2020年7月から始まったラジオ番組『ヴィラ・デ・マリアージュpresents「辰巳琢郎の日本ワインde乾杯!」』
2023年1月のゲストは大阪の「カタシモワイナリー(カタシモワインフード株式会社)」代表取締役、高井利洋さんです。
(高井の”高”は正しくは”はしご高”です。)
6回目の年男にして熱量ハンパない高井社長と、今年最初の乾杯はデラウェアのスパークリング「宝吉」で。
今月は大阪弁強化月間です。(全4回 1回目)
辰巳:2023年1月5日。今年もこの番組、始まりました。みなさん、明けましておめでとうございます!辰巳琢郎です。
今日もいい天気。今年はちょっと晴れ晴れとしたいい年になりそうな予感が元旦からしておりましたが。
さ、今年最初のゲストをご紹介します。大阪から来ていただきました「カタシモワイナリー」の高井利洋社長です!
(いつも通り、この会場「Villas des Marriages 多摩南大沢」の井村貢シェフにも同席いただいています)
全員:よろしくお願いします!!!
辰巳:今年はどんな年に?
高井:どうなるんでしょうかね、まだ戦争も続いてますし。ブドウは「いい年になるように」祈るばかりですね笑。
ちょっと今年は冬寒かったんで、”狂い咲き”はなかっです。
辰巳:狂い咲きってあるんですね?
高井:ありますよ。12月に新しい芽が出てしまうこともあって、ブドウがゆっくり眠れないというか。
辰巳:桜なんかも狂い咲きありますけどね。高井社長は昭和26年生まれの卯年、ですよね?
高井:あははは~、年男です。
辰巳:僕より7つ上だから今年72歳になる年なんですが、変わらすお元気ですねー。
高井:辰巳さんもお元気ですねー。
辰巳:ま、若くいるのも半分仕事ですから。でもワイン飲んでると若返りますよ。ほんまにワイン関係の先輩方もみんなお元気ですよ。
高井:ワインってのは気持ちから明るくなる。
辰巳:そうですよ。人間なんて”気”のもんですからね。
高井:ワインがあれば食事が美味しい。
辰巳:そうです、まぁ飲みすぎんようであれば。とか言いながらこの正月はけっこう飲み過ぎてしまいましたけどね笑。
「食っちゃ寝正月」を久しぶりに過ごしました。大晦日、元旦、2日の3日間で3kg増えました笑。(ぇw)
高井:え~、そらあきまへんで笑笑。
辰巳:今少し元に戻そうとしてるんですけどね笑。
高井:私は3が日とも畑におりましたからね。剪定をどんどんやらないと・・・。(畑は)待ってくれませんよ笑。
辰巳:70すぎて正月から畑出て?
高井:気持ちよろしぃで~笑。寝てたらもったいないでっせ笑笑。
辰巳:ままま、そんなん言われたらなんも言葉ありません笑。来年はそないしようかな、忘れへんかったら笑笑。
辰巳:今年も「Villas des Marriages 多摩南大沢」で収録しております。シェフ、なんでね、正月から店開けないんですか?
この八王子のベッドタウンにあったら開けたほうがえぇんちゃう気がするんですが。
我々も元旦、2日ぐらいまではおせちとかで篭って、でも3日目ぐらいになると「そろそろどっか外に行きたいな」とかなるんですけど?
井村:・・・じゃ、来年は汗。
辰巳:その方がええんちゃいますか?ぁ、従業員さんが大変か。
さ、今年最初の乾杯をしたいと思います。
では改めまして
「明けましておめでとうございます!本年もよろしくお願い致します!」
全員;カンパ~イ🎶
カタシモワイナリー「宝吉スパークリングワイン 2019」
辰巳:スパークリングワインでございます。
甘~い香りがした柔らかい、カタシモワイナリーのスパークリング。これはなんでしょ?
高井:これね、宝の吉と書いて「宝吉(ホウキチ)」と読むんですよ。
辰巳:なんだか”大吉”より良さそうな?
高井:そうなんですよ。大阪ってね、今でもデラウェアの生産は日本第3位、380ha以上。
辰巳:昭和初期までは全国1位だったんですよね。
高井:そのデラウェアが、、、。なんせ大阪のブドウ栽培農家さんの平均年齢が70歳越え。
辰巳:大阪と言わず全国そんな感じで。
高井:全国だと平均66歳と言われてる。その中でもだんだん栽培できなくなってくる畑がありまして、
辰巳:いわゆる”耕作放棄地”。
高井:その”耕作放棄地”は「宝の山やでぇ~」、っと言いたいのが我々。
辰巳:「放棄地」≒「宝吉」!?!?!?
高井:”大阪流”でんな、これは。これでなくちゃあきまへんのや、大阪は笑笑。ここへ来ても標準語しゃべれなくなりました。
辰巳:いや、僕もね、(ゲストが関西人だと)必ず関西弁やから笑。井村シェフも大阪出身ですからね。
どうすか、こっちに来て大阪弁で喋ることは?
井村:まぁ、たいがい「関西人ですか?」って言われますし笑。
辰巳:いつも特に意識して東京弁をしゃべってるとか?
井村:なーんにも思ってないです。
辰巳:やっぱり美味しいもん作る人は関西の人が多いですね。ちょっと語弊あるかな笑。大阪の辻調(辻調理師専門学校)出身。
料理界で成功している方って辻調出身多いですね。
高井:辻調は毎年うちに研修生送って来て、畑仕事を1ヶ月ぐらい預かるんですよ。かなりハードワークの。かわいそうに笑。
辰巳:バイト代は払いへんのでしょ?
高井:いや、払いますよぉ。料理人さんってのはワインを覚えないと今日日大変なんですよ。
辰巳:バイト代ってワイナリーから払うんですか?
高井:です。タダで使たらエラいことになりますから。
辰巳:なるほどー。シェフも(昔)行ったんですか?
井村:その頃はまだそういうシステムなかったんですけど、今は制度があって、
今月うち(Villas des Marriages 多摩南大沢)にも大阪から住み込みで来ます。
辰巳:ここにも!?ちゃんとお給料も払って?
井村:そうです。
高井:なかなかがんがりますよねあそこ、優秀ですゎ。やっぱり”料理界の東大”ですね(←辻調のことです)。
辰巳:この言葉、昔から言われてますけど今も?
高井:言われてます。
井村:東大卒です爆。
辰巳:よろしぃなそれは笑。やっぱり大阪って文化・食の中心地、でもあると思うんですね。
だからワインも美味しいもん造れるはず。
高井:昔は日本一のワインの産地は山梨ではなく大阪やったんです、第二次世界大戦終わるまでは。
実際ワインメーカーも119社あったのが大阪です。
辰巳:119社!?
高井:それが昭和30年代にみんな廃業してしまって、一番少ない時には4社まで減ってしまった。
辰巳:僕が日本ワインを応援し始めた20年前は確か4社(、か5社)でしたよ。現在は?
高井:8社。
辰巳:ほぉぉぉ、少しずつ増えてる。
高井:そうですね。若い人が、大阪の大都会で「ワインを造りたい」って。
辰巳:藤丸くんもそうですし(フジマル醸造所)、伊丹空港にもできましたしね(大阪エアポートワイナリー)。
高井:ま、徐々に増えてますけど、(大阪は)土地が高いからなかなか参戦できないんですよ。
辰巳:僕らも子供の頃に近鉄に乗って柏原とか羽曳野とか通りましたけど、周り全部ブドウ畑でしたもん。
その中に玉手山遊園地(1908-1998)ってのがあってね。我々大阪の人間はあの辺みんな通ってますしね。
今はほんとに住宅地が増えてきて、、、”住宅地増える”、こんなこと言うのが辛い感じ。
高井:住宅地増えるのはありがたいことなんですけど。大阪ド真ん中の街中から30分で来れるって言う地の利はほんとに少ないですよ。
今ニューヨークの周りには400社ぐらい(ワイナリー)ありますけど、将来考えれば(大阪も)そう言う時代になってくるんちゃうかなぁと。
東京はだいぶ山の方に行かないと絶対ムリですからね。そう言う意味でも大阪というのはだいぶ恵まれた場所というか。
「大都会と農業が共存してる」のが大阪なんですね。将来的に、メチャメチャおもろくなりますよ。
山梨とか長野とか北海道でやらんで、大阪でワインメーカーやってほしい笑笑。
辰巳:ラジオをお聴きの皆さんでこれからワイン造りをしたいと思う方。まずは大阪の高井さんを訪ねんと。人力あります笑笑。
高井:待ってます~笑。
辰巳:っということでこの耕作放棄地で造られた「宝吉」に合わせたお料理はなんでしょうか?
井村:白菜を2種類使ったブルーテです。
辰巳:2種類って?普通のと?
井村:オレンジのと紫の。
辰巳:紫!
ではいただきます。
「白菜のヴルーテ 柚子と生姜のコンディマン」
高井:めっちゃ美味しい♡
辰巳:ん~、苦味がありますけど、ちょっと独特。この甘みは?
井村:これは白菜の甘み。調味料何も入れてないです。
高井:このワインと合いますね。
井村:合わせました爆。(←そういうコンセプトの番組です)
高井:生姜・・・。
井村;はい。あとは柚子と菊の花。
高井:飲んだ瞬間に白菜の香りがガ~~~ンっと出てきますね。
辰巳:ホント美味しい♡
辰巳:デラウェアっていう品種はほんとにいいブドウですね。
高井:このデラウェアって品種はね、まだまだ七変化しますよ。造ってみてビックリするのはポテンシャル。
酵母菌とか発酵温度とかが、収穫時期によって七変化するんですよ。味が、香りが、いろんなワインにできる。
完熟で造ったらまたぜーんぜん違うタイプのワインになる。そしてこの皮(で造った)グラッパが美味しいんですよ。
辰巳:ぁ、グラッパも造ってはりましたよね。
高井:2021年サンフランシスコのスピリッツのコンペで金賞もらったんですよ、*デラウェアのグラッパ。日本では最初です。
まだまだ可能性があるのがデラウェア。今大阪の官能すいけんで北海道から九州までいろんなデラウェア集めて
いろんな醸造をテストしてるんですよ。そしたらいろんな香りが出てきて、、、。もうビックリしはりますよ。
(*葡萄華35度 デラウェア 樽熟:https://kingselby.shop-pro.jp/?pid=6032055)
辰巳:それ面白いですね。大阪のナニ研究所?
高井:大阪の*環境農業水産総合研究所、環農水研っていうんですよ。
(*大阪府立環境窯業水産総合研究所:https://www.knsk-osaka.jp)
そこで世界中のブドウ集めてテストしてて、大阪で「何がいちばん合うんかな?」。
今年も醸造したワインテイスティングしてたら面白いもんいっぱい出てきてるんですよ。
今回(来週以降)持ってきてますからお楽しみに!
辰巳:ではここらでリクエスト曲を。今年一発目の曲はなんにしましょ?
高井:僕の高校時代の修学旅行の時に流行ってた、いしだあゆみの「ブルーライトヨコハマ」。
もう頭の中に残っててしょうがない笑。
辰巳:修学旅行は横浜に?
高井:いや、九州爆。
辰巳:僕も元々大阪の人間で”アンチ東京””アンチ関東”みたいな感じで”東京””横浜”の文字になんとなくアレルギーありましたけど、
この曲はなんとなく自然に入ってきました。僕が小学校4~5年の頃。
高井:僕は九州の修学旅行バスの中で聴きました。
辰巳:九州で「ヨコハマ」。九州に横浜があると思ってたとか?
高井:そこまでアホちゃいます爆。
辰巳:ではお聴きいただきましょう。
いしだあゆみ「ブルーライトヨコハマ」(1968年)
https://www.youtube.com/watch?v=F8RPkEl6pyM
辰巳:いやぁ、懐かしい。なんかタイムスリップしてしまいそう。
高井:そうでしょ?その頃思い起こすと元気やった。夢いっぱいやったもんね爆。
辰巳:だって55年前の歌ですもん。シェフはまだ生まれてない。
井村:です。
高井:でもシェフと若さ的には同じ気持ちやけどね笑。
辰巳:今調べたら「いしだあゆみは大阪の池田出身、出生地は佐世保」らしいです。
やっぱり九州は無関係ではなかった爆。
高井:偶然偶然。
辰巳:この偶然が面白いんですよ。人と人、ワインとの出会いも。セレンディピティ。
辰巳:今日のワイン、耕作放棄地で造られた瓶内2次発酵の「宝吉」と白菜のブルーテの組み合わせは
こちらのレストランでお楽しみいただけます。
クリスマスディナーも全部日本ワインとのペアリングでしたし、これから”日本ワインの聖地”になると思います。
高井:このお料理食べさせてもらって「シェフ、ワインよう知ってはるな」と思いましたもん。
このデラウェアという特徴をよく捉えられてるという感じがしました。
辰巳:もう最大級の褒め言葉。さすが”関西のドン”笑。
最初「*大阪ワイナリー協会」作って?(*大阪ワイナリー協会:https://www.osaka-winery.com)
高井:その2年後に「関西ワイナリー協会」作って、その2年後に「*西日本ワイナリー協会」作って笑。
(*西日本ワイナリー協会:https://www.facebook.com/profile.php?id=100054370667058)
辰巳:全部会長?
高井:今んところ、ぼちぼち引退しようかと。
辰巳:次は誰に任せよか?とかあるんですか?
高井:ナイショ。
辰巳:今日は正月やから別にえぇんちゃう?
高井:笑、これ言うたらまたエラいことになる。酔っ払いの勢いでもこれ言うたらまだイカんことになんで。
辰巳:そうか、口硬いっすね笑。まだ飲みが足らへんかな笑。
辰巳:御社の有名な、その名も「たこしゃん」っという”たこ焼きに合う”スパークリングワインがあるんですけど、
高井:はい、今日は売り切れで持ってこられなかったんですけど。
辰巳:だからの宝吉?ちなみにこれはおいくら?
高井:3000円、毎年値上げしてます笑すいません💦。
辰巳:しゃ~ないですよ、今資材が全部上がってますからね。
高井:瓶代は倍。
辰巳:逆に言うと元々が安かったんですよね。日本酒もそうですけど。
やっぱり手間暇かけて商品として価値のあるものは”値付け”しなくちゃいけない。そう言う時代ですよね。
これまでの”冬の時代”といいますか、売れなかった日本ワイン。
高井:よう知ってはりますね。
辰巳:その合間に大阪名物の冷やし飴作って笑。大変な時代をくぐって今。
高井:そうでんがな、今やっとトンネルくぐったとこですゎ。
辰巳:ですよね。大阪的に言うと『儲けなアカンしな」。じゃないと次に進めません。
今月あと3回ありますんで、この情熱をどんどん喋って欲しいと思ってます。
第1回目はこの辺にしときましょう笑。次回も宜しくお願いします!
全員:ありがとうございました!
(お断り:番組の収録日、OA日、この原稿の掲載には時差があります。また、この番組はお招きしたゲストのワイナリーのワインと、収録会場の「Villas des Marriages 多摩南大沢」の井村貢シェフが作るお料理のマリアージュをみなさまにもお越しいただき楽しんでいただくのがコンセプトの一つですが、現時点でお店でお楽しみ頂けるワインとお料理のマリアージュの詳細については直接お店にお問い合わせください。)
カタシモワインフード株式会社(カタシモワイナリー)
https://www.kashiwara-wine.com
News Data
- ヴィラ・デ・マリアージュpresents 「辰巳琢郎の日本ワインde乾杯!」
2023年1月5日放送回
- ワイナリー
カタシモワインフード株式会社(カタシモワイナリー)
https://www.kashiwara-wine.com- 収録会場
ヴィラ・デ・マリアージュ多摩
https://villasdesmariages.com/tama/