ヴィラ・デ・マリアージュpresents 「辰巳琢郎の日本ワインde乾杯!」 2022年3月3日OA

2020年7月から始まったラジオ番組『ヴィラ・デ・マリアージュpresents「辰巳琢郎の日本ワインde乾杯!」』
2022年3月のゲストは社会福祉法人 サン・ビジョン「サンサンワイナリー」シニアアドバイザーの戸川英夫さんです。この4月で傘寿の戸川さん。「長野県気鋭のワイナリーの重鎮」、のイメージのある戸川さんですが実は出身は広島県。”あの日”のことも経験しておられました。そしてその経験からワインの道に入られたというビックリ話が・・・(全5回 1回目)
詳しい番組内容、出演者の情報はこちらから
https://775fm.com/timetable/tatsumi/

辰巳:えー今日はひな祭りですが。3月は木曜日が5回ということで今回のお客様には5回出演していただくことになります。ずっと来ていただきたいと思ってたんですが、ようやく叶いました。サンサンワイナリーの現在はシニアアドバイザー、”日本ワインのレジェンド”と言ってもいいんじゃないでしょうか!?戸川英夫さんをお迎えいたしました!

辰巳・戸川:よろしくお願いします!

辰巳:ちょっとテンション高めにご紹介しましたけど、本当にようこそお越しくださいました。去年の春から一線を離れて山梨のお住まいに戻られて、時々(ワイナリーに)顔を出されてると伺ってますが・・・。

戸川:それと、これまで行っていなかった東北だとか北海道のワイナリーを時々遊びがてら訪問しております。

辰巳:へぇ、そうなんですね。先ほどお年を聞きましたらこの4月でサンジュ笑。30じゃないですよ。「傘の年」、80歳です。

戸川:ま、30と受け取っていただければ光栄です笑笑。

辰巳:電話でやりとりしてた時に「30ですー」、っと言うからもっと若い人が来ると思ったら笑笑・・・。

戸川:以前勤務していたキッコーマンがスポンサーの「くいしん坊万才」という番組で辰巳さんが出ていらっしゃいましたが、私も美味しいもの食べてお酒飲むのが大好きなもので。

辰巳:今日はそこら辺のお話を伺いたいと思います。今日もこちら「Villas des Marriages 多摩南大沢」の井村貢シェフにも同席してもらっています。では乾杯しましょう。

全員:カンパ~イ🎶

戸川:a votre santé!(フランス語で乾杯!)

辰巳:merci♪
(あら、なんだかフランス語です)


サンサン エステート スパークリング ドゥミセックブラン 2017
https://sunsunwinery.shop/?pid=152410621

辰巳:今日はスパークリングワインです。サンサンエステート・ドゥミセックブラン 2017年。ドゥミセックはね、訳すと”半分甘い”んですけど、これは残糖25gぐらいですか?

戸川:スティルワインと比べてスパークリングの残糖ってちょっと高いですので、ガスがちょっと抜けてると甘みを強く感じますけど、2気圧ぐらいでよく冷やすとちょうどぐらい。

辰巳:そうですね、これはそんなに甘く感じません。やや甘めのシャンパンってこんな感じですよね。これはシャルドネ?

戸川:ですね。酸味が酒石酸換算でこれは7gぐらいありまして、かなり、、、。

辰巳:なるほどー。
今日も井村貢シェフにお料理を作っていただきましたが、まずこのワインいかがでしょうか?

井村:奥ゆかしい甘さと酸味と香りがふわぁっと広がってきて料理には合わせやすいなと思いました。

辰巳:はい、この井村シェフは「日本ワインに合うお料理」を作るとNo.1ということに今はなっとります。(井村:照笑)

戸川:先ほど(本番前に)お魚料理お見かけしたんですけど、大好物の大きなメバルが・・・笑。

辰巳:それはおそらく来週以降のメニューになると思います笑。とりあえず本日はなんですか?笑

井村:はい、今日はオレンジの白菜を使ったブルーテです。


『白菜のブルーテ 生姜風味』

辰巳:見た感じはなんか茶碗蒸しみたいなんですけど。フランかと思いきや、ドロドロです。

井村:野菜だけでとろみをつけてます。で、上には紫の白菜をあしらってます。

辰巳:ぇ、これ花じゃないの?

井村:白菜です。エディブルフラワーも添えてますが、ちょうど冬と春の間ぐらいの・・・。

辰巳:暦の上ではもう春ですからね。ちょっと’春’が強めのお料理かもしれません。ではいただきます!

辰巳:この可愛いピンクの花は?

井村:ペンタスというエディブルフラワー、果肉植物です。

辰巳:紫白菜がちょっとシャキシャキっとした感じで。ブルーテ自体はオレンジの白菜で、色合いもいいですね。このふくよかなワインの感じにはどうでしょうか、戸川さん?

戸川:春弥生にまさにふさわしいスタートですね笑。

辰巳:砂糖も何も入ってなく白菜だけの甘みはすごいですね。このドゥミセックのワインの甘みとすごく寄り添う。

井村:”甘みのライン”がおんなじように思えたので。

戸川:産地にこだわられたりするんですか?これは寒いところ?

井村:これ(白菜は)栃木県のシモツケの契約農家から届いた白菜なんです。

辰巳:エビベジ?

井村:そうです。
(エビベジ(海老原ファーム):http://ebivege.com/top.html

辰巳:海老原さんという農家の方がいてね、僕もよくいただきます。

戸川:栃木県って不思議な県です。フグも奥で養殖してるし、海老も・・・笑。

辰巳:海老は知ってましたけどフグも・・・?。ま、これは野菜です笑。それにしても旨いなぁこれ。

戸川:美味しいですね♡

井村:今回は白菜と水だけで作ってます。プロセッサーで滑らかにした後火を加えて。

辰巳:すごいっすね。生クリームとかは?

井村:いえ、まったく。オリーブオイルと白菜と水だけです。あと(白菜の)甘みを引き出す塩がちょっと入ってるだけです。

戸川:白菜ってグルタミン酸が多いんでしたっけ?

井村:そうです。

戸川:ただ甘いだけじゃなくて、旨味もね。

辰巳:今栃木県の話が出たところですけど、戸川さんはどこのご出身ですか?

戸川:広島です。

辰巳:(驚)広島でしたか!?初めて聞いたかも。広島のどちらですか?

戸川:広島市です。私は原爆っ子なんです。昭和17年生まれ、爆心地から3kmぐらいですからわりと近いんですよ。

辰巳:えぇぇぇっ!?街中じゃないですか!?今は何区ですか?

戸川:安佐北区、市の北側です。

辰巳:原爆が投下された時はどこにいらしたんですか?

戸川:家です。屋内にいたから助かったんです。

辰巳:よっぽど頑丈な家?

戸川:笑、いえ。幼馴染のガキどもは外にいて光線を浴びてしまったのでみんな亡くなっちゃいました。

辰巳:あの日は朝でしたよね?

戸川:8時15分。

辰巳:でもよくご無事だったですよね。

戸川:そうですね。これがどういう意味かはわかりませんけど『ワインを始めるきっかけ』にもなったんですよね。

辰巳:ん?原爆とワインの関係???

戸川:(日本は)戦争に負けちゃいまして、すぐにアメリカ軍が”原爆を落とした跡を検証する”ということで『ABCC』っていう調査研究所を作ったんです。アトミックボンバーカジアリティーコミッション。その時にたまたま姉の知人でお酒屋さんをやってる方が、「『ABCC』から放射能にはどうやらお酒が効くんじゃないか?」という文献があったらしく。私もそういう話を聞いていたんですけど。
小学校の終わりから中学校にかけてそういう話を単純に聞き入れて「そうか、じゃ、ワインをやってみようか」ってのがきっかけでした。

辰巳:原爆投下の時は3歳、それからもう少し経ってからそういう話を耳にして?(戸川:頷)”ワインは健康にいいもんだ”、ポリフェノール云々って話は最近よく聞きますが、被曝にも効くという?

戸川:それでここまでなんとか来たのかなと笑笑。

辰巳:まさか小学生時代からワインお飲みになってたとか?

戸川:それはないですけど笑。父方の叔父が教育関係だったので渡米したりヨーロッパ行った時に”赤い液体”を土産に持って帰って来て。のちに”これがワインだ”ってわかったんですけど「なんでこんな不味いもん飲んでんだろ?」と。

辰巳:なんだ、やっぱ飲んでるじゃないですかっ爆。僕は赤玉ポートワインから(小学生の時から(ナイショ))入ってますから。甘くて美味しかったですよ笑。

戸川:いやぁ、あの赤玉ポートワインってよくできてますよねぇ。ホント、甘くてよくできてます。
まぁそんなんで当時は広島人として”発酵”という学部を探してみたところ、大阪大学と東京、あとは今ズバリ「発酵生産学科」がある山梨大学。自分の実力からいってそこかと。

辰巳:それが昭和35年ぐらいですか?

戸川:そうです、高校は広島のお城の周りにあります基町(もとまち)高校。

辰巳:基地の町と書いて基町ですね。そこに歩いて通ってたんですよね。(被曝してから)家は残ったんですか?

戸川:まぁ残ったんですけど半壊で・・・。

辰巳;被曝した後に吸い込まれて残っちゃうという・・・

僕実は8月6日生まれで。何もできませんけど、興味、関心はずっと持ってました。この話は初めて聞きましたけどまさかここから始まるとは・・・。のっけからちょっと重い話にはなってしまいましたが、ここでちょっとリクエスト曲を。戸川さんが一体どんな曲がお好きなのかも非常に興味があるんですけど用は何を?

戸川:いろいろ考えたんですけど、自分のワインの仕事と関連して。
自分のブドウ畑に名前をつけようとした時にどうしよ?っと思ったら斜面に日当たりが良いから’Sunny Side’ってつけようかと思ったんです。だけど会社が”サンビジョン”と”サンライフ”がある。じゃぁ2つをかけて「サンサン」。「オーナーが喜ぶ名前を」というヤらしいネーミングにしました爆。目玉焼きにしようかと思ったんすけど笑笑。
っというわけで”陽の当たる”歌にしました。

辰巳:では「On The Sunny Side Of The Street」、どうぞ!


ルイ・アームストロング「On The Sunny Side Of The Street」
(↑この曲は彼のオリジナルではなく、ジャズのスタンダードナンバー)
https://www.youtube.com/watch?v=Sz6fMGpe37k

辰巳:*この曲はワインの作り手にとても人気がある曲みたいですよ。大阪の藤丸くんとか富山のホーライサン山藤智子さんもヴァージョン違いでリクエストありました。これは戸川さんにとって何を思い出されるんですか?
(*昨年11月ゲストに来てくださった藤丸さん(藤丸ワイナリー)は同曲の”小野リサヴァージョン”、今年1月ゲストの山藤さん(ホーライサンワイナリー)は同アーティストのルイ・アームストロング「What a Wonderful World」でした。)

戸川:・・・。そうですねー、やっぱり古い白黒の映画、アメリカの良き時代の。サッチモ(ルイ・アームストロング)も映画に出たりしてたんですけど。

辰巳:このサッチモという言い方、その時代の方ですね。もうちょっと伺いたいところですが時間がきてしまいました。今日は最初から広島話でグッと来るものがありましたが、次回以降でその後のお話を伺いたいと思います。今日はありがとうございました。

全員:ありがとうございました!


(お断り:番組の収録日、OA日、この原稿の掲載には時差があります。また、この番組はお招きしたゲストのワイナリーのワインと、収録会場の「Villas des Marriages 多摩南大沢」の井村貢シェフが作るお料理のマリアージュをみなさまにもお越しいただき楽しんでいただくのがコンセプトの一つですが、現時点でお店でお楽しみ頂けるワインとお料理のマリアージュの詳細については直接お店にお問い合わせください。)

News Data

ヴィラ・デ・マリアージュpresents 「辰巳琢郎の日本ワインde乾杯!」

2022年3月3日放送回

ワイナリー

サンサンワイナリー
https://sun-vision.or.jp/sunsunwinery/

収録会場

ヴィラ・デ・マリアージュ多摩
https://villasdesmariages.com/tama/

「日本のワインを愛する会」入会申込

登録無料

入会申込フォーム