ヴィラ・デ・マリアージュpresents 「辰巳琢郎の日本ワインde乾杯!」 2022年12月29日OA

2020年7月から始まったラジオ番組『ヴィラ・デ・マリアージュpresents「辰巳琢郎の日本ワインde乾杯!」』
2022年12月のゲストは山梨県「塩山洋酒醸造株式会社」代表取締役社長 萩原弘基さんです。
2022年最後にして12月最終回の放送です。ワイン造りの持論や今後の日本ワインの展望・・・しゃべり倒しますよ~。(全5回 5回目)

辰巳:はい、2022年とも間もなくお別れ。今年最後のゲストは山梨県甲州市の「塩山洋酒」の萩原弘基さんです。
(いつも通り、この会場「Villas des Marriages 多摩南大沢」の井村貢シェフにも同席いただいてます)

全員:よろしくお願いします!!!

辰巳:今日は真っ赤なワインです。まずはこちらで乾杯しましょう!

全員:カンパ~イ🎶

「ベーリーアリカント 2022」
https://store.shopping.yahoo.co.jp/enzanwine/a0001.html

辰巳:色が濃いぃです!どうですかシェフ?

井村:すごい飲みごたえ!美味しいです。

辰巳:色が濃い割にはサラッとしてる。これも日本の品種、「ベーリー・アリカントA」という品種の2022年です。

萩原:出来立てホヤホヤです笑、新酒。

辰巳:11月3日の*山梨ヌーヴォーの日に出してませんでしたっけ?
(*山梨ヌーボー 参考サイト:https://www.yamanashi-kankou.jp/special/yamanashi_nouveau.html

萩原:出してました。

辰巳:飲みましたその時。このエチケット(ラベル)に見覚えある。このエチケットは毎年いっしょですか?

萩原:はい。

辰巳:(竹久)夢二っぽい可愛らしいデザインですけど、これはどなたの?

萩原:これはうちの親父のデザインです。

辰巳:えっ!?(←周りのスタッフも「えっ!?」でした)

萩原:もうこのラベルで30年以上。

辰巳:お父様がずっとラベル描いてたんですか?

萩原:いや、そういうわけじゃなかったんですけど。「大正ロマン」っていうシリーズがあって、
この親父デザインのラベルを使ってたんですけど今は(そのシリーズはなくなって)このアリカントだけラベル使って
先代を残した形にしてます。

辰巳:このベーリーアリカントの畑は?

萩原:ほぼ自社です。今、借りてる畑も含めて1haぐらい。

辰巳:どうですか、この品種?

萩原:病気には強いですね。ただ、小ぶりであまり大きくならない房ではあるので、収量の変動が激しい。

辰巳:棚栽培にしては収量は上がらない?逆に凝縮感が上がる?特に色が?

萩原:色は果肉まで赤いしもう何もしなくてもこのくらいの色になる。やっぱ日本の品種は栽培はしやすいのかな。

辰巳:これも川上善兵衛品種ですね。

辰巳:ではシェフ、今日のお料理を紹介してください。

井村:はい、今日は豚肉と鶏肉をいったんコンフィにして、豆と煮込んだ「カスレ」仕立て。
フランス全土にある郷土料理ですね。通常は豆しか使わないんですけど、地元(八王子)の野菜を入れることによって
このワインに合わせたいな、と。

「豚肩肉と鶏腿肉のコンフィと八王子産カリフローレのカスレ仕立て」

辰巳:「八王子カスレ」。ではいただきます!

辰巳:美味しい♡鶏肉と豚肉?

井村:そうです。いろんな旨味が混ざり合って、このワインの凝縮感とマッチするんじゃないかなという・・・。

萩原:これ(合わせるの)難しくなかったですか?うち、赤品種があんまりなくてマスカット・ベーリーAも今なくて、
これ持ってきたんですけど、「どういう料理になるんだろ?」っと思ってきましたけど。プロですね、やっぱり。
(ワインに)負けてませんね。美味しいです♡

井村:ありがとうございます。

辰巳:ここらで曲にいきましょう。今年最後のリクエスト曲はなんでしょうか?

萩原:ザ・ビーチ・ボーイズの「サーファーガール」。

辰巳:どうして?これ生まれるだいぶ前でしょ?

萩原:ですよ。何がきっかけで聴いたか覚えてないんですけど、CD買ったんです。

辰巳:テレビドラマとか観て毒されたとか?

萩原:いや、違うと思います。何かは覚えてないんですけど、このCDを買った時に、他の曲も含めて
勝手に「アメリカのビーチの長~い直線の夕日が見えるところを自分が車運転して、キレイな女性がいる」
っていう情景が勝手に出ちゃったんすよ笑笑。

辰巳:やっぱり”海がない山梨”爆。

萩原:そうなんです。「夕焼けのビーチ」がこれを聴いただけで広がって妄想したって曲。

辰巳:では、皆さんにも妄想に浸って頂ければと思います。

The Beach Boys「Surfer Girl」(1963年)
https://www.youtube.com/watch?v=iAOZSFNUjSQ

辰巳:妄想に浸っていただけましたでしょうか。サーフィンは?

萩原:まったくやらないです笑、海で遊ぶのは好きでしたけど。

辰巳:シェフは?

井村:んーーー、須磨(海岸)に泳ぎに行くぐらい笑笑。(←大阪出身)

辰巳:いちばんお聞きしたいのは、これからの山梨の、日本のワイン。この辺を踏まえてこの先どうやってワイン造りをしていこうと思うのか?
12月5回目の最終回として、真面目な話をしようかと笑。

萩原:真面目ですよずっと、見た目はアレかもしれないすけど笑笑。

辰巳:耳の上の刈り上げ?笑笑。この人にパッと会って「さぁこの人の職業はなんでしょうか?」って聞かれたら「ワインの造り手」って
答えられることは多分ないんじゃないか?爆。なんなら怖い人かもしれん笑。

萩原:とんでもございません笑笑。

辰巳:ちょっと言い過ぎました、ごめんなさい。
どうですか、”日本ワインブーム”と言われてけっこう久しいんですけど。でもまだ生産も消費も大きく伸びてるわけじゃない。
ワイナリーの数は増えてますけど、、、。

萩原:そうですね。ワイナリーの数が増えること自体は決して悪いことではないと思うんです。
もっともっとたくさんできて(日本ワインの)消費が伸びたり、いろんなタイプのワインを飲んでもらうってのはいいこと。
ただ、造り手によっても考え方は違うとは思うんですけど、僕の基本的な考え方は『キレイなワイン造り』。
「安心して飲める」「造り手の顔が見える」のがあるんですけど、根本には「キレイ」。あとは「瓶差がない」。
例えば同じレストランで(2週続けて)同じワインを開けた時に差があってはいけない。
同じヴィンテージの同じシリーズが”違う味”がしてしまうのは良くないんじゃないかなぁと。

辰巳:それ”自然派”に対するアンチテーゼ?

萩原:ちょっと入ってたかな笑。(自然派は)それが面白いといえば面白い。でもぼくが造ってるワインの責任は、
1度飲んでもらって「美味しかった」、っと言ってもらえたけど次に「違った」ってなってしまったらいけないと思う。
自分の作るワインに関しては、”熟成”に関してはしょうがないとは思ってるんですけど、日の浅いワインに関しては
「ここのワインなら間違いないね」って言ってもらえるような。
新しいワイナリーさんに対しては、皆さんいろんなワイン飲んでるしいろんなワインができるのは当たり前なんですけど、
わりと敬遠したりして温度差を感じることがあるんです。別にいろんな造りがあってもいいと思うので
「うちはこういう造りでこういうワインですよ」ってのであれば、どんどん前に出てってもらっていいんじゃないかな。
日本のワインを伸ばしていくためには、それも必要かな。
でも「いけないものはいけない」。これは僕の考えだけで言ってますし、厳しいかもしれないんですけど、
「ネガティブな香り、マイナスな香り」を出すこと自体、よくないと思ってます。
「微生物汚染の香り」だったりとかするものは絶対NGだと思ってます。
「なぜダメになったのか?」、を理解した上でそれを造る人はいますけど、そうじゃない人もいると思います。
「なぜこうなってしまうのか?」、を理解しないまま造ってる人も見受けられるんですよ。成分でいえば、酢酸エチルとかね。

辰巳:サクエチ(←酢酸エチルの略)はねぇ。少量なら旨味に感じることもあるし、あってもいいとは思ってる。

萩原:それを理解できて、プラスの要素出してるものはすごく美味しいです。そうではなくて、「ただ酢酸エチルの香りしかしない」とか
「(酢酸エチルが)いい」っというのに関してはちょっと違うんじゃないかと。
こういうの含めこれからもっと勉強していかなければいけないんじゃないかと思います。

辰巳:(実家に入る前に入った)山梨県のワインセンターでそういうこと叩き込まれた感じですか?

萩原:基本的にはここですね。

辰巳:センターにはどういう先生が?

萩原:海外から研修して帰られた方だとか。基本的には研修機関。
「なぜこの香りがマイナスの成分なのか?」、を追求する機関にいたので、ま、面白くないっちゃ面白くない笑。
レストランに行ってシェフの作ったお料理を作りながらワインを口にして。例えば今日出していただいたお料理とワインを合わせたけれども、
次回同じお料理とこのワインを合わせた時に「あれ、違う」ってなった時に・・・それってよくないじゃないですか笑笑。

辰巳:家業継がれたのは4年前ですよね。その時お父さんと「ワイン造りに関する話」とかあったんすか?

萩原:僕2010年からほとんど一人でやってるんすよ。

辰巳:ぇw、お父さんは?

萩原:経理。

辰巳:でもそれまではお父さんが造ってたんじゃ?

萩原:2009年までは。

辰巳:共同で作業してたことは?

萩原:2008年までです、2年弱。初回に言いましたけど、うちの親父はホンダで働いてて、ワインの勉強なしで急にワイナリーに帰ったんで、
「勉強した息子に任せたい」と。もちろんケンカはしましたよ。「こんなもん造って売れんのか!?」とかね。
それでも醸造に関しては任されてていいものできたことも。その積み重ねで、2012年あたり、ザルツベルク甲州できたあたりから
何も言わなくなりました。

辰巳:業績も上がって?

萩原:おかげさまで、借金も返しまして笑。

辰巳:地味(に思えた)なワイナリーが、今は端から見てても「いいワイン造ってる」という暗黙の了解になってますよね。

萩原:ありがとうございます!お土産やさんのワイン(一升瓶)メインの会社だったんで『そこからの脱却』、それで今に至るんですけど。
あとは設備が良くなればもっと良くなるんですけど笑。

辰巳:前回もお話ししましたけど、このワイナリーに投資するのは”絶対にあり!”だと思います。
こういうのあんま求めてません?

萩原:応援していただける方がいらっしゃればぜひ!

辰巳:口出しせずに笑、応援してくださる方。

萩原;それがいちばんいいですね笑。

辰巳:次は自分の作ったブドウをどう息子さんに繋いでいくか?最近思うのは”繋ぐ”ってこと。
生き物は全て”DNA”を繋ぐことが最も大事な仕事なんでしょうけど、ワインも息の長い仕事でしょうから。
ぶどうの木も人間と同じ、もしくはそれ以上に長生きするでしょうし。それを(未来に)どう繋げていくか?
今年はこの”繋ぐ”がものすごく身にしみました。
今年はこれで締めたいと思います。1年間ありがとうございました!
来年がますますいい年になることを願って、今日はお別れしたいと思います。
良いお年を!

全員:ありがとうございました!!!

(お断り:番組の収録日、OA日、この原稿の掲載には時差があります。また、この番組はお招きしたゲストのワイナリーのワインと、収録会場の「Villas des Marriages 多摩南大沢」の井村貢シェフが作るお料理のマリアージュをみなさまにもお越しいただき楽しんでいただくのがコンセプトの一つですが、現時点でお店でお楽しみ頂けるワインとお料理のマリアージュの詳細については直接お店にお問い合わせください。)

塩山洋酒醸造株式会社
http://www.enzanwine.co.jp

News Data

ヴィラ・デ・マリアージュpresents 「辰巳琢郎の日本ワインde乾杯!」

2022年12月29日放送回

ワイナリー

塩山洋酒醸造株式会社
http://www.enzanwine.co.jp

収録会場

ヴィラ・デ・マリアージュ多摩
https://villasdesmariages.com/tama/

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