八王子FM「辰巳琢郎の一緒に飲まない?」2019年12月19日放送分

今回のゲストは北海道の岩見沢に10Rワイナリーを構えるブルース・ガットラヴ氏。30年前、アメリカから栃木のココ・ファームにワインコンサルティングとして初上陸。
彼が造りだした「第一楽章」や「甲州F.O.S」は銘ワインとなりましたが、実はこの2つには今や幻となったネーミングがあります。
彼が命名した(もちろんボツになった)日本人もビックリな迷ワイン名とは?全2回後編
辰巳:今回はですね、栃木県足利市にありますココ・ファームにお邪魔しております。
そしてゲストはこのココ・ファームでずっとワインを造ってきたここの取締役、現在は北海道で10Rワイナリーを経営してますブルース・ガットラヴさんでーす!
辰巳・ブルース:よろしくお願いします!
辰巳:なんかね、ココ・ファームの人ってイメージですけど、北海道に行ってもう10年なんですよねー。あっという間だなー、早いなー。
ブルース:はい、早いです。
辰巳:日本に来られて30年、日本人の奥さんと結婚して20年。子供さんは今おいくつ?
ブルース:今16歳、来月17歳になる高校生。
辰巳:男の子?女の子?
ブルース:女の子。
辰巳:かわいい?
ブルース:かわいいよ♡
辰巳:でしょうねぇ。ブルースもねー、だんだん太ってきてお腹も出てきましたけど笑、パッと見ね、ジャン・レノ、ちょっとぽちゃっとしたジャン・レノ笑。
ブルース:爆。
辰巳:ラジオですからなに言ってもいんです笑。いや、でも良く見たらホントかっこいいんですよ。
辰巳・ブルース:笑!!!ありがとうございます笑。
辰巳:若い頃はモテたんでしょ?
ブルース:はい、まぁ、十分だった笑笑。
辰巳:でもまぁ、日本が気に入ってずっとね。「骨を埋める」という言葉がアメリカにあるかどうかわかりませんが、そのつもりなんですよね?
ブルース:同じような言葉アメリカにもあります。はい、そのつもりです。
辰巳:元々ワインコンサルタントとして日本に呼ばれて・・・。ココ・ファームに来たのが初来日?
ブルース:そう。
辰巳:初めての日本がこの栃木の足利の田舎町って言ったら失礼ですけど。どうでした、最初の印象は?
ブルース:いや、、、すべてが新しいことだから、、、。
辰巳:なんでこんなとこに来ちゃったんだろう?とかホームシックで帰りたい、とかなかった?
ブルース:ホームシックはそれなりに。だってすべてが不思議だったから。言葉もわからないし。
辰巳:言葉もなにも勉強せずに来ちゃったしね。
ブルース:一般的なバカなアメリカ人だから、スシ、サヨナラ、サムライ、スモウ、それぐらいしか知らなかった。
辰巳:その時の総理大臣誰でしたっけ(また唐突な)?あ、竹下さんだ。
彼が消費税を導入して、それで内閣が潰れて宇野さんになったけど女性問題で辞めちゃって海部さんになった。(日本は)大変な年でしたねー。
1月に昭和天皇が崩御されて平成元年。の年でした。
ブルース:そうそう平成元年。僕は正直、日本に来た最初の1年とかはなにもわからなかった。
出かけることもできずに、だって言葉わからないし、テレビ見る意味もない。
本当にその頃の日本のことはなにもわからず、わかってるのはただこの狭い谷のこと(ココ・ファーム)だけ。
辰巳:それから30年。そのころはもっと細かった(痩せてた)んでしょ?
ブルース:細かったよ笑笑。
辰巳:心細かったでしょ笑。
ブルース:でも面白かったですよ。こころみのみなさんも一生懸命やってくれてて。
辰巳:日本に来てなんか心に残ってることってないですか?
ブルース:すべて、すべて!ワインメーカーとしては使ってるブドウ品種、甲州とか(マスカット)ベーリーAは見たこともなかった。
自分がカリフォルニアから来て、カリフォルニアは太陽の国で、4月から10月は雨がほとんど降らないところだから、
こっちに来ていきなり日本らしい夏の気候の蒸し暑さ、秋になれば夕立とか台風が来たりとかするのは驚きましたよ!
辰巳:冬もここ寒いですよね。今日も昼は暑くてシャツ1枚で汗かいてましたけど、夜になったらグーーーっと気温が下がってきて。
でもだからこそ、この寒暖の差が大事なんですよね(ブドウ栽培には)。
ブルース:その通りです。他にびっくりしたのは、当時の日本のワインはほとんどが甘口だったことです。
ワインというより葡萄酒、お酒が入ってるブドウジュースのような。
辰巳:赤玉ポートワインのようなね。
ブルース:そう、多分その影響が強かった。
辰巳:で、そのあとボージョレ・ヌーボーが入り始めたころですよね。僕が覚えてるのはそれこそバブルが弾けたあたりで、今から考えるとビックリするような話ですけど
「カリフォルニア・シャブリ」ってのがありましたよね。カリフォルニアのシャルドネ(で造ったワイン)のことをそう呼んでました。
僕もそんなにワインに詳しくないころでしたけど、変なものがあるなぁと思いながらも飲んでいた。そういう時代でしたねぇ。
まだまだ日本にこんなワイン文化が入ってくるとは思わなかった・・・。
ブルース:あったのはあったんだけど、まだ少数派でしたよね。
辰巳:銀座のクラブでね、”ロマネ・コンティをピンクのドンペリで割る”とか・・・もう伝説ですけどねー。
そういえばピンクのワイン飲みましょう。これ、「ぴのろぜ」です。
こことあるシリーズ ぴのろぜ 2018
(辰巳さんが注ぎます、あ、音も録ってます)
辰巳:このワインはですねー、ブルースが北海道のブドウを北海道で仕込んで瓶詰めしてココ・ファームで売ってる。
ココ・ファームが契約してる余市の畑のピノ・ノワールで造られたロゼワイン。これがなかなかねー、面白いワインなんです。
んーーー、ちょっと、”曲者ロゼワイン”、という表現をしたいんですけど。ブドウの房を丸ごと使って仕込んで・・・。
ブルース:そうです。タンクに2ヶ月そのまま置いて・・・。
辰巳:自然発酵で。ちょっとMC(マセラシオン・カルボニック)っぽい感じしますけど。
ブルース:はい、それで複雑っぽい感じが出る。MCが終わってもまだちょっと発酵終わってないから、そのあとステンレスタンクと古樽半々で。
辰巳:んーーー。いろんなワイン造りにチャレンジされてる中、ブルースはどっちかというと王道なワイン造りをされてるイメージがあったんですけど。
自分のワイナリー持ってちょっと遊び始めていろんな栽培家とお付き合いしていろんなブドウに触れて、、、。
だいぶ変わりました?つまりカリフォルニアでワインを学んでコンサルティングしてきて日本に来て、どうですか?
最初に自分の思ってたイメージと、30年経った今と、基本はやっぱり変わらないのか、それとも根本から変わって来たのか?そのあたりとても興味あるんですけど。
ブルース:いや、あの、どうですかね。いい質問です。多分、意外と、それほど変わってない。
要は自分が古くから(デイヴィスの前は)ニューヨークのワインショップで働いたりソムリエの仕事やったりしていて、その時から自分がほんとに好きなワインはやっぱり伝統的な造り。
ヨーロッパ風のもので、畑でも蔵でも手をかけてるワイン。近代的なもの、ギンギンに磨いてるものではなく、田舎っぽく少しでも個性があるものが好きだったんで。
それは今でもそう。ただ、日本に来た最初は日本のワイン造りが理解できなかったけど、時が経った今は、日本らしいものができるようになったと思う。
辰巳:例えば、26歳で日本にやって来て、ベーリーAとか甲州とかいうブドウに初めて出会ったわけじゃないですか?
そのあたりのブドウに関してはなんか考え変わりました?
ブルース:変わった変わった!カリフォルニアから来た人間からすると、ベーリーAとかを”ナパのカベルネ”のように造ったらどうなるか、
甲州だったら”シャルドネのように”とか、それっぽく造ったらどうなるか。樽発酵やったりしたんですけど。それはやっぱりあんまり・・・。
最初は面白い結果が出たと思っても、一体感を感じるワインではなくて。やっぱり”ベーリーA”として”甲州”として造らなければと、もうちょっと幅広く考えるようになった。
辰巳:ココ・ファームのワインを一躍高めたのは「第一楽章」というマスカット・ベーリーAを使ったプレミアムワインですよね
マスカット・ベーリーAでこんなに美味しいワインが造れるんだー、みたいな。ファーストヴィンテージって何年ぐらいだったんでしたっけ?
ブルース:「第一楽章」として出したのは1996年。1995年もワインはあったんだけど、違う名前で出してた。
「リョーモーネコンチ」という名前で出してたんです(お察しの通り、ロマネ・コンティをもじってます)。これ周囲からはかなりのダメ出しだったんですけどね笑笑笑。
辰巳:栃木県と群馬県のことをかつて両毛(リョウモウ)と呼んでいた。今も両毛新聞とか両毛線ってのもありますし。
これラジオで説明するのすごい難しいんですけどね。これわかんないだろうな~笑笑。
「リョーモーネコンチ」
ブルース:コンチの’コン’はひらがな、’チ’は土地の地。「両毛ね、この地」の意味、爆。
辰巳:ラベルだけでも見たい!
ブルース:蔵のどっかにはあると思うけどこれは掘り出さないといけないです。(この件については)怒られた。
「DRC(ドメーヌ・ド・ロマネ・コンティ)」のパクリじゃないか!って笑。
辰巳:このネーミングはブルースがつけた?
ブルース:はい、私です。もちろんギャグだよねー爆!
辰巳:ココ・ファームさんのワインってかなりふざけた名前、もとい、面白い名前のワインが多いですよね。ほとんどがブルースがつけてた?
ブルース:いや、だいたい池上さん(専務)がつけてたんだけど、「両毛ねこん地」は私がつけたんですよね。あとは「甲州F.O.S」とか。
辰巳:「甲州F.O.S」はそこまで面白くないですけど。
ブルース:スンマセーン。
辰巳:「ロバの足音」とかね、「陽はまた昇る」とかいうネーミング、結構好きですけどね。
ブルース:ちょうどメルシャンさんが「きいろ香」を発売したタイミングだったので「甲州F.O.S」は「ちゃいろ香」でいいんじゃないか?って私が言ったら
みんなが「いやいや、それはメルシャンさんに喧嘩売ってんじゃないかと言われるのでやめてください」と言われてやめました笑笑。
辰巳:ちゃいろ香はないでしょう笑笑。
ブルース:(話戻しました)そう、「第一楽章」は1996年からです。それはたまたま。ベーリーAでできるだけ個性と満足感のあるワインはできないかって思ったんですよね。
要は昔は(ココ・ファームも)海外の原料使ってた。自社畑のブドウもカリフォルニアのブドウとブレンドしてリリースしてた。
でもそうすると日本の原料(ブドウ)は完全にカリフォルニアのブドウの中に消えた。日本のブドウの個性がカリフォルニアのブドウの個性に負けたんですよね。
最初の目的はカリフォルニアのブドウとブレンドしても、日本のブドウも十分感じられるように造りたくて、そこから畑にも蔵にも工夫を凝らし始めて、
最終的に面白いものができて「単品でもいいんじゃないか」ってことで「第一楽章」が誕生した。
辰巳:これは樽を半分ぐらい使ってるんですか?
ブルース:「第一楽章」は全部樽。
辰巳:最初の頃の「第一楽章」はすごい強かったんですよ、パンチがあって。それがだんだん柔らかく変わってきたって印象はあります。
ブルース:はい、それは絶対そうだと思います。
辰巳:そんなに毎年飲んでるわけではないですが、ちょっとお高めだしね。マスカット・ベーリーA  で5000円って当時はなかなかなかったですもん。
で、この”こことあるのロゼ”ね、これブラインドで飲むとちょっとベーリーAっぽいんですよ。
ブルース:ベーリーAっぽい?なるほど。それは嬉しい話です。
辰巳:さっきから不思議だなーと。ピノ・ノワールと思って飲むと逆に、さっき”曲者っぽい”と表現しましたけど、そんな感じしません?
ブルース:そう言われたのは初めてです。自分はピノ・ノワールで造ってるのを知ってるから最初からピノ・ノワールとして飲んでたんで。
辰巳:ワインというのはもちろんブドウの品種にもテロワールにも左右されるし、と同時に造り手(の好み)によっても変わってくるわけですからね。
辰巳:これから日本ワイン、どんな風になっていくか、とかなんかありますか?
ブルース:たくさんありますよ!ブームにならないように。ブームになると去ってしまうから。
ご存知の通りワインは、ヨーロッパでは伝統的なもの、造り続けることでしょ?それをしたいんです。日本の皆さんもそういう風に・・・。
それは生産者だけじゃなく、消費者も。ヨーロッパの食文化は「ワインは食べ物の一つ」。それを日本でも期待してます。
すぐには難しいかもしれないけど、少しづつでも。ブームには終わらせたくない。
辰巳:それには何をすればいいと思いますか?
ブルース:それは我々生産者は真面目に。”出して売れる”ことが満足とかではなく”これでいいのか?””これがベストなのか?”をずーっと考えなきゃいけないし、
海外の売れるワイン、ピンキリあるけど、美味しいもの飲んだりして「自分が何をすればいいか?」を探る。
そしてできるだけお客さん(消費者)と会って「じゃぁどうしましょう?」と両者が考えなければいけない。
辰巳:そう、その両者を繋げていきたいと僕も思っています。
今北海道の醸造所ではどれぐらいのお客さん(委託醸造)が?
ブルース:今年(2019)の委託醸造の顧客は21軒かな。
辰巳:そんなに?これも大きなことですよねー。北海道のワイン文化を下支えしてる。ますます存在感が増してきましたし、いい意味で注目してます。
またいろんなところで協力してやっていければと思っています。
辰巳・ブルース:これからも宜しくお願いします!
辰巳:今日はどうもありがとうございました!本日のお客様、ココ・ファームの取締役、
そして北海道の岩見沢の10Rワイナリーを大成功させていますブルース・ガットラヴさんでした!

News Data

八王子FM「辰巳琢郎の一緒に飲まない?」

2019年12月19日放送分

ワイナリー

10Rワイナリー

北海道岩見沢市栗沢町にあるカスタムクラッシュワイナリー(受託醸造所)。

道内のブドウ栽培家が他所にはないワインへと創り上げていく手助けを通して、ワイン産地としての潜在能力を最大限に引き出すことを目標としている。

http://www.10rwinery.jp

ココ・ファームワイナリー

栃木県足利市に昭和33年開墾、ワイナリー創設は昭和55年。

ワイナリーの目の前にそびえる平均斜度38度のブドウ畑は、障害がある子供達を預かる施設、「こころみ学園」の生徒たちが管理、(ブドウの)生育を見守っている。

https://cocowine.com

「日本のワインを愛する会」入会申込

登録無料

入会申込フォーム

About Charter Member 日本のワインを愛する会・チャーターメンバー

日本のワインを愛する会は、チャーターメンバー(創立会員)諸氏による篤志によって、新しい一歩を踏み出しています。会の活動は、いわば社会的文化的活動。メンバーのみなさまは、その志に共感いただき、新しい組織をその誕生から見守り、今後ぞくぞくと展開される新たな活動を支えていただく方々なのです。日本のワインを愛する会の「チャーターメンバー」は、原則ご紹介による参画を原則としています。システム等のお問い合わせに関しては、下記より事務局までご連絡いただきますようお願いいたします。