ヴィラ・デ・マリアージュpresents 「辰巳琢郎の日本ワインde乾杯!」 2022年4月14日OA

2020年7月から始まったラジオ番組『ヴィラ・デ・マリアージュpresents「辰巳琢郎の日本ワインde乾杯!」』
2022年4月のゲストは「奧野田葡萄酒醸造株式会社 」代表取締役 中村雅量(なかむら まさかず)さんです。
「奧野田ワイナリー」の”奧野田”はもともとは地名だったそう。1962年生まれの中村さんがこのワイナリーを継承する頃は
バブル絶頂期でした。まずは”プチ・バブル”、フリザンテを飲みながら乾杯!(全4回 2回目)
詳しい番組内容、出演者の情報はこちらから
https://775fm.com/timetable/tatsumi/

辰巳:4月のお客様は山梨県甲州市、奧野田葡萄酒の代表、中村雅量さんです。
(そしていつも通り、この会場「Villas des Marriages 多摩南大沢」の井村貢シェフにも同席いただいています。)

全員:よろしくお願いします!

辰巳:今回は2回目ですがそういえば。「奧野田葡萄酒」の”奧野田(おくのた←田は濁りません)”を前回説明し忘れてました。
これ地名なんでしたっけ?

中村:そうなんです。もともとは「奧野田村」っていう勝沼村と塩山町の間にあった村です。

辰巳:塩山市に合併されたんでしたっけ?

中村:そうです。塩山町が塩山市になるときに(奧野田という)地名がなくなったようです。

辰巳:なるほど。勝沼につくか塩山につくか、どっちつかずだった場所ですね笑。

中村:ま、どっちでも良かったらしいんですけど笑、(’町’より)’市’になった方が市水道を引いてもらえる。っということで
勝沼にはなびかなかったらしいです。ずいぶん昔の話ですが。だから今(奧野田という名前が)残っているのは
うちの「奧野田葡萄酒」と「奧野田小学校」ぐらいですかね。

辰巳:その前に、何かが合併して「奧野田」になったって聞いたことあるんすけど?

中村:そうです。「牛奥(うしおく)」と「熊野(くまの)」と「かわだ(←まさかの”西広門田”と書いて”かわだ”と読む)が
合併して3つの村の漢字を併せて「奧野田」。(詳しくはこちらの沿革から:https://ja.wikipedia.org/wiki/塩山市)

辰巳:そうそう、そんな話聞いたことありました。

中村:けっこう(私のこと)「奧野田さん」だと思ってる人多いんですよ笑。

辰巳:ワインにも歴史がありますし地名にも歴史あり、ということで乾杯しましょう!

全員;カンパ~イ🎶

「2018 奧野田フリザンテ」
http://blog.okunota.com/article/189338573.html

辰巳:なんか蜜のような香りがあって・・・。シェフどうですかこのワイン?

井村:このデラウェアの香りが豊か!口の中にいっぱい広がります。

辰巳:この番組が始まって2年弱、デラウェアってほとんど登場したことなかったんじゃないかと思いますが?

中村:私どもの畑の斜面って日本のデラウェアの発祥斜面なんですよ。

辰巳:んん!?それは初耳でございます。明治時代ですよね?

中村:日本に鉄道が通ったときに、*その線路を決めた方が「牛奥」の出身で。まぁ成功をおさめた方だったので
(アメリカの)デラウェア州からいろんなブドウを取り寄せて栽培試験をして。その中で一番成績のよかったのが
現在の日本のデラウェアになっているようなんです。
(雨宮敬次郎氏:https://www.wikiwand.com/ja/雨宮敬次郎)

辰巳:!!! そうなんですか!?

中村:でも最初は「デラウェア」という名前ではなくて、「デラウェア(州)から取り寄せた中では一番成績がよかった’株’」笑。

辰巳:今の「デラウェア」以外にもいろんな品種が’日本に(牛奥に?)入ってきたってことですよね?

中村:その斜面で栽培試験をしていちばん成績がよかった。しかもお盆の時に熟してお供えに具合がいい、なーんて感じで。

辰巳:日本のお盆に(お仏壇に)あげるのには丁度いい。

中村:そそそ、それで日本中に広まっていって。今日本でいちばん耕作面積の広い品種はデラウェアかもしれないですね。

辰巳:で、いちばん最初に植えた斜面は今はどこが所有されてるんですか?

中村:けっこう広大な斜面なんで私どもにもあります。かつてはその全部がデラウェアだったらしいです。
最初は明治の終わり。

辰巳:川上善兵衛さんもいろんなブドウを輸入されましたけど、そのルートとは違うんですよね。ナイアガラ、コンコード?
ちょっと忘れましたけど、そのあたりとは違う。

中村:はい。でも僕たちのワイナリーのは非常に熟度が高いデラウェアができますので。

辰巳:この糖度はどれぐらい?

中村:大体18~19度ぐらい。

辰巳:でももっといくでしょ?フレッシュ感を残すために?

中村:そうですね、本来は。でも酸を残すためにそれぐらいに。それをさせて2気圧ぐらいの低圧で瓶内二次発酵。

辰巳:’濁りスパークリング’と裏ラベルに書いてあるんですけど、二次発酵なんですか?

中村:そうです。(一般的には)わりとペティアンの場合が多いんですけど、
そもそも我々のワイナリーは瓶内二次で造るワイナリーですので、これに関してもあくまでトラディショナル。

辰巳:でも2回も(発酵させるの)めんどくさいじゃないですか。

中村:でもこれが社内の気風になってますから。あくまで自然に。

辰巳:じゃペティアンは造ってない?

中村:造ってないです。「ペティアンのスタイルと手のかかる二次発酵っておんなじ」
って思ってらっしゃる方がいると思うんですけど。
酵母って無酸素では発酵できないのですでに発酵中に瓶詰めするペティアン(←メトード・アンセストラル)と
瓶内で酵母が発酵を始めるとき(←瓶内二次発酵)とでは違うんですよ。
有酸素で発酵させているのはほんの短い時間ですけど、この時の香りがシャンパーニュを鼻元に持ってった時のあの香り、
あれが出るんですよ。香ばしさ、あるいはなんだろなぁ・・・香ばしさよりも先に湿った香りがくる。
それが二次発酵の特徴なんです。で、これはそれを持っている。
デラウェアをあまり高い気圧に持って行かずに濁ったまま(濾過せずに)瓶詰めすると洋梨のような香り、
青リンゴのようなフレッシュさもあって。デゴルジュマンもしないですし、そうするとコストもかかりませんし
2気圧に仕上げることでそこまでの耐圧ボトルも使ってないんですよ。王冠のままなので2000円ぐらいで出せちゃう。
あくまで「肩肘張らずに飲んでくれ」っていうメッセージのワインにしてあります。

辰巳:なるほどー。ちょっと専門用語が多くてラジオをお聴きの皆さんには分かりづらかったかもしれませんが、
とにかく「リーズナブルに美味しい(スパークリング)ワインを造る方法」、そんなお話でした。
さ、シェフ、今日のお料理はなんでしょうか?

「茹でたてグリーンアスパラガス 自家製フレッシュチーズとトマト」

井村:はい、今日はこのワインにグリーンアスパラガスを合わせてみました。「*ガリバー」という品種なんですけど
とても長いんです。多分童話の”ガリバー”からきてると思います。
(参考サイト:https://shop.takii.co.jp/products/detail/NEA203

辰巳:アスパラって、”どの長さで切るか?”で長くもできるし短くもできるんじゃないんですか?ほっときゃどんどん伸びるし・・・。
一体どんな品種?

井村:笑。すごく長くて柔らかい。そして香りもあるので、このデラウェアの青っぽい感じには合うんではないかと。
それに自家製フロマージュブランとトマトを合わせてあります。

辰巳:ではいただきます!
ぁ、なるほど。この(ワインの)オリの香りとアスパラの苦味が合いますね。

中村:僕らのワインが香ばしいのは酵母由来なんですけど、このお野菜のこの香ばしさって?

井村:実はこのアスパラは氷水の中に落としてないんです、香りが失われるから。

辰巳:これは地元八王子の野菜?

井村:いや、これは宇都宮。*このグループが宇都宮にオープンした頃にアルバイトしてた方がアスパラ農家さんになってまして。
(その後)たまたま出会いがあって使ってます。
(*プリオホールディングス株式会社:https://prior.co.jp

辰巳:で、その「ガリバー」という品種の名前は彼がつけたんですか?

井村:もともとあったみたいです。

中村:「お野菜とワイン」って美味しくて。「火を通したお野菜と辛口のワインを知らなかったら人生の半分を損する」
(←名言になるかも)って言うぐらい楽しいですね。

辰巳:やっぱり野菜ですね。日本ワインと野菜の相性はとてもいい。今は1年中ありますけどアスパラは元来春のもんじゃないですか。
今のアスパラがいちばん力があって美味しい気がするのは私だけでしょうか?笑。

中村:このみずみずしさがいいですよね。

辰巳:さて、ここで中村さんのリクエスト曲を聴きながら我々は飲んで食べ続けようと思いますが今日は?

中村:TOTOのロザーナ。

辰巳:ロザン?笑。

中村:ロザーナっ!

辰巳:TOTOも聴いてましたけど・・・(ロザーナは知らないようです)

中村:ロザーナは僕の高校時代でしたね、いちばん賑々しかった時代。

辰巳:これなんか思い出あるんすか?

中村:僕ギター弾かないのにギターが好きで。(スティーブ・)ルカサーが好きで♡。

辰巳:この曲を聴くと思い出す情景とかは?

中村:中高校時代の糖度は甘酸っぱいものばかりです爆。

辰巳:ではその甘酸っぱい頃を思い出しながらお聴きいただきましょう。TOTOのロザーナ。

TOTO「Rosanna」(1982年)
https://www.youtube.com/watch?v=R85KrF-Ak4U

辰巳:けっこうロックお好きなんですか?

中村:好きですね。ギターは弾かないんですけど笑。

辰巳:ロックとワインってなんか繋が・・・

中村:ぜんぜん繋がってない笑。でも僕の中のギターの音っていうのは「気持ちの襞(ひだ)の中に沁みてくる」ようなところがあって、
ワインが好きになった時も「美味しいというよりは、気持ちの襞の中に入ってくる」瞬間がありましたね。そんなワインを造りたいって
ずーっと思ってて、でもそんなワインばっかり造れるわけもなく就職した時から30年以上も思ってて、なっかなかできない。
でもね、そういうワインがようやくできた時はやっぱり嬉しいし、「それに出会った時」がいちばんですよね。

辰巳:なるほどねー、ものづくりってそういうものなんでしょうね。料理もそうだし、我々の舞台や作品創るのも同じこと。
(話変わって)中央葡萄酒に入社して5年?から独立したんですか?

中村:5年経つ前ぐらいに。たまたま「奧野田葡萄酒」というワイナリー、ブドウ農家さんが経営してるワイナリーだったんですけど
、それが高齢化とともに維持が難しくなって。”閉じるのか?””譲渡するのか?”で地域で話し合った上なんですけど、
「ここにこれだけブドウがあるのに閉じてしまうと地域のブドウの将来性まで失くしてしまう」。なら後継者を、ということで
探していたらしいんです。当時の僕は20代の後半で若干息巻いてまして笑、「あそこに血の気が多いお兄ちゃんがいるらしいぞ」
となり話がありー、「やりたいんだったら譲渡するぞ」と。

辰巳:で、親分(中央葡萄酒の三澤茂計氏)には相談したんすか?

中村:親分の親分(三澤茂計氏の父上)に相談したら「そんな話はなかなかないぞ」と背中を叩いてもらいました。
でも親分は「なんでなんだよっ!?」って感じが若干笑笑。

辰巳:父と子で対応が違ったんですね笑。

中村:そう。でもそのあとはとても協力してくださって。

辰巳:何年のこと?

中村:1989年から新しいワイナリーで仕込んでます。

辰巳:バブル真っ盛り。「何やってもいい」ような時代ですよ。

中村:20代後半の若者が”やりたい”っていうことだけで融資してくれましたし。

辰巳:そうか、銀行がどんどん貸してくれた?風が吹いてたんですね。

中村:そそそそそ。

辰巳:もう言ってもいいと思いますけど、その20代後半で借金はどれぐらい?

中村:えっっっっと、8000万円以上ぐらいです驚。

辰巳:無担保で?

中村:はい。そのあと高金利の政策が来まして、8000万円の元本に対して年利8%払った時がありましたねぇ。

辰巳:! それはキビシイですね。

中村:金利払ってるだけで元本減らない。

辰巳:んーーー。でもワイナリーは譲渡で醸造免許はあって?(中村:頷)

中村:土地建物も。だからこれだけが8000万円じゃなくて、これに醸造機械も新しく入れ直しましたんで。

辰巳:自己資金はそんなになかったんでしょ?

中村:ほぼゼロで。

辰巳:「バブルの申し子」笑。

中村:そうですそうです笑笑。今は返済終わりました。妻が嫁いできた15年前にはまだ残ってたんですけど。

辰巳:まぁ仕方ないですよね。でもなんか若さゆえの無鉄砲さが羨ましいっすよ。ね、シェフ?
自分の店持とうとか思わないっすか?

井村:汗。

中村:これドロップアウトなんですが、実は昨年(2021年)の仕込みから新工場を竣工させたんですよ。
30年稼働させてたらもう古くなっちゃいましたんで。レストランやりたいだとかセラーが欲しいとか
畑を充実させたいとかテラス欲しいとかやってたら工場だけ手付かずで悔しくて、、、で、新工場、、、。

辰巳:その話は次回にしたいと思います。今月のお客様は山梨県甲州市「奧野田葡萄酒」代表の中村雅量さんです。
来週もよろしくお願いします。

全員:ありがとうございました!

(お断り:番組の収録日、OA日、この原稿の掲載には時差があります。また、この番組はお招きしたゲストのワイナリーのワインと、収録会場の「Villas des Marriages 多摩南大沢」の井村貢シェフが作るお料理のマリアージュをみなさまにもお越しいただき楽しんでいただくのがコンセプトの一つですが、現時点でお店でお楽しみ頂けるワインとお料理のマリアージュの詳細については直接お店にお問い合わせください。)

奧野田葡萄酒醸造株式会社
http://web.okunota.com

News Data

ヴィラ・デ・マリアージュpresents 「辰巳琢郎の日本ワインde乾杯!」

2022年4月14日放送回

ワイナリー

奧野田葡萄酒醸造株式会社
http://web.okunota.com/

収録会場

ヴィラ・デ・マリアージュ多摩
https://villasdesmariages.com/tama/

「日本のワインを愛する会」入会申込

登録無料

入会申込フォーム