2020年7月から始まったラジオ番組『ヴィラ・デ・マリアージュpresents「辰巳琢郎の日本ワインde乾杯!」』
12月のゲストは山梨県勝沼、原茂ワイン株式会社の古屋真太郎社長です。”暗黒のボス”のいでたちが明らかになりました。還暦を前に誓った「我慢しない人生」とは?「ハラモ メルロー 2016」を飲みながら2021年最後の放送です。(全5回 5回目)
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https://775fm.com/timetable/tatsumi/
辰巳:さぁ、大晦日イヴ、晦日ですね。お客様は今月5回目、勝沼「原茂ワイン」3代目社長の古屋真太郎さんです。そして、「Villas des Marriages 多摩南大沢」の井村貢シェフです。
全員:よろしくお願いします!
辰巳:このお店も緊急事態宣言でずーーーーっと大変でしたけど、お客様に支えられて、今や”日本ワインがいちばん飲まれる店”として認知されるまでになってきました。
井村:ほんとありがたいです。
辰巳:今日のワイン、1年間の締めくくりのワインは赤ワイン。どんなワインなんでしょうか?
古屋:メルローというブドウです。最近の話ですけど”宇宙ではワインの熟成はどうなる?”ってんでロケットに乗っけて1周してきたシャトー・ペトリュスをオークションにかけたら1億円!そのペトリュスとおんなじ品種爆。
辰巳:えー、壮大な形容詞がつきました笑笑。この「ハラモ メルロー」、ヴィンテージは2016年。ではこちらで乾杯したいと思います。
全員:カンパ~イ🎶
ハラモヴィンテージ メルロー 2016(ワイナリー直売のみ)
辰巳:んー、樽もビシっと効いてて安心感のあるメルローです。これおいくら?
古屋:3800円です。(前回のアルモノワールは2700円でした)これからこれらのラベルを変えるに当たって価格も変えようということになってます。
辰巳:上がるんですか、下がるんですか?
古屋:上がります。
辰巳:ですよね~笑。これ結構バランスいいと思いません、シェフ?
井村:ですね、なんかこう輪郭がハッキリしてるといいますか。料理にも合わせやすいです。
辰巳:、という今日の料理はなんでしょうか?
井村:はい、フランス料理の定番”鴨・フォアグラ・トリュフ”を使いまして、あとは今大根が美味しい時期なので甘く煮てコンフィにしました。
鴨胸肉とフォワグラノロースト 大根の甘煮添え
辰巳:コンフィって油で?
井村:いえ。ジャムとかもコンフィって言うんですね(←コンフィチュールですね)。コンフィはお砂糖か油を使って煮込むことです。
辰巳:じゃ、これはお砂糖使って?
井村:これには少量の砂糖を使いました。”蒸しながら煮る”って言う調理法です。
辰巳:ではいただきます!
シェフはあまり鴨やフォアグラ使ったりしない印象なんですけど?
井村:このメルローには合わせたいなと。
古屋:もうフランスの味がする笑。これに(うちのワイン)合わせてくれるなんて光栄です。
辰巳:さっきのペトリュスもそうですけど、ボルドーのメルローとはやっぱどっか違うじゃないですか?わかりやすく言うとどう説明されますか?
古屋:「10年経って香りが開いてくるよねぇ」っていう熟成感は共にあると思うんです。でも日本のワインは早いうちからも美味しく飲める。それはタンニンが優しいからだと思います。10年経ったらどうなるか?をこれで(経過を)見てみたい。
辰巳:僕はフランス料理食べにいっても鴨とかフォアグラとかキャビアとか使われるとあんまり嬉しくないんですけど笑、こういうのもたまにはいいですね。
古屋:現地とは違って日本のフランス料理は日本人に合わせて、素材やアイディアの活かし方が違いますから。現地ではなんか(日本人にとっては)生臭かったりして、「だから渋いワインが欲しいんだよ」ってなったりする。日本のような優しいフランス料理にはこういう優しいワインが合うと思います。
うをぉ、断面見るとすごいボリューム!(本番ではこれを小分けにしてサーブされました)
辰巳:ところで。その独眼竜と黒いジャケット、黒いソフト帽を被って海賊のような印象深いいでたちですけど。その眼帯はどうされたんですか?
古屋:古い家なので、剣道をやってまして(←やってません)笑。
辰巳:古屋ってくらいですからね笑。
古屋:あのー、病気でね。左目を失くしてしまいまして。手術の後はやっぱりカッコ悪いので眼帯にしまして、頭の方にも傷があるので帽子を被って「皆さんに覚えてもらえる」ように。ところが「悪いことができない」笑。どこに行っても「昨日いたでしょ?」みたいな爆。
神様が「オマエいい加減悪いことはやめろよ」ってことみたいです。
辰巳:それまで散々(悪いこと)やってきたみたいですけど?笑笑
ヒゲも生やしてませんでしたっけ?
古屋:いえ。こうなる前はね、眼鏡をかけて頭(髪)も白いので結構勉強してる風に見えたんですよ。(ロック系)ギターもやってたけど「クラシックギターですか?」なんてね。ま、目の後ろにできる眼窩(がんか)癌という癌なんですけどその後転移しちゃって、国立がんセンターに行ったら”希少癌”だと。そこで放射線治療したらヒゲがまた生えてそれが黒くなってきて、「あれ、放射線若返るのかなぁ」なんてちょっと思ったりして笑笑。
辰巳:こうなってからだいぶ経つんですか?
古屋:もう3年目かな。
辰巳:じゃぁもう少し様子見?
古屋:そうですね、だいたい5年ぐらいが一つの目安。でももうこうやってお酒も飲んでますし、普通にやってますので。畑では来年の準備の肥料撒き、耕運機かけてます。次は剪定ですけど。”畑で仕事して家で一杯”っていう生活してます。今ちょっとコロナも収まってるからレストランにも行けますしね。ワタクシ独身なんでー、ステキな女性誘ってレストランに行きたいな、明るい来年にしたいなー笑笑。
辰巳:独身になられたそうですねー。
(笑っていいものかどうか会場内ザワザワしてます)
辰巳:いや、別に羨ましいという意味じゃないんですけどね笑。なんかこの格好で独身です、っていいな。悪いことはできないとは言ってますが悪いことができなくなくなったんじゃ?笑。
古屋:恋愛は悪いことではない笑笑。
辰巳:で、最近どうなんすか?
古屋:ま、あのーーー、人生は1度だけなんで「過去振り返ってる場合じゃないよね、我慢するほど人生長くない」。”我慢しない人生”でいきます!
辰巳:還暦は再来年?(古屋:頷)まだ50代ですもん。
古屋:いやぁ先輩(辰巳さんのことです)、肌のつやがいいんですけど、なんか美容とかやってるんですか?
辰巳:これはワインのおかげ笑笑。そこそこに、ほどほどに飲むのは本当にいいなと思いますよ、肉体的にも精神的にも。
なんか古屋さんに先輩って言われるとドキッとしますね。ではちょっとここで曲をかけたいと思います。今日はなんでしょ?
古屋:最後は’心に残るギターソング’。大好きなピンク・フロイドの「Comfortably Numb」。
辰巳:ガンガンロック系で攻めた12月でございました笑。では最後にこの曲をどうぞ。
ピンク・フロイド「Comfortably Numb」(1979年)
https://www.youtube.com/watch?v=_FrOQC-zEog
辰巳:なんとなくふゎぁって気持ちよくなる曲でしたね。
古屋:コンフォタブル♪
辰巳:なんかやってそうな(←なんでしょうね?)笑、曲でした。
さ、最後の最後になってしまいましたけど、原茂ワイン・・・跡継ぎが養子に入られたとか?
古屋:えぇ、偶然なんですけど姉の子が山梨大学で発酵研究をやってて、夏休みにうちに遊びに来てるうちに「ワイン造りやってみてもいいかなー」って興味を示したんで。
辰巳:そういう風に仕向けたんじゃないんですかー?子供の時からジャブを放つとか?笑。
古屋:笑。うちで遊んでるうちに”悪くない”と思ったみたいで。じゃ、とりあえず海外で勉強するか、でニュージーランドに行かせました。
辰巳:ニュージーランドはどこに?
古屋:一応語学学校に行った後にクライストチャーチの学校に1年、ワイナリーにも少しいました。*麻井先生曰く、品質の良いワインを造るニュージーランドは「飛行機に乗って俯瞰すると緑が日本に近い」、だから日本も「雨が多くてダメなんだ。なんて言わないでいいワインを造ればいい産地になる」と。
(*麻井宇介氏 参考サイト:https://ja.wikipedia.org/wiki/麻井宇介)
そしてあとは語学です。海外に行ってワインを説明するのは英語なんですよ。私なんかより下の世代の造り手はみんなフランスに勉強に行っちゃうんですけど、やっぱり英語圏の方が手っ取り早いし。ってことでニュージーランド。
辰巳:山崎さん、でしたっけ?
古屋:姉は山崎家に嫁いだのでその子を養子にして、その子にももう子供がいるんです。
辰巳:4代目ができたと同時に5代目までできちゃった?
古屋:アルモノワールが美味しくなり、そしてその樹が”金のなる木”になってくれればいいな~、私は死んでいきますけどね。「おじぃさんが植えたブドウで幸せだなー」と思ってもらえれば。
辰巳:古屋さん、そういうロマンティックなところがありますよねー。
古屋:ちょっと出来すぎた話笑。
辰巳:また来年、原茂ワインさんにとりましてもこのお店にとりましても皆さんにとりましても、少しでも明るいいい年になることを祈りまして、今年最後の番組を締めたいと思います。1年間ありがとうございました!
全員:ありがとうございました!
(お断り:番組の収録日、OA日、この原稿の掲載には時差があります。また、この番組はお招きしたゲストのワイナリーのワインと、収録会場の「Villas des Marriages 多摩南大沢」の井村貢シェフが作るお料理のマリアージュをみなさまにもお越しいただき楽しんでいただくのがコンセプトの一つですが、現時点でお店でお楽しみ頂けるワインとお料理のマリアージュの詳細については直接お店にお問い合わせください。)
News Data
- ヴィラ・デ・マリアージュpresents 「辰巳琢郎の日本ワインde乾杯!」
2021年12月30日放送回
- ワイナリー
原茂ワイン株式会社
https://www.haramo.com/- 収録会場
ヴィラ・デ・マリアージュ多摩
https://villasdesmariages.com/tama/