ヴィラ・デ・マリアージュpresents 「辰巳琢郎の日本ワインde乾杯!」 2022年12月22日OA

2020年7月から始まったラジオ番組『ヴィラ・デ・マリアージュpresents「辰巳琢郎の日本ワインde乾杯!」』
2022年12月のゲストは山梨県「塩山洋酒醸造株式会社」代表取締役社長 萩原弘基さんです。
東京の学生生活に終止符を打った萩原青年ですが、すぐには家業を継ぎませんでした。地元に戻って就いた先にいろんなご縁があり・・・。
今週のワインはその名もズバリ「塩山」という意味のザルツベルク 甲州です。(全5回 4回目)

辰巳:今年もあと10日を切りました。12月のお客様は、山梨県甲州市「塩山洋酒」の代表、萩原弘基さんです。
(いつも通り、この会場「Villas des Marriages 多摩南大沢」の井村貢シェフにも同席いただいています)

全員:よろしくお願いします!!!

辰巳:今年はどんな年でしたか?

萩原:今年もバタバタとしておりましたね。山梨ヌーヴォー祭の責任者やったりだとか、

辰巳:そうか、ヌーヴォー祭りの、、、。

萩原:はい、会場の方の責任者とかでちょっとバタバタと。

辰巳:そっか、いろんな役目ありますしね、順番に巡ってきますよね。だんだん中堅からベテランの域?

萩原:まぁ年齢的にはそうですね。ワイナリーはだんだん代変わりして、僕らの年代の人たちが理事会に出てきたり。

辰巳:萩原さんの年代で近い人たちは?

萩原:けっこういますよ。先日(この番組に)出ていたくらむぼんの野沢(たかひこ)さんもそうですし、ほかも2~3歳上が多いかな。
アルプスの前島良さん(3歳上)。麻屋の雨宮一樹さん(2歳上)は塩山高校の先輩。

辰巳:大体が40代半ば?(ダイヤモンドの)雨宮吉男ちゃんは?

萩原:野沢さんと同じ、48ぐらいですかね。

辰巳:そういう面々が山梨県のワイン業界をグイグイ引っ張ってるという。

萩原:ん、ま、そうですね。足引っ張ってなきゃいいんですけど笑笑。

辰巳:勝沼醸造の有賀さんとこも息子が頑張り始めてるし、三澤さんとこは”世界の彩奈”になってますしね。

萩原:活躍されてますねぇ。

辰巳:これからますます活躍を期待したいところですが。まずは乾杯したいと思います。
今日は白ワインでーす!

全員:カンパ~イ🎶

「SALZ BERG Koshu 2021」
https://store.shopping.yahoo.co.jp/enzanwine/s0001.html

辰巳:シェフ、いかがでしょ?

井村:すごいフルーティーで。つい”飲みやすい”って言っちゃいますけど笑、料理とともにグイグイいきたくなるワイン。

辰巳:今月は5回収録があるので5種類のワインを萩原さんから事前に送っていただいていて、でもその順番はシェフが決めてるんですよね?

井村:そうです、料理の順番も考えて。

辰巳:これは「ザルツブルク 甲州 2021」ですね。どんなワインでしょうか?

萩原:先週「樽熟成100%にトライして失敗した」っていうお話ししましたけど、それを基にしたのがこれで。
これは樽熟成20%弱をブレンドして濾過したタイプです。最初に100%で失敗したんでブレンド、しかも自分がいちばんいいと思う比率で。
昔は「甲州って香りはいいけど水っぽい」って指摘が意外と多かったんです。造り方とか樽の組み合わせとかで、
”水っぽい”事にはならないんじゃないかなぁと思って造ったのがこのザルツベルク。これもちょっとシャルドネを意識して造ってます。

辰巳:シャルドネ好きなんすか?

萩原:好きっていうか、よく飲む。どうしても飲む機会が多いじゃないですか。
うちは欧州系のブドウ作ってない代わりに、ちょっとシャルドネっぽいワイン造りたい。

辰巳:逆にシャルドネを栽培する気持ちには?

萩原:(即答)ならないです!

辰巳:どうして?

萩原:日本の品種にこだわる、日本の気候に合っているからってこともありますけど、単純に、
欧州系の品種は手間もかかるし高くなるじゃないですか。それを日本でやることもすごく大事なことですけど、うちがあえてやらなくても。
うちの価格帯が基本2000円前後なので、(欧州系を使ったワインは)それを超える値段、3000円以上になる。
それをやるんではなくて「飲食店さんや酒屋さんが売りやすい金額」、を考えたらやっぱり『甲州』。欧州系にこだわる必要なないかな、と。

辰巳:ちなみにこれはおいくら?

萩原:これは税込2300円です。

辰巳:手もこんでるし。。。

萩原:ただ、このザルツベルクという名前はドイツ語の語呂合わせなので、「ドイツの品種使ってんの?」とか聞かれますんで
「違います」笑。

辰巳:あれでしょ、塩山(ドイツ語で塩=ザルツ、山=ベルク)という意味で、塩山の甲州にこだわってるってことでしょ?

萩原:はい、和のイメージではなく、ヨーロッパ系を意識して、もともと横文字にしようと思ってたんで。
でも塩山を英語にすると「Salt Mountain」笑。けっこう締まりないなと思って笑笑。
なくなった母方のおじぃさんがピアノの先生だったんですよね。モーツァルトが好きで、よく弾いてた記憶があって。
そのモーツァルトが生まれたところがザルツブルクなんですよ。そっからモジッたんです。

辰巳:そっかぁ。(クラシック)音楽といえば大体がイタリア語かドイツ語かですからね。
前々回のワインの名前(”萩”の意味)「Lespedesa(レスペデーザ)」、確かイタリア語でしたよね。
これもなかなかしゃれてましたしね。

辰巳:さ、今日のお料理を紹介するのが遅れました。シェフ、何でしょう?

井村:今佐渡島でメバルが獲れてまして、そのメバルにゴマをつけて焼いたものです。下はほうれん草と、そのバターのソース。

辰巳:なんか和風っぽいですね。このワインに合わせて?

井村:ほうれん草の胡麻和えがこのワインと一緒に食べると美味しいんじゃないかなと思いまして。

辰巳:では食べてみたいと思います。

全員:いただきます!!!

「佐渡島のメバルのポワレ ごま風味 ほうれん草のソースとソテー」
(お店で提供される際のフルポーションです。番組中出演者にはスモールポーションにて提供されているため、
上記の写真と見た目の表現が違うことがありますが、味に変わりはありません。)

辰巳:メバルってイメージは春ですけど。

井村:そうなんですけどね。今エルニーニョ現象で魚の時期が変わってきてまして。

辰巳:うん、ホロホロと身離れのいい美味しいメバルですね。あとゴマの香ばしさと。この辺がワインの樽感とマッチしてるんですかねぇ?

萩原:美味しいっす。僕が造る白ワインって基本的に酸がしっかりしてるんですよ、酸っぱいものが好きなんで。
その僕の’酸好き’に申し訳ないほど合わしていただいてるみたいで笑。

辰巳:このお店「Villas des Marriages 多摩南大沢」にお越しいただきますと、このワインとともに今日のお料理も召し上がっていただけます。
ぜひお越しください。
では我々はこれをいただきながら、リクエスト曲を聴きたいと思います。今日はなんにしましょうか?

萩原:本日はウルフルズさんで、「バンザイ~好きでよかった~」。

辰巳:これ、”万歳”が好きでよかったって意味じゃないですよね笑笑。

萩原:ぜんぜんちゃいますね笑。

辰巳:昔「食いしん坊万歳!」やってたもんで笑。「『食いしん坊万歳!』が好きでよかった」っていう意味じゃ!?(←違いますよ)

萩原:じゃ、そういうことで汗笑。

辰巳:「バンザイ~好きでよかった~」、です。ではお聴きください。

ウルフルズ「バンザイ~好きでよかった~」(1996年)
https://www.youtube.com/watch?v=GdSg_NdtGbc

辰巳:大学卒業してワイナリーに入ったんでしょ?

萩原:いえ、実は大学途中でやめてます。

辰巳:大学はどちら?

萩原:東京農業大学です。高校の時に進路を(家業を継ぐって)決めて、ま、醸造学科に入ったんですけど、うちの会社がどんどんダメになってって
うちの親父から「キビシイ」「俺の代で閉める」ってことを聞かされて。それが原因じゃないですけどちょっと腐ってしまったところがあって、
(大学辞めてからも)少し東京にいてもいいかなと思って。その時のバイト先の社長に気に入られて、「ウチで働かないか?」って言われてたんすよ。

辰巳:何系の?

萩原:ちょっとグレー笑。

辰巳:借金取り立てとか?

萩原:そこまでじゃない爆。興業系ですかね。
親には「卒業はしてくれ」と言われてたんですけど、気持ちも体も腐ってしまって学校行けなくなってた。
だけどそのまま東京にいた方が就職先もあるし、とか。

辰巳:その時東京に好きな女性がいたとか?

萩原:もうその時から今の妻と付き合ってたんで笑。ま、その妻の両親がどっちも千葉の公務員だったんで、
「グレーの会社」にいるのはどうかな?笑、で、一旦実家帰ろう。
まだグレーの会社に(籍)残ってたんですけど、地元のJAの試験に受かって、、、。
塩山出身なんで塩山管轄に入るもんだと思ったら、隣の勝沼支所に入ったんです。やっぱそこが「僕の中の『縁』」。
勝沼はブドウとワインの産地でもあるし、うちを知ってる社長さんもいる。
「あと5~6年経っても実家潰れてなかったら、農協やめて帰りなよ」って言われたんす。

辰巳:農協に入ったのはいつですか?

萩原:僕が24歳の時なので、、、。

辰巳:2002年。

萩原:それぐらいですかね。勝沼の人たちに「帰れば?」ってずーっと言われてて、うちの息子ができた頃(まだJAの頃)、
「*アッサンブラージュの会」に誘われて行った時に「帰って頑張れよ!」と言われ、、、。

辰巳:あの会。ダイヤモンドの雨宮くん、アルプスの前島良、蒼龍の鈴木くんとかいましたよね。

萩原:僕大学やめて途中で(勉強)終わっちゃってたんで、(農協やめて)ワインセンターで1年間もう一回勉強し直して(実家に)帰ってきました。

辰巳:農協にはどれぐらいいたんですか?

萩原:5年ですかね、28~29歳まで。それから勉強し直してだから、実質この業界に入ってからまだ10年ちょっとしか経ってない。
年齢的には”中堅”ですけど実際はまだ新人みたいなもんですよ。

辰巳:奥様はそれを応援してくれた?農協にいるのと実家を継ぐのとである程度の葛藤はあったと思うし。

萩原:まぁ「この人いずれやる(継ぐ)んでしょ」っていう感じではいたと思います。逆に「いつやるの?」っと思ってたかも。

辰巳:僕が最初に訪れたのは、それから4年目ぐらいの頃だったんですね。”とんがった”というか、”すごいちゃんとした自分のポリシーを持った
若き30代の造り手”っていう印象が強かった。

萩原:当時はけっこうチヤホヤされましたねぇ笑、「アッサンブラージュの会」も。みんな30代だったのでアイドル級の扱いで。
僕的にはヤだったんすけど(疑)。

辰巳:あの会は仲よかったんですか?

萩原:よかったです。今でも仲良いですよ笑。

辰巳:5人もいたらそれぞれ、ねぇ。

萩原:いやいや、そういうことは・・・。

辰巳:ドメーヌQの、

萩原:久保寺さんもいます。当時は日本のワインって「やっと美味しくなってきた」ところで、
グループで活動してた方が(イヴェント等に)呼ばれてたんですよ。
今はワイン会とか開いてもらったり個々でお仕事できるようになっちゃったので、グループとしての活動はしてないんですけど。
(*アッサンブラージュの会:1970年代に山梨で生まれた若手醸造家たちの集まりで、2000年代後半は8名ほどが名を連ねてましたが、
現在は萩原さんの他、ドメーヌQ 久保寺慎史氏、アルプスワイン 前島良氏、マルサン葡萄酒 若尾亮氏で構成されているそうです)

辰巳:いやぁ、萩原さんのそんな紆余曲折があったということを今日初めて知りました。
来週もう1回ありますんで、ここから続けたいと思います。

全員:ありがとうございました!

(お断り:番組の収録日、OA日、この原稿の掲載には時差があります。また、この番組はお招きしたゲストのワイナリーのワインと、収録会場の「Villas des Marriages 多摩南大沢」の井村貢シェフが作るお料理のマリアージュをみなさまにもお越しいただき楽しんでいただくのがコンセプトの一つですが、現時点でお店でお楽しみ頂けるワインとお料理のマリアージュの詳細については直接お店にお問い合わせください。)

塩山洋酒醸造株式会社
http://www.enzanwine.co.jp

News Data

ヴィラ・デ・マリアージュpresents 「辰巳琢郎の日本ワインde乾杯!」

2022年12月22日放送回

ワイナリー

塩山洋酒醸造株式会社
http://www.enzanwine.co.jp

収録会場

ヴィラ・デ・マリアージュ多摩
https://villasdesmariages.com/tama/

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