ヴィラ・デ・マリアージュpresents 「辰巳琢郎の日本ワインde乾杯!」 2021年7月22日OA

2020年7月から始まったラジオ番組『ヴィラ・デ・マリアージュpresents「辰巳琢郎の日本ワインde乾杯!」』
2年目の7月のゲストは株式会社都農ワイン、取締役工場長の赤尾誠二さんです。まずは”宮崎で造る甲州”でカンパイ!リクエスト曲は自身の結婚式での思い出の曲、その後授かったご子息の進路は???(全5回 4回目)
詳しい番組内容、出演者の情報はこちらから
https://775fm.com/timetable/tatsumi/

辰巳:はい、7月のゲストは宮崎県は都農ワインの工場長、赤尾誠二さんです!

辰巳・赤尾:よろしくお願いします!

辰巳:今日海の日なんですって?なんか例年と違う日付ですけど明日からオリンピック、いよいよですねぇ。ヨーロッパやアメリカであるときは深夜眠れない日が続きますが、そのあたりはラクだなぁと笑。さ、今回はどんな感じになるんでしょうか!?まずは今日もワインで乾杯したいと思います。今日は白ワイン。

全員:カンパ~イ🎶


甲州 プライベートリザーブ 2020
https://tsunowine.shop/?pid=123324122

辰巳:んー、なんか酵母っぽい香りとフルーティーなのと。思ったより酸味がキリッとしてますが、このワインはなんでしょうか?

赤尾:はい、こちら甲州プライベートリザーブっていう、甲州というブドウを使った白ワインですね。

辰巳:山梨県の名前がつけられている甲州なんですけども、都農でも甲州は植えられてるんですか?

赤尾:はい、2012年に12アールほど栽培を始めて”宮崎の甲州”、ま、”九州の甲州”として笑。

辰巳:どうですか?

赤尾:その、土地柄が出てですね、宮崎らしいトロピカル感や華やかな香りっていうのが十分に出た甲州じゃないかなぁと思ってます。

辰巳:棚栽培ですか?

赤尾:うちは全部棚ですね。

辰巳:今トロピカル感っておっしゃいましたけど、それよりはどっちかっていうと’線が細くて力強い’感じがしますね僕は。で、暑いとこだから酸が乗らないのかなと思ったら、ま、造りにも秘密があるんでしょうけどキリッとしててね。
井村シェフ、今日もよろしくお願いします。この甲州どうですか?

井村:山梨の甲州とはまた違った感触で、深い味わいがあるなと思いました。

辰巳:少し早摘みしたりもしてるんですか?

赤尾:はいそうです。甲州の収穫は9月の下旬とか、引っ張れば10月頭なんですよ。でも宮崎って冬が短くて春が早いんで、芽吹きが早いんです。だから宮崎では9月の中旬に収穫ができるんです。おそらくもうちょっと熟さないと糖度は上がらないはずなんですけど、宮崎は雨が多いので、あまり遅くまで葉がもたないんですね。だから若干早摘みにはなるので、辰巳さん仰った通り骨格が酸味のしっかりした感じになったんだと思います。

辰巳:9月中旬?

赤尾:18日から20日の間です。

辰巳:甲州ってピンクグレイのような色ですけど、若干グリーンも残ってる状態ですか?

赤尾:そうですね、白・ピンク~紫ぐらいの時期だと思います。

辰巳:シュール・リーは?

赤尾:してます。タンクの中で1ヶ月に2回ぐらい酵母を侵食させて厚みを出したかった。イースティーな感じはそこからきてると思います。

辰巳:でもなんか宮崎っぽいイメージがない、この辺がなんか不思議だなぁ。これ12アールの畑で?

赤尾:そうです、1200本ぐらいですかね。

辰巳:これはおいくら?

赤尾:3000円。

辰巳:ちょっとお高いですけど、逆に’自信作’でもあるんでしょうね。

赤尾:甲州はいろんな地域でやってみた方がいいと思っていて。魅力を広げていくためにはいろんなところでやったほうが。

辰巳:それはその通りだと思います。そのためには”甲州”というブドウの(品種の)名前を変えるべきだと思ってるんですけど、どう思います?(全員苦笑)。

赤尾:それも過激ですけど笑、いいと思います。

辰巳:世界的な流れはそうでしょ?例えば”ミュスカデ”だったらブルゴーニュでは”ムロン・ド・ブルゴーニュ”とかね。(←元々はブルゴーニュが起源ですが、現在、世界的にはロワール地方で造られている”ミュスカデ”という品種名で通っています。)

赤尾:確かにそうですね。

辰巳:どうしても”甲州”ってなると「山梨のワイン」って間違えちゃうじゃないっすか?

赤尾:頷。だから宮崎の人はまだ甲州(ワイン)飲み慣れてないんで、首都圏中心の甲州飲み慣れた方にまずは「宮崎の甲州」を発信していきたい。宮崎の甲州はいい年は桃とかパインみたいな香りがあるんですけど、この2020年ヴィンテージに関してはもうちょっと涼しげな香り。収穫のタイミングで香りのタッチがバラつくとこがあるんです。

辰巳:4~5年前のこれを飲んだんですけど若干色が黄色がかっててトロッとした感じがしてそれはそれで美味しかった。これから日本ワインも熟成してから飲む時代が来るといいなぁっと思うんですけど。
さ、井村シェフ、このワインに合わせたお料理はなんでしょうか?

井村:はい、今日は夏向きのお料理をシンプルに。甲州の甘~い深~い味わいを感じたんで、お魚と一緒に野菜をサッと焼いたソテーです。アクセントにケッパーの香りを合わせたみたんですけど。


八王子近郊の採れたばかりの野菜と真鯛のポワレ

辰巳:野菜はアスパラとカリフラワーの細長いやつ(井村:カリフローレです)、ズッキーニ、おネギ?(井村:小松菜です)、、、ケッパーの酸味がすごい効いてますね。これは?

井村:これは紅くるりという赤い大根です。これも近所の農家さんが作ってるものです。

辰巳:うん、美味し♡今度の僕のリクエストとしては、この野菜たちを素焼きにしてエキストラヴァージンオイルかける、みたいな感じも食べてみたいな。

井村:あーわかりました!

辰巳:この真鯛にしっかりと塩味がついていて”野菜のドレッシング”みたいな役割ですよね。
ぜひ「Villas des Mariage多摩南大沢」に来て甲州と合わせて食べていただきたいです。赤尾さんいかがですか?

赤尾:このケッパーのソースとシャルドネ(前週OAで登場して卓上にまだ残っていた「白水アンフィルタードシャルドネ」)の酸味がすごくいいトーンで合ってくるんで、甲州がまろやかに感じます。オリーブオイルの力もありますね。

辰巳:この甲州は9月の半ばに収穫して糖度はどれぐらいいくんですか?

赤尾:17度とか18度ぐらいですかね。

辰巳:補糖は?

赤尾:若干してます。

辰巳:(アルコール)度数は?

赤尾:11%。

辰巳:アルコール度数を上げなくてもある種のボリューム感、酸味もあるんで成立する感じがします。あるいはもっと低くても。。。(最近トレンドらしい)”ノロワイン”(ノンアルコール・ローアルコール)をもうちょっと使いたいな。でもノンアルコールはイヤ、1%でも入ってた方が嬉しい笑。このコロナ禍の中でいろいろノンアルコールのビールを飲み比べたんですけど、なんか○×%÷~、つまんなーい笑。そのうちのどれかに1%だけアルコールが入ってて、たった1%のアルコールが、、、美味しかったんですよ笑。どこの国のビールかも忘れちゃいましたけど、そんな1%でもだいぶ違いますよね。料理でもちょっとした塩梅で違いますもんね。
今日はいろんなアイテムがある中で、この甲州を持ってこられたのは何か理由が?

赤尾:まずは辰巳さんにこの甲州を飲んでもらってちゃんとコメントを聞きたかった笑笑。

辰巳:なんだ試されてたんですね笑。

赤尾:と、宮崎にいると”甲州”飲み慣れた人がほぼいない。今このコロナの中、イベントもないですしなかなか皆さんに飲んでもらえる機会もないですし。で、(これを飲んで)”甲州らしい”とか言われると「じゃもうちょっと”宮崎らしく”しよう」と思ったり”宮崎らしい”って言われると「もうちょっと甲州らしくしよう」と思ったり笑。収穫のタイミングも造り方によってもいろいろチャレンジできるんで(辰巳さんに)ちょっとコメントもらいたいなってのが正直なとこですね。

辰巳:なるほどー。イメージ的には、ちょっと”日本ワイン”を知った人向けにいうと、「山梨よりも山形の庄内の方の甲州に似てるな」という気がします、独特の酸と旨味があって。山形もワイナリーたくさんあるから一概には言えないんですけど。
山形も暑いとこなんです。僕ら小学校の時に日本で最高気温を記録したのが山形だった、と記憶してるんですよ。寒暖の差も激しいし、今あらためてワイン産地として注目されてますけどね。だからこれはこれで一つの方向性だと思いますけど、”宮崎っぽさ”がイマイチなんでもうちょっと芋焼酎っぽくてもいいのかな、マンゴーっぽくてもいいのかな?笑。

赤尾:あとは収穫前に葉っぱを取って(徐葉して)光を当てるとか、そうするとまたタッチが変わってくるんですね。宮崎は真夏に収穫するので、こういうちょとした作業でも(仕上がりが)変わってくるんです、表現次第で微妙に。だから今日お話聞けてよかったです。

辰巳:「宮崎の甲州」これから注目していきたいと思います。ではここで赤尾さんのリクエスト曲聴きたいと思いますが今日は何を?

赤尾:葉加瀬太郎さんの「情熱大陸」。

辰巳:ほぉ、なんでまた?(←ようやく知ってる曲きました)

赤尾:(自身の)結婚式の時にこの曲をたくさんかけてもらって、これを聴くとその時の気持ちを思い出すんです。

辰巳:・・・あのー、どうして結婚式で?結婚して何年ですか?

赤尾:今年で20年ですね。披露宴をうち(都濃ワイン)の樽の部屋でやったんすよ、手作りで。PAもミキサーも地元のブドウ農家さんやボランティアの人で、彼らが選曲してくれて。フォークリフトをゴンドラみたいにしてグワァっと上げて(花嫁を)迎えに行くようなイベント的な披露宴をさせてもらってて、その頃の鮮烈な思い出があったんで。

辰巳:では聴いていただきましょう、葉加瀬太郎さんで「情熱大陸」。


葉加瀬太郎 「情熱大陸」(1998)
https://www.youtube.com/watch?v=53B3ZrhfnOA

辰巳:結婚20年ですかー。さっきちらっと伺ったら、息子さんがこの春からなんと山形!?

赤尾:そうですね、山形大学の農学部。

辰巳:たまたまさっき山形の甲州の話もしましたけど、えーーー!?
で、何を勉強されるんですか?

赤尾:あの、発酵関係の勉強をしたいっていうことで。

辰巳:やっぱり親父の背中を見て育って後を継ぎたいと思ってるんすかね?

赤尾:僕はやめとけと言ってるんすけど笑。

辰巳:なぜ?

赤尾:まぁワイン造りが大変とは思わないんですけど、それ以外の大変さってあるじゃないですか?例えば会社とか地域とか農家さんとか。モノを造る事は僕は好きなので面白みはあるんですけど、会社も含め”地域を背負う”とかそれ以外の大変さをも含めて「ワイン造り」なので笑。ま、子供にはもうちょっとピュアにワインに向き合ってもいいのかなっと思ったりもします。

辰巳:ど、どういうことですか?ワインには向き合ってもいいけど、他のことにとらわれずワインだけに取り組んでほしい?

赤尾;そう、、、ですね。例えば僕は365日のうち360日は会社で仕事するときもあったりもするんです。

辰巳:そんなにしますかー、ちょっとブラック企業ですね笑。

赤尾:ブラックですよねホントに笑笑。うちの息子はそれを見て「仕事ってそんなに楽しいんだ?」って思ってたらしいんですよ。「だって毎日会社行くんだもん」みたいな。ん、でも楽しく仕事してもらえばいいです。

辰巳:でも今はね、「楽しいことを途中でうち切れ!これ以上楽しいことやるな!」って言われてる感じがするんですよ。料理人の世界も元々ものすごくブラックな世界でしょ?「(一人前になるには)それなりに時間もかかるし勉強しなきゃ」、な世界じゃないですか?

井村:休みの日でも生産者を訪問したりだとか、楽しいから料理につながることをやったりはしますよね。

辰巳:あ、そっか、シェフの場合は規定内の時間をこのレストランで働いて笑、空いた時間で生産者巡りをしていると?それは全くのボランティアで?

井村:それは業務時間とはまた別の自分の時間です。

辰巳:んー、なかなか難しい。いわゆる「時間を売る」だけじゃない仕事ってたくさんあるんですよねー。

赤尾:子供に期待するのは”楽しく仕事をする環境”にいてもらえればいいだけなんで、ワインを造るにしても楽しくなければ造んなきゃいいし、っと思うだけです。

辰巳:都濃ワインだったら赤尾さんが引っ張っていかなきゃいけない部分じゃないですか。

赤尾:そうですね。まぁうちの社長が今62歳で僕が46歳だから16離れていて、で、僕は一回り下の子たちと一緒にワイン造ってたりして。組織として、会社としての”ワイン造り”っていうものが仕事としても自分の成長としても、有益な会社であればいいなぁっと思ってます。

辰巳:ある種独特なワイナリーですもんね?成り立ちも地域的にも、いわゆるワイン産地じゃないし。ま、今宮崎県に6軒のはワイナリーありますけど、南北に長~い宮崎の中にポツンポツンとね。九州の中では安心院ワイン、熊本ワイン、都濃ワイン。まずこの3つが浮かぶトップランナーですよね。

辰巳:(井村シェフに)面白いでしょこの人?イケメンでいかつそうな顔してるけど、でもけっこうナイーブでデリケートな方で(なぜか笑笑)。

赤尾:これからの世代も含め、畑もそうですけど、まだまだ余白がいっぱいあるのでそこをみんなで埋めて行くっていう感じですよね。

辰巳:今畑はどれぐらい?

赤尾:8.5ha。

辰巳:プラス契約農家さん?

赤尾:ですね。今30人近いスタッフが会社にいるんで「それぞれの都濃ワイン」を抱えていけるようにしたいと思っています。

辰巳:(井村シェフに)日向灘を見下ろせるワイナリーに一度遊びに行かれたらいいと思いますよ。

赤尾:丘の上にありますので。

辰巳:魚も美味しいし。っということで時間が来てしまいました。7月は木曜(OA日)が5回ありますので来週もよろしくお願いいたします!7月のお客様、宮崎県 都濃ワインの工場長赤尾誠二さんをお迎えしました!

全員:ありがとうございました!

(お断り:番組の収録日、OA日、この原稿の掲載にはそれぞれ時差があります。また、コロナ禍における様々な政府の対策によっては「ヴィラ・デ・マリアージュ多摩南大沢」のメニュー提供等が変更になっている場合があります。詳しくはお店にお問い合わせください。)

News Data

ヴィラ・デ・マリアージュpresents 「辰巳琢郎の日本ワインde乾杯!」

2021年7月22日放送回

収録会場

ヴィラ・デ・マリアージュ多摩
https://villasdesmariages.com/tama/

「日本のワインを愛する会」入会申込

登録無料

入会申込フォーム