7月から始まったラジオ番組『ヴィラ・デ・マリアージュpresents「辰巳琢郎の日本ワインde乾杯!」』12月のゲストは山梨県の勝沼醸造株式会社 代表取締役 有賀雄二さんです。学生時代に知り合い娶った(めとった)のは日本酒蔵の一人娘?「アルガブランド」のネーミングはすべてポルトガル語?知られざる「勝醸」のアレコレが露呈されます。(全5回 2回目)
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辰巳:今月のゲストは山梨県の勝沼にあります「勝沼醸造」の有賀雄二社長です!
辰巳・有賀:よろしくお願いします!
辰巳:今日は第2回目、前回は「アルガブランカ ブリリャンテ」というスパークリングワインをご紹介しましたけども、今日のワインはなんでしょう?
有賀:はい、今日は「アルガブランカ クラレーザ」というワインでして。私どものワイナリーでいちばん生産量が多い言わば「顔」、代表的なワインです。
辰巳:「アルガブランカ」と言えば「クラレーザ」みたいなね。
有賀:これは生産量が多いので、収穫地毎にワインにして(醸造して)、最終的にアッサンブラージュして(ブレンドして)造ってます。
辰巳:田崎真也さん、ですよね?
有賀:そうですね、2007年ヴィンテージから「どんなブレンドがいいか?」っと一緒に検討してるワインです。
辰巳:ね、僕もそのブレンドの現場に2回ぐらい立ち会わせていただきました。(田崎さんは)仕事早いですね笑、割とパッパッパァとこなす。あんまり悩みすぎてもダメなんでしょうね?
有賀:そのー、田崎さんの「テイスティングのメモリーする能力」ってフツーじゃないですよね。
辰巳:ブレンドする前に各タンクの味を分析して、それで「これとこれとこれ」ってパッと混ぜ合わせてね、ほぼそれで出来上がりますもんね。
有賀:そうですそうです。もうせいぜい2回ぐらいで決まっちゃいます。
辰巳:僕もそういうの見習おうと思ってボージョレ・ヌーヴォーのアッサブラージュをさせていただいたことがあるんですが、最初の原酒によるもんだなぁってのがよーくわかりましたね。
ではこのワインで乾杯しましょう。今日も特設スタジオ(←レストランの個室です)にはですね、ヴィラ・デ・マリアージュ多摩南大沢のベーやんこと田鍋社長と、井村貢シェフがお越し下さってます。
ではカンパ~イ!
全員:カンパ~イ♪
勝沼醸造 アルガブランカ クラレーザ 2019
辰巳:んーーー、最近いろんな甲州ワインがありますが、これは僕にとってもスタンダードみたいな感じでホッとしますよね。いかがですか、井村シェフ?
井村:リンゴや洋梨のような、繊細なフルーツのような香りが感じられましたので、悩んだんですが今日はその香りに合わせた料理にしてみました。冬野菜とキノコをマリネしたもの。
冬野菜とキノコのライム風マリネ 生ハム添え
辰巳:冬野菜って言えば根菜ですよね、ニンジンとか大根とか、あとは何が入ってますか?
井村:あとはちょっと変わったところでオレンジカリフラワー、それと生ハムを合わせて。生ハムの塩気とこのワインの香りを一緒に楽しんでいただければなと思います。
辰巳:ではさっそくいただきたいと思います。ラジオをお聴きの皆様は、ぜひこのヴィラ・デ・マリアージュ多摩南大沢にいらして同じ料理、同じワインを楽しんでください。
んーーー、味付けも優しいマリネ、そんなに酸味も強すぎず。
井村:ワインの酸味に助けてもらおうと。素材毎にボイルしたり焼いたりしたものを、最後に合わせてマリネしてます。
辰巳:手が込んでますね、こんなことやって大丈夫ですか、このレストラン?なかなか作るの大変ですよね。でもこうやっていろんな食材が楽しめるし、何よりワインに合うっていいですね。ベーやんどうですか?
べーやん:これはブドウを感じます。
有賀:失笑。
辰巳:・・・ブドウです爆。ブドウの味がするとかサイテーの表現ですからね。
べーやん:えー、ホントですかー?
辰巳:大抵それだけは言っちゃぁいけない。「ブドウ」はNG。
ベーやん:じゃ、なんて言えば?
辰巳:だ、だから別の表現・・・。
ベーやん:ネコのナントカ、とか笑?
有賀:オシッコとか、フフフ(←言っちゃいましたね)。
辰巳:有賀さん、どう表現されますか?
有賀:私はいつも「和食と甲州」の話をいつもしてるんですね。今日は和食ではないんですが、和食に共通するような”素材の味”をしっかり感じさせてくれるような料理ですので、このワインとのマリアージュは最高だなと感じてます。キノコともすごく合うと思います。
辰巳:ところで。有賀さんは勝沼醸造の何代目になるんですか?
有賀:3代目です。
辰巳:ワイナリーとして創業されたのは?
有賀:1937年です。
辰巳:もう戦争に入っていきそうな頃ですよね。
有賀:先先代の創業は「糸」だったんですね、製糸業。その傍らワイン造りを始めて、、、ただワインは事業にするにはなかなか難しかったですよね。ですから僕の親父の生業は「清涼飲料」だったように思います。
辰巳:清涼飲料というと例えば?
有賀:戦後ですから、サイダーとかオレンジジュースとかそんなものも作った時代があったんですよ。
辰巳:そうなんですか。で、ブドウ畑はいつぐらいから?
有賀:畑は先先代からあったんですけど、事業の紆余曲折があって、僕が物心ついた時には(畑は)ぜんぜんなかったですね。で、僕が会社(勝沼醸造)に入ってから自社畑を開墾してですね、自社栽培は1990年から始めたんです。ただ、うちの経営規模がちょっと大きめなので、今も自社比率ってのは全体から見て1割程度。
辰巳:大学は?
有賀:東京の世田谷に「東京農大」ってのがありまして、そこの醸造科ってのに行きました。
辰巳:で、卒業されてどっかに丁稚奉公とか?
有賀:丁稚奉公も何もせずに。しかも本当はフランスに2~3年行って研修しなきゃいけなかったんですけど、その度胸もなくて笑。ま、当時は労働力の部分も大きかったんですぐ会社に入りまして。とにかく学生時代から”ワイン造りに触れてた”、し、親父(先代)が、すごく頼りにしてくれてた。原価計算なんか(私の)大学時代から「いくらで売ったらいい?」とか聞いてきてた笑。
辰巳:じゃもう最初から、子供の頃から、ま、長男ですしこのワイン業界に入ると決めてた、そんな感じだったんですか?
有賀:あの・・・ワタクシ事ですが、実はうちのカミさんが日本酒の蔵元の出でして、しかも一人娘。
辰巳:どちら?
有賀:千葉県です。
辰巳:大学時代に知り合って?(農大は)酒蔵や焼酎やワイナリーの息子がものすごいいっぱいいますからね。
有賀:日本酒もありますし醤油もありますし酢もありますし。。。醸造に関することは全部!
辰巳:その中でいちばん可愛い人を射止めた笑。
有賀:そうなんすよ爆。競争率が激しかった、女子5人しかいなかった笑笑。
辰巳:キレイな奥さんなんですよー。
有賀:いやいやいや、競争に勝ちたいってだけで(←勝ってるじゃないですか!)
辰巳:どうやって勝ったんですか?
有賀:笑笑。もっと言うとですね(←ノッてきました)、カミさんの親父さんがうちの大学の教授だったんですよ笑笑。僕は出来が悪いんで、、、ちょっと仲良くするとなんとかなるかなぁと。。。
辰巳:そういう不純な?教授の娘と付き合うと卒業できるんじゃないかって???笑笑。
有賀:だからアレですよ。卒業の年にその教授に呼ばれましてね。
(以下有賀さんご本人による再現)
「君はうちの娘と付き合ってるらしいな」、遊びか本気か?」(教授)「もちろん本気ですっ!」(有賀)「じゃぁ結婚する気あるのか?」(教授)「もちろんありますっ!でも僕もいろいろ考えました、そちらに婿に行くことも。でも小さい頃から実家の事業をやるのが夢です。ま、ちっちゃい規模ですけども、家業をなんとかするのが僕の幼少の頃からの夢です。だから結婚するわけにいきません」と。
辰巳:んん?だから?
有賀:だから結婚するわけにいかないってことです、向こうは一人娘だから。
辰巳:「諦めました!」っと言ったわけですね?
有賀:頷、そしたら「やってもいいぞ」って言われたんすよ。「えぇっ???」っと。
全員:驚!
辰巳:酒蔵の家業をしながら先生やってたんですか?
有賀:そうですそうです。そしておじいちゃん(先生のお父上)は千葉県議会の議長もやられた方で。地方の日本酒蔵ってそういう感じですよね。
辰巳:千葉のどちら?
有賀:九十九里です。
辰巳:その蔵は今どうなった?
有賀:僕が(娘を)頂いちゃったんでないんです。
辰巳:!なくなっちゃったの?
有賀:婿に問題があったんでなくなっちゃいました笑。
辰巳:日本酒も一緒に造ればいいじゃないですか?両方造ってるとこもあるじゃないですか。
有賀:日本酒蔵がワインを造る例はあるんだけど、ワイナリーが日本酒に手ぇ出すってのはあんまりないですねー。
辰巳:それはそうかもしれませんね。
有賀:日本酒はワインより競争が激しいですからね。”産地イメージ”ってのがものすごくあるんで。
辰巳:「山梨で日本酒」は厳しいと?
有賀:いや、「山梨で日本酒」はまだ脈がある。”水”がいいのは日本屈指なんで。水がいいってのは消費者のイメージがいい。
辰巳:でも今山梨県は知事が「ワイン県」宣言しちゃってますからね。「山梨=ワイン」のイメージの中で日本酒蔵からは風当たり強いんじゃ?
有賀:笑。おっしゃる通り。でも山梨の日本酒蔵がワイナリーにジェラシーを持つのは間違いだと思いますね。ライバルは他県の日本酒であって、ワインではないですよ。(日本)ワインは山梨がいちばん生産量多いしワイナリーの数も今の所いちばん多いですからね。だから知事がそう宣言してくださったわけで。ただ心配なのは、ワイン関係者は非常に喜んでるんですけどその他の山梨の人は「なんでワイン?」ってジェラシーを感じてるかも・・・笑。ワインってのはコミュニケーションの最大の材料、ワインを通していろんな方々とつながる最たる素材なので、ワイン関係者以外の山梨県人みんなが自慢するようになるととてもよくなるんじゃないかなぁと思ってるんすけどね。
辰巳:まぁその辺は様子見守ってますけど。山梨の日本酒も美味しいのありますよね?
有賀:もちろん!
辰巳:僕元々日本酒党ですからね。(日本酒と)日本ワインは別もんなんだけどどちらも『日本のお酒!』
有賀:いいことおっしゃる!僕も同感です。
辰巳:有賀さんの話はシラフでも酔っ払ってても面白くてキリないんですけど、ちょっとこのあたりで曲を。今日は何にしましょ?
有賀:今日は何にしましょかね?・・・「昴」でいいですかね?
辰巳:いいっすよー、”持ち歌”ですね笑笑。何度もカラオケで聴いてます♬石和温泉のスナックとかで笑笑。
有賀:ドキ♡
辰巳:なんて店でしたっけ?
有賀:イズミですか?
辰巳:なかなかいいんですよ、温泉街の隅っこにある・・・
有賀:そこのカツサンドがまた美味しいんですよ♡
辰巳:はい、また近々いきたいと思います笑。では社長のリクエスト「昴」!
https://www.youtube.com/watch?v=_y__MXxwUn4
辰巳:また時間がなくなってきました。前回もこれだけは聞いておきたいと思っていて聞けてない、、、「アルガブランカ」とか「クラレーザ」とか「ブリリャンテ」とか、ワインのネーミング全部ポルトガル語なんですよね?これどうして?
有賀:2003年にこのエチケット(ラベル)考えてくださった芸術家の先生にお会いしたんですけど、
辰巳:*綿貫先生でしたっけ?
(*綿貫宏介氏 ギャラリーサイトhttps://muhouan.org)
有賀:はい。で、その時に「世界に通ずるブランドを創りたい」とお願いした時に(綿貫先生は)「ポルトガルでワイナリーのことなんて言うか知ってる?アデガって言うんだ。君はアルガ、じゃ『アルガ』でいこう」と。
辰巳:綿貫先生はポルトガルに精通していた?
有賀:ポルトガルで20年ほど芸術活動されてた先生なんですよ。ポルトガルで弁護士もされてたくらい。
辰巳:あーそうなんですか?日本酒の丹波の西山酒造場とかもね”このデザインは綿貫先生”ってすぐわかるような。勝沼醸造は早くからデザイン戦略やってたんですよ。
ベーやん:先見の明が・・・。(ワインの)名前聞いただけですごい特徴的だなと、なんか掛けてるんだなとは思ってました。
有賀:綿貫先生の表現は際立ってますんで。”際立つ”ってのはすごい責任が伴うことなんです。際立ったものがもし品質が悪かったらいっぺんにダメになるわけです。「この表現い負けないワインを造ろう」というのが我々のコンセプトなんですよ。
辰巳;いい話ですねー。この意気込み、情熱っていうのが勝沼醸造の秘密だと思います。
今日も時間が来てしまいました。ゲストは勝沼醸造の有賀雄二社長でした。、ではまた来週!
全員:ありがとうございました!
(お断り:番組のOAとこの原稿の掲載には時差があります。現在提供されているワインとお料理はお店にお問い合わせください。)
News Data
- ヴィラ・デ・マリアージュpresents 「辰巳琢郎の日本ワインde乾杯!」
2020年12月10日放送分
- ワイナリー
勝沼醸造株式会社
https://www.katsunuma-winery.com- 収録会場
★ヴィラ・デ・マリアージュ多摩
https://villasdesmariages.com/tama/