2020年7月から始まったラジオ番組『ヴィラ・デ・マリアージュpresents「辰巳琢郎の日本ワインde乾杯!」』2月のゲストは山梨県笛吹市、株式会社ルミエール 代表取締役社長 木田茂樹さんです。
第2回目は山梨の十八番、甲州が登場します。「甲州×いぶりがっこ」「甲州×スクリューキャップ」のお話。(全4回 2回目)
詳しい番組内容、出演者の情報はこちらから
https://775fm.com/timetable/tatsumi/
辰巳:今月のお客様は、山梨県笛吹市一宮町、っと言ってもほぼ勝沼なんですけど、ルミエールの木田社長にお越しいただいております。
辰巳・木田:よろしくお願いします!
辰巳:今日はワインのネクタイ、ワインがズラズラ並んでてすごい楽しい。これはどこの?
木田:銀座の田屋っていうネクタイ屋のものです。
辰巳:別に”勝負ネクタイ”ってものでもないんですか?
木田:あ、いや。弊社はワインのシリーズもたくさんあるので、それで気に入ってつけてるんです。
辰巳:そういう意味でも日本にもワイン文化が広がってきましたよね、ようやく、ま、じわじわですけどね。そんな実感とかあります?
木田:日本ワインを楽しんでいただける方が非常に増えましたよね。最近ほんとに感じます。
辰巳:去年初めて国税庁が(日本ワイン)振興のためにイヴェントをやってくれたってのが大きかったと思うんですけど。それとメディアが取り上げてくださるのはありがたいですよね。それによって観光とも結びつくし、農業とも結びつくし。
木田:初めて飲むワインが日本ワインだったって方も最近いらっしゃるのでー。それはもう’時代’だなぁと。
辰巳:でもでも、よく考えたらそれが普通なんですよね。
木田:まぁ他の国にしてみれば普通ですよね。
辰巳:だって日本でもワインがたくさんできてるんですからねぇ、初めて飲むワインが日本ワインだっていうのも不思議じゃないし、そうあるべきだ、っという時代にしたい!っていうのが僕らの十数年前からの思いですから。
これまでいろんな人に「初めて飲んだワインはなんですか?」って質問されると「小学校の時に飲んだ『赤玉ポートワイン』です」って答えてるんですけど笑、木田さんもそうでしょ?
木田:いや、私は塚本から、*塚本のコレクションがたくさんありましたのでー、いろんなワインを飲まさせていただきました。
(*塚本俊彦氏:他ルミエールの歴史はこちらから
https://www.lumiere.jp/company)
辰巳:でも初めて飲んだのは?
木田:初めて・・・なんでしょうかねぇ、昔すぎて。。。多分、子供の頃レストランに連れられて(親に)ちょっと舐めさせてもらう程度じゃないでしょうか。
辰巳:このワイナリーをずっと牽引して来た塚本会長ですけど、こちらの(義理の)息子さんになられたのはいつですか?
木田:35年ぐらい前ですかね。100周年の頃にはもう付き合いがありましたので。(←今年で136年です)
辰巳:でもワインは成人になられる前から飲んでたんじゃないですか?
木田:まぁあのー、香りを嗅ぐ程度ですかね笑笑。
辰巳:学生時代は?
木田:成人してからはお酒の量は増えましたので、もう日本酒、ウィスキーも、、、いろんなもの飲みましたけど日本酒けっこう好きなので今でもたくさん飲みます。
辰巳:僕の学生時代、木田さんとは学年では3つ違うんですが(←辰巳さんの方が上です)、日本ワインの最初のブームみたいのがありまして、学校の近くのスーパーで一升瓶の日本ワインを置いてた頃でね、勝沼とか塩尻とかのワインが京都の酒屋にもあって、それを飲むのがけっこうカッコよかったんですよ。
木田:ほぉ、そうなんですか!?
辰巳:「オマエら日本酒?オレらワイン飲んでんねんぞー」みたいな笑。そんな感じなんですけどそうでもなかった?
木田:「一升瓶を湯のみ茶碗で飲む」のが山梨スタイルですが、、、。
辰巳:ぁ、学生時代は東京?
木田:です。
辰巳:東京はどうだったんですか?
木田:いやぁ、一升瓶はなかった、ですね。
辰巳:やっぱ京都の方が進んでんだ笑笑。
木田:今八王子の駅で一升瓶ワインのコーナーがあるんですよ。(辰巳:驚!)もうけっこう前から一升瓶ワインは置いてありますねー。
辰巳:えーこの放送は八王子市にありますヴィラ・デ・マリアージュ多摩南大沢というレストランからお送りしております。こちらの井村貢シェフ、今日もよろしくお願いします!
井村:はい、よろしく願いします!
辰巳:井村シェフは我々よりもちょっと年下ですけど(←1972年生まれ)、一升瓶ワインって飲んだことあります?
井村:いや、ないです。
辰巳:大阪出身でしょ?大阪は河内ワインとかけっこう一升瓶あるんですけどね。最近また「一升瓶ワインがカッコいい」みたいな感じになってますけどねー。
木田:ね、各社で出してますよね。
辰巳:その辺から入ってもいいんじゃないかなって思うんですけども。(←一升瓶ワインはカジュアルでリーズナブルなものが多いのです)さ、今日のワインはなんでしょ?
木田:はい、山梨を代表する甲州、甲州を世界に知らしめたシュール・リーです。
ルミエール 甲州シュールリー 2019
辰巳:白ワインなんですけど、すこーしだけ、ほんのり赤味がかった色の濃いぃワインですね。ではいただきまーす!
あ、すごくコクのあるしっかりとした、、、。
木田:ドライですけども白桃のような香りもあります。
辰巳:果物の香りもありますけど、ちょっと苦味というか渋みもね。僕こういうの好きなんですけど、割としっかりとプレスしてるんですか?
木田:いや、プレスはそんなに、、、。
辰巳:じゃこのコクはどっからくるんですか?
木田:どうしても皮のニュアンスが入ってきますので。
辰巳;スキンコンタクトは?
木田:これはしてないです。
辰巳:収穫して絞らずに発酵させてそのまま酵母と一緒に熟成させる
*シュール・リー。シェフ、どうですかこのワイン?
(*シュール・リー 参考サイト:https://wine-link.net/pc/dictionary/detail/1125)
井村:本当に白桃や花の香り、あとブドウの皮の香りをすごく感じました。味わいもコク深くてまろやかさも持ってるんで、今日の料理はお魚を使ってカプチーノ仕立てにしてみました。サーモンと帆立貝と野菜を中に入れて、まろやかな豆乳(のカプチーノ)とワインを合わせました。
サーモンと帆立貝が入った赤座海老のスープ カプチーノ仕立て
木田:美味しいですね♡
辰巳:うん、これはいい!ズッパ・ディ・ペッシェみたい(←イタリア名です)。
井村:そうですね、スープ・ド・ポワソン笑。(←フランス料理なので)たまにピンクペッパーのスパイシーな香り、、、花の香りを見立てるときによく使います。
辰巳:野菜もゴロゴロと入ってます。
井村:5種類ぐらい入ってまして。ブロッコリー、ロマネスコ、かぶ・・・。
木田:野菜と甲州ってすごく合いますよね。
井村:野菜の青い香りとは合うと思います。
辰巳;うん、ホントだ。この甲州、わりと酸味もしっかりしてますよね?
木田:えぇ、そんなに早摘みではないですし、普通に収穫して造ってるんですけど、酵母は自然酵母です。
辰巳:あっ、そうなんですか?ルミエールさんも一時期よりだいぶビオの方に傾いてましたけど、今は?
木田:日本でのビオってのは他国のビオに比べると気候条件からして難しいと思いますけれども、自然酵母を使うとワイナリーの個性というのが出てくると思いますので、ま、使えるところは使っていきたいと。自然酵母はなかなかコントロールが難しい、というところがありますので、闇雲に自然酵母がいいってわけではないと思ってます。
辰巳:ルミエールさんにおいて「甲州の位置づけ」ってのはどうなんでしょうか?
木田:やはり元々が「甲州園」ってぐらいですから笑、甲州主体でやってきたワイナリーですので、いちばん多く造ってるのは甲州です。スタイルもこのシュール・リーを始めスパークリングもありますし、オレンジワイン、樽発酵樽熟成も・・・いろんなスタイルで造ってます。
辰巳:ちなみにこれはおいくら?何本ぐらい造ってます?
木田:これは1600円ですね、(辰巳:驚)。できれば2万本ぐらい造りたいと思ってます。
辰巳:ある種の昔の甲州っぽい懐かしさ、(昔のような)甘みはないんですけど甲州の旨味たっぷりって感じでこのお料理にも合いますね。
木田:甲州は幅広い料理と合わせやすいと思います。お塩を使った料理ですね、ですから天ぷらでもおつゆ(出汁)ではなく塩で。
辰巳:天つゆにするとロゼとか軽い赤がいい気がしますが、甲州なら塩とかレモン汁とか。
木田:季節にもよりますが「山菜の天ぷら」、これはもう甲州!
辰巳:中でもね、芽かきした甲州の天ぷら、最高っすよね笑。
木田:笑。最近はそうですね。あといぶりがっこってあるじゃないですか、あれとまた甲州は合うんですよ。
辰巳:な る ほ どー、いぶりがっこ!でもなんでいぶりがっこがパッと出てくるんですか?酒飲みなんですか?笑。
木田:酒飲みなのかもしれませんけど笑。もうけっこう山梨の中では「甲州×いぶりがっこ」って合うよねーってなってます。
辰巳:じゃぁ、プロモーションとかでもいぶりがっこ使ったりするんですか?
木田:会話の中では使います。あとは最近は焼き鳥です。「塩でいただくときは甲州!」と。
辰巳:タレだったら(マスカット・)ベーリーAなんですけどね。
木田:そうなんです!、ゼッッタイですよね笑笑。
辰巳:そーかー、いぶりがっこにチーズ挟んでも良さそうですね。
木田:いいかもしれませんね、クリームチーズがいいと思います。
辰巳:甲州ってほんと面白い品種だと思うんですけど、*KOJは入ってますよね?
(*KOJ:http://www.koshuofjapan.com/ja/)
木田:えぇはい、もう初期の頃から。
辰巳:KOJってのは「Koshu of Japan」っていう組織、山梨県が主導して世界市場に打ち出そうという。(*最初に)ロンドンでプロモーションした経緯があるんですが、最初から入ってらしたんですか?
(*2010年)
木田:はい、(ロンドンには)最初にこのシュール・リーを持って行きました。
辰巳:スクリューキャップですか?
木田:そうです。最初に造った時はコルクだったんですけど、イギリスに行く時に「もうコルクはダメっ!」って言われましてー。すぐスクリューキャップにしたんですが、結果的に「甲州はコルクよりスクリューキャップの方が合う!」と。甲州のポテンシャルは”フレッシュ感”が大切なので、品質保持は圧倒的にスクリューキャップの方がいいですね。
辰巳:そうですかー、世界に出て行くタイミングでの副産物というかそういうことがわかってきたんですね?そんなにコルクにこだわる必要はないと・・・。家飲みする時いちいちコルク抜くよりもバリッとねじってね、、、
木田:ダンゼン家飲みはスクリューキャップ!!!笑。
辰巳:私もダンゼン賛成派!!!笑。
辰巳:ではここで1曲聴いて観たいと思いますが、今日のリクエスト曲はなんでしょうか?
木田:はい、もうすぐバレンタインということでー、チェット・ベーカーさんの「My funny Valentine」お願いします。
マイ・ファニー・ヴァレンタイン(1954年)
https://www.youtube.com/watch?v=jvXywhJpOKs
辰巳:雰囲気はなんとなく気だるいような、でもなんかいい気持ちの曲ですね。どういう思い出が?
木田:あ、いや、あのー、よくJazzのライブハウスに行った時にかかってたので。自分が聴きに行った時もよくリクエストしてたんです。
辰巳:昔の甘い思い出とかじゃなく?
木田:バレンタインの思い出はあんまりないですねー笑。
辰巳:バレンタインっていつから(の風習)なんでしょうねぇ?
木田:我々の中学高校の頃、(おそらく「不二家」の)ハートチョコレートが出たぐらいからですよねー。あの頃から急激に変化して、、、。
辰巳:あんんんまりバレンタインの思い出はないですね。どっかバレンタインに対して反抗的でした、なんか”作られたブーム”みたいな感じがして。でもまぁチョコレートをもらうのはそれはそれで嬉しいし嫌いじゃないですけどね笑。どうですかシェフは?
井村:僕はチョコレート好きだし、チョコレートのデザートも作れたりする時期でもあるんで、”チョコづくし”にしても問題ないこの季節は好きですね。
辰巳:ちなみにこのお店のバレンタインは?
井村:今「バレンタインフェア」を開催中です。「ショコラのコース」っていうのをご用意してます。
辰巳:!。食事も全部チョコレートなの?笑。
井村:いや、デザートだけ笑。
辰巳:で、ワインは日本ワイン!
井村:はい、ぜひお飲みいただければ!
辰巳:あ、チョコレートにあうワインも用意すればよかったですねー。ルミエールさん、なんかありましたっけ?
木田:スウィートワイン、少しはあります。これバレンタインにはけっこう売れるんですよ笑。
辰巳:も、もしかしたら甘口ワインもこのお店に登場するかもしれません笑。(←お店にお問い合わせください)
ところで、さっきのお料理の正式名称は?
井村:「サーモンとホタテのカプチーノ仕立て」です。
辰巳:サーモンホタテと言いながら野菜もゴロゴロと入ってて。このお料理もこのワインに合わせてお召し上がれます(2月、3月オンリスト予定)。みなさまぜひお運びください。そろそろ料理もマンネリ化してきて限界かな?っと思うんですけど、まだまだ新しい料理を出してくる、これが楽しい!
木田:ホント美味しいです。
辰巳:さ、今日もまた時間がなくなっていてしまいました。今後また新しいこと、ホテルを作るって話もありましたけど?
木田;そうですね。計画はしてまして、コロナで延びそうですけど、私の夢は”ブティック・ワイナリーの完成形”として「宿泊」までは作っていきたいと思っています。
辰巳:海外でもいいですが、どこのワイナリーを目指してる、とかモデルとか憧れとかありますか?
木田:憧れ、ではないですが、スロヴェニアによく行ってましてー。
塚本がスロヴェニアのワインコンクール(リュブリアーナ)の審査員をやっていた関係で、私も7~8年審査員をやらしていただいたものですから。スロヴェニアにもホテルを併設したようなワイナリーがけっこうありましたので。
辰巳:ちっちゃい国なんですけど旧ユーゴスラビアの中でもスロヴェニアがいちばん進んでますよね?ワイン産業も観光も?
木田:えぇ、四国ぐらいの面積なんですけど本当に素晴らしい国です。
辰巳:イタリアともオーストリアとも接してるし、先週ちょっとお話ししたんですけど、イタリアのワイナリーの畑に入ると途中でオーストリアになってたり・・・。
木田:(スロヴェニアは)ハンガリーとも国境がないような、、、。
辰巳:スロヴェニアか、僕まだ2回しか行ってませんが興味の尽きない国ですね。
木田:ワインの歴史も素晴らしいです。
辰巳:スロヴェニアのテイストなんかもワインに入れてもいいんじゃないですか?
木田:スロヴェニアの*テラン(赤ワイン用)っていう土着品種があって、けっこういいんですよ。
(*テラン 参考サイト:https://ja.wikipedia.org/wiki/レフォスコ)
辰巳:ぇw、その株持ってきてない?
木田:なかなか手に入れるのが難しくて、まだ栽培はしてません。ま、日本に合うかどうかもわからないですしねー。
辰巳:日本ワインもまだまだこれからなので、これからどういう方向に進むか、各ワイナリーにものすごい興味を持っています。みんな同じになってもつまらないし、ルミエールさんがこれからどういう風になっていくのかなぁってとても注目してますので、これからも楽しませてください。
、ということで今日も時間になってしまいました。あと2回です、引き続きよろしくお願いします!2月のゲストは山梨県の株式会社ルミエール代表取締役社長の木田茂樹さんでした。
全員:ありがとうございました!
(お断り:番組のOAとこの原稿の掲載には時差があります。現在提供されているワインとお料理はお店にお問い合わせください。)
News Data
- ヴィラ・デ・マリアージュpresents 「辰巳琢郎の日本ワインde乾杯!」
2021年2月11日放送分
- ワイナリー
ルミエールワイナリー
https://www.lumiere.jp- 収録会場
★ヴィラ・デ・マリアージュ多摩
https://villasdesmariages.com/tama/