ヴィラ・デ・マリアージュpresents 「辰巳琢郎の日本ワインde乾杯!」 2022年9月15日OA

2020年7月から始まったラジオ番組『ヴィラ・デ・マリアージュpresents「辰巳琢郎の日本ワインde乾杯!」』
2022年9月のゲストは(株)キャメルファームワイナリーの木下正行さんです。
学生時代はフェンシング、今は「ワインとサーフィン」でできている木下さん笑。
今週はロゼスパークリングを飲みながら、そのレジェント(レゲント)という品種について語ります。(全4回 2回目)

辰巳:9月15日、2回目の放送になりました。お客様は北海道余市から来ていただきました「キャメルファームワイナリー」の
木下正行さんです。
(いつも通りこの会場「Villas des Marriages 多摩南大沢」の井村貢シェフにもご同席いただいています)

全員:よろしくお願いします!

辰巳:9月15日って敬老の日だったんですけどねぇ(←どっぷり昭和です)。今なんでしたっけ?ビックリマンデー?
ぁ、ハッピーマンデーか爆。祝日の日付が覚えられないってなんか嫌ですね。

木下:(祝日が)新しく作られたりもしましたしね。

辰巳:作られるのはいいけど日にちを固定してほしいんですよ。「成人の日は1月15日」って完全にインプットされてるのに、1月の第2月曜とかって。。。
我々オジさんにはあまり変化をきたして欲しくないっ!笑。なんで連休にしなくちゃいけないのか未だにわからない。
というわけで木下さん、よろしくお願いします。先週は白(ケルナー)のスパークリングワインでしたけど、今日はロゼのスパークリングワインです。
では乾杯しましょう!

全員:カンパ~イ🎶

キャメルファームワイナリー「REGENT Brut Rose 2021」
https://camelfarmwinery.jp/products/regent_brut_rose2021

辰巳:渋みがちょっとある中で、甘い感じも残ってていい酸が後から追いかけてきます。

木下:余市らしさの酸とミネラルは出てるかなと。黒ブドウのレジェント(品種)から出来たロゼです。

辰巳:井村シェフ、このワイン多分初めてだと思うんですけどいかがですか?

井村:香りが豊かだしスッキリしてますね。ワイン初心者の方でも飲みやすいんじゃないかと思います。

辰巳:やっぱりね、ワインは飲んでまず美味しいし、そして料理に合わせやすいのがいちばんだと思うんですけど。
このワインに合わせた今日のお料理は?

井村:なすとトマトをマリネしたものに水ダコ。このタコの食感にロゼを合わせてみました。
アクセントは地元の「八王子黄金生姜」ってのがありまして、上にそれを乗せてます。

辰巳:真ダコでなしに水ダコっていうのはやっぱり北海道を意識したからですか?

井村:そうです、『北海道の』水ダコです。

木下:ありがとうございます!

辰巳:その辺は読み解かなくちゃ笑。
ではいただきます!


「水ダコのマリネ 八王子黄金生姜添え」

辰巳:この、ちょっとした生姜の香りとワインが合いますね。

木下:ほんとですね。この味のふくよかさと黒ブドウから造る泡のワインは、まるで洗い流していただいているようで
すごくマリアージュしている感じがします。

辰巳:この赤いのは?

井村:ビーツです。ちょっと土の香りがします。

辰巳:レゲント。レジェントとも読みますけど日本では一般的に”レゲント”。ドイツ系の後交配品種ですよね?

木下:そうです。交配いろいろさせてるのでハイブリッド。栽培するのもすごい楽でいい品種なんですけどワインにするにはすごい難しい品種なんです。

辰巳:どうしてですか?

木下:けっこうワイルドなグリーンのニュアンスも持っているので、”完熟させたらこのニュアンスは無くなるのか?”とか
どういう形で熟成させたらいいのか・・・とか。
最初は赤ワインから始まってスパークリング、白(ブランド・ノワール)も造ったりして、到達した答えがコレ。

辰巳:あれ、赤のスパークリングもなかったですか?

木下:さすが!一時期造ったこともあります。これは私たちの思ったものよりはエグミが少し出すぎたので、
(レゲントを)表現するにはこのロゼがいちばんいいなと。

辰巳:色素がかなり強いからロゼに仕上げるのけっこう難しいんじゃないですか?

木下:そうです。やさし~く絞りをやらないとこのいい色がついてくれなので。醸造家は大変ですが、
もう30年ぐらいワイン造ってるイタリア人なんで。(リッカルド・)コタレッラさんの元で10年ぐらいやってましたし、
けっこう有名なシャンパーニュのメゾンにもいたし。

辰巳:キャメルファームのワイナリーはじゃぁイタリア人が指揮して?

木下:はい、余市に住んでます。日本語はできないんですけど、イタリアで8年醸造やってた人が副醸造長でうちに入ってくれたので。
イタリアの北のほうで醸造やってました江澤(允俊)という人間がいます。

辰巳:こちらのワイナリーはやっぱり資本力が笑。

木下:いやいやいやいや、辰巳さん。そこはなかなかですね、お金で買えないものがいろいろ。テロワールの中で一番大事なのはやっぱり”人”。
「心のある人が集まる」ワイナリーにしたかったので、そこをとにかく意識してます。

辰巳:ワイナリーの設備にしても素晴らしですよね。綺麗な近代的なタンクがダァァァっと並んで圧力タンクも並んでて
最初はスパークリングを造ってたんですよね?

木下:やっぱり北の冷涼な地域なので、シャンパーニュ方式とシャルマー方式のスパークリングワインはメチャクチャ向いてるだろうなと思ってました。
それがこのワインにはバッチリ表現されてるので。8tのシャルマータンクが6基あるのは日本でもなかなかないかなぁと。

辰巳:マンズワインさんが買い足して今7~8本あるのかな。

木下:ぁ、そうですか。その他温度管理できるタンクは合わせて45基あります。

辰巳:驚!!!すごいですねぇ。

辰巳:それにしてもこの「レゲント」という品種、キャメルファームでは「レジェント」と言ってますが、
何か頑なに固辞してるとかあるんですか?

木下:いやいや、そういうのはまったくないです。海外のワインの仕入れをやってたんですけど、’レゲント’ってどうしても
ドイツの赤ワインの品種で甘みが強くてっていうイメージなんです。でもこれはそういうのではないんで、新しい切り口として
どういう風に育てればいいのか?藤本(剛)さんが大事に育ててくれてたブドウなんで。

辰巳:藤本さんが既に植えられてたんですか?

木下:そうです。日本では藤本さんともう一人しか作ってなくて。

辰巳;今はもう少し増えてません?

木下:いえ、これ(レジェンド)は門外不出というか。。。この2名以外は木も流出してないので、、、。

辰巳:あれ、*宝水ワイナリーさんが確か造ってたような。。。
どうなんでしょう?これからもう少し日本で増えるのか???
こんな感じのロゼができるならいいと思うんですけど。
(*確かに、宝水ワイナリーさんにはレゲントを使ったワインがいくつかあるようです)

木下:”作りやすい”のは間違いないです。黒ブドウの中では相当作りやすい。

辰巳:受精も簡単?病気にも強い?

木下:はい、その通りです。冷涼な産地では結構早く色もつくし早く熟成もする。病気も少ない。

辰巳:ケルナーはどうなんですか?

木下:難しいです!ミュラー・トゥルガウやシルヴァーナよりはマシですけど、ケルナーもハイカビ病になりやすいし、
畑仕事をしっかりやっていかないと。

辰巳:このレジェンドはミュラーやシルヴァーナの血を引いてる?

木下:そうです、いろんな品種の掛け合わせ。メチャメチャ作りやすいんです。うちはほぼオーガニック。

辰巳:多産系?

木下:おっしゃる通り。でもうちは上げずにけっこう落とします。

辰巳:でもこういうワイン造るなら、ある程度伸ばして単価安くしてガブ飲みできるワインもできるんじゃ?

木下:なるほど。それも一つの考え方だと思います、その通りなんです。ただ、「安くしてもっと飲んでもらう」のと
「安くして個性を失くす」のが反比例していくんです。これはもうワイナリーの考え方。
私としては、例えば10万本のワインを売るとして経営的に売り上げも上げていかなければ永続的に発展していかないと思うので。

辰巳:全国400店舗のカルディを展開する中で10万本売るとなると?

木下:残念ながら今はうちのワイナリーでは5万本までしか造れない。でも13h+全体で16ha畑があるので今後は(タンク)増やすこともできますし、
マックス15万本まではできるなと、考えております笑。

辰巳:すごく安定した品質で順調に造られているワイナリーなんで、期待は大きいです。

木下:ありがとうございます!そう言っていただけると。とにかく畑仕事に命をかけて、できる限りそこに時間を費やしていいブドウを作る。
そっからワインに仕上げるのは生物化学とかそういう勉強してきた彼らに任せて、という専門分野に任せております。

辰巳:はい、ではここで今日のリクエスト曲お願いします。

木下:ジャネット・ジャクソンの「それが愛のゆく道」、です。これ日本語読み。

辰巳:「That’s the Way Love Goes」?

木下:このセクシーさがこのワインとよく合う。

辰巳:では聴いていただきましょう。

「That’s the Way Love Goes」(1993年)
https://www.youtube.com/watch?v=2b_KfAGiglc

辰巳:ところで、木下さんはワイン業界にずっといらしたわけじゃないんですか?

木下:いや、この30数年この業界にいました。もともと新卒でこの業界。

辰巳:先ずはどこに?

木下:小売店ですね。ハワイやカリフィルニアにもお店があるところがあって、「新しく日本に酒の専門店をやる」と。
今は違う形で運営されてますけど、3階建ての店舗の2階にグランドピアノなんかを演奏している空間があったりする
ちょっと変わったお酒の専門店が30年前にできまして。

辰巳:これはどこに?

木下:大阪です。

辰巳:でしょ?なんか関西弁で話してるんですけどマジメな話は標準語になってしまう笑。生まれは大阪?

木下:滋賀です、近江商人でございます笑。今は完全にサーファーです、今朝も入ってきましたんで笑。

辰巳:今朝はどこに?

木下:地元、湘南の海です。

辰巳:今住んでるのは湘南?

木下:そうなんです。でも私の場合全国に行く用がありまして、

辰巳:やっぱり仕事よりサーフィン?笑笑。

木下:いやいや笑。車と一緒で”両輪”、ですよね。両方ないと人生バランス取れない笑。

辰巳:そりゃそうでしょうけど、でもワインよりサーフィンの方が好きでしょ?

木下:いやいやいやいや、こーれが難しいところですよね笑笑。今日も朝11時ごろから会社でテイスティングで、、、。

辰巳:だからそれは仕事でしょ?爆。

木下:だから仕事でこういうことをするのでっ。逆にしっかりと(サーフィンで)遊ばないとバランスが取れない。

辰巳:仕事が辛いと?笑笑。

木下:ワインは大好き♡ただ、ワインの好き嫌いより”ブドウのテロワール””品種””造り手さん”を評価しながら
「コストパフォーマンスを常に求めてる」ような感じ。

辰巳:確かにね。大阪人としてはそれが一番!高いだけのワインってもうね。

木下:高いだけのワインは感動がないです。

辰巳:こちらのシェフも大阪人なんですけど、どこでしたっけ?

井村:出身は住之江。沢之町に住んでました。

木下:私は滋賀の近江八幡。大学は大阪、社会人としてワインのスタートも大阪です。

辰巳:大学では何を勉強しはったんですか?

木下:私の場合は日本を代表するスポーツ(?)。実はフェンシングをやってまして、大学にはそれの推薦で。

辰巳:どちら?

木下:近畿大学、ですけどマグロは作ってないですよ爆。

辰巳:ボク一応10年以上近畿大学の客員教授ですから。

木下:あらら、ワタシそこでフェンシングを。当然その世界で就職っていう話が多かったんですけど、「あまり決められた人生は歩みたくない」という自分の性格が働きまして。全然違うところに飛び込んだのがこのワイン業界だったんです。

辰巳:就職活動して?

木下:父親がアメリカで働いてたってのもあるし、親戚も向こうにいるんでアメリカに行こうかなと思ってたんですけど。
タイミング的に今じゃないなと。

辰巳:バブルの頃?

木下:いえ、団塊の世代Jr.の頃だったのでチョー厳しい時代です。

辰巳:氷河期入った頃?

木下:メチャメチャ入ってました。

辰巳:ワインの世界にはどうして?ワインが好きだったから?

木下:体育会系だったんで今と違って飲み方が”ムチャな時代”笑笑。(←わかる世代にはわかります)
だからお酒が好きになる要素がまったくなかった。なのになぜかそういう世界にズベズベと惹かれて、
その2年後にはフランスのリヨンでソムリエやらしてもらってました。

辰巳;!!! この話は来週!フランスに行くきっかけとか是非伺いたいと思いますのでよろしくお願いします!
9月のお客様は北海道余市から来ていただいてます「キャメルファームワイナリー」、木下正行さん。
ではまた来週!

全員:ありがとうございました!

(お断り:番組の収録日、OA日、この原稿の掲載には時差があります。また、この番組はお招きしたゲストのワイナリーのワインと、収録会場の「Villas des Marriages 多摩南大沢」の井村貢シェフが作るお料理のマリアージュをみなさまにもお越しいただき楽しんでいただくのがコンセプトの一つですが、現時点でお店でお楽しみ頂けるワインとお料理のマリアージュの詳細については直接お店にお問い合わせください。)

https://camelfarm.co.jp

News Data

ヴィラ・デ・マリアージュpresents 「辰巳琢郎の日本ワインde乾杯!」

2022年9月15日放送回

ワイナリー

キャメルファームワイナリー
https://camelfarm.co.jp

収録会場

ヴィラ・デ・マリアージュ多摩
https://villasdesmariages.com/tama/

「日本のワインを愛する会」入会申込

登録無料

入会申込フォーム