7月から始まったラジオ番組『ヴィラ・デ・マリアージュpresents「辰巳琢郎の日本ワインde乾杯!」』11月のゲストは長野県須坂市の楠ワイナリー代表、楠茂幸さんです。サラリーマンを辞めてこの世界に飛び込んだものの資金繰りなど数々の困難が、、、。乗り切ったのはその人柄、そしてあの歌だった?(全4回 3回目)
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辰巳:はい、また美味しい時間がやってまいりましたー。11月のお客様は、長野県須坂市の「楠ワイナリー」楠茂幸さんです!
辰巳・楠:よろしくお願いいたします!
辰巳:今日は3回目、なのにあまり話が進んでない。毎回そうなんですよ、若い頃の話がどんどん延びちゃって笑。
前回は脱サラをしてオーストラリアに勉強に行ってって話でしたけど、そろそろ”ご自分の畑を持ってワイナリーを立ち上げる”話を伺いたいと思ってるんですけども。
オーストラリアのアデレード大学で2年間勉強されて、2004年に帰って来られて、2年間はブラブラと、いや、違う、いろいろと視察をされてたんですよね?
楠:はい、そうですね。父親が病気だったものですから看病しながら近くのワイナリーに行って研修させてもらったりだとか。
辰巳:その後お父様は?
楠:亡くなりました。”あと1年の命”と言われてたもんですから、それで会社を辞めて、、、。
辰巳:60代ぐらい?
楠:いえ、79でした。
辰巳:元学校の先生のお父さん。その後を継がずに、、って先生は後継もんじゃないかもしれませんけどね笑。そしてワインの方に入ってついにご自分で畑を始めた。土地はあったんですか?
楠:いえ、借りてるんです。最初の頃はなかなか借りられませんで、「誰だコイツは!?」みたいな感じで。
辰巳:須坂という町は?
楠:ブドウ畑とリンゴ畑が半々ぐらいですかねぇ。
辰巳:ブドウ畑もそれなりに?
楠:はい、巨峰の一大産地ですので。今もシャインマスカットとか・・・。
辰巳:そうですか。そこで畑を確保して、ブドウ作りを始めた。最初に植えた品種は?
楠:シャルドネとメルローですね、1年目は。
辰巳:ま、有名というか長野にも根付いてて作りやすいだろうなと?
楠:そうですね、まぁ間違いないだろうなというところで。長野ではすでにシャルドネとメルローは確立されてましたので。ですけど初めてですんでいろいろ失敗を重ねました、はい。農業やってる昔の同級生がいるので教えてもらいながら。。。
辰巳:まず”農業”ってどんなもんでした?
楠:始めた頃はですねー、”別に農業やってるわけじゃない、ブドウ作りをしてるんだ”ってちょっと肩肘張ったところがあったんですがー。だって農業って野菜だったり米だったりを作るイメージがあった、実際にはそういうわけでもないんですけども。今は純粋に”農業”をやってるという認識があります。
辰巳:では、ワイン飲みながらお話し続けましょう。今日のワインはなんでしょうか?
楠ワイナリー 日滝原 2019
楠:「日滝原」という白ワインです。品種はセミヨンとソーヴィニョン・ブランをブレンドしたものです。
辰巳:白のボルドーブレンドですね。オーストラリアでも結構セミヨン多いんですよね?そのオーストラリアで勉強して来られたこともあってセミヨンを?
楠:それもありますが、自分がワイン造りに入った時にどんなワインを造りたいか、と思った時に”日本食に合う”ワインを造りたいと思いまして。いろんなワインを試していくうちに、このブレンドがお刺身にも合うし、日本食によく合うなと思ってこの2品種を植えたんです。
辰巳:ではこの「日滝原 2019」で乾杯しましょう!
全員:カンパ~イ♪
辰巳:あらら、、、これも年によって違いますね。なんか”香り系”になってますよね。こんなに香り強かったでしたっけ?
楠:最近は香りが出るようになりました。
辰巳:初めて楠さんのワインを頂いたのが、この、セミヨン・ソーヴィニョン(ブラン)ブレンドだったんですけど。以前はもっとキリッとした印象が強かったんですけど 、これは柔らかく、時代の流れにも合ってんのかもしれませんね。
楠:ヴィンージによってブドウの出来が違うので、どうしても味わいは違ってきますねー。
辰巳:この年のブレンド比率は?
楠:これはですねー、ソーヴィニョン・ブラン2割の、セミヨン8割です。
辰巳:あ、セミヨン8割!?
楠:最近セミヨンの香りが立つようになってきまして、、、。
辰巳:ん、ん、ん、ん、なるほど。どうでしょうか、井村シェフ?
井村:柔らか~い優し~い味わいのワイン。それでいて最後の方にしっかり酸味が残っているので、今日はリゾットを作ってみました。
辰巳:ほぉ、リゾット!?なんのリゾットでしょう?(←そういえばこの番組始まって以来、炭水化物が登場したの初めてかも)
カルボナーラ風リゾット
井村:カルボナーラ風リゾットです。麺ではなく、お米でカルボナーラ。
辰巳:ちょっと頂いてみます!(卵の)黄身が丸ごと入ってて、うん、美味しい♡
ラジオでね、ワイン飲んだり料理食べたり難しいですよね。これ聞いている皆さんには想像してもらうしかないんですけど。このヴィラ・デ・マリアージュ多摩南大沢にお越しになって実際に楽しんでいただきたいっ!という素晴らしい番組なんです、自画自賛笑笑。
あ、こちら田鍋シャチョーです(ヴィラ・デ・マリアージュ多摩南大沢社長。以下ベーやん)。最近日本ワインが売れてすごく忙しいらしいじゃないですか?電話しても出てくれないんですよ笑。
ベーやん:もうすっごい出るんですよ(日本ワインが)。八王子では結構ブームですね。
このワイン、最初はリンゴのようなフルーツ系の香りがして、なんか白っていうよりは、シードルのような雰囲気がありますね。
辰巳:まだワイン始めたばかりのコメントだから、なんかこっちの顔探り探りコメント言ってるような・・・笑。
ベーやん:それ言わないでくださいよっ笑笑。
辰巳:ワインってね、人それぞれ味わい方が違う。何言ってもいいんですよ、言ったもん勝ち!笑笑。意見が違ったりするかもしれませんけど、基本的には”自分がどう感じるか?”思いのまま言うことの練習をするのがワインですよ。
べーやん:僕練習させてもらってるんですね?笑笑。
辰巳:1年後にはちゃんと試験受けてソムリエ(資格)とってくださいよ。
ベーやん:ぇw、僕ソムリエの試験受けるんっすか?
辰巳:至上命題としてね笑。
ベーやん:そういうコーナーですね(←自分の首絞めてるんじゃ?)
辰巳;もし資格取れなかったらスポンサー料が倍になるという(←ほら)笑笑。
ベーやん:じゃ取ったら半分になるんすか?じゃ頑張っちゃおっかな?爆。来年とかいつですか、試験?(←あれ、意外と真剣)
辰巳;夏ぐらいじゃないですか?
(来年の日程はまだ発表されていないようです)
辰巳:楠さん、このリゾットと「日滝原」どうですか?
楠:実はすごく驚きまして。「日滝原」は日本食に合わせようと、特に海産物のフレッシュなものに合わせようと思って造って、比較的さっぱり系のお料理に合うんじゃないかなと思ったんですね。今回のリゾットのようなチーズたっぷりなものだとシャルドネの方が合うんじゃないか?と思ったんですが、「日滝原」はピッタリ合って、しかもこの油系の味わいをこのワインが流してくれる。そして次の一口にまた新たなフレッシュなリゾットの味わいがバッと口の中に広がる。。。とても両方美味しいなと感じて驚きました。(井村シェフに)ありがとうございました、新しい発見でした。
辰巳:このレストランで初めてリゾット作ったそうんなんですよ。
井村:あまりお米使わないんですけど、このワインを飲んだ時に、お米の甘み、炭水化物の独特の甘みがこのワインに合うんじゃないかなーと思いましたんで。
辰巳:へぇぇ。これ新しい発見ですよね。
楠:ほんとに驚きました、ありがたいです。
辰巳:セミヨンってのはね、ある程度香りもボディもありますし、本来こういうのにはいいのかもしれませんね。
楠:ワイン会なんかではぜひこういうアプローチを笑笑。
辰巳:ではそろそろ今週のリクエスト曲を。今日は何にしましょう?
楠:海援隊さんの「母に捧げるバラード」をお願いします。
辰巳:どうしてこれを?
楠:はい、これはまぁ”母親に云々”というよりはですね、ワイナリーを作った時に、とりあえず自分が目標としていたところには到達したんですね。じゃぁこれから何をしようか?と考えた時に、やはり”いいワインを造る”っというのはあったんですけども、ここで満足してしまったら、それは”自己満足”だ。そうじゃないところで「何?」って考えている時にこの曲がふっと浮かんできたんですね。最後の方に「鉄矢、働け働け」「休みたいとか遊びたいとか思うなら死ね!」というようなフレーズがありまして。そうだ、目標は達したけれどもここで力を抜いちゃぁいけないと、これから目指す先を考えなきゃいけないなぁと思ったんですね。だからワイナリーを設立した当時にはこのフレーズがガンガン頭にきました。
辰巳:あれ、ワイナリー設立は?
楠:2011年です。作り始めたのが春でできたのは10月。仕込みは赤から始めました。白は他で仕込んで(委託醸造)引き取って自分のところで熟成させました。
辰巳:その頃に響いてた曲なんですね?
楠:遊びたいとか休みたいとか言ってたらダメなんですねー笑笑。当時はちょっとストイックだったです笑笑。
辰巳:でもね、ワイナリー作ったらそこからがスタートじゃないですか!?ワイナリー作ることが目標になったらいけないっていう戒めみたいな?
楠:はい、「これがスタート!」と思い直したんです。これからどうしよ?と思ってる時に浮かんできた曲です。
辰巳:では、海援隊で「母に捧げるバラード」。
https://www.youtube.com/watch?v=RjEgVFnl9yI
辰巳:そうですか、この曲が流れてたんですね頭の中に・・・。我々は同い年ですから、中学校3年生の時に聴いた歌。今聴くとね、すごくあざとい歌だなとかも思うんですけど、でもやっぱりよくできてるし、気持ちもあるし歌詞も素晴らしい。
シャチョー(ベーやん)は聴くの初めてですか?
ベーやん:フルで聴いたのは初めてです。なんかラップっぽいっすね。ラッパーですよね、武田鉄矢さん。
辰巳:オレは逆にラッパーなんてわかんないからね。我々若い頃はラップなんてなかったから。
ベーやん:音とわざとハズして日本語っぽく喋るのはラップですねぇ。
辰巳:まだ生まれてない?
べーやん:生まれてないですねー。(この曲は1973年、ベーやんは1982年生まれ)
辰巳:(ワインの話に戻ります)で、ワイナリーが立ち上がったわけですけど、資金とかは?
楠:大変でした。
辰巳:今は立ち上げ時に補助金とか応援するシステムができてきましたけど、ちょっとその前ですよねー?
楠:ですねー。ブドウ植え始めてから6~7年経ってましたんで、自己資金も枯渇してきましたし、会社やるにしても「50%以上ないと何してるかわからなくなる」と支援者の方にも言われて、確かにそうだなと。でも自分が(お金)ないんで集めるしかなかったんです。
辰巳:どうやって?
楠:地元に帰ってからけっこう時間が経ってて、その間にも「ワイナリーをやるワイナリーをやる」って話をワイン会とかを通じてしてたら、「応援してもいいよ」って方がいらしたんです。とにかく自己資金がなかったんで、こうして出資者を集めたんですね。まず100万円で会社作って増資する。ただすごい条件を出さざるを得なかった。(1)「ワインはそんなに儲からないから配当は当分ないです」、自分がシェアを持ってなきゃいけないので、(2)「議決権のない株を発行する」。ま、「お金ください」って言ってるような状況だったんです。こんな状況でも「何とか須坂でワインを造りたい!応援してください!」とお願いしたところ、約40名の方から4800万円ほど集まりまして、それで金融機関もお金を貸してくれまして、、
辰巳:!!!これって人徳ですよね?
楠:いやぁぁぁ、ま、須坂ってところで何かをやろうっていうことを応援しようという土壌があったんじゃないかなぁと思うんですけど。「出る杭は打つ」っていう風習が北信州にはあるって言われるんですが、ありがたいことにみなさん応援してくれましてね。
辰巳:そうだったんですか。なんかね、ワイナリーはとっても可愛らしい建物ですよね。その後倉庫作ったんでしたっけ?
楠:3年後に「スパークリングワイン棟」を作りまして。造ったワインを熟成するところも必要だし、やっぱりワイン造り始めるとどうしてもスパークリングワイン造りたくなるんですよね。これは6次産業課の助成金を使わせていただいて作りました。
辰巳:じゃ、今は2棟?
楠:3棟ですね、他にちっちゃいショップがありますから。
辰巳:なんか着々と、、、ワインの質もそうですし、人気度もこの楠さんの人柄でファンが多いんですよ。
楠:ありがとうございます。
辰巳:たくさんいろんなワイナリーができてきましたけど、”信州に、須坂に楠ワイナリーあり”っという存在感が増してきて、これから益々楽しみになってきました。
楠:ありがとうございます、頑張ります。
辰巳:今回のお客様、長野県の楠ワイナリー、楠茂幸さんでした。来週は最終回ですが、よろしくお願いします!
辰巳・楠:ありがとうございました!
(お断り:番組のOAとこの原稿の掲載には時差があります。現在提供されているワインとお料理はお店にお問い合わせください。)
News Data
- ヴィラ・デ・マリアージュpresents 「辰巳琢郎の日本ワインde乾杯!」
2020年11月19日放送分
- ワイナリー
- 収録会場
★ヴィラ・デ・マリアージュ多摩
https://villasdesmariages.com/tama/