ヴィラ・デ・マリアージュpresents 「辰巳琢郎の日本ワインde乾杯!」 2022年11月24日OA

2020年7月から始まったラジオ番組『ヴィラ・デ・マリアージュpresents「辰巳琢郎の日本ワインde乾杯!」』
2022年11月のゲストは(株)井筒ワイン 代表取締役社長、塚原嘉章さんです。
今年(2023年)社長の職をご子息に譲る塚原さん。置き土産(?)に自社畑を26haまで増やしましたが・・・。
最終回です、お楽しみください!(全4回 4回目)

辰巳:11月最後の回となりました。今月のお客様は長野県塩尻市からお越しいただきました、「井筒ワイン」の塚原嘉章社長です。
(いつも通り、この会場「Villas des Marriages 多摩南大沢」の井村貢シェフにも同席いただいています)

全員:よろしくお願いします!

辰巳:さ、今日はなんの話をしようかな。前回、40年近くやってきた社長を85歳にしてようやく息子さんに・・・。という話を伺いましたが、
今日はその話の先も伺おうと思います。まずは乾杯しましょう!今日は赤ワインです。

全員:カンパ~イ🎶

「NACメルロー[樽熟]2019」
https://shop.izutsuwine.co.jp/products/48

辰巳:これはまたしっかりとしたワイン。2019年のバレルエイジング、メルロー[樽熟]でございます。
井村シェフ、いかがですか?

井村:喉の奥から香りがフヮぁっと来て、鼻から抜けていって・・・すごい余韻が残る楽しいワインだと思います。

辰巳:井村シェフはこの番組が始まる前まで(2020年7月以前)はほとんど日本ワイン飲んだことなかったんですけどね。
それ以降は毎週毎週飲んで(それに合わせるお料理を作って)今では日本ワインのエキスパートですよ。
(専門が)フランス料理だからフランスワイン中心だったと思いますが、日本ワインはどうですか?

井村:最近思うのは、「日本の気候風土でワイン飲むんだったら『日本ワイン』の方が合うんじゃないか?」
料理のジャンル問わずに(日本の)食材にもマッチしますし。

辰巳:このお店「Villas des Marriages 多摩南大沢」は日本ワインを多い時で8~10種類ぐらいグラスで飲める”日本ワインの聖地”です。
日本ワインと地元八王子の食材を使ったお料理を楽しもうと思ったら、わざわざ足を運んでいただく。っという流れを作りたいもんです。

塚原:交通が不便でも素晴らしいところです。

辰巳:小さな遠足だと思って来ていただければ。

辰巳:大企業では社長さんが会長さんになって、会社は新しい社長さんに任せて、あとは財界活動するとかそんな流れになると思うんですが、
その辺はいかがですか?オール日本のワイン界をこれからどうしていこうとかあります?

塚原:まぁ微力ながら、命が続く限りそういうことはしたいなぁと思ってはおりますよ。

辰巳:具体的には?

塚原:長野県のワインを海外に知らしめるために、まずはブドウをしっかり作ること。(長野県では)もう始まってはいますけど。

辰巳:とは言ってもね。日本ワインってそんなに量は造れませんから、たくさんは輸出できるわけじゃないですか?
まずは長野に来ていただくことでしょう?

塚原:そういうことですね。ヨーロッパに比べたら日本のワイン(の量は)微々たるものですから、品質の良いものを造って、
外国の方にも、もちろん日本の方にも飲んでいただけるような、そういうワインを目指したいですね。

辰巳:今のこの円安傾向は、日本ワインにとっては追い風ですよね?

塚原:そう思ってます。

辰巳:ボージョレ・ヌーボーも今年すごく高くなるじゃないですか。(←この回の収録は2022年10月27日でした)

塚原:1.5倍から2倍ぐらいになる予定ですね。

辰巳:だからフランスのヌーボーよりも「日本の新酒ないかー!?」って酒屋さんが探し回ってるって聞きましたけど?

塚原:そういう向きはありますね。でもブドウの量は決まってますから、その量しか造れない。なかなか難しいとこです。

辰巳:今年はコンコードとナイヤガラの出来が今ひとつであまり造れなかったという話も、、、。

塚原:そうですね。平年の1割減ぐらい。1割でも大きいです。

辰巳:さ、お料理がやって来ました。シェフ、このお料理はなんでしょうか?

井村:今日は鴨とキノコと栗の料理です。シャラン産の鴨、マッシュルームほか5種類ぐらいのキノコと栗。
玉ねぎのエッセンスを使った甘めのソースに仕上げてます。

辰巳:いただきまーす。

「シャラン産鴨胸肉のロースト 栗とキノコのソテー」

辰巳:やっぱメルローってちょっと青い感じ、茎っぽいというか、ミントっぽいというか、はあるじゃないですか?

塚原:そうですね、(樽熟にしては)新しいからまだ青っぽさはあります。

辰巳:これももうちょっと熟成した方がいいかと。

塚原:まだ1年ぐらいは早いと思いますよ。

辰巳:3年でも5年でもいけそう。

辰巳:このお料理、もう少しいただきたいので、曲を聴きながら食べたいと思いますが。
今日は何にしましょう?

塚原:若干熟成してるメルローですから、ちょっとクラシックをお願いしたいですね。

辰巳:クラシックもお好きなんですか?

塚原:好きですよ。

辰巳:その中でも何を?

塚原:ドヴォルザークの交響曲「新世界」をお願いしたいね。

辰巳:これ結構長い曲だからこれかけたら番組終わっちゃう笑。

塚原:さわりだけでいいですよ~。

辰巳:チェコの人なんですけど、アメリカに渡っていろんな刺激を受けて。ジャズとか黒人の音楽にも影響だったり、
それからすごく和風のテイストもありますよね。なんか懐かしい感じもします。
言われてみれば、このメルローに合いそうな気がします。

ドヴォルザーク 交響曲第9番[新世界より]
https://www.youtube.com/watch?v=Mktup3NgjPk
(上記は「カラヤン/ウィーンフィル 1985」の音源です。第4楽章の一部を抜粋して放送しました)

辰巳:はい、ドヴォルザークの「新世界より」でしたけど、本当に、不思議に合ってましたね、このワインとこの鴨と。
土着な雰囲気で懐かしいイメージがしました。「ワインとクラシック」やっぱり面白い、もうちょっと突き詰めたいな。
塚原社長の音楽の幅も広いですね。歌謡曲、演歌からクラシックまで。

塚原:特にクラシックはね、わりとライトなものからベートーヴェンみたいな重いのもあるでしょ?ワインもそっくり。
「この辺のワインはこの辺の曲だな」っていつもイメージしながら・・・。

辰巳:昔クラシックってね、「なんで西洋音楽を日本人が演るんだ?聴くんだ?」って思ってました。ワインも然りで。
日本には日本酒もあるし焼酎もあるし、なんでワインなんだ?って。それに対して日本のワイナリーの当主としてのお答えはありますか?

塚原:う~ん、難しい。
やっぱり日本人に合った酒は昔はやっぱり日本酒。そこにワインが約60年前に乗り込んできた。
日本にワインが入ってきたのはもうちょっと前ですけど、日本で一般的に飲まれるようになったのは昭和55年ごろ。

辰巳:日本でワインのテレビコマーシャルが始まった頃ですよね。

塚原:どういうわけだろうと考えたら、昭和40年代から50年代にかけて和食を食べてた日本人が洋食に変わってきたでしょ?
それとワインはマッチしてますね。そういう意味では「ワインを好む日本人」と「日本酒を好む和食文化の日本人」、
これから二極化すると思う。

辰巳:二極化ですか。シェフはどう思います?

井村:人の好みは様々ですし、なんとも言えないんですけど・・・”ワインが好きな人は西洋文化が好き”だと、
お客様を見ているとそんな感じはしてます。

辰巳:僕は『日本ワイン=日本酒』だと思ってるんで。だから和食に日本ワインを合わせるのもしょっちゅうですし、
逆にフレンチに日本酒を合わせるのもわりといいんですよ。

井村:ありますね。

辰巳:例えばブルーチーズなんてね、赤ワインより大吟醸の方が・・・。
二極化はどちらかというと「白黒つける」感じですけど、日本の文化は「グレーゾーン」というか。
二極化に行く力は確実に働いてると思いますけど、もうちょっと巧い融合化ができないかなぁと。

塚原:まぁ日本人の文化ってそうですよね。宗教から何から”和洋折衷”。食べ物もスポーツも。
辰巳さんおっしゃる通り、これからますます流行ってくるのかな?

辰巳:インバウンドの人たちが、日本に来たら日本酒じゃなしに「日本ワイン」をどう思わせるか?じゃないかなぁと思ってるんですよね。
何れにしても(日本ワイン自体の)量が少ない。これが弱点。
井筒ワインさんはこれからもっと畑や生産量を増やそうとか?

塚原:いや、もうねぇ、第一次計画は終わりました、今年(2022年)で。全部で26haです。

辰巳:!!! 前回か、12haとか仰ってませんでした?

塚原:それ岩垂原だけ。あとは桔梗ヶ原と奈良井川と、あともう一つ、
標高が桔梗が原より100m高い小曽部(こそぶ)というところがあるんですよ。

辰巳:どこ?

塚原:桔梗が原の南西の方で(標高)840mある。これから温暖化が進むんじゃないか?、を鑑みて投資した。そこだけで5haです。
ここで造成全部終わって26ha。まぁまぁこの辺で(今後やっていこう)、って感じです。
それで私が退いて、来年(2023年)から息子に譲る、と。

辰巳:息子さんなんか言ってます?「オヤジ退いたらオレはこんなことやりたい」とか。

塚原:「こんなに畑増やしてどうするんだ!?」笑。でもある程度投資もしないとね。

辰巳:投資して借金作って息子に譲る?笑笑。

塚原:そうそう、基本です笑笑。

辰巳:でもそういう”プレッシャー”、というか”刺激”はいいんじゃないですか?
今嘉之さんおいくつでしたっけ?

塚原:53、独身。

辰巳:そうか、お孫さんいないんだ。

塚原:娘2人にはいるけど。

辰巳:じゃぁ5代目計画もしなくちゃいけませんけど。嘉之さんはまだ結婚する気満々でしょ?

塚原:・・・ちょっとこの頃わからないね汗笑。

辰巳:お父さん(塚原社長)が8回ぐらいお見合いしてましたけど、息子さんもしてないんすか?

塚原:その倍してますね爆。でも今そんな時代じゃないじゃないですか。SNSで自分をどんどん見せちゃうのが流行ってますから。

辰巳:流行ってますけど、成果出せないとダメじゃないですか(←ぁ、言っちゃダメなやつ)
僕もちょっと頭の片隅に置いておきますんで。*ラジオをお聴きの皆さんも、我と思う方はぜひご応募いただければ笑。
年の差はあってもいいとのことです笑笑。井筒ワインに嫁ぐ方絶賛募集中です。
・・・こんなことでいいんでしょうか笑。
(*実際には公募しておりません、あしからずご了承ください)

塚原:ありがとうございます。

辰巳:なんか最後、話が不思議な方向に向かいましたが、11月のお客様は、長野県塩尻市の「井筒ワイン」、塚原嘉章社長でした。

全員:ありがとうございました!

(お断り:番組の収録日、OA日、この原稿の掲載には時差があります。また、この番組はお招きしたゲストのワイナリーのワインと、収録会場の「Villas des Marriages 多摩南大沢」の井村貢シェフが作るお料理のマリアージュをみなさまにもお越しいただき楽しんでいただくのがコンセプトの一つですが、現時点でお店でお楽しみ頂けるワインとお料理のマリアージュの詳細については直接お店にお問い合わせください。)

http://www.izutsuwine.co.jp

News Data

ヴィラ・デ・マリアージュpresents 「辰巳琢郎の日本ワインde乾杯!」

2022年11月24日放送回

ワイナリー

株式会社井筒ワイン
http://www.izutsuwine.co.jp

収録会場

ヴィラ・デ・マリアージュ多摩
https://villasdesmariages.com/tama/

「日本のワインを愛する会」入会申込

登録無料

入会申込フォーム