ヴィラ・デ・マリアージュpresents 「辰巳琢郎の日本ワインde乾杯!」 2022年4月28日OA

2020年7月から始まったラジオ番組『ヴィラ・デ・マリアージュpresents「辰巳琢郎の日本ワインde乾杯!」』
2022年4月のゲストは「奧野田葡萄酒醸造株式会社 」代表取締役 中村雅量(なかむら まさかず)さんです。
中村さんがヨーロッパ種に軸足を置くわけを自社畑のカベルネ・ソーヴィニョンを飲みながら語ります。
でもいちばん好きなブドウは?との問いかけには・・・またしてもあの品種でした。
奥野田葡萄酒中村さんの最終回。(全4回 4回目)
詳しい番組内容、出演者の情報はこちらから
https://775fm.com/timetable/tatsumi/

辰巳:4月の最終週です。今月のお客様は山梨県甲州市、奥野田葡萄酒の中村雅量代表です。
(いつも通り、この会場の「Villas des Barrages 多摩南大沢」の井村貢シェフにも同席いただいてます)

全員:よろしくお願いします!

辰巳:さぁ、今日も赤ワインが用意されています。まずは乾杯しましょう!

全員:カンパ~イ🎶

2017 ヒヤケ・ヴィンヤード
https://okunota.shop/items/61ac59177d278d444fc71102

中村:今日はカベルネ・ソーヴィニョン。日灼圃場という自社畑のブドウを使ったワインをお持ちしました。

辰巳:けっこう暑いところで作られてるんすか?ヒヤケって言うぐらいだから笑。

中村:字名(アザメイ)なんですよ。(辰巳:驚!)字名ってのはヨーロッパに畑の名前があるように先人たちが何か伝えようとしている。
この日灼っていうのは、本当に日差しが強くていろんなものが焼けやすい場所。水口だったら水の出やすい場所
だったりすると思うんですけど。畑があちこちに点在してると大体字名で読んでます。*大村さんところもそうですしね。
(*丸藤葡萄酒工業参考ページ:https://www.rubaiyat.jp/about_us/vineyard_info/

辰巳:そうですね、その方が歴史も伝わると思いますし。ところで、中村さんのところの自社畑はどれぐらい?

中村:2haぐらいですかね。バラバラに分かれてはいるんですけど全部垣根です。前回飲んでもらったワイン(スミレ・ルージュ)は
契約農家の棚栽培のメルロー。棚でもまぁまぁ納得いくブドウができるんです。でも今日召し上がっているワインのような
垣根栽培は’今一歩の’凝縮感ってのができるんですよね。

辰巳:その’今一歩’ってのはいい意味なんですか?

中村:いいいい意味です笑。日本のワインってどうしてもシャバシャバしたりするんですけど、これぐらい凝縮感出てくれば
十分な熟成期間にも耐えますし、口に含んで飲み込んだ後の余韻も表現できますし、お料理がちょっと強い味付けだったりしても
負けない。

辰巳:ひと口含んでも、線は細いんですけどガツーンとしたパンチは効いてますね。

中村:ですよねー、って自分で言いますけど笑。

辰巳:こっちで言いたいだけ言っちゃいましたけどシェフ、どうですか?

井村:笑。ドライフルーツみたいな香りがしました、しっかりした深みのある。こういったワインは料理にも合わせやすいです。

中村:その、ドライフルーツっておっしゃっていただいたのが”日灼”という字名を象徴してるんです。

辰巳:あのー、つかぬ事をお聞きしますが、中村さんは何型ですか?(←もちろん血液型です)

中村:A型です。

辰巳:話す順序から何から何までそうかと思ってましたけどやっぱりAですか笑。(←辰巳さん、何かと血液型アテにします)
確か井村シェフもA。なんか通じ合うものがありそうな・・・。だからワタクシなんとなく疎外感を感じております。(←はい、B)
でもわかりやすい、破綻のないというか、キレイなワイン造りだなぁという感じはいたします。

中村:でも僕は「あまりルールを作らないA型」でしてー、妻からも「けっこういい加減」と言われてるんですけど。

辰巳:そうなんですか?奥さんもA型、ですよね。(中村:頷)今でも仲いいんすか?

中村:いいっすね、相当笑。

辰巳:相当ってご自分から言い出されるとどう突っ込もうかと・・・笑。あれ、子供さんは?

中村:結局僕たちはできなかったんです。

辰巳:だから仲良すぎるんですっ笑。で、新工場を作って今後どうされる?

中村:我々には子供ができなかったんですけど、いちばんワイナリーを愛する者に引き継いでほしいなぁと今2人で話してます。

辰巳:ワインを愛する者?

中村:僕がもともと地域の醸造所を預かったのは”僕がワインにとても情熱的だったから”。そこを見ていてくれたんだと。
だからその延長で次の世代に渡せるように、とは思ってます。

辰巳:今もワイン造りはお一人で?それとも誰かいるんですか?

中村:スタッフは現在2人いて(醸造栽培とも)すんごい頑張ってます。彼らにその意思があれば譲渡したいと思ってますね。
もう今年60歳になるってなると「まだまだ負けねぇ」っていうよりは「ぜんぜんついてけねぇ」って感じなんで、体力的に笑笑。
負けないのは気持ちだけ笑。

辰巳:体力は落ちますよね、そりゃ。酒の量も減りました?

中村:ダメですね、1本ぐらいしか・・・。(←ぇw)

辰巳:ぇぇぇ~、1本ですとねぇ、造り手としてはダメですよねぇ。(←ぇw)
親戚のお子さんとかはいらっしゃる?

中村:姪っ子もいますけど、もしやりたいといえば。(ワイナリー)見に来てくれたりもしてますし。弟ん所には上男の子、下女の子3人
の子供がいて、一番遊びに来てたのが尻尾(三女?)の子で。でもこの春高校生で「だいぶ先じゃん」みたいな笑。

辰巳:でもね、今”人生100年”時代ですからまだまだ20年ぐらいは現役でやろうと思ってるんでしょ?

中村:ダイジョブかなぁ笑笑。(←ほぼかすれ声です)体力的な衰えはすでに感じてますので。

辰巳:いや、その分今は技術やアイディアが・・・。

中村:昔(野球の話です)落合なんて完全に歳食ってて視力含むすべてが。でも若い松井より打率高かったっていう話があって。
だから今そんな気持ちでいます爆。

辰巳:なんかわかったようなわからないような笑笑。
えー、料理が来たようです。シェフ、今日のお料理は?

豚バラ肉のブレぜ ハチミツ入りマスタードと香草風味 プラムのソース

井村:はい、今日は豚バラ肉をいっかい煮込みましてー、それからはちみつマスタードをつけて焼いたものになります。

辰巳:僕豚バラが大好きなので今日は嬉しいです♡。

井村:あとはふきのとうとかカレーのチャツネとか赤軸のほうれん草を添えてあります。

全員:いただきます!

辰巳:このお料理とワインのペアリングは実際にこのレストラン、Villas des Marriages 多摩南大沢でいただけますので、、、

中村:非常に美味しいです♡

辰巳:ぁw、先いかれました?じゃ、私もイタダキマス。

井村:ソースにはドライフルーツのプラムを使いました。

辰巳:ぁ、ほんとだ。とんがってないし、ワインにも負けてないし。

中村:お料理する人はチャツネみたいに煮詰めたりするじゃないですか?だからワインも凝縮感がないとバランスが・・・。

辰巳:だから今日はワインに合わせて煮詰めたんですよね笑。

中村:ワイン造る方もお料理される方もお互いの呼吸なんですよね。負けないようにバランスを取るのは大事なことだと思います。

辰巳:このカレー味とワイン、いけますね。っというところでリクエスト曲を聴きたいと思います。今日は何を?

中村:スティング!ブランニューデイというアルバムの中のデザートローズ。この曲は祈りのように聞こえるんです。
例えばカベルネ・ソーヴィニョンの苗を植えて20年、ようやくこういうワインが出来上がった。
初めからこういうワインができるわけではないんですよ。木が若くて根が浅いとなかなかうまくいかなくて、
樹齢を重ねるとようやく思い通りの収穫ができるようになって。それが”祈り”みたいなところと重なるんです。

辰巳:なんかこれまでの甘酸っぱかったりしょっぱかったりした(少年時代の)思い出から爆、
今回は自分の仕事に関する曲が最終回にしてついに。ではどうぞ!

Sting「Desert Rose」 (1999年)
https://www.youtube.com/watch?v=C3lWwBslWqg

辰巳:なんか今の曲とワインと料理のマッチングがすばらしい。そこまで考えて選曲してくださったんですね笑。

中村:好きな曲を並べただけなんですけど。

辰巳:この豚肉とカレー味の、フランス料理ですけど少し北アフリカに寄せた感じがあるし、砂漠の雰囲気・・・エキゾティック?
あ、モロッコか?

井村:そうですね。

辰巳:そういうのがこのワインにピッタリくる。いや、やられたなぁ。

中村:ヨカッタヨカッタ。

辰巳:さすが!A型同士(中村さん&井村シェフ)のコンビネーションはカンペキ!
6月1日に還暦ということですけど?

中村:この業界で36~37年やってきました。

辰巳:どうですか?バブル直前に始めて今ちょっと先が見えない感じですけど、日本ワインの業界、もしくはご自分のこととか
最近考えてらっしゃることあります?

中村:僕のワイナリーはテーマを決めて取り組んでいて、’在来種’ではなくて’ヨーロッパ種’に軸足を置いて成立するようなワイナリーを
当時から目指してたんですよ。ようやくそれを示すことができたんじゃないかと今思ってます。あくまでも実験的だったので
老舗ワイナリーさんより「前面に出ない」イメージ。だから「奥野田ワイナリー」なんてあんまり知ってる人もいないだろうし
知ってもらおうという努力もあんまりしてなくて。

辰巳:ほぅ、でも知ってる人は知ってるでしょう?

中村:ありがとうございます。ヨーロッパ種に軸足を置くのは例えば、シャルドネの土俵だと南半球の、ヨーロッパの、日本の
・・・日の目を見たいと思うと山梨にシャルドネがないと叶わないし、どんなにすばらしい甲州種を造っても
世界中に比べる品種がなければ「甲府盆地のポテンシャルが優れている」ということを示すこともできない。
そんなワイナリーが成立するかどうかもわかんなかったんですけど、独りでやってるし”失うものがない”ワイナリーだったら
別に多くの人に迷惑かけるわけでもないし。

辰巳:そもそもワインが好きだった?

中村:(東京農大を)卒業してグレースワインに入ってから好きになったんです。それまではただの微生物を学んだ卒業生で笑。
食品に関しては興味あったけどワインに関してはそこまで・・・。だから入社して出会った三澤社長とかその先代とか、
遠藤さんっていう当時の工場長とかの影響です。

辰巳:でも在来種って山梨でいったら甲州種しかない。あとはここ100年ぐらいのベーリーA、と、デラウェアぐらい。

中村:もちろん在来種に手抜きはしてませんが軸足はシャルドネに置く。

辰巳:山梨という土地を逆に世界に知らしめるために”あえてヨーロッパ品種を植えてる”って感じなんでしょうかね。

中村:そうです。

辰巳:これはこれで面白い考え方ですよね。ひとつ、自分とこのでも世界中の中でもいいですけど、
もし「いちばん好きな品種は?」って聞かれたら?

中村:・・・ピノ・ノワールが好きです♡笑。

辰巳:あれ、ピノ・ノワールって造ってましたっけ?

中村:んにゃ、造ってないんすよ爆。でも大好きでフランス行ったら必ずブルゴーニュ行くんです。

辰巳:多いんですよ、ピノ・ノワール好きが。(←この番組が始まってからも数多のゲストがこの品種を指名されました)

中村:でもね、ピノ好きって幅があるんです。「僕の好きなピノはこれだけど君の好きなピノはこっちだよね」って笑。
そんな幅の広いピノを毎年1個(1アイテム)しか造れないし、これに手を出したら大変なことになるぞ、
人生終わんなくなっちゃうぞって笑笑。でもいつかチャレンジしたいです。

辰巳:60歳過ぎてから?未だ栽培もしたことない?

中村:いや、隠れてはちょっと・・・笑。フランスのシャルドネだったらコルトン・シャルルマーニュ、ムルソーとかの”作法”があって、
そのお作法に従ってシャルドネを作っていく。日本では日本のスタイルのシャルドネやメルロー(の作法)で実現していくことが
まずは重要です。

辰巳:で、次はピノ(・ノワール)ですね。

中村:ねー。もうそれだけで”人の人生いっこ終わっちゃう”。

辰巳:でも新しい工場も立ち上げて還暦も迎えて、これから第2回目のチャレンジが始まる!

中村:それは次世代に向けてのチャレンジかもしれないし。

辰巳:大いにチャレンジしてください、期待しております!
4月のお客様は山梨県甲州市の奥野田葡萄酒、中村雅量代表でした。

全員:ありがとうございました!

(お断り:番組の収録日、OA日、この原稿の掲載には時差があります。また、この番組はお招きしたゲストのワイナリーのワインと、収録会場の「Villas des Marriages 多摩南大沢」の井村貢シェフが作るお料理のマリアージュをみなさまにもお越しいただき楽しんでいただくのがコンセプトの一つですが、現時点でお店でお楽しみ頂けるワインとお料理のマリアージュの詳細については直接お店にお問い合わせください。)

奧野田葡萄酒醸造株式会社
http://web.okunota.com

News Data

ヴィラ・デ・マリアージュpresents 「辰巳琢郎の日本ワインde乾杯!」

2022年4月28日放送回

ワイナリー

奧野田葡萄酒醸造株式会社
http://web.okunota.com/

収録会場

ヴィラ・デ・マリアージュ多摩
https://villasdesmariages.com/tama/

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