2020年7月から始まったラジオ番組『ヴィラ・デ・マリアージュpresents「辰巳琢郎の日本ワインde乾杯!」』開始以来念願だった「公開収録」が今回実現しました。ゲストは、この会場からおそらくいちばん近いと思われる神奈川県の「横濱ワイナリー」代表、町田佳子さんです。”目からウロコのマリアージュ”に舌鼓を打ちながらの今回の熱いトークは「”食”のサスティナブル」。(全4回 3回目)
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https://775fm.com/timetable/tatsumi/
辰巳:5月のゲストは横濱ワイナリー代表の町田佳子さんです。
辰巳・町田:よろしくお願いします!
辰巳:そして今日も「ヴィラ・デ・マリアージュ多摩南大沢」の井村貢シェフにもお付き合いいただいています。
井村:よろしくお願いします!
辰巳:今公開収録中ですが、いい感じで日が差してきまして。まずは乾杯したいと思います。今日のワインはロゼですがどんなワインでしょうか?
町田:これは巨峰のロゼです。巨峰のワインってあんまりないんですが、酸化防止剤を使わず、ブドウの勢いそのものだけで造ってます。
全員:乾杯🎶
横濱ワイナリー まほろば KYOHO ROSE 2020
https://yokohamawinery.com/collections/popup/products/24
辰巳:香りが強いですね、鼻に抜ける感じ。香りは甘いんですけど、まったく残糖がない。どうですかシェフ?
井村:デザート作るときなんかに巨峰の皮を1枚1枚剥いたりしてるとフワァっとブドウの香りがするんですけど、その香りがします、フレッシュな。
辰巳:このブドウはどこの?
町田:山形の高畠のブドウです。
辰巳:山形の置賜地方のものですね。米沢があって赤湯があってその間。高畠ワイナリーというワイナリーがありますね。ブドウ産地ですけどあの辺はデラウェアが有名ですよね。
町田:デラウェアも我々の通常のラインアップであるんですけど、その同じ生産者さん、っていうかグループから巨峰も買って造っています。
辰巳:なんていうグループ?
町田:土屋さんっていう方がリーダーの。
辰巳:わりと若い人のグループでしょ、農家離れをなんとか食い止めようと頑張ってる皆さんですよね?
町田:そうなんです、山形は耕作放棄地がすごく多くて。お年寄りが多くなってどんどん廃れてってしまう土地を若い人が力入れて生産するっていう動きがありまして。その中でもこの巨峰は老木で、60年ぐらい経っていてもう”最後の実を生らせている”状況、収量はすごく少ないそうです。
辰巳:ってことは*巨峰って出来て60年は経つってことですよね。大井上さんが確か伊豆の方で開発した、、、。”巨峰”ってなんの意味かご存知でしたか?
(*巨峰及び大井上康氏の参考サイト:https://ja.wikipedia.org/wiki/巨峰)
町田:えっ、知りません。
辰巳:巨大な峰でしょ。これ、『富士山』の意味なんです。
町田・井村:へぇぇぇ。
辰巳:(大井上さんの)富士山が見える家があって、この他にもいろんなブドウを作ってこられた方。そうか、じゃ60年というとかなり最初の頃からあったってことですよね。で、このブドウ、どうでしたか?
町田:もんのすごく糖度が高かったのでそのまんま発酵させて。糖度23超えてますからアルコールは11度超えてました。
辰巳:驚!巨峰ってね、みずみずしいブドウなので凝縮感ってあんまりない、甘すぎるとそんなに美味しくない。この農家さんは食用で作ってるんじゃなしに?
町田:はい、ワイン用として”*種あり”で作ってます。食用にするような手間をかけられないんです、人がいなくて。今切り倒そうかどうしようかって言ってる最中なので「もうちょっと待って~」と。
(*現在ほとんどの食用ブドウは食べやすいように「ジベレリン」という処理によって”種無し”を施していて、ほとんどこれが出回っています。ジベレリン処理参考サイト:https://www.ajfarm.com/2559/)
辰巳:倒さないでほしいですね。収量制限もしてないんですか?
町田:してないですけど、量は少なくなってますね。
辰巳:老木だから自然に自然に量が減る。実もちっちゃいんですか?
町田:そうですね、巨峰にしてはちっちゃいです。
辰巳:いいな、これ♡
井村:この甘~い香り♡
辰巳:さぁ、この巨峰のワインに合わせて今日のお料理は?
スティッキオのリゾット 熱々の魚のスープを注いで
井村:はい、あきる野で作ってるセロリのような香りのする*スティッキオというお野菜、元々はウイキョウ(英名はフェンネル)・・・。
(*スティッキオ参考サイト:https://foodslink.jp/syokuzaihyakka/syun/vegitable/FennelSticchio.htm)
辰巳:(イタリア語では)フィノッキオという野菜をスティック状にしたっていう野菜ですよね。
井村:そうです。で、今日はお茶漬けにしました。洋風お茶漬けです。お茶漬けなんですけど、実はお米の方をお茶にしてまして。八王子では桑の葉茶を飲んだりしてるんですけど、それをリゾットに(入れています)。
辰巳:いや、美味し♡上に乗ってるのとご飯の中に入ってるスティッキオ、そしてこのブイヤベース(←こっちがお茶役ですね)。香り強目のワインに寄り添いますよね。ヤッター!です笑。
町田:巨峰の香りが消えないですよね。
辰巳:この組み合わせは(実食実飲なしで井村シェフと)電話でやりとりしながら味を予想して合わせたやつなんです。
町田:ワインがすごく喜んでる感じがします、巨峰の巨木が笑。
辰巳:やっぱり料理とワインは切り離せない、合わせると+2にも3にも4にも5にも10にもなる。それが楽しいところ。
辰巳:ではこれを食べながらリクエスト曲を聴いて、それからワイナリーの話を伺いたいと思います。今日のリクエストはなんでしょ?
町田:サザンオールスターズの「真夏の果実」、お願いします。
辰巳:サザン世代ですか?
町田:ギリギリ中学校の頃ハヤってました。
辰巳:中学校の頃ってやっぱりいろいろ聞きますよね~、僕も最初の頃はサザンかなり聴いてたんですけど、だんだんテレビも観なくなってきて笑。でもこの歌はチラッと聴いたらすぐわかりました笑。ではサザンオールスターズの「真夏の果実」。
サザンオールスターズ 「真夏の果実」(1998年)
https://www.youtube.com/watch?v=eV2p0gsy-TM
辰巳:元々環境NGOの活動家だったというお話でしたけど、大学卒業してからはずっとその活動してたんですか?
町田:いや、別のことやってました、金融やったました。「デリバティブのトレーディング」っていう。日経にも外資系にも。
辰巳:じゃぁキャリアウーマンというか?
町田:まぁそこまで行き着けなくて、、、バブルが終わる頃冷静に道を考えて、、、。真っ当なことしなきゃいけないと考えましてー笑、で、環境保護という道を選びました笑笑。
辰巳:金融は真っ当じゃないと、遠回しに爆。NPOにしてもNGOにしても仕事としてお給料ももらってたんでしょ?
町田:そうですね、ハードでしたけど笑。
辰巳:どんなこと中心に?
町田:やってたのは食糧問題が多かったです、「食糧のサスティナブル」という。私は”海”担当だったので”魚のサスティナブル”。
辰巳:僕も仕事で魚関係に関わってるんですけど日本の漁業ってのはどんどん落ち込んでて、、、。これそろそろなんとかならないと。
町田:加えてこの気候変動で魚の回遊の場所が変わったりだとか、獲りすぎだったりする漁業の仕方を考えないとサスティナブルじゃないっていう。
辰巳:『2~3年何もしない』。今福島は入れ食い状態というか、いい漁場になってきて、そういう証拠も出てきてるんですよね。漁業からは農業?
町田:「全国の沿岸域を守る」というプロジェクトをずっとやってきたんですけど、”沿岸を守る”ということは内陸の林業だったり農業を守らないとダメだ!ということになりまして。だからこれらを一括りに行政と話したり、地域の人たちも潤わなければいけない。「どうやったら人を呼び込めるんだろうか?」っという話を皆さんとしてました。
辰巳:「頭ではわかってても実行に移せない」のがこの世界には多いじゃないですか?その中である程度形になったのはいくつかあるんですか?
町田:漁業でいうと*MSCというのが徐々に広まってますね。この活動を始めたのが私たちです。
(*MSC:https://www.msc.org/jp)
辰巳:あれも緩いんですけどねー。
町田:でもないよりマシ。
辰巳:で、町田さんは(漁業も農業も)何も知らない(経験がない)ところからワイン造りに入り、国税庁との奮闘もあってオープンにこぎつけたと。オープンしてからはそれなりに順調?
町田:いや、順調ではないですねー、知名度がゼロなので笑。
辰巳:「横浜」の名前使ってるのは強いでしょ?笑。
町田:それが「横浜」って名前使えないんですよ、*横浜でブドウ作ってないので。『横濱ワイナリー』は名乗れても「横浜ワイン」とは名乗れない。あとは新参者ですし知名度もないですし、味もまだまだというところで、、、「徐々に徐々に・・・」。
(*「日本ワイン」に関する国税庁のサイト(こちらの64ページ冒頭に書かれています):https://www.nta.go.jp/taxes/sake/shiori-gaikyo/shiori/2018/pdf/052.pdf)
辰巳:いや、美味しいですよ。”自然派”とは謳ってないですけど、”ブドウの力を信じた素直に育ったワイン”って感じがします。
町田:そう言っていただけるのがいちばん嬉しいです。
辰巳:年間どれぐらい造ってるんですか?
町田:大体1万本ぐらい。
辰巳:あ、そんなもんですか?借金返済のためにはどれぐらいー、とか元々1万本ぐらいで計算して融資受けてたんですか?
町田:・・・えーーーと。もうちょっと売りたいんですけどこのご時世もあって、販売が追いついてないので造るほうも控えながら。
辰巳:でもワインって置いて(貯蔵・熟成)おけますから。ある程度造っておくのがいいといろんなワイナリーに言ってます、ストックさえできれば。スペースを考えると難しいんでしょうかね。そう考えてこういう番組もやってるんですけど。輸入ワインも輸入業者さんも困ってらっしゃるのはわかってますが、まずは足元の「日本ワイン」をいろんなみなさんに飲んでいただきたいなと。
町田:はい、そうです!
辰巳:「日本ワイン」をもっとアピールしていかなきゃと思ってますが、どう追求します?
町田:「日本ワイン」は「日本の食」に合うんですよね。井村シェフは洋物を作ってくださってますが、和風にアレンジしてくださっているし、これにはやっぱり日本ワインが合う。ドスンと重い海外のワインではないほうがいいんじゃないかなぁ、そこをもう少し訴求できると広がっていくんじゃないかなぁと思うんですけど。
辰巳:ワイン単体よりも”食べながら飲む”という会をできるだけやっていきたいと思います。
今回のお客様は横浜ワイナリー代表、町田佳子さんでした。
全員:ありがとうございました!
(お断り:番組のOAとこの原稿の掲載には時差があります。また緊急事態宣言中はメニュー提供等が変更になっている場合があります。詳しくはお店にお問い合わせください。)
News Data
- ヴィラ・デ・マリアージュpresents 「辰巳琢郎の日本ワインde乾杯!」
2021年5月20日放送回
- ワイナリー
横濱ワイナリー
https://yokohamawinery.com- 収録会場
ヴィラ・デ・マリアージュ多摩
https://villasdesmariages.com/tama/