ヴィラ・デ・マリアージュpresents 「辰巳琢郎の日本ワインde乾杯!」 2022年8月18日OA

2020年7月から始まったラジオ番組『ヴィラ・デ・マリアージュpresents「辰巳琢郎の日本ワインde乾杯!」』
2022年8月のゲストは(株)くらむぼんワイン、4代目代表取締役社長の野沢たかひこさんです。
「F1」に憧れて大学は理系に進学するも途中でドロップアウト。「気質に合っていた」らしいフランスに脱出したのが
結果的には実家を継ぐことになりました。(全4回 2回目)

辰巳:今月のお客様は、山梨県勝沼の「くらむぼんワイン」4代目、野沢たかひこ社長です。
(いつも通り、この番組の会場「Villas des Marriages 多摩南大沢」の井村貢シェフにも同席いただいています)

全員:よろしくお願いします!

辰巳:さぁ、今週も白ワインです。先週は日本では買えない輸出用(EU仕様)の「ソルルケト」という甲州でしたが、
今日はなんでしょうか?

野沢:はい、今日は「『N』甲州」です。

辰巳:『N』は野沢のN?

野沢:そうです。自社畑のブドウを使っているのが『N』シリーズなんです。甲州、シャルドネ、カベルネとかあるんですけど
甲州は「鳥居平地区」の畑のものです。

辰巳:いわゆる勝沼の”特級畑”。

野沢:そうですね。その自社の単一畑で造った甲州です。

辰巳:高級甲州!。これはおいくらぐらい?

野沢:税込で3005円。10000円はしないですよ笑。

辰巳:では乾杯しましょう。

「N 甲州 2021」
https://kurambon.shop-pro.jp/?pid=151022049

全員:カンパ~イ🎶

辰巳:樽使ってます?

野沢:100%。天然酵母で樽発酵、樽熟成、無ろ過で瓶熟してます。

辰巳:まず樽の甘い香りが前に出てきますが、これは2021年?

野沢:そうです。それでも樽で7ヶ月ぐらい熟成させてます。だからリリースしてからまだ1ヶ月ぐらい。

辰巳:シェフいかがですか、このワイン?

井村:ベースは同じ甲州でも先週飲んだのとは全然味わいが違う。樽のせいなんでしょうか、深みがすごいあるなぁと思いました。

辰巳:新樽は?

野沢:1/3ぐらいですね。あまり樽の風味をつけたくないので、甲州の柑橘の香りを残しながら奥行きを樽でつける、みたいな。

辰巳:樽の甲州ってあんまり得意じゃない、っていうか飲む機会もあまりないんですけど。たまに飲むと美味しい♡笑。

野沢:笑。僕も”樽の甲州”苦手なのであまり香りつかないようにしてるんですけど。
もともと栽培から自然に寄り添う作り方をしていて、ボルドー液以外は化学肥料、合成農薬を使わない栽培をしてるんです。

辰巳:この自社畑の鳥居平で樽を使わないヴァージョンはあるんですか?

野沢:ないです。鳥居平のブドウの酵母は樽を使うと結構うまく発酵する。樽が休憩になるのか、酵母がうまく回るんです。

辰巳:お料理が出てきました。これはナスビですか?

井村:はい、今日は水ナスを使いました、大阪の泉州水ナス。

「泉州水なすのカルパッチョ ハモンみなかみの生ハム添え」

辰巳:ぁ、これは八王子野菜ではないんですね。最近水ナスって色んなところで作られてますけど、
水ナスといえばやっぱり泉州ですよね。

井村:そうっすね、これは岸和田の方の。

辰巳:この間ロケで岸和田の方回ってきましたけど、水ナスもハウス栽培でやってるとこがあって
そこかなぁって思ったんですけど笑。
ではいただきまーす。
ミョウガも効いてて、あと生ハムの感じが樽の感じとよく合ってる。

野沢:ワインを天然酵母で発酵させると複数の酵母一つ一つ出す成分が違うので、料理と合わせるとより風味が増すみたいな。

辰巳:なるほどー。ワインってもちろん単体でもいいですけど、やっぱり”食事に合わせてナンボですよね。
このワインとお料理のペアリングもこのお店で2ヶ月間実際にご堪能いただけます。ぜひお越しください。
今回は水ナスがいつまであるかですけどね笑。

野沢:このミョウガがすごく甲州に合いますよね。日本の薬味って柑橘香る甲州にものすごく合います。

辰巳:さぁ、お料理を口に入れたまま喋っててナンですけど笑。
先週チラッと聞いたんですが、大学は慶応の理工学部だったとか?

野沢:はい。

辰巳:もったいないっすね、中退。

野沢:笑。まぁそうなんですけど・・・。

辰巳:でもね、慶応中退ならね。学生時代「早稲田中退とかってカッコいいな」って思ってたんですけど、
「京大中退ってあんまりね」、で僕は3年留年で卒業。授業料も安かったんで自分のアルバイト料で楽に払えた。月8000円でしたから。
(←時代も違いますけどね)
で、大学はいつまで?

野沢:3年ちょっとですかね。浪人もしたんで22歳の頃。

辰巳:浪人もしてー、苦労してせっかく入ったのにぃ笑笑。親は泣いたでしょう?

野沢:ですね、親は教育系だったので”いい大学に”とは言われてたんですけど。
でもそこからは”自分の人生”、(大学辞めて)決意してフランスに渡ったんです。

辰巳:親からのプレッシャーも大変だったでしょうね。でも”海外”はフランスにしたわけでしょ?
やっぱりワインから離れられなかったんですか?

野沢:・・・ま、フランスじゃなきゃいけなかったわけじゃないんですけど、、、。
どこって考えたら「フランスに行きたいな」。

辰巳:なんで?

野沢:アメリカとかじゃないな、あまり表に出てバンバン行くタイプじゃないんで。
ちょっとクラシックな感じでワインもありますし。もしかしたらワイン好きになるかもしれないし。

辰巳:だったらイタリアでもよかったんじゃ?

野沢:ハハハ、でもイタリアってもうちょい明るい感じゃないですか。

辰巳:野沢さん暗いんですか?笑

野沢:暗くはないんですけど、フランス人ぐらいがちょうどいい笑。

辰巳:フランス人は気難しい人多い。

野沢:僕も気難しいですから笑。

辰巳:でもフランスはフランスでもニースですって?まぁニースはもともとイタリアですからね。
独立の時に取引をしてイタリアだったところをフランスに譲渡した、みたいな。

野沢:そう、隣がすぐイタリアなんでけっこう朗らかな人が多かった、観光客も多いですし。
最初に行く場所としてはよかったかな。

辰巳:で、ニースの語学学校?

野沢:フランス語学校に4ヶ月通ってホームステイをしてました。そこのママがプロヴァンスのお料理を作ってくれて、
地元の一本500円ぐらいのワインが毎回出るんですけど、その家族や友人たちとよく食べたり飲んだりして。
それが美味しくって楽しくって、そこでワインにハマったっていう感じでした。それが(ワインの)原点。

辰巳:それまでワインは飲んでなかった?だって家はワイナリーだし子供の頃から舐めさせられたりしたんじゃないんですか?

野沢:意外とない。その当時ってワインあんまり美味しくなかったじゃないですか、ワインというより’葡萄酒’というか。
ちょっと酸化してたり渋みがあったり。

辰巳:味にうるさい子供だったんですね笑笑。「自分とこワイナリーやってるけど大して美味くねーゃ」と?

野沢:いや、子供だったからだけだと思うんですけど。

辰巳:「子供の舌は正直」笑笑。それもあって継ぎたくないってのもあったんですか?

野沢:んまぁそれもありますし。一回リセットしてまたそれでワインと出会えればそれはそれでいいですし、
もしかしたらまた違う道を歩んでたかもしれないですし。
僕はたまたま(ニースで)ワインと出会ったんでこの道に進んだ。

辰巳:じゃ、ニースに行ったのは正解だったと?

野沢:ゆっくり浜辺で寝転んだりとかとにかく一回リセット。

辰巳:そんなさぁ、20代(前半で)リセットってそんな暗い人生だったんですか爆?

野沢:暗くもないけど、

辰巳:ガールフレンドは?

野沢:いやいや、学生時代はずっと独りだったんで。

辰巳:高校時代は?

野沢:ずっといなかったですよ。フランス行ってから人生目覚めてー。ワインを飲みながらちょっと脳が壊れていってー。

辰巳:じゃ、フランスで彼女できた?

野沢:いえ、帰国後日本の先輩方々にいろんなところに連れてってもらった訪問先(←ワイナリーの海外視察や飲食店など)で
いろいろな体験をしました。

辰巳:フランス、プロヴァンスのあとは?

野沢:ブルゴーニュに1年半ぐらい。そこがメインです。ブドウ栽培とワイン醸造の勉強を専門学校でしました。
ワイナリーの後継ばっかりが来るようなところ。

辰巳:きっちりそこに入ったんですね。ワイナリーの後継として?

野沢:ま、入るのは簡単なんすけど、授業がフランス語なんで、単位を取ろうとするとけっこう大変。

辰巳:そこに1年半いて卒業して?それから?

野沢:もうあと1年ぐらい居たかったんですけど、うちのワイナリーも大変だったので日本に帰りました。

辰巳:ちょっとここらでリクエスト曲を聴きたいと思います。今日は何にしましょう?

野沢:バンクバンドの「糸」という曲を。ミスチルの桜井さんとかが、ちょっとエイド的なバンドを組んで。
「糸」はもともと中島みゆきさんの曲なんですけど、それを桜井さんが歌ってるという。

辰巳:へぇ。では聴いて見ましょうバンクバンドの「糸」。

(↑こちらのアルバムに収録されています)
Bank Band 「糸」(2004年)
https://www.youtube.com/watch?v=gBE5L6eXyHo/

辰巳:なんか全然違う曲に聞こえます。
(こっちの方が)ちょっとねっとり系と言いますか情念系と言いますか。
この歌はなんか思い出あるんですか?

野沢:もともとミスチルが好きで、カラオケで歌ったりしてたんですけど。ワイナリーで仕事始めてから
「人と人との繋がりが大事だなぁ」って思いました。とあるイヴェントで、この曲を演奏してる人たちに
「ヴォーカルやってくれ」って言われて、人前で初めて歌ったのがこの曲だったんです。

辰巳:ぇw、歌~もやるんですか?

野沢:いや、やってないですけど・・・もしかしたらやるかも・・・。
「慎太郎バンド」やってる原茂ワイナリーの古屋慎太郎社長から声はかかってるんで。

辰巳:この曲の思い出って?フランスから帰ってきて向こうでお付き合いしてる女性といろいろと絡んだ糸があるとか?

野沢:そんなことはなくけっこう爽やかな笑笑。

辰巳:爽やかな「糸」笑笑。
フランスから帰ってきたのが25歳ぐらいで、そっからどこにも就職せずに実家のワイナリーに入った?

野沢:そうです、1999年。

辰巳:そうですか。その頃はちょっと赤ワインブームから入って、日本ワインも注目され始めてきたところですよね。

野沢:まぁちょこっと、ですけどね。まだまだボージョレ・ヌーヴォーとかが全盛期。

辰巳:その(くらむぼんワインの前身の)「山梨ワイン」から古民家を移築してワイナリーされてますよね?
あれはいつから?

野沢:牧丘町にもともとあった古民家の養蚕農家の建物は築140年ぐらい。
それを大正時代に移築した頃からワイン造り始めてます。

辰巳:「日本文化遺産」にも入ってますよね?

野沢:はい。他に「勝沼醸造」さん、「原茂ワイン」さん、「丸藤葡萄酒工業」さんと。

辰巳:いろいろなところでお会いしながら、野沢さんとこうやってちゃんとお話するの初めてかもしれませんね。
あと2週楽しみだな。シェフはどうですか?

井村:いやぁ、フランスと繋がりあって、しかもプロヴァンスに行かれてた。我々のこの場も「プロヴァンスがテーマ」
ですから。

辰巳:シェフはどこに(勉強に)行かれてた?

井村:プロヴァンスです、アルルの方。歳も近いしなんか親近感が笑。

辰巳:じゃぁ来週はシェフにもうちょっと突っ込んでいただいても笑。
今週はこの辺にしておきましょう。
今週のお客様は山梨県勝沼からお越しの「くらむぼんワイン」野沢たかひこ社長でした。

全員:ありがとうございました!

(お断り:番組の収録日、OA日、この原稿の掲載には時差があります。また、この番組はお招きしたゲストのワイナリーのワインと、収録会場の「Villas des Marriages 多摩南大沢」の井村貢シェフが作るお料理のマリアージュをみなさまにもお越しいただき楽しんでいただくのがコンセプトの一つですが、現時点でお店でお楽しみ頂けるワインとお料理のマリアージュの詳細については直接お店にお問い合わせください。)

株式会社 くらむぼん
https://kurambon.com/

News Data

ヴィラ・デ・マリアージュpresents 「辰巳琢郎の日本ワインde乾杯!」

2022年8月18日放送回

ワイナリー

株式会社くらむぼんワイン 
https://kurambon.com/

収録会場

ヴィラ・デ・マリアージュ多摩
https://villasdesmariages.com/tama/

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