2020年7月から始まったラジオ番組『ヴィラ・デ・マリアージュpresents「辰巳琢郎の日本ワインde乾杯!」』
2022年5月のゲストは「有限会社 秩父ワイン 」代表取締役 島田昇(しまだ のぼる)さんです。
最終回は辰巳さんが大好きな品種、ヤマブドウで乾杯!またワイナリーには著名な作家や俳人が過去に来訪されていて
文学部出の辰巳さんを羨ましがらせます。(全4回 4回目)
(今月は1年ぶりの公開収録、近隣はもとより都心からもたくさんの方々が見学に来場されました)
詳しい番組内容、出演者の情報はこちらから
https://775fm.com/timetable/tatsumi/
辰巳:5月最後の放送になります。OAは5月26日なんですが、今回は年に一度の公開収録ということで、
4月24日に「Villas des Marriages 多摩南大沢」の洒落たバンケットからお送りしております。
今回が最終回ということで、皆さん長い時間おつきあいありがとうございました。
お客様は「秩父ワイン」の5代目社長、島田昇さんです!
(いつも通りこちらの会場の井村貢シェフにもお付き合いいただいています)
全員:よろしくお願いします!
(大拍手~)
辰巳:さぁ、まず飲みましょう。(先週に引き続き)今週も赤ワインです。
全員:カンパ~イ🎶
「秩父ワイン 源作印 山ぶどう 2015」
辰巳:あれ、以前飲んだのとは違ってすごくエレガントになってる気がします。どうですシェフこのワイン?
井村:熟した黒イチジクみたいな香り酸もスッキリしてて美味しいですすごく。
辰巳:いいですね。昇さん(←島田社長のことです)、このワインの説明をお願いします。
島田:これは自社畑で栽培しているヤマブドウです。2015年に収穫されたブドウを1年間樽で熟成させてからボトリングしています。
辰巳:「秩父源作山ぶどう」というワインなんですけど、こちらの畑も以前おジャマしました。
初代の浅見源作さんが生前に植えられたって話でしたが?
島田:はい、そうです。
辰巳:その時昇さんはおいくつぐらい?
島田:高校生ぐらいじゃなかったですかね。
辰巳:じゃぁもう(源作さんが)晩年のころじゃないですか。樹齢としても三十数年経っていてしっかりとした樹になってましたけど。
僕ヤマブドウが好きなんで今日はこのワインをリクエストしたんですけど、不思議なのは・・・。
*ヤマブドウはもともとの野生のブドウって’雄株’’雌株’ってあるんですよ。”雌雄異株”といって、普通ブドウを生らすのは’雌雄’だけ
なんですけど、このヤマブドウは”雌雄同株”なんですよね。だからここのヤマブドウはなんか野生じゃない気がするんですよね。
どっか秩父の山ん中から持ってきた?
(*ヤマブドウ参考サイト:https://ja.wikipedia.org/wiki/ヤマブドウ)
島田:もうおじぃさんのもっと前の時代なんでよくわからないんですけど、、、。
辰巳:なんか普通のヤマブドウともまた違うし不思議な感じがする。でもすごくエレガントで、酸味もムチャクチャ強くはないんですよね。
島田:そうですね。ヤマブドウにしては酸味はそんなにないです。
辰巳:ヤマソーヴィニョンとかの交配品種?自然交配なのか誰かが交配したものなのかわかりませんが、
そのミステリアスな部分がまたいいな、なんて思うんですけど。
「これからどんどんヤマブドウの評価が高まってくる」っと僕は信じてます。
井村:酸味も程よくヤマブドウの中では飲みやすいですね。料理にも合わせやすいです。
辰巳:ではそのお料理は?
井村:あきる野で作ってる「東京軍鶏」という鶏と、同じくあきる野で採れた西洋ネギ(ポワレ)を使いました。
今日はその軍鶏のレバーをソースに溶かし込んでます。”血が入ったソース”みたいな意味でサルミソースって言います。
辰巳:ではいただきます!昇さんもどうそ。
「東京しゃももも肉のルーロー レバーのソース ネギのロースト添え」
辰巳:結構レバー感が前に出て来ますね。
井村:これはレバーをよく焼いてからソースにしてます。
辰巳:昇さんダイジョブですか?ダイジョブじゃなきゃダイジョブじゃないって言ってくださいね笑笑。
島田:この焦げ目なんかが香ばしくてヤマブドウの独特の風味に合ってると思います。
辰巳:初代の源作さんの時から辛口の本格的なワインを造ってたんですよね?
島田:そうです。辛口の本格的なマスカット・ベーリーAを造ってたんです。
辰巳:昭和30年代にフランス人がやって来てそのワインにすごく驚いていたと聞いてるんですが、
島田:えぇ、神父さんがこられまして、「ミサに使うワインが欲しい」っていうんでうちのワインを買っていただいたんです。
神父さんはフランスのロワール出身の人だったんですけど、うちのワインを飲んで大変驚かれて高く評価していただきました。
当時はあまり売れてなかったんで、神父さんからありがたいお言葉をいただいてうれしかったです。
辰巳:昭和30年代ってね、本格的なワイン造ってもなかなか売れなかったですもんね。それこそ赤玉ポートワインみたいな甘口の全盛期で。
その中で敢えて本格ワインを造り続けてきた。
ぁ、そういえば今思い出した。五木寛之先生が秩父ワインを味わってらして書いてくださって、それでダァーーーっと人気が出たとか?
島田:名は名乗らないで来られたんです。当時は農家なのでワイングラスなんかでは出せなかったからちっちゃいコップで出したのを
召し上がっていただいたみたいで。ありがたいことに後にそれを週刊誌のエッセイに書いていただきました。
それから”本格的なワイン”を造ってる農家があったんだなということで、たくさんのお客さんが来られるようになったんです。
辰巳:五木先生は神社仏閣がお好きだったから*札所なんかを廻られてる時に来られてんでしょうかねぇ?
(*秩父三十四所観音霊場:http://www.chichibufudasho.com/
)
島田:えぇ、昔ご病気になったことがあるみたいでその時にいらしたようです。
辰巳:僕の好きな俳人の金子兜太先生も来られたようで?
島田:はい、金子兜太さんの実家は皆野町(埼玉県秩父郡)のお医者さんで長男、奥様も皆野町出身の方です。
熊谷にお住まいで、こっちには句会でよくお弟子さんと一緒にうちに見えたりだとか、金子先生のお宅にお伺いしたり。
辰巳:う、伺いました?昇さんも?
島田:えぇ伺いました。
辰巳:いぃなぁ。五木さんには会われた?
島田:会いましたけどふらりと来られただけなんで。金子先生の方は門下生と一緒にうちのテーブルでよく俳句を作ってました。
辰巳:さ、残り時間も少なくなってきましたが、2年前にワイナリーに伺った時に「(昇さんの)甥御さんが6代目になるかもしれない」って
おっしゃってたんですけど。ナニ君でしたっけ?
島田:啓吾(けいご)君です。
辰巳:彼は今山梨大学に行ってるとか?
島田:はい、ワインを勉強しています。
辰巳;ちゃんと連綿と受け継がれてまだ安心ですね。そうだ、曲聴きましょう、忘れてました。
島田:このワインができた2015年の話題は福山雅治の結婚、爆。
辰巳:ぇw、そ、そこ?福山雅治さんがお好きなんですか?
島田:この年”福山ロス”とか言われたじゃないですか。
辰巳:逆に昇さんは福山さんと結婚された吹石一恵さんが好きだったんじゃないですか?笑。
島田:(4回分の)選曲が結構難しかったんで、この年の話題を調べたらこれが出てきた。
(福山さんの曲の中でも)「家族になろうよ」がいいかなと。
今回は『ワインと料理のマリアージュ』、福山さんだとこういうことなのかなと思って。
辰巳:秩父ワインの家族経営、次の6代目までつなぐのは素晴らしいことだと思ってますし、ワイン造りはこうやって引き継がれるんだなぁと最近改めて感じてます。
ではお聞きください、福山雅治の「家族になろうよ」。
福山雅治「家族になろうよ」
https://www.youtube.com/watch?v=vrkbf9CVkn4
辰巳:今後秩父ワインはどういう方向に向かうんでしょうか?
島田:まぁ伝統を守りつつも醸造法などは新しいものを取り入れて、でも基本は「地元に愛されるワイナリーでありたい」と思ってます。
それに合わせてブドウ栽培なども積極的に打ち込んでいく。新しい品種にも取り組んでますんで、、、。
辰巳:新しい品種?
島田:新しいといっても20年ぐらい前。ヨーロッパ系品種もちょこちょこ始めまして・・・。
辰巳:カベルネ・ソーヴィニョン、メルロー、あと(カベルネ)フランもありましたっけ?
島田:シャルドネもあります。
辰巳:国内でもワイナリーの数がどんどん増えてきて、私が日本ワインを応援し始めた頃は大体150軒ぐらいだったのに
今もう400超えたかってところまで来てるんですよね。(客席:驚)その状況はどうですか?
島田:今は(醸造)免許が比較的容易に取れるようなんですけど、先代が申請した時は大変苦労してましたんで。
これからはそういうところとも競合するようになると思うんですけど秩父ワインは秩父ワインとしてのワインを確立していこうと。
あんまり流行とかとか考えずに、これまで飲んでいただいている方を大切にしたいと思っております。
辰巳:いいことですね。でも逆にどんどん新しいワイナリーが増えてきて、全体が、、、
島田:まぁ盛り上がればね、これまでワイン飲んでなかった方もちょっと口にして「美味しい」って思ってくれれば。
ワインは飲めば飲むほど楽しいですから。それをみなさんに知っていただければいいと思いますねー。
辰巳:秩父ワインは奇をてらったのはないんですけど、「どこかホッとする」「美味しさがジワ~っと伝わってくる」。
こちらの「Villas des Marriages 多摩南大沢」でも味わえますし、もちろんワイナリーでも。みなさん是非お越しください。
島田:今秩父は芝桜の季節です(収録は4月24日)
辰巳:放送される頃には終わってるかもしれませんが笑。
っということで5月のお客様は「秩父ワイン」5代目社長の島田昇さんでした。
全員:ありがとうございました!
(大拍手~)
(お断り:番組の収録日、OA日、この原稿の掲載には時差があります。また、この番組はお招きしたゲストのワイナリーのワインと、収録会場の「Villas des Marriages 多摩南大沢」の井村貢シェフが作るお料理のマリアージュをみなさまにもお越しいただき楽しんでいただくのがコンセプトの一つですが、現時点でお店でお楽しみ頂けるワインとお料理のマリアージュの詳細については直接お店にお問い合わせください。)
(有)秩父ワイナリー http://chichibuwine.co.jp
(写真は日本ワイナリー協会HPからお借りしました)
News Data
- ヴィラ・デ・マリアージュpresents 「辰巳琢郎の日本ワインde乾杯!」
2022年5月26日放送回
- ワイナリー
秩父ワイナリー
http://chichibuwine.co.jp- 収録会場
ヴィラ・デ・マリアージュ多摩
https://villasdesmariages.com/tama/