2020年7月から始まったラジオ番組『ヴィラ・デ・マリアージュpresents「辰巳琢郎の日本ワインde乾杯!」』
6月のゲストはマンズワイン株式会社、代表取締役社長の島崎大(しまざき だい)さんです。初回のキーワードは「中央自動車道」。この番組の会場や放送局がある八王子にも因縁ある昭和の頃のお話から。(全4回 1回目)
詳しい番組内容、出演者の情報はこちらから
https://775fm.com/timetable/tatsumi/
辰巳:6月のお客様は山梨からお越しいただきました、「マンズワイン株式会社」の島崎大社長です!
辰巳・島崎:よろしくお願いします!
辰巳:えーと、社長になられて3年少し?
島崎:はいそうですね、4年目になります。
辰巳:どうですか、社長業?
島崎:いやぁ、なかなか大変です苦笑。特に去年からはコロナの影響が大きかったりしますのでー。今まではとにかくいいワインを造ってればよかったんですけど、、、。
辰巳:ずーっとワインメーカー(醸造家)として第一線で活躍してきた島崎さんなんですけど、そんな話、あるいはもっと若い時代の話なんかを今月4週分、お伺いしたいと思っております。
そして今日もヴィラ・デ・マリアージュ多摩南大沢で録音しておりますが、こちらのシェフ、井村貢さんにもお付き合いいただきます。
井村:よろしくお願いします!
辰巳:今大変ですよね、お店の経営状況も。お酒も出せなかったりもして。でも最近(日本ワインを)買って帰ってくださる人もいるって?
井村:そうですね、ご自宅で飲んでくださるということで、ありがたいです。
辰巳:今日も美味しいお料理よろしくお願いします。
ではまず乾杯したいと思いますが、社長このワインは?
島崎:これは「酵母の泡」というスパークリングワインです。原料(品種)は甲州、セック(やや辛口)で”誰が飲んでも美味しい”味に仕上げてまして、ポイントは「シャルマ」という発酵方法、文字通り酵母が泡に溶け込んでいます。
辰巳:ではカンパ~イ🎶
マンズワイン 酵母の泡 甲州
https://mannswine-shop.com/SHOP/561539.html
辰巳:んーーー♪なんかね、だんだん”辛口辛口”って世間がいきがちですけど、時々こういう柔らかくてほんのり甘いワインをいただくとホッとしますよね~。
島崎:いろんなシチュエーションや飲む方の好みや幅もありますからねー。このワインはそういう意味では幅広い方に楽しんでいただける味わいじゃないかなーと思います。
辰巳:発売以来(2008年~)、大ヒットでね。
島崎:そうですね。これを造るためには実は特殊なタンクが必要なんですけど、初めは2本でスタートしてどんどん増えてですねー、今8本9本になってます。
辰巳:そんなに!?こないだロケに行って見たんですけどね。
島崎:建物の中にタンクが入らないからしょうがない、外(屋外)。笑笑。
辰巳:外ですよ、建物作りましょうよ笑。今大改造してましてね、モダンなかっこいいショップがオープンしまして。
島崎:去年の3月にオープンする予定だったんですけど、コロナのせいで延期されて。この6月からは(緊急事態宣言で)残念ながら試飲はできないんですけど週末中心にオープンしてますんで、みなさんにもぜひいらしていただければ。”勝沼のランドマーク”になればいいなと思います。
辰巳:勝沼に”新しい名所”ができました。またお邪魔したいと思います。
えっと、島崎さんはキッコーマン?マンズワイン?入られて何年ぐらい?
島崎:(マンズワインに)就職したのが1983年なので・・・。
辰巳:大学卒業して新卒で?
島崎:はい。
辰巳:ってことはマンズワイン一筋?
島崎:そうです。だから(入社して)38年ですね。22(歳)からで今60 ですから。
辰巳:(60歳に)なりました?
島崎:なりました。
辰巳:おめでとうございます!何月何日(生まれ)?
島崎:えっと2月13日です。
辰巳:そっかぁ。確かマンズワインができたのは昭和37年?
島崎:1962年ですからそうですね。
辰巳:草創期というか、これから日本のワインが少しづつ認知され始める頃からずーっと牽引して来られた。。。
島崎:いやいや。先輩の方々、いろんな遺産も引き継ぎながら笑。
辰巳:実は僕もキッコーマンさん提供の「食いしん坊万才」という番組でお世話になってたんですけど。でもね、マンズワインがキッコーマンの「マン」だってことを知らない人多いんですよね。
島崎:そうでしょうねぇ。
辰巳:それをもっと知ってもらったほうがいいですか?それともあんまり知られたくないですか?笑。
島崎:あのーーー、もちろんキッコーマングループの一員ということで、「食文化」という部分では大きい部分があると思ってるので、そこはみなさんに知っていただきたいなと思ってます。
辰巳:僕もその「食いしん坊万才」の取材で初めてワイナリーを訪れたのがキッコーマンさん(マンズワイン)の「小諸ワイナリー」だったんです。生まれて初めて訪れたワイナリー、以来ワインの世界にどっぷりという因縁のワイナリー笑。あの頃島崎さんはもういらっしゃったわけですよね(1991年ごろ)?
島崎:そうですね。フランスのボルドーに行っていて帰ってきたのが1990年。だからその頃はもう日本におりました。
辰巳:その頃はもう勝沼(勤務)?
島崎:そうです。
辰巳:そしたらその頃小諸には誰がいらしたのかなぁ?もう30年前ですしね。ちょっと調べておきます笑。
お、お料理が出てきましたんでちょっと召し上がりましょう!
シェフ、このお料理はなんでしょう?
中西ファームのカブを使って3種 ”ロースト・マリネ・ピューレ” 生ハム添え
井村:今日はこのワインに合わせてカブのお料理を。”香ばしく焼いたもの””マリネしたもの””(葉っぱと実を一緒にして)ピューレにしたもの”。同じカブでもいろんな味わいがありますんで。
辰巳:ではいただきまーす。これも地元のカブラ?
井村:そうです。これは八王子の中西ファームのカブラです。(←辰巳さんも井村さんもさすが関西人、カブはカブラです)
辰巳:葉っぱの緑が鮮やかで。なるほど、焼くと少し味が濃縮されて甘みも出てきますね。どうですか、このワインとの相性は?ダメ出しでも笑。
島崎:いや、バッチリですね。(調味料は)何で炊いてるんですか?
井村:これは塩だけでゆっっっくり焼いてるだけなんです。
島崎:あっ、そうなんですか?
辰巳:じっくり焼いて蒸される、みたいな感じ?
井村:そうです、蒸し焼き。30分ぐらいかかるんですけど。
島崎:滋味の感じられる味ですね。
辰巳:地元の食材も大事にされててね、とにかく料理のヴァリエーションがすごいんですよ。もともとフランス料理で上柿本シェフという、アラン・シャペル系の元で修行されたというシェフでございます。
このマリネしてるのは生ハム?
井村:はい、カブの食感とこの生ハムで塩味を感じていただいて。
辰巳:僕ね、(ルーツは)北陸なんですよ。両親は石川県で親戚は富山とか福井とかその辺なんです。で、あのあたりに冬の名物「かぶらずし」ってのがありまして。知りません?ま、あんまり全国区じゃないですけど。カブラを分厚く切って、そこにブリの切り身を入れて麹漬けにするみたいなね。ちょっと甘じょっぱいお漬物、もう大好物でね。これは”洋風カブラ鮨”みたいな感じ。もうちょっと生ハム分厚くしてもいいかも笑。
ところでマンズワインは甲州のスパークリングワインを日本で一番たくさん造ってるワイナリーなんですよね?
島崎:そうです。
辰巳:なんでも”いちばん”っていいですよね。この「甲州の泡」、生ハムの塩味にもすごく合います。
(ご時世柄仕方がないとはいえ、アクリル板はもどかしいですね)
辰巳:さて、ここら辺で島崎さんのリクエスト曲を聴きながらいろいろ遡りたいと思います。なんにしましょ?
島崎:じゃぁ、ユーミンの「中央フリーウェイ」をお願いします。
辰巳:中央自動車道ね笑。今日もこれで?
島崎:はい(勝沼から上ってきました)。
辰巳:やっぱりユーミンの世代?
島崎:ですね。
辰巳:(ユーミン)は本当にすごい人だとは思いますね。僕らは関西にいるときにこの曲を聴いてたんですけど、当初は(中央道が)わからなくて。のちに東京に住むようになってから「ナットク」笑。
あれ、これは荒井由実の時?松任谷になってから?
島崎:えーっと、荒井由実時代の最後の「14番目の月」っていうアルバムの中に入ってます。
辰巳:詳しいっ!ではどうぞ~。
荒井由実「中央フリーウェイ」
https://www.youtube.com/watch?v=t3M4jqdoJMc
辰巳:はい、懐かし~!聴きながら「この頃は中央道は八王子までしかなかったんですよー」とか細かい話をしてたんですけど、やっぱりよくご存知ですねー。あれ、何年の歌でしたっけ?
島崎:確か1976年ですね。私は出身が東京で79年に山梨大学に入学したんで、中央道は「故郷と大学を結ぶ道」というところで。その頃は(中央道は)勝沼まで通ってましたので。
辰巳:あーそうか。その頃はもう車に乗ってたんすか?
島崎:(学生時代の)途中から乗ってましたね。先輩から3万円ぐらいで買って笑笑。
辰巳:そうですよねー、学生時代ってそういう中古を買って練習してボコボコにぶつけて笑笑、僕も経験があります。で、この曲は右に競馬場が見えてビール工場は左だから”下り”なんだよと笑笑。「行くぞ~」っと東京から行って(曲の発売時は)結局八王子で降りてたんですかね笑。こういう青春時代の記憶ってなんか残ってますよね。僕とは学年で2つ違いかな。(←辰巳さん1958年、島崎さん1961年早生まれ)ワイン造りにおいてもそういう”世代の違い”っていうのはあるんでしょうかね?
島崎:やっぱりあるでしょうねぇ。周りの情勢がぜんぜん違いますし、それによって業界も大きく変わりますし。日本ワインで言えば、例えば私が勤め始めた頃、途中にも大きな変化があって、そして今。すごく大きな違いがあると思います。
辰巳:今は造り手も後輩たちがたくさんいらっしゃいますけど、やっぱり違ってます?
島崎:はい、私ももちろん先輩たちとは違ってるし、下もどんどん変わってきてるなっていうのはありますよね。今「日本ワイン」は当たり前のメインストリームになってますけど、私が入った頃はまだまだ輸入原料で造ったワイン(現「国内製造ワイン」)がむしろ当たり前っていう時代でしたから。ワイン造りに対する考え方も違うでしょうし、製品自体も大きく変わってきてると思います。
辰巳:(今日のワインの話に戻ります)この「酵母の泡」というのは、島崎さんも(発売当初から)関わってたんですか?
島崎:これは私は直接関わっていないです。この頃は「ソラリス」というブランドの醸造責任者してましたんで。今小諸で私の後を継いでソラリスを造っている西畑(徹平氏)が勝沼時代に造った商品の一つですね。
辰巳:それまでは日本に*シャルマ方式のワインって、、、若干あったかもしれませんが、きちんと商品化することってなかったような気がするんですけど。。。
(*シャルマ方式参考サイト:https://wine-link.net/pc/dictionary/detail/1894)
島崎:全部調べ尽くした訳ではないですけど、設備的にも技術的にもハードルが高いので、おそらく(国内では)初めの方だと思います。
辰巳:シェフ、シャルマはわかります?
井村;はい、ちょっと調べました笑。
辰巳:瓶内2次発酵というシャンパーニュ方式に比べて、タンク内2次発酵。この方式で世界でいちばん有名なのはイタリアの「プロセッコ」ですね。スパークリングワインとしてもいちばん売れてるんじゃなかったでしたっけね?世界3大スパークリングワイン、シャンパーニュ、カヴァ、そしてプロセッコ。この中でもプロセッコはやっぱりフレッシュ感でしょうかねー。設備投資は大変だけど(ワイン自体の)コストは安い。
島崎:そうですね、はい。
辰巳:こういうワインもあって、「日本ワイン」の中にもいろいろヴァリエーションが生まれてね。いいですよねぇ。
島崎:そうですね、やっぱりスパークリングワインって”雰囲気がいい”ですから。「日本ワイン」の中でもシャルマでちゃんと造られているっていうのが皆さんにも受け入れられているのはうれしく思います。
辰巳:いいでしょ?
井村:はい、いいですね。
辰巳:リーズナブルだし、ブリュット(辛口)にもできますし、
島崎:、赤も造れます。
辰巳:いろいろ試していただければと思います、、、。っという訳であっという間に時間が来てしまいました。今月のお客様はマンズワイン株式会社の島崎大社長にお越しいただいています。来週以降もよろしくお願いします!
全員:ありがとうございました!
(お断り:番組のOAとこの原稿の掲載には時差があります。また緊急事態宣言中はメニュー提供等が変更になっている場合があります。詳しくはお店にお問い合わせください。)
News Data
- ヴィラ・デ・マリアージュpresents 「辰巳琢郎の日本ワインde乾杯!」
2021年6月3日放送回
- 収録会場
ヴィラ・デ・マリアージュ多摩
https://villasdesmariages.com/tama/