらってるんですけど、社長は近大出身の有名人の一人。
で、卒業して神戸の商社に?

高井:3年ぐらいですね。親父が、ワイナリー潰してマンション建てるー、と。

辰巳:その頃もうそんな話出てたんですね。

高井:「これは俺の責任か?」っと思ってだいぶやきもきしました。一旦実家帰ってワイナリーやってみて
アカンかったらまたサラリーマン戻ってもえぇかなと思って帰ってきたんですよ。

辰巳:25~26歳の頃、実家帰って?

高井:どん底でした、ワインぜんぜん売れなくて。昭和53年に初めて「河内ワイン」っていうブランド造ったんですよ。
明治時代まではね、普通のボトルあったんですけど、もうその頃は一升瓶しかなくて『ワイン売れない時代』。
帰ってきて土井行夫さんっていう脚本家が書いた、山城新伍さん主演の「*河内ワイン」っていう芝居が上演されて、
「このストーリー面白いね」ってことになって、その劇場のロビーで河内ワインを売ったんです。
そっからフルボトルをどんどん造っていくようになって。その頃は百貨店もレストランもどっこも日本ワイン置いてなかった。
(*舞台「河内ワイン」:https://www.kashiwara-wine.com/kawachiwine/kawachiwine.html

辰巳:僕はその頃ちょうど大学入って芝居初めて、一升瓶の日本ワイン飲んでました。だって日本酒と勝負できるんです。

高井:おっしゃる通り、焼酎のいちばん安いボトルとおんなじぐらいなんです。

辰巳:1500円でしょ?

高井:250円でしたよ。

ぇwww

辰巳:その頃の京都は、1200円とか。1500円は高いほうだったほうです。

高井:僕の頃は250円、卸価格かな。

辰巳:それにしてもムチャムチャ安い。

高井:今これ3000円ですよ。

辰巳:そうかぁ。。。今日は堅下本葡萄の3000円のワインをいただきましたが、また話がぜんぜん進みませんでした。
この続きはまた次回。

全員:ありがとうございました!!!

(お断り:番組の収録日、OA日、この原稿の掲載には時差があります。また、この番組はお招きしたゲストのワイナリーのワインと、収録会場の「Villas des Marriages 多摩南大沢」の井村貢シェフが作るお料理のマリアージュをみなさまにもお越しいただき楽しんでいただくのがコンセプトの一つですが、現時点でお店でお楽しみ頂けるワインとお料理のマリアージュの詳細については直接お店にお問い合わせください。)

カタシモワインフード株式会社(カタシモワイナリー)
https://www.kashiwara-wine.com

News Data

ヴィラ・デ・マリアージュpresents 「辰巳琢郎の日本ワインde乾杯!」

2023年1月12日放送回

ワイナリー

カタシモワインフード株式会社(カタシモワイナリー)
https://www.kashiwara-wine.com

収録会場

ヴィラ・デ・マリアージュ多摩
https://villasdesmariages.com/tama/

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