ヴィラ・デ・マリアージュpresents 「辰巳琢郎の日本ワインde乾杯!」 2021年5月27日OA

2020年7月から始まったラジオ番組『ヴィラ・デ・マリアージュpresents「辰巳琢郎の日本ワインde乾杯!」』開始以来念願だった「公開収録」が今回実現しました。ゲストは、この会場からおそらくいちばん近いと思われる神奈川県の「横濱ワイナリー」代表、町田佳子さんです。最終回の今回は、ワインのギョーカイ用語をちりばめつつ”野性味ある”ワインとお料理を堪能。後半はついに始めた自社畑、植えた品種とは?(全4回 4回目)
詳しい番組内容、出演者の情報はこちらから
https://775fm.com/timetable/tatsumi/

辰巳:はい、5月のゲストは横濱ワイナリーの町田佳子さんです!

辰巳・町田:よろしくお願いします!

辰巳:そして今日もこちらヴィラ・デ・マリアージュ多摩南大沢の井村貢シェフにもご一緒していただきます。

井村:よろしくお願いします!

辰巳:横浜ワイナリーはこの会場に一番近いワイナリーだと思ってお招きしたんですけどどうなんですかね?

町田:多分そうだと思います。

辰巳:今、日野だとか町田だとかどんどんワイナリーができる準備中、とか。

町田:っぽいですね。

辰巳:ぽこっと1つだけあるよりいくつかあった方が”産地”になっていいかもしれませんねー。ブドウ作りも始めて今日も朝から畑仕事もされてこられたとか?

町田:そうなんです、大変です。今日は芽かきの作業とか、あとは草刈りですね笑。

辰巳:シェフ、”芽かき”って言葉わかります?

井村:いや、わからないです。

辰巳:ブドウの芽が春先いっぱい出るんですよ。いっぱい出ると枝の方にどんどん栄養がいっちゃうんで伸ばす枝を減らすため、まだ芽のうちに取り去るって作業なんです。そのかいた芽を天ぷらにして食べると美味しいんです♡
(芽かき 参考サイト:https://www.wine-what.jp/webwriters/42212/

町田:そうなんですってね。

井村:食べてみたいです。

辰巳:ぁ、今日持ってきてもらえばよかったかな。

町田:あーそうでしたね、スイマセン気が利かなくて。捨てちゃいましたー笑。

辰巳:この時期の(ブドウ畑の)風物詩なんですよ。

井村:なるほどー、売ってください笑。

町田:今度お持ちします!

辰巳:この番組が始まったのは去年の7月からですからもう10ヶ月、毎週お料理の新作を作ってきてるんですよ、しかもワインに合わせた・・・。ちょっとこれ本にしませんか?

井村:いいですね笑。

辰巳:この番組の内容も毎回HPに掲載されてますし(ぁ、この記事のことですか?)、こちらの方もかなりの財産になってきております。
では町田さん、本日のワインはなんでしょ?

町田:はい、今日は「ヤマブドウ 2019」をお持ちしました。

辰巳:2019ですか?2018年は飲みましたけどこのヴィンテージは初めて。では乾杯しましょう。

全員:カンパ~イ🎶


横濱ワイナリー Yamabudou 2019
https://yokohamawinery.com/collections/popup/products/bt110190833f

辰巳:あらっ!?なんか2018よりも柔らかい・・・香りがすごい立ってますよこれ。

町田:そうなんです。2019はブドウの”当たり年”。糖度が高かったので甘い柔らかいブドウができました。2018年はわりと酸味が強かったんですけどこれは甘~い香りがすごくでていて。

辰巳:この番組が始まってヤマブドウは何回か登場してますけど、シェフ、このワインいかがですか?

井村:これは今までの中でもちょっと「タッチが違う」。果実味もありますし、酸もシャープですし、、、。

辰巳:これ岩手のブドウでしたっけ?

町田:はい、岩手の九戸。

辰巳:岩手県の県北に当たる山ブドウの産地ですね。もちろん畑で栽培しているヤマブドウなんですが、(岩手の山ぶどうは)”野生の血”が強いんでヴィンテージによってものすごい差が出るんですよ。ドングリも1年おきに豊作になったりだとか、あるじゃないですか?(←へぇ)。だから(出来に)バラツキが多いのでヤマブドウのワインには”ヴィンテージをつけない”のが多いんですよね。ある程度貯めたヴィンテージを混ぜてリリースするってことが多いんですけど。
横濱ワイナリーさんの創業は2017年からでしたっけ?

町田:そうです。

辰巳: 僕ヤマブドウ好きなんで、まず「横濱ワイナリーでヤマブドウやってる」っていうアイコンがあって笑、そして生食用ブドウも扱ってる。けっこう生食用ブドウ(でワインを造ること)をバカにする、というか低くみられがちなんですけど、実は”生食用ブドウからも美味しいワインが造れる”という説はシェフはあんまり知らなかったでしょ?

井村:はい、ホントに勉強させてもらってます。

辰巳:前回までの巨峰もデラウェアもそうでしたけど。日本独特の(生食用)ブドウ。このヤマブドウの2020年も若いんだけど”出来上がってる”・

町田:そうなんです。自分で造りながらも好きな感じにできました。

辰巳:残糖は残してます?ちょっと食いきれてない?

町田:いえ、食いきれてます。

辰巳:”食いきれてる”ってのはまた専門用語で笑。「酵母が糖分を全部食べてしまうと糖分がゼロになって(だから辛口になる)、アルコール度数が増す」=「食い切る」という言い方するんですけど。そんな”食いきってないような”(だから甘みが残る)感じがする、甘い香りが残ってますね。
ではこのヤマブドウ2020に合わせるお料理はなんでしょう?


エゾ鹿のコショウ風味焼き イチゴのソース・白イチゴのコンフィチュール ジャガ芋のパイアッソン添え

井村:はい、野性味のある香りのワインですんで、やっぱり野性味のある食べ物ってことで、これエゾ鹿です。

辰巳:八王子の鹿じゃないんですね笑笑?

井村:八王子にも鹿はいるー・・・、っとは思うんですけど笑。これは害虫駆除で獲ったものなんです。んー最後まで(成仏?)・・・、やっぱり「食べよう」と。で、香りが甘いワインなのでこの鹿肉も甘い味付けにしました。今日は地元町田の赤イチゴ(フレッシュ)と白イチゴのジャム、そしてこのワインも使わせていただきました。

辰巳:ではいただきまーす!

町田:いただきます!

辰巳:うん、いいですね。”野性味”は絶対合うんですけど、この下に敷かれてるイチゴの甘み、香り、酸味がよく効いてます、いいです。

町田:面白い!イチゴと合わせるとエゾ鹿はこんな感じになるんですね。

辰巳:このお料理とワイン、同じマリアージュを5月と6月、このお店で召し上がれますのでみなさんぜひお越しください。
(注:東京都の緊急事態宣言中はこの限りではない可能性があります。詳しくはお店にお問い合わせください。)

辰巳:今日は5月放送予定の4回分の公開収録ということでだんだんお客さんも増えてきて、でも密にならないいい感じ。あれ、さっきルミエールの木田(茂樹)社長のお顔も見えましたけど。(今年2月のゲストでした。)今回はこの後のディナーに登場されます。

辰巳:ではこちらを食べながら曲を聴きたいと思います。今日のリクエストは何でしょう?

町田:古いです、ビートルズ。「Here Comes The Sun」。

辰巳:これはよーく知ってます笑(←珍しい)。これは(ポール・マッカートニーではなく)ジョージ(ハリスン)の方だったかな?(←当たりっ!)。ビートルズは僕は解散した頃からしか知らないんですが、中学、高校時代に聴いてました。今ちょうど日差し(夕陽)も入ってきましたことだし、ではお聴きいただきましょう。「Here Comes The Sun」。


The Beatles 「Here Comes The Sun」(1969年)
https://www.youtube.com/watch?v=KQetemT1sWc

辰巳:「懐かしー!」って感じでしたねー。
今日は横濱ワイナリー代表の町田佳子さんにきていただいていて「ヤマブドウ2020」を飲みながら鹿肉を頂いてるんですけど、この付け合わせもまたいいですね。

井村:麦わら帽子みたいな形しているのは”ジャガイモのパイアッソン”です。ジャガイモにちょっとセロリを刻んで入れてあります。

辰巳:美味しいものをいただきながらお話しするのは楽しいですね。

町田:贅沢ですねー。

辰巳:どうですか、この仕事、やりがいありますか?

町田:ありますねー、もうエンドレス。やらなきゃいけないことが次から次へとあるので。

辰巳:最近のなんか困ったこととかトラブルとかありました?

町田:困った、と言いますか、最近農園(ブドウ栽培)を始めたんですけど、そこに*無謀にもシャルドネとピノ・ノワールを(植えちゃいました)・・・(←周囲のワイン好きからは、おそらく「やっちゃいましたね」、の笑いが漏れました笑)。
(*シャルドネは幅広い土壌や気候に順応するため、比較的栽培しやすい品種。一方ピノ・ノワールは扱いがもっとも難しい品種と言われています。にもかかわらず、この品種に憧れ、チャレンジする栽培家・醸造家が世界中にたくさんいらっしゃる様です。
ピノ・ノワール 参考サイト:https://ja.wikipedia.org/wiki/ピノ・ノワール

辰巳:笑。

町田:でー。できれば農薬を使いたくないなと思ってるんですけど、そうするにはどうやったらいいのかなーで今困ってます。

辰巳:それはあのー、品種を変えればいいんですよ。

3人:爆

辰巳:土地に合わないもの作ったって大変じゃないですか、、、っと思いますけどね。

町田:笑、そうなんですけどね。でももう無謀にも植えてしまったんで戦わなければいけない。ここ(←横浜市旭区、ズーラシアに近い場所)は肥沃すぎるかもしれないんですが、いい土地なんです。いろんな昆虫がいたりだとか自然(生態系)が豊かで。

辰巳:(そういうのも含め)農薬使いたくないとかね。

町田:そうなんです、その生態系のバランスで。ってうところが今・・・。

辰巳:植えてるのは今その2種類?畑はその1箇所だけ?

町田:はい、そうです。

辰巳:”横浜市内の畑のブドウで横浜のワイナリーでワインを造る”ってのはある種の”夢’でしょうし、成功されることを祈ってますけど。

町田:はい、ありがとうございます!

辰巳:普通はね、(本格的に植える前に)何の品種が合うのか?とかテストしながらやるんでしょうけど、どうしてやんなかったんですか(なぜ最初からシャルドネとピノ・ノワールに特化してしまった)?

町田:実は神奈川県内では川崎と相模原で(ワイン用)ブドウ栽培を始めてるところがありまして、そちらではいろんなテスト栽培をやってた、という話を聞いてたんです。やっぱり上手くいくもの、いかないものがあって、その中でも「シャルドネとピノ・ノワールは早生品種」だと。9月の上旬から収穫ができてしまうんですね。そうすると台風の被害が結構回避できる。

辰巳:つまり「収穫の時期が早い方が日本の場合はいい」、と言われてるんですね。それを考えたってこと?

町田:それを考えー、で、私自身いちばん好きな品種はピノ・ノワール、ぁ、シャルドネも好き。ってところで「じゃぁちょっとやってみようか」と。無謀にも・・・笑。

辰巳:苦労されてると?

町田:です。3年か4年後にうまく実になってくれるといいなぁと、今思ってます。

辰巳:いろんなワイナリーを回って話を聞いてると、今早生品種かつちゃんと色もついて品質がどんどん上がってるのは「小公子」らしいですよ。(全員:驚!)
日本では今330を超えるワイナリーがある、そういう時代になってきたんですけど、その中でも「横浜で造るワイン」、楽しみにしてます。ちなみに神奈川って昔はあったんですよね、ドイツ人が作ったワイナリーが。*ゲイマーワインでしたっけ?なんかそんな歴史もあったんですけど。(←ゲイマーさんはフランス人でワイナリーは相模原市にあったようです。「ゲイマーワイン」で検索するといろいろ出てきますよ)
この道に入ってよかったと思ってます?

町田:「悪かった」とは思ってないです。次から次へと面白いですね、苦労もあるんですけど面白いっ笑笑。

辰巳:じゃぁ(ワイナリー起業を)友達にも勧めたい?ワイン造りは人にも勧められます?

町田:それは、それは、それはーーー。。。止めるかもしれないです笑。かつて自分がやろうとして老舗のワイナリーさんでいろいろ聞いた時に、皆さんから何度も「やめろっ!」って言われた爆。「ワイナリーってのは決して儲かる仕事ではないし、大変だけだから」って。だから「是非!」っとは言わないです笑笑。

辰巳:でもやる意味はあると思ってるんでしょ?

町田:そうですねぇ。うちのワイナリーは”参加型”なので、醸造も栽培も皆さんに一緒に参加してもらってるんです。

辰巳:皆さんって?「町田佳子ファンクラブ」とか?笑笑。

町田:いえいえ笑。畑の方は”オーナー制”ってのをやってまして、一口3万円で3年間お付き合いいただいて一緒に育てて、できたワインをお返ししたりとか。醸造のシーズンは、「今人手が足りないのでー」とかをSNSとかHPで発信すると、皆さん来てくれてお手伝いくださる。

辰巳:へぇ、そんな人集まるんですか?

町田:そうなんです、来てくださるんですよ。

辰巳:横浜って集まりやすいのかな?

町田:そうなんですよー、それも”都市型”のメリットかな。「醸造体験」を無償でできるので、もし皆さんご関心あるようならHP覗いてください。

辰巳:これは楽しい!会員さんは何人ぐらいいらっしゃるんですか?

町田:畑の方の会員さんは150人ぐらい、ありがたいことに。

辰巳:! じゃ、畑仕事も何とか回ります?

町田:そうですね、(毎回)10~20人には来ていただいて、草刈りとかやっていただいてます。(参加者たちは)”息抜き”のつもりでもあるようなんですけど。

辰巳:このコロナ禍、町の畑で生き物と一緒に共生する生活・・・はっきり言って羨ましいですよ。(取材で)畑に行く機会はすごく多いしそういう思いはずーっとあったんですよ。植物って正直でしょ?手をかけたらかけただけそれなりの見返りはあるでしょ?

町田:はい、そう言っていただけると嬉しいです。

辰巳:ワイン造るだけだけじゃなく、きちんと畑も始められた。そんなところも「横濱ワイナリー」に注目してる理由なんです。これからも頑張ってください。
どうでした?4回分の公開収録の最後でしたけど、慣れました?

町田:いや、「皆さんの目」と「自分はどうしたらいいんだろう?」が交錯して、、、。スイマセン上手く喋れなくて笑笑。

辰巳:この番組が始まって10ヶ月目で叶った公開収録も無事、終了したかなと。ありがとうございました!

3人:ありがとうございました!

会場:拍手~

(お断り:番組のOAとこの原稿の掲載には時差があります。また緊急事態宣言中はメニュー提供等が変更になっている場合があります。詳しくはお店にお問い合わせください。)

News Data

ヴィラ・デ・マリアージュpresents 「辰巳琢郎の日本ワインde乾杯!」

2021年5月27日放送回

ワイナリー

横濱ワイナリー
https://yokohamawinery.com

収録会場

ヴィラ・デ・マリアージュ多摩
https://villasdesmariages.com/tama/

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