ヴィラ・デ・マリアージュpresents 「辰巳琢郎の日本ワインde乾杯!」 2022年8月11日OA

2020年7月から始まったラジオ番組『ヴィラ・デ・マリアージュpresents「辰巳琢郎の日本ワインde乾杯!」』
2022年8月のゲストは(株)くらむぼんワイン、代表取締役社長の野沢たかひこさんです。
2013年に社名を「山梨ワイン」から改名した4代目。伝統を受け継ぎながら”革新”をも追求する野沢さん。
初回に持ってきてくださったのはEU輸出限定の「ソルルケト 甲州」。まずはこちらで乾杯!
(全4回 1回目)

辰巳:はい、8月も2週目になりましたが、ワタクシ芝居の稽古でちょっと声が出なくなったりしたので
先週1回お休みさせていただきました。今回が8月1回目の放送で今日から9月の1週目まで4回放送いたします。
今月のお客様は山梨県勝沼、くらむぼんワインの野沢たかひこさんです。
(いつも通り、この会場「Villas des Marriages 多摩南大沢」の井村貢シェフにも同席いただいています)

全員:よろしくお願いします!

辰巳:今シーボルトの芝居をやってまして(←「シーボルト父子伝~蒼い目のサムライ~」は8月、盛況のうちに終了しています)。
シーボルトってどこの国の人かわりと日本人知らないんですけど、知ってます?

野沢:ドイツ、とかですか?

辰巳:すごいっすね、正解!

野沢:いやいや、クイズって言ったら辰巳さんすごいですから笑。

辰巳:まずパッと’ドイツ人’って言える人少ないんですよ。野沢さんクイズ好き?

野沢:いえ、イメージ的になんとなくドイツかなと。

辰巳:オランダの船に乗って長崎の出島にやってきたから「オランダ人」っと思う人が多いんです。
来年が来日200年になるんですって。シーボルトの故郷はドイツのバイエルン州のヴュルツブルクってところですから
ワイン産地ではあるんです。まぁお芝居にはそんな話は出てこないですけど。

辰巳:野沢さんは何年生まれですか?

野沢:1974年です。

辰巳:ぁ、井村シェフと近い。(←シェフは1972年生まれ)今日は美味しいワインを飲みながらいろいろお話を伺いたいと思います。
まずは乾杯しましょう!

全員:カンパ~イ🎶

「ソルルケト 甲州 2019 EU輸出バージョン」

辰巳:あ、いいな美味しいな♪甲州の「ソルルケト」

野沢:「太陽が輝く」という意味です。

辰巳:エチケットはなんか水墨画で描かれたような?

野沢:そうなんです。これは輸出専用ヴァージョンなんです。

辰巳:ぁ、ほんとだ。「ソルルケト 2019 EU輸出バージョン」と書かれてます。これはスクリューキャップとか補糖が少ないとか?

野沢:はい、’EU基準’ってのがあって、補糖する場合はアルコール12%超えちゃいけないだとか、補糖したら補酸しちゃいけないだとか、
厳しいんです。2010年産からそれに沿って造られたもので輸出していて、毎年ロンドンでプロモーションしてます。

辰巳:「*KOJ」というやつですね?そこの中心メンバー。
(*KOJ 甲州オブジャパン:http://www.koshuofjapan.com/ja/

野沢:このエチケットの中に「『甲州』って’漢字’を必ず入れてください」と言われていて、それを墨絵で「和」を表現、
そして酸化しにくいスクリューキャップ。マスター・オブ・ワインのリーさんにアドバイスをいただいて「これでいこう!」となりました。

辰巳:人気ありますか?

野沢:そうですねー。今パリにも和食店中心に出してたりしますし、好評いただいてます。

辰巳:シェフいかがですかこのワイン、もう甲州はいろいろお飲みでしょうけど?

井村:すごいクリアな味。でも喉の奥で広がるような感触を受けました。

辰巳:これはシュール・リー?

野沢:、はしてなくって、そのまま1月ごろ瓶詰めをして2~3年熟成させてます。

辰巳:ぁ、これ最近リリースしたんですか?

野沢:はい、瓶内で3年。ゆっくり熟成させるとフレッシュ感も残るしコクもだんだん出てくる。

辰巳:くらむぼんさんのワインの中でも甲州っていろいろあると思うんですけど、今日これをお持ちくださったのは?
他全部売れちゃってこれしか残ってなかったからとか?

野沢:笑、違いますよ。せっかくなんで辰巳さんに日本で手に入らないものを飲んでいただきたいと、日本で非売品のワインを♡。

辰巳:ぁ、そうだったんですか。非売品ですってよ皆さん!味わいは(国内販売の甲州とは)違うんですか?
国内にも「ソルルケト」はあるんでしょ?

野沢:今「ソルルケト」という商品はやめてしまって、リニューアルして国内では「くらむぼん甲州」という名前に変わりました。

辰巳:「ソルルケト」と「くらむぼん甲州」?

野沢:元々の造りは同じです。ただ、国内はコルクで販売、スクリューは輸出専用です。

辰巳:じゃ、ベースワインは同じステンレスで造って瓶詰めの時に2つに分けてる?

野沢:そうです。その中でもゆっくり熟成させてるのが、この輸出ヴァージョン。

辰巳:この3年の時を経て、コクや旨味がでてきた感じですね。
っということは「くらむぼん甲州」(←国内向け)は現行2021年なんですね。
へぇ、いいですねこれ。あまりキーンと冷やすよりちょっと温度高めの方が味わいがよくわかる。

野沢:その方がコクが出たり果実味も増したりするので。

辰巳:さぁ、今日のお料理は?

「キタアカリのブルーテ」

井村:はい、今日は地元八王子のキタアカリを使ったブルーテにコンソメジュレを浮かべて。

辰巳:ではいただきます!最近(芝居の)稽古ばかりであんまりゆっくり食べてないんで楽しみ。

辰巳:ちょっと塩味を感じるのは?

井村:上にフルール・ド・セルを載せてます。やっぱ夏は汗をかくんでちょっと塩味を補強したいかなと。
ジャガイモ(キタアカリ)の甘みだけで。

辰巳:いかがですか?

野沢:この塩梅というか塩加減がちょうどよくって、ジャガイモの甘みが出てるって感じですよね。

井村:この甲州に深みがあったので、ジャガイモの甘さとは相性がいいかなぁと。

野沢:夏らしい感じで美味しい♡。

辰巳:今年のブドウの出来はどうなんでしょうか?

野沢:5月6月までは雨が若干多かったんですけど、ここへきて雨が少なくて晴れが続いてるので
糖度が上がるんじゃないかと思ってます。

辰巳:デラウェアの収穫は始まってるんですか?

野沢:(地元では)やってるとこもありますね。

辰巳:くらむぼんさんは?

野沢:うちはデラウェアやってないのでー。

辰巳:あれ、やってなかったでしたっけ?

野沢:15年前ぐらいまではやってましたけど、、、。

辰巳:どうしてやめちゃったんですか?

野沢:そうですね・・・笑。
んー、ちょっと特殊な造りをしてたんです。
今”青デラ”って言って早く収穫して仕込むってのが流行ってるんですけど
僕は当時からその青デラを使って”柑橘の風味を生かして酸味を残す”ワインを仕込んでたんですけど。
でもそれだったら「甲州でもできるかな?」と思ったんです。

辰巳:ところで。くらむぼんワインさんは以前は「山梨ワイン」っていう社名だったんですけど、
GIとかの絡みでいちばん早い時期にこの”山梨”という言葉を引っ込めて・・・。

野沢:元々社名は変えたいとは思ってて、2013年がちょうど100周年だったんですけど、その翌年の1月に社名を変更しました。

辰巳:「くらむぼん」というのは、宮沢賢治の?

野沢:はい、宮沢賢治の「やまなし」という小説に出てくる”やまなし”つながりっていうところはあります。
「くらむぼん」という言葉は宮沢賢治の造語なので特に意味はありません。

辰巳:元々はそうかもですけど、社名にはどういう意味をもたせてるんですか?

野沢:逆に「想像してもらうのもいいかな」、って意味もありますし、「くらむぼん」って聞くと蟹が出てくる風景が浮かぶ。
うちもなるべく自然と調和しながらやっていきたいってのもあるので。

辰巳:知らない人が聞くとね、”クラム”だからクラムチャウダーとか想像しちゃうかもしれませんけど笑、それとは関係ないんですよね?

野沢:はい笑。「蔵」っていう商品があるので、その「くら」が(ワイナリー名の)意味に入ってるんですか?
っとも聞かれたり。

辰巳:社名変更されて8年ぐらいになるんですよね。1913年(大正2年)に創業して2013年に社名変更したわけですが、
野沢さんは今何代目?

野沢:4代目です。野沢長作という初代が自家醸造を始めたのがきっかけですね。

辰巳:ということは、昔から’後継’として育てられてすんなりと継いだわけですか?

野沢:そーぅでもないですけど汗。

辰巳:こういう話が面白いんで笑。じゃぁこの若い頃の話は来週ゆっくりしましょうか。
(話めっちゃ変わります)くらむぼんワインさんの今の生産量はどれぐらいあるんですか?

野沢:フルボトルにすると年間10万本ぐらい。ま、小さいワイナリーの中では大きい方。

辰巳:海外と比べると微々たるものかもしれないですけど、国内では大きい方ですよね。
そのうち甲州はどれぐらい?

野沢:(10万本のうち)ちょうど半分が甲州ですね。ある程度生産量をを増やしていかないと価格も下がらない。
「日常的にワインに親しんでいただく」ためのデイリーワインを飲んでいただきたいと思ってます。

辰巳:残りの半分は?

野沢:マスカット・ベーリーAがいちばん多くって、その次がカベルネ・ソーヴィニョンやシャルドネ。

辰巳:カベルネやシャルドネは自社畑?

野沢:そうですね。

辰巳:あれ、それだけでしたっけ?

野沢:あとはアジロン(・ダック)やナイヤガラとかもあります。ナイヤガラは自社畑の勝沼で栽培してて。
っていうのも先代が甘口ワイン好きでして、お客様にもリピーターがいるのでそのまま造り続けてるんです。

辰巳:なるほどー。ではここらでリクエスト曲を聴いてみたいと思います。今日は何にしましょ?

野沢:はい、Bon Joviの「ジーズデイズ」。

辰巳:ぇ、「スリーデイズ」?

野沢:いえ、「ジーズデイズ」です。

辰巳:失礼いたしました、こちらに回ってきたメモが間違っておりまして笑。(←すみませんです by スタッフ)
まずは聴いてみましょうかね。

BON JOVI「These Days」(1995年)
https://www.youtube.com/watch?v=UCUzwEst3pE

辰巳:30年ぐらい前の曲なんですね。何か思い出が?

野沢:元々最初に買ったのがBon JoviのCDだったってのもあるんですけど、、、

辰巳:「いちばん初めに買った”CD”」なんですね?もう(レコードの)LPやSPなんてなかった時代?

野沢:いや、ありましたけど・・・。

辰巳:そっかぁ。でも我々の時代は普通「最初に買った”レコード”は」、で”CD”ではないんですよ。シェフは?

井村:”レコード”でした。

辰巳:この辺に切れ目があるんですかね?(野沢さん1974年生まれ、井村シェフ1972年生まれ)

野沢:笑、どうでしょう?CDラジカセを買って、最初に買ったのがこのCDを買ったという。ちょっっっとだけ違うかな笑笑。

辰巳:ってことは野沢さんは高校生の頃の曲?

野沢:そうです。

辰巳:高校はどこだったんですか?

野沢:甲府南高校です。で、この曲をなんで選んだかっていうとー。ちょうどフランスに留学してた時によく聴いてた曲なんです。
最初はニースに語学留学していて、その時に。歌詞の意味としては「今人生こんなだけど、そのうちいいことあるさ」、みたいな。
その頃は自分が人間として、’腐ってた’じゃないですけど、苦労してた時期なんで、これを聴いて”自分を慰めてた”。

辰巳:ぇw、ぁw、そうなんですか!?じゃ、その’腐ってた’時期も来週にしましょう笑。
今日は時間のない中で聞きますが、一応後継に生まれて?

野沢:私は長男、下に弟がいます。

辰巳:弟さんは?

野沢:普通に会社員やってます。8歳下なんで自分の子供みたいに接してましたけど。

辰巳:だったら4代目として当然のごとく・・・

野沢:元々は継ぐつもりもなく、(兄弟の)どちらかがいればいいかなぐらいでいたので、大学も好きなとこに行って、でも途中でやめて
フランスに渡ったんですけど。

辰巳:あっ、そうなんですか?大学は醸造学部とかそういうところではなく?

野沢:そういうところではなく。中学高校の頃にF1が流行っててアイルトン・セナとか大好きだったんですよ。
よく隠れてテレビとか観てたんですけど、そういう仕事がしたくって理工学部に入った、んだけれども
「車を作るよりも運転する方が好きだ」ってことに気づいて結局中退をしてフランスに渡ったと。

辰巳:二十歳ぐらい?

野沢:22歳の時です。

辰巳:そうですかー!この話ちょっと面白そうだな。フランスでどんな女性に出会ったか?とか笑笑。また次回楽しみしてます。
今週は「ソルルケト」という日本では飲めない甲州をいただいてとても美味しかったです。これ、向こう(ヨーロッパ)では
おいくらぐらいで売ってるんですか?

野沢:えーっと、(日本円で)4000円ぐらいですかね。日本で販売しているのは1680円です。だから約3倍ぐらいにはなるんですけど。

辰巳:でもそれで(日本の)甲州が認められて、ヨーロッパで売られるってのはこれまた嬉しいことですよね。
なかなか円安で大変ですし、日本に来てもらって”これからがチャンス!”

野沢:ほんっとにそうです!

辰巳:ではまた来週よろしくお願いします!

全員:ありがとうございました!

(お断り:番組の収録日、OA日、この原稿の掲載には時差があります。また、この番組はお招きしたゲストのワイナリーのワインと、収録会場の「Villas des Marriages 多摩南大沢」の井村貢シェフが作るお料理のマリアージュをみなさまにもお越しいただき楽しんでいただくのがコンセプトの一つですが、現時点でお店でお楽しみ頂けるワインとお料理のマリアージュの詳細については直接お店にお問い合わせください。)

株式会社 くらむぼん
https://kurambon.com/

News Data

ヴィラ・デ・マリアージュpresents 「辰巳琢郎の日本ワインde乾杯!」

2022年8月11日放送回

ワイナリー

株式会社くらむぼんワイン 
https://kurambon.com/

収録会場

ヴィラ・デ・マリアージュ多摩
https://villasdesmariages.com/tama/

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