ヴィラ・デ・マリアージュpresents 「辰巳琢郎の日本ワインde乾杯!」 2021年11月25日OA

2020年7月から始まったラジオ番組『ヴィラ・デ・マリアージュpresents「辰巳琢郎の日本ワインde乾杯!」』
11月のゲストは大阪の株式会社パピーユ代表、島之内フジマル醸造所の藤丸智史さんです。最終週にして初めて赤ワインが登場。マスカット・ベイリーAに合わせたお料理は、、、。ぇw、お好み焼き?(全4回  4回目)
詳しい番組内容、出演者の情報はこちらから
https://775fm.com/timetable/tatsumi/

辰巳:11月最終週です。今月のゲストは大阪から、島之内フジマル醸造所の藤丸智史さんです。

辰巳・藤丸:よろしくお願いします!

辰巳:年末は時間が経つのが特に早いんですが、年をとるともっと早いしいったいどうなってしまうんでしょうか?笑。でもまずはワインで口を湿らせたいと思います笑。

全員:カンパ~イ🎶


マスカットベイリーA 2020
https://www.wineshopfujimaru.com/SHOP/2021092904.html

辰巳:今日は赤ワインでございます。マスカット・ベイリーA。フレッシュ感があって酸味がキレイなワインですが、これはどういうワインでしょうか?

藤丸:はい、実はこれは大阪の自社畑ではなくて、名張のブドウでして。

辰巳:名張!関西の人はみんな知ってますけど、ま、大阪のベッドタウンですよね。近鉄の大阪線で1時間以内ぐらいで通えると僕の子供の頃は認識してましたけど。観光地でもありブドウも植えられていて。

藤丸:自然が残ってます。観光エリアなんですけど”ぶどう狩りエリア”でもあるんですね。だからけっこうブドウもたくさん作られていて。

辰巳:ワイナリーもできましたよね?*国津醸造所、みたいな?
(*株式会社國津果賓酒醸造所:https://www.kunitsu-wine.com/about

藤丸:はい、中子くん。(←中子具紀 (なかこともなり)さん)

辰巳:僕も1回だけ行きました。廃校になった小学校の一部屋を醸造所にしてるんですよね。まぁその辺りの名張のブドウなんですね。

藤丸:酵母は天然酵母なんですけど、私たちにしては珍しく樽を使って熟成させてからリリースという。

辰巳:ヴィンテージは?

藤丸:2020。

辰巳:じゃぁ樽には半年ぐらい?

藤丸:これは9月にリリースしたばっかりなので、10ヶ月ぐらいは樽に入ってました。

辰巳:これも毎年造ってるキュヴェですか?補糖もせずに?

藤丸:そうです。

辰巳:それでも(アルコール度数)12%?

藤丸:収穫がムチャクチャ遅いんで。今年の最後の収穫は11月1日でした。

辰巳:!!! それなのに酸がきちっと残ってるのはどうしてなんすかね?

藤丸:畑が山奥で標高が高くて涼しいところなんで、かなりゆっくり熟成するんです。だから香りはかなり甘い感じはするんですけど、キリッとした酸味とタンニンはしっかり残る。

辰巳:(島之内フジマル醸造所は)元々マスカット・ベーリーAから始めたんですよね?

藤丸:耕作放棄地を最初に引き受けたのがベーリーAで、それが2010年。

辰巳:その放棄地に新しくベーリーAを植えたんですね?

藤丸:いえ、元々ベーリーAが植わっていて「もうやる人がいない」っていうところからスタートしました。”放棄”された土地をもう一度開墾した中にメルローを植えたりだとかもしましたけど。

辰巳:だいたい棚栽培?

藤丸:だいたい棚ですけどメルローは垣根です。

辰巳:3週連続でデラウェアの品種を楽しみましたけど笑、ベーリーAという品種はどういう位置づけ?

藤丸:私たちの会社としてはそんなに海外品種にこだわっているわけではなく、どっちかっていうと「日本で作られているブドウをワインにしよう」というのがコンセプトなんです。マスカット・ベーリーAも長いこと日本にある品種、日本で生まれた品種ですから、こういうのをワインにするのがいいんじゃないかなぁと思いますし。ベーリーAは甘い香りがするんですけど、アメリカンオークを使うことでさらにそれを引き出すことができるし、フレンチオークでは引き締まった感じにもできる。これも表現力、濃くも淡くもできるので、フランスでいうと「ガメイ」みたいな品種かなぁと個人的には思ってます。

辰巳:ガメイは「ボージョレ・ヌーヴォー」で世界的に有名になった品種ですけど、ある程度収量も上がるし。ブドウっていじめると収量が減ってどんどん値段が高くなっちゃってね、一般の人が飲みづらくなるんですよね。できるだけ手頃な価格でグビグビ飲めた方が好きだし、料理に合わせるにもあまりコンセントレイトしすぎたワインはどうかな?っと思うところがあるんです。
あ、そろそろ料理が来たようですね。なんだかお好み焼きみたいですけど、シェフ、なんですか?


ジャージー牛ランプ肉のローストとキャベツのガレット お好み焼き風

井村:まさに!お好み焼き仕立て笑。キャベツでガレットを作ってジャージー牛を上に乗せたフランス料理のアプローチです。

辰巳;ガレットって言ったって(お好み焼きと)おんなじでしょ?メリケン粉使って笑。(←ぁ、若い人、及び関東以北のみなさんへ メリケン粉=小麦粉のことです)

井村:そうなんですけど。。。ガレットなんです!笑笑(←珍しく意固地)

辰巳:その技術はどこに現れてる?

井村:ガレットのキャベツの甘さと香ばしさ。ま、焼き加減ですね。

辰巳:それがフレンチなんですね笑。

井村:そうなんですっ!笑笑。

藤丸:これはもう食べて確認するしか汗。

辰巳:今日は3人大阪(出身)で、なんで僕だけ大阪弁で喋ってるんでしょうか?笑笑(←他の2人なぜか標準語、イントネーションでバレてますけど笑)

辰巳:いただきます!
ふん、これマヨネーズ?

井村:アイオリソース(←簡単にいうとマヨネーズ+ニンニクのソース)、今回はそれにレモンの皮が少し入ってます。(お皿に引いてあるのは)おたふくソースと牛肉のソースを合わせたソース。

辰巳:見た感じおたふくソースなんですけど牛肉も入ってるんですね、面白いなぁ。

井村:おたふくソース100%にすると完全にお好み焼きになるんで、

辰巳:そこにフォン・ド・ヴォーとかフランスの技を入れたと?

井村:(諾)それにマスカット・ベーリーAの香りを(閉じ込めた)。

辰巳:藤丸さんいかがでしょ?

藤丸:お好み焼き、ですね爆。大阪出身のシェフだからかちゃんとお好み焼きなんだけど、なんかフレンチなんですよね。しっかり均一に焼かれてるし。ビシッと火ぃが入ってるのはあのー、多分フレンチなんだと爆。

辰巳:キャベツの切り方も細かい、みたいな?笑笑。いや、いいですよこれ。お肉ももっと欲しい笑。
あえてちょっと統一性を見つけ出すならマスカット・ベーリーAもアメリカとヨーロッパの品種のハイブリッド、このお料理もフレンチと大阪のハイブリッドみたいな面白いマッチング。これ(マスカット・ベーリーA×お好み焼き)もお店で出してくださいね。


ここでサービスショット:お好み焼きを焼く藤丸さん(上)と彼が焼いたコッテコテの大阪風お好み焼き(下)美味しゅうございました♡
(2017年 清澄白河フジマル醸造所にて 編集者撮影)

辰巳:さて、前回は学生時代からずっと飲食のアルバイトをやってて、卒業して就職した大手の飲食業の会社を辞めて、新たなスタートを切ったという。自分の店持たれたんですか?

藤丸:いえ、その時はイタリアンの店のオーナーさんのところで働くことになって、店長を任されることになって。

辰巳:いきなり!?そこはどこ?

藤丸:また(出身地の)尼崎に戻って来ることになるんですけど。でもその頃はもう海外の(ワインの)生産者のところで働こうという思いがあって。当時ワインバーやホテルの先輩とかかっこいい先輩がいらっしゃって、ワインの表現だとか法律的な話は教えてくれるんですけど、例えば「同じ品種なのに道挟んで味が違う」のは「なんで違うのか?」は誰もわからない。当時はネットはおろか本も少なかったんで、「これは見に行くしかない!」。お客さんにちゃんと説明したいんで一回生産者で(ワイナリーで)経験するとなんとかなるんじゃないかなぁと思って。

辰巳:それは店長2~3年やって?

藤丸:実は学生時代の20歳ぐらいから山梨のワイナリーの収穫のお手伝いには行ってたんです。就活先がサントリーのグループ会社だったのでサントリーさんとか、あとは先輩の知り合いのワイナリーさんだとか。まぁでもいざ働くってなるとなかなかお給料をもらえる仕事ではなかったので、一旦海外に出ておっきなところで働らかしてもらおうと思って、最後はそのレストランを上がって(辞めて)海外に出ることになりました。それが27歳の時、29歳で(日本に)帰ってきました。

辰巳:自分の中で「ワインに魅力を感じてワインでなんかをやっていこうと感じた」ってことなんですか?

藤丸:店を最初に任された頃はすでにサーフィンという趣味があったんですが、

辰巳:あれ、サッカーからサーフィンに?

藤丸:はい。でも25歳の時からお休みしてまして、そこからはワインだけ。時間とお金をすべてワインに遣ってた20代でした。(以来15年封印していたサーフィンですが40歳からまた復活したそうです。)

辰巳:ではその頃の思い出の1曲でも聴いてみたいと思います。

藤丸:はい、ノラ・ジョーンズの「Don’t know why?」

辰巳:なぜ?

藤丸:これ多分*カバーだと思うんですけど、オーストラリアとニュージーランドに(ワインの)修行で行ってた時にラジオから流れてきてたんです。すーーーっごい音域が広くてビックリした!
(*以下ウィキペディアより抜粋
アメリカ合衆国のシンガーソングライター、ジェシー・ハリスが作詞作曲を手がけ、1999年にジェシーのアルバム『Jesse Harris and the Ferdinandos』に収録された。その後ジェシーはノラに同曲を提供し、彼女の最初のスタジオ・アルバム『カム・アウェイ・ウイズ・ミー(英語版)』に収録された。)

辰巳:海外で聴いた曲覚えてるんすか?(←日本でもとても有名だと思います)

藤丸:耳に残るぐらいめちゃくちゃヘビロテでかかってたんで笑。ノラ・ジョーンズっていう歌手の名前も覚えやすいし。何より最初に(曲を)聴いた時のインパクトがすごくて、「誰だこの人!?」。

辰巳:今聴いたらどんなふうに感じるんでしょうか?ではノラ・ジョーンズの「Don’t Know Why」


ノラ・ジョーンズ「Don’t Know Why」(2002年)
https://www.youtube.com/watch?v=tO4dxvguQDk

辰巳:これをオーストラリアとニュージーランドで聴いてた?

藤丸:そうですね、1年づつ行ってたので。

辰巳:海外での放浪生活は全部でどれぐらい?

藤丸:2年ちょい。

辰巳:ヨーロッパには?

藤丸:、その前の3ヶ月。フランス、ドイツ、イタリアの産地を輸入会社さんと一緒にワイナリーを訪問させてもらって、そのあとはオーストラリア、ニュージーランド。お金がなかったんで、ヴィザが取れるのがこの2カ国しかなかったんですよ笑。ワーキングホリデーのヴィザ使って。でもオーストラリアの場合はほとんどレストランで働いてました。

辰巳:どの辺り?

藤丸:シドニーが多かったです。逆にニュージーランドの時はほとんど畑だったんでー。

辰巳:どの辺り?

藤丸:マールボロとマーティンボローのエリアで、それこそ*楠田ワインズの楠田さんのところに長いことお世話になってました。
(*Kusuda Wines 参考サイト:http://kusudawines.com/japanese/media/index.htm

辰巳:へぇぇぇ!?で、30歳を前に帰国して、

藤丸:そのまま独立。

辰巳:それからワインの販売会社を作った?

藤丸:そうです、ワインショップ。

辰巳:それをやりながら「いずれワインも造るぞ」と?最初からその気持ちはあった?

藤丸:はいっ!

辰巳:着々と自分の思いを実現してくってやっぱA型ですね笑。
もうあまり時間もないんですが、ワインにハマる時って2つの人種がいると思うんですけど。”ターニングポイントがある人”か”そうでない人か”?藤丸さんどっちですか?

藤丸:そうですねぇ、’このワイン’っというよりかはやっぱりワインの周りにいるといろんな方に出会ってそこから教えられることの方がたくさんあったので。ワインと一緒にいるとこれからも成長できるし、楽しく生きていけるんじゃないかなっ?っとは思います。

辰巳:それはすごくよくわかります。「初めて飲んだワインがペトリュスで、その味が忘れられなくて・・・」とかそんなんじゃないんですね笑。

藤丸:残念ながら笑笑。

辰巳:今の活動はそれゆえだからなんでしょうね。ワインとどういうふうな出会いをするか?
シェフはそのワインとの出会いとかはあるんですか?

井村:そうですねぇ、僕は料理人始めた頃にお客様の飲み残したワインを少しづつ飲ませてもらって、、、いいワインとかいっぱいあったので。。。

辰巳;藤丸さんもそんな時期が?

藤丸:もちろん。

辰巳:僕もちょっと立場は違うけど昔「食いしん坊万才」という番組で(スポンサーの)キッコーマンさんに店に連れてってもらって、何を教えてもらったかというと「ワインボトルは全部飲んだらアカンでー、ちょっと残しとかな」「飲みきるのはカッコ悪いねん、そのあとお店の人が勉強すんねん」と。最近は全部飲んでしまいますけど笑。
最後に。これから日本ワイン、どうなっていくか?どうしていきたいか?ありますか?

藤丸:私たちとしては、まだワインを飲まれてない地域に”ワインを飲む風”を作りたいな。例えば、山小屋だったり海の家だったり、今までビールぐらいしかなかったところへもっとワインを入れていきたいなっていう活動をしてまして。日本ワインって土地の個性を表現するものなので、もっと外に飛び出していくべきものじゃないかなーと思っています。

辰巳:ほんっとにそう思います。「日本のワインを愛する会」っていうのもそういう意味で新しく立ち上げたんです。「知らない人にも飲んでもらってナンボかな」ってる気がしますんで。そういう意味でも藤丸さんのやってる動きは非常に共感するところが多いです。これからも色々教えていただきたいと思います。11月の4本分、あっという間でした。
今回はこれでおしまいですが、またちょっと期間置いてきてほしいな。まぁ大阪でも。尼崎にも今度連れてってほしいなと思っております。ありがとうございました!

全員:ありがとうございました!

(お断り:番組の収録日、OA日、この原稿の掲載には時差があります。また、この番組はお招きしたゲストのワイナリーのワインと、収録会場の「Villas des Marriages 多摩南大沢」の井村貢シェフが作るお料理のマリアージュをみなさまにもお越しいただき楽しんでいただくのがコンセプトの一つですが、現時点でお店でお楽しみ頂けるワインとお料理のマリアージュの詳細については直接お店にお問い合わせください。)

News Data

ヴィラ・デ・マリアージュpresents 「辰巳琢郎の日本ワインde乾杯!」

2021年11月25日放送回

ワイナリー

株式会社パピーユ 島之内フジマル醸造所
https://www.papilles.net/shimanouchi_post/

収録会場

ヴィラ・デ・マリアージュ多摩
https://villasdesmariages.com/tama/

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