ヴィラ・デ・マリアージュpresents 「辰巳琢郎の日本ワインde乾杯!」 2020年11月26日OA

7月から始まったラジオ番組『ヴィラ・デ・マリアージュpresents「辰巳琢郎の日本ワインde乾杯!」』11月のゲストは長野県須坂市の楠ワイナリー代表、楠茂幸さんです。最終回は自身のワインのブレンドと熟成のこと。そして「来て見て風を感じて飲んで。」、これからの日本ワイン願望を語ります。(全4回 4回目)
詳しい番組内容、出演者の情報はこちらから
https://775fm.com/timetable/tatsumi/

辰巳:はい、11月のお客様は長野県須坂市の楠ワイナリー、楠茂幸さんです!

辰巳・楠:よろしくお願いします!

辰巳:あっという間の最終回って感じなんですけどもー。
今すごく”日本ワインブーム”と言われてますけれどね、もちろん問題はたくさんありまして。楠さんが感じられてることも含めまして、今日はお伺いできればなぁと思っております。
さっき話をしてたら長野県(のワイナリー)が70軒ぐらいになったという、、、?

楠:そうですね、果実酒の免許持ってるのがそれぐらいっていうのを税務署の方から聞きました。

辰巳:今は申請すればわりと簡単に取れるようになってきてるんですけども、楠さんの頃はどうでした?

楠:簡単ではなかったですね。おそらく今もそんなに簡単ではないんでしょうけど。今はブドウ作りとかワイン造りとかを教える機関も結構増えてますので、そういった所の卒業生とか、全く別の産業から入ってこられる企業をバックにしたワイナリーがけっこう増えているなという感じですね。

辰巳:では、今日もまたワインをいただきながらお話し伺いたいと思います。今日のワインはなんでしょうか?


楠ワイナリー 楠R 2016

楠:はい、今日は赤ワインです。「楠R」というワインでして。

辰巳:『R』なんのアール?

楠:まぁ、いろんなアールでいいかなと思って。”ルージュ”だったりこれ出してからしばらくして年号が”令和”になったりして・・・口の悪い人はですねー、”リユース・リデュース・リサイクル”っていうことを言う人もいるんですけど笑。

辰巳:あー笑。

楠:・・・っていうわけじゃないつもりですが。

辰巳:”レギュラー”もあるかも・・・んーなんでしょうね?でも最初に「R」とつけたのは「ルージュ(Rouge)」からの発想?

楠:まぁそうですね。でも”ルージュ”じゃちょっと単純すぎるなーと思って。

辰巳:これはボルドーブレンド?

楠:ですね。いちばん多いのはメルローでして、カベルネ・ソーヴィニョンとカベルネ・フランが入ってます。

辰巳:ファーストヴィンテージ?

楠:「R」としてはファーストヴィンテージなんですが、ボルドーブレンド自体は昔から造ってます。ただ、(品種)それぞれを独立して発酵させて樽熟させて、瓶詰めの時にブレンドしたっていうのはこれが初めてです。

辰巳:ではこの『楠ワイナリー「楠R」2016』をいただきましょう。ではカンパ~イ!

全員:カンパ~イ♪

辰巳:あーーー、華やか♫。香りもいいし、しっかりしてる。ブドウに手間暇かけて収量制限なんかもしてるんですか?

楠:そうですね、2016、2017、2018年が非常に厳しい年でして。それぞれ別に仕込んでテイスティングしてるうちに、いろんな比率でブレンドしてみたら、単独よりかはこちらの方が面白いなと。

辰巳:”ブレンドの妙”ってありますよね?単一畑とか単一品種にこだわる地域やワイナリーも多いですけど、このブレンドってほんとに面白いな~と思います。先週の「日滝原」はセミヨンとソーヴィニョン・ブランのブレンドですしね。もともとブレンドはお好きなんですか?

楠:それぞれの個性のいいところが引き立ってくるというところがありますね。ブレンドってミックスとは違うんですよ。ミックスっていうのは「単に混ぜるだけ」、ブレンドは「1+1が2より大きくなる」んですねー。そういう時に初めてブレンドっていう。単独でテイスティングしてみて、シングルバラエティーがいい年ももちろんあるんですが、この「R」はブレンドしてみて、香りも味わいも優しく、でもしっかりしていていいなと思ったもんですから。

辰巳:シェフ、いかがでしょうかこのワイン?

井村:すごくボディがしっかりしていて、奥深い香り。キャラメルやベリー系を煮詰めたような濃厚な香りがあるので、きょうは鶏のもも肉をブルーベリーと一緒に煮込んだ料理にしてみました。このフルーティーな香りがワインとマッチするんじゃないかと思いまして。


鶏もも肉とブルーベリーのブレゼ 玉ねぎのピューレ

辰巳:これも初めて作った?

井村:はい、初めてです。

辰巳:この番組は、この中で紹介したワインとお料理のマリアージュを、この「ヴィラ・デ・マリアージュ多摩南大沢」のレストランで2ヶ月間お楽しみいただけるというなかなか他ではない企画。最近は日本ワイン目当てにお客さんもたくさんいらしてるらしいですけども。
田鍋社長(ヴィラ・デ・マリアージュ多摩南大沢の社長です。以下ベーやん)、いかがでしょうか、このワインと料理は?

べーやん:何かこう、香ばしいというか、、、。

辰巳:元吉本興業のお笑い芸人だったですけど、社長業に転じて今はソムリエ試験を目指しているという(←先週の放送で半ば強制的にそういう話になっています)。もう電波に乗っかっしゃったし勉強するしかないな笑。

べーやん:合格するぞっ!笑笑。

辰巳:これだったら(「R」)グラスでいくらで出せる?楠さん、ボトルでおいくら?

楠:本体価格で3200円、税抜きで。

辰巳・ベーやん:思ったより安い。

辰巳:楠さんとこなかなか値付けもいいんですよね、それも含めて人気あるんすよねー。(美味しいけど値段が)高いとこもあったりして。自分のワインに自信持って高い値付けするのも大事なプレゼンだと思うんですけど、”売れ方”というか”消費者とのバランス”って、特に僕らは大阪人ですからコストパフォーマンスってのはすごく大事だなぁと。で、それがないとなかなかお店でも扱いにくい。片やお店に出さなくてもパッと消えてしまう(人気の)ワインもありますけど。。。
ではこちらのマリアージュを試してみたいと思います。いただきまーす!

辰巳:鶏もも肉?そしてこの色も濃いぃですね。これはブルーベリーから?

井村:はい、そうなんです。

辰巳:ブルーベリーからこんな色がつくんですね?
んーーー、けっこう酸っぱいソースなんですね。
なるほど。マリアージュもね、”1+1=2”じゃダメですよね。ワインとお料理でそれが3にも4にもなるのがマリアージュ。

楠:最初見た時にこの色からビーフかなと思ったんです。”ブレゼ”っていう軽い蒸し焼きの料理法だと先ほどシェフからうかがって。とてもワインと合うなーと美味しくいただいてます。

井村:グツグツ長時間煮込むと味わいが変わってしまうので、ほんの10分ぐらい、軽く煮込んでます。

ベーやん:ブレゼって軽い煮込みって意味なんですか?

井村:そうです。ま、正確にいうと”蒸し焼き”ですね。

辰巳:ワインがふくよかに柔らかく感じられますね、これと合わせると。

楠:チキンって調理によってワインが勝っちゃったりするんですけど、これはお互いうまい具合にマリアージュしてるなーという感じがしますね。

辰巳:ぜひこのお店にお越しになって、、、。この放送が流れる頃はこちらでいただけているはずなので、ひょっとしたらもう召し上がってるお客さんもいるかもしれませんね。ぜひこの楠「R」とのマリアージュを!僕もちゃんと飲んだことなかったんですが、今後注目したいと思います。今年の(ブドウの)出来は良かったんでしょ?

楠:ほーんと、久しぶりにいい年だったなと思います。今は寝てるところ(熟成?)ですけれども。

辰巳:僕も日本ワイン応援しだして17~18年、楠さんがこの道入られてから同じぐらいの年月が経ってて。今の状況をざっくり、どう思われますか?

楠:ワイナリーがすごく増えて、素晴らしいワインが全国各地でできてきて。なのでもっとたくさんの方に(日本)ワインを飲んでもらいたいなぁと思ってますね。まだ日本で消費されるワインの中で、日本ワインって5%ぐらいしかないんですよね。これが1割になってくれたらすべてのワイナリーが助かるなぁと思うんです。ま、うちもそうですけれども。

辰巳:今回のコロナ騒動で自粛期間があって、飲食店が閉まっちゃってワインの在庫が増えてしまってね、”新しいワインが出来上がっても出荷できずに置くところがない”状況になってるとかそんな話をチラッと耳にしたんですが?

楠:”仕込みたいけどタンクが空かない”って話も聞いたりしましたけど、うちの場合は瓶詰めしてとっておくんです。瓶熟すると結構美味しくなりますので。この「楠R」2016年は今年販売始めたところなんですけど、うちでは他にも3万本ぐらい在庫してるワインがありまして、「すぐに動いて欲しい!」っていうよりは、”美味しくなった時に’皆さんに飲んで欲しいなぁと思ってます。

辰巳:このワインずっと嗅いでたら、鼻の中にブヮーっと入ってきてちょっとくすぐられてしまいました爆。いやいいなぁこのワイン。ボルドーブレンドでここまでってなかなかないんですよね。実際若いうちにリリースすることも多いですしね、ちっちゃいワイナリーの場合はどんどん売らないと仕方ないでしょうし。こういう風にちゃんと”熟成して出せる”という状態を作り上げた楠ワイナリーの素晴らしいところだと思います。

楠:いやぁ、最初の頃は売れなくてちょっと。。。やはり知名度がまったくないし、「何処の馬の骨が造ったワインだ?」みたいな感じですからねー。まだまだ日本ワインがそんなに広まってない、皆さんの意識があんまりない頃でしたから、、、。でも最近は全国の酒屋さんから注文いただいたりして動いてきてるので、大変良かったなと思います。

辰巳:いつぐらいから?あるいはどんなきっかけで?楠さんのワインが売れ始めたんですか?

楠:ごく最近ですねー。このコロナが始まる前の年の12月ぐらいから「なんとなく注文増えたかなー」みたいな感じはしました。

辰巳:!まだ1年ですか?

楠:そんなもんです。それまではぜんぜん、はい。

辰巳:注文増えたかな?と思ったらコロナで、、、?

楠:はい、半分以下に減って。。。

辰巳:(その分は)まだ熟成してると?

楠:はい。

辰巳:はっきり言って今狙い目です、楠さんのワイン。ワインの質もそうですけども、”熟成してる”、”コストパフォーマンスもいい”。

辰巳:さ、そろそろ曲いきましょうか?

楠:歌手の名前知らないんですが、前回同様まずフレーズが頭の中に回ってくるんですね。そのひとつ、”♪Everything ’s gonna be alright♪”がですね、なかなか(ワインが)売れなかったり難しい年があったりした時にこのフレーズが頭の中に出てきて。「そのうちなんとかなるさ、大丈夫だよ」と自分を鼓舞するというか笑。

辰巳:鼓舞する歌多いですねー笑笑。

楠:そういうのを必要としてるみたいですね、どうやら笑笑。

ベーやん:結婚式でも10年前ぐらいはかなり流れてた歌です。

辰巳:オレはねぇ、知らない・・・聞いたらわかるかな?いつ頃の歌?

スタッフ:”SWEETBOX”っていう2005年ぐらいの。
(注:1997年でした)

辰巳:そうですか、じゃぁちょっと聴いてみましょう。SWEETBOX「EVERYTHING’S GONNA BE ALRIGHT」

https://www.youtube.com/watch?v=rzTT5M8zBu4

辰巳:なんか”フレーズが頭の中に現れる”曲が今月は多かったですねー。
時間があとわずかになってきてしまいました。このラジオをお聴きの皆さんにアピールしたいことあれば、、、。

楠:はい、長野県は今70社ぐらいワイナリーありますし、全国だと330ぐらいあるんです。”国内のワイナリーに行く”ってそんなに難しくないので、ぜひ皆さん、産地を訪れていただきたい。でそこで「空気と光と風」を感じてワインをテイスティングして「日本のワインも美味しいね」という体験をしてほしいなと、ちょっと足を伸ばして来ていただきたいと思います。

辰巳:日本のワイナリー訪問のいちばんいいところは「日本語でコミュニケーションが取れる!日本語で文字が書いてある!」笑。こんないい事ないですよね。”フランスワインから入ってフランスワインを勉強して日本ワインに来る”って人がこれまで多かったんですよ。これからはね、本来の方向性、いわゆる”デジタルネイティブ”じゃなしにね、日本ワインから入り始めてワインの知識を広める”日本ワインネイティブ”。そういう意味でも「日本のワインを愛する会」としてもっと頑張らないと、と思ってるんですけど。そちらの須坂や高山村とかね、北信地方をいくつかハシゴするとか、「ワイントレイン」なんかもありますし。

楠:そうですね、長野電鉄が「*ワイントレイン」運行してますね。
(*ワイントレインhttps://www.nagaden-net.co.jp/special/winevalley/

辰巳:コロナで海外との行き来もできない中、もっともっと観光と結びつけてね、日本のものを食べたり飲んだりして国内の地域の魅力を発見していく、理解する。そういう意味ではワイナリーはいいですよねー、いろんな要素が入ってると思いますから。
というわけで、近いうちにまたお邪魔したいと思います。

楠:お待ちしております!

辰巳:4週間、ありがとうございました!11月のゲストは長野県須坂市の楠ワイナリー、楠茂幸さんでした!

全員:ありがとうございました!

(お断り:番組のOAとこの原稿の掲載には時差があります。現在提供されているワインとお料理はお店にお問い合わせください。)

News Data

ヴィラ・デ・マリアージュpresents 「辰巳琢郎の日本ワインde乾杯!」

2020年11月26日放送分

ワイナリー

楠ワイナリー
https://www.kusunoki-winery.com

収録会場

★ヴィラ・デ・マリアージュ多摩
https://villasdesmariages.com/tama/

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