ヴィラ・デ・マリアージュpresents 「辰巳琢郎の日本ワインde乾杯!」 2022年9月29日OA

2020年7月から始まったラジオ番組『ヴィラ・デ・マリアージュpresents「辰巳琢郎の日本ワインde乾杯!」』
2022年9月のゲストは(株)キャメルファームワイナリーの木下正行さんです。
フランスから帰国してからもワイン道を突き進んで現職に就いた木下さん。
今回は「余市のピノ・ノワール」を飲みながら『ピノ・ノワール』という品種についてどっぷり語る最終回。(全4回 4回目)

辰巳:9月の最後の放送となりました。今月のお客様は北海道余市からお越しくださいました、
「キャメルファームワイナリー」の木下正行さんです!
(いつも通りこの会場の「Villas des Marriages 多摩南大沢」の井村貢シェフにもご同席いただいています)

全員:よろしくお願いします!

辰巳:なんかね、話がぜんぜん進まないんですよ、面白すぎて笑。出身近江八幡らしいですが、ま、大阪ですね。
こちらの井村シェフも大阪だし。だんだん関西弁混じり笑。
まずは乾杯しましょう。

全員:カンパ~イ🎶

キャメルファーム「ピノ・ノワール スペシャルセレクション 2021」
https://camelfarmwinery.jp/products/pinotnoir_specialselection2021

辰巳:今日は赤ワインでございます。白のスパークリング、ロゼのスパークリング、(白の)ケルナーときて今日はピノ・ノワール。

木下:はい、うちの赤の代表的な品種です。

辰巳:まず井村シェフに感想を伺いたいと思います。

井村:一言で言うと「グビグビ飲みたい」ワインですね。それぐらい美味しくて飲みやすくて、酸の度合いなんかも優しくてフルーティーで。

辰巳:”自然派”ってわけじゃないんですけど、造りがものすごくナチュラル。

木下:必要以上のものはまったく使ってないんで。

辰巳:このピノ・ノワールはドイツの「シュペートブルグンダー」のクローンではなしに?

木下:こちらはフランス系なんですよー。

辰巳:キャメルファームさんは藤本(剛)さんの畑を引き継いでやってらっしゃるんですけど。藤本さんは元々フランス系でしたっけ?

木下:”ピノ・ノワールを造る”と言うところではそこをけっこう重視してたみたいですね。
ディジョンクローンはギュッとしててハイカビ病になりやすいんでバラ房で。

辰巳:だんだん専門的になってきましたが、この番組なかなか専門的な方も聴いてらっしゃるので・・・。

木下:いや、これに関してはワタシも即答できない。

辰巳:醸造家でも栽培家でもないのでね。

木下:ずっと海に入ってるとか言わないでくださいね笑笑(←バリバリ現役サーファー)。

辰巳:サーファーでもありフェンシングもやっててそれから酒の販売、フランス留学・・・。
リヨンでW杯フランス大会の頃ソムリエとして働いてて、人気者でブイブイ言わしてたと笑。

木下:”ブイブイ”はちょっと語弊があります笑。

辰巳:だってレストランで15テーブル任されてチップで生活できてたって、ねぇ。
それで1年半で日本に帰ってきた。今日はそっからの話です。なんで日本に帰ってきたんですか?

木下:やはり世界にはいいワインがたくさんあって、これを「自分の生まれ育った日本で紹介していきたいな」っていう思いが
いちばん強かったですね。海外に出ると特に日本への愛情が深くなる。もっと知りたいというか。

辰巳:海外に出ると日本への理解が変わりますよね?僕は海外に住んだことはないですが、
自分で企画したツアーなんかで何十回と海外へ行ってますが、その度に”日本”というものを意識はします。
そういう流れで「グローバルなお酒」としてワインがある。でも日本には日本のワインがある、「日本人には日本人が向いたワインがあるはずや」。
木下さんもそんな感じ?

木下:はい、おっしゃる通りですっ!考えがシンプルな方なんで、辰巳さんがおっしゃったようなことを
とにかくカラダ動かしてやってる感じです。単純な人間ですホントに。

辰巳:じゃ、フランスの女性より日本の女性の方がいいと思った?笑。

木下:ぁ、あのー、、、やっぱり”心をつなぎ合わせるのには”日本女性の方がいいなと思ったのは確かです。ってなんて話させるんですかっ!? 爆。

辰巳:だってね、フランスで生活したりしてるとまず「フランス語もっと覚えたい」。と思うとフランスの女性と付き合いたいと思うでしょ?

木下:付き合いましたしー爆(←まさかのあっさり白状)。

辰巳:それで修羅場になって帰ってきたとか?笑笑。

木下:いえいえ、逆です。(彼女が)ぜひ日本に行って一緒に・・・。ただこっちが「やりたいことがあるんで」と。

辰巳:ってことは向こうの金髪の青い目の彼女をふって?笑。

木下:正解!でも目はグリーンでした爆。ってなんの話ですか!?

辰巳:いやぁ、話は面白くなくちゃ笑笑。

木下:これ問題・・・。この話は会社でもさすがにしてない汗。

辰巳:今の話どこまでホント?

木下:全部ホント爆。ワタシ嘘大嫌いなんで笑。

辰巳:グリーンの瞳。

木下:ん。

辰巳:いくつぐらいの時の話?

木下:25~26歳の頃ですね。

辰巳:ほんとは来週も話ししたいんだけど今日最終回でできないんでなんとか今週中に笑笑。
で、日本に帰ってきてからはどうされたんですか?

木下:「世界のソムリエ選手権に出て行こう!」っていうんで、そういうバックグランドがあるホテルに入ったんですけど、
”私のスタイルみたいなソムリエは今必要ないな”と感じまして。

辰巳:”私みたいなスタイル”って?

木下:例えば「できるだけ安くて美味しいワインを料理とマリアージュしていただける」とか・・・。

辰巳:だってそれが基本じゃないですか!

木下:ビジネスいろいろありますから。そこは想像にお任せします笑。

辰巳:ま、そこの方針と合わなくって?笑。

木下:だったら自分の探したワインをインポートしていこうとか、あとは(ワイン)スクールの講師だったり。
この頃っていうのは赤ワインが世の中から全て消えるような、ワインの専門店をどんどん作っていこうっていう時代。
もうなんでも売れました。そのうちディスカウントショップが「このままではダメだ」とお店の中にセラーを作って
専門店化していく流れもあって、そういうアドバイスをしたりしてましたね。

辰巳:そういう飲食のコンサルティングみたいなことですか?

木下:飲食、ショップ、ソムリエとしてのアドバイザー、、、あとは免許をどうやって取ったらいいかみたいなスクール的なこと、、、。
その時はインポートを中心に幅広く2年ぐらいやりましたかね。

辰巳:シェフはその頃は?(1998年ごろ)

井村:それこそ下っ端でハウステンボスで働いてました。

辰巳:上柿本さんの元でオープンして間もない頃ですよね?

井村:そうです。

辰巳:ぁw、今日のお料理を紹介するのすっかり忘れてました。
今日はなんでしょ?

井村:フランスシャラン産の鴨とバターナッツかぼちゃをいっしょにローストして、ピーナッツとくるみのソースにしてあります。

全員:いただきます!

「シャラン産鴨胸肉とバターナッツカボチャのロティ くるみのソース」

井村:ちょっと厚切りにしてあるんですけど、この鴨をモシャモシャしながらこのワインを飲んでいただけるといいかな。

辰巳:ピノ・ノワールにはこういう血の香りがいいですね。

木下:そうですね。しかもミネラルが余市のワインにはすごく映えるのでピッタリです。さすがでございます!

辰巳:ホントにすごくいい。ではこれを食べながら曲を聴きましょう。最後のリクエスト曲はなんでしょうか?

木下:「Smile」です。エミ・マイヤーさんが歌ってるヴァージョンをお願いします。

Emi Meyer “Smile”(2005年)
https://www.youtube.com/watch?v=aVIxUqg55R8
(写真はエミ・マイヤーオフィシャルウェブサイトからお借りしました)

辰巳:なんとなくけだるい感じのヴァージョンでしたけどどうしてこの曲を?

木下:元々はチャップリンが作曲してるんですけど、、、。

辰巳:あ、そうか。それで懐かしい感じが。これなんの映画でしたっけ?

木下:この曲はたくさんカバーされてるんですけど、その中でもこのエミ・マイヤーさんは京都で生まれてその後海外で活躍されてて。
その彼女の持つ雰囲気とかが、このピノ・ノワールにすごいいいなと思ったんです。
ピノ・ノワールってホント難しい品種なんですけど、北海道の余市の地で最高のピノを作るために大変な思いをしながら
「笑顔で頑張っていこうぜっ!」っていう思いを込めて。

辰巳:その感じ、すごくわかります。あーそうか、これチャップリンの「モダンタイムズ」だ。機械での流れ作業の中で
歯車の人間になる素晴らしい物語でした。私の中学校時代、ラジオでは「ヒットでヒット ガチョンといこう」という浜村淳さんの番組で
情報得てたんですけどね。もうぜんっっぶネタバレなんですけど観てない映画でも観た気にさせる・・・笑。

木下:爆。

辰巳:もう大好きな浜村淳さん。ってなんの話や?笑笑。
それはそうとして、この歌、この声もピノ・ノワールを連想させるというのはわかります。
ちょっとだけ真面目な質問しますけど、いや、ずっと真面目な質問ばっかりなつもりなんですけど(ぇw)笑。

木下:それが怖いんですけど笑笑。

辰巳:日本においてピノ・ノワールはすごく頑張ってきてすごく良くなってきてるんですけど、「日本でピノ・ノワールを作る意味」。
今の日本でのピノ・ノワール、どこのこれがいいとかいろいろ個人的な感想でいいんですけどどう思いますか?

木下:リヨンでソムリエを経験させてもらってたこともあって、思入れもあるし、やっぱりブルゴーニュが大好きで。
もちろんシャンパーニュもたくさんあるんですけどブルゴーニュが多い。その中でもいちばん冷涼な*リージョン1で作る
ピノ・ノワールが酸度も含めて難しいんですけど、きちんと仕上げてくれる。それを目指して追求していきたいと思ってます。
世界のリージョンが温暖化によってどんどん変わって行く中で、’余市という産地’が今後さらに注目されると思うので、
このピノ・ノワール作るにはすごく向いてると思ってます。
(*リージョン 参考サイト:https://tomiwine.com/jsa-region

辰巳:産地的には余市がいいと?

木下:他の産地は正直わからないです。とにかくブルゴーニュのような繊細でありつつ力強さもあるようなピノ・ノワールを作るには
向いてると思います。

辰巳:曽我貴彦くん(のワイン)が世界のトップレストランのワインメニューにオンリストされたりしてますけど、その辺はどう感じます?

木下:この余市で地に足つけて作られてるし、ホント素晴らしいと思います。私もよく飲んでるんですけど、、、。

辰巳:でも(キャメルファームとは)スタイルが違うじゃないですか?

木下:そうなんです、目指してるところが違うというか。テロワールも含めてそこはもう近いとはいえ、若干違うところはある。
クローンも違ったり。皆さんにはいろんなピノ(・ノワール)が出てきて楽しんでいただけたらなぁとも思ってますので。
うちはヨーロッパ、特にフランスのブルゴーニュを意識しながらこのピノ・ノワールを高めていきたいなと思ってます。
あと余市ってのはミネラル(鉄分)を感じやすいロケーション、それとちょっとバルサミコのニュアンスを感じるのが特徴だと思ってるんですよね。
赤なんですけどミントっぽい感じもあったり「余市らしいミネラル」が好きで。ブルゴーニュとは違うニュアンスがあって、
この先も余市のテロワールをどんどん追求していきたいと思います。

辰巳:そうしないと意味はないですもんね。世界各国で「ブルゴーニュに追いつけ追い越せ!」でピノ・ノワールは作られてますけど、
やっぱりそれじゃつまんないですもんねぇ。

木下:「デカンター・ワールド・ワイン・アワード」でもこの上のレンジの「プラーベート・リザーブ」がゴールドメダルをいただいたんです。
「インターナショナル・ワイン・チャレンジ」でも。。。

辰巳:それはおめでとうございます!ヴィンテージは?

木下:2019年がダイヤモンドでした。そういう意味ではピノ・ノワールは世界で形作ってきてるので、「日本でもいいピノ作ってるよ」っていう
のを続けていきたいな、世界の人に知っていただきたいな、と思っています。

辰巳:ちなみにこのワインおいくらですか?

木下:5500円です。

辰巳:これは税込でしょ?

木下:残念ながら税別で爆。

辰巳:ってことは(税込で)6000円超えるんですね。どうですかシェフ、この店で使えますか?

井村:大丈夫です汗。

木下:ありがとうございます!この前のビンテージのピノ・ノワールセレクション(2020年)が、ゴールドメダル。
日本のピノ・ノワールがあの舞台で獲れるというのは10年20年かかるくらい相当難しいと思ってたのが
今回評価されてとてもありがたいと思ってます。

辰巳:先ずはブドウの力?

木下:その通りです!藤本(剛)さんから受け継いだブドウがすべてだと思います。

辰巳:木下さん、いろんなワインがお好きでしょうけど、いちばん好きな品種は?

木下:我が家のセラーを見る限り、結局シャンパーニュとピノ・ノワール・・・漏笑。ボンタン騎士団でもあるんで、
もちろんボルドーもあるんですけど、、、。

辰巳:日本ワインを造られてる身でありながらそういうのはちょっとねぇ・・・許せんな的な笑笑。
カリフォルニアに行った時、お金持ちのお家でもレストランでもブルゴーニュのワインばっかり置いてるんすよ。
それって違うんじゃないかなぁと笑。

木下:今責められてるんすね笑笑。

辰巳:ちょ、ちょっとだけ。でも”好き”はあっていい。

木下:これはもう「個人の」趣味の世界の話で、仕事はまっったく別で考えております。

辰巳:なるほどね、サーフィンも別だし笑。ま、僕も日本ワインは「ヤマブドウ」好きを自称してますけど「リースリング」好きだしね。
あの繊細さはスゴイ。北海道でリースリングもっと作れればいいなと思ってるんですけどね。

木下:おっしゃる通りですね。北海道ワインさんの鶴沼のリースリング、メチャクチャ美味しですよねぇ。

辰巳:北海道ワインさんでリースリング!?(←珍しく辰巳さん知りませんでした)。じゃ、今度。
あそこはゲヴュルツ(・トラミネール)が美味しいんですけどね。

辰巳:キャメルファームさん、始めて10年?

木下:うちは2014年からブドウ畑始めたので8年。まだまだです。

辰巳:でも”余市”を引っ張ってるエンジンにはなっていて、こういう木下さんみたいな面白い笑、渋い笑、人がやってらっしゃるバランス。
、か、アンバランスかわかりませんけど笑笑。これからも楽しみですね。シェフもぜひこれからよろしくお願いします!

木下:余市でお待ちしております!

辰巳:ということで時間になってしまいました。9月のお客様は北海道余市「キャメルファームワイナリー」の木下正行さんでした。

全員:ありがとうございました!

(お断り:番組の収録日、OA日、この原稿の掲載には時差があります。また、この番組はお招きしたゲストのワイナリーのワインと、収録会場の「Villas des Marriages 多摩南大沢」の井村貢シェフが作るお料理のマリアージュをみなさまにもお越しいただき楽しんでいただくのがコンセプトの一つですが、現時点でお店でお楽しみ頂けるワインとお料理のマリアージュの詳細については直接お店にお問い合わせください。)

https://camelfarm.co.jp

News Data

ヴィラ・デ・マリアージュpresents 「辰巳琢郎の日本ワインde乾杯!」

2022年9月29日放送回

ワイナリー

キャメルファームワイナリー
https://camelfarm.co.jp

収録会場

ヴィラ・デ・マリアージュ多摩
https://villasdesmariages.com/tama/

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