プリオホールディングスpresents「辰巳琢郎の日本ワインde乾杯!」 2024年9月19日OA

2020年7月から始まった*ラジオ番組「辰巳琢郎の日本ワインde乾杯!」。2024年7月放送分から『**プリオホールディングス提供』になりました。引き続きお楽しみください。
(*Tokyo Star Radio:https://775fm.com/ **プリオホールディングス:https://prior.co.jp/
2024年9月のゲストは山形県の「ウッディファーム&ワイナリー」代表取締役の木村義廣さんです。
今週はプティ・マンサンで乾杯!めずらしい’ちょい甘’のスティルワインです。(全4回 3回目)

辰巳:はい、9月のお客様は山形県上山市「ウッディファーム&ワイナリー」代表の木村義廣社長です。そして、プリオホールディング総料理長、井村貢シェフです。

全員:よろしくお願いします!!!

辰巳:この番組が始まって4年2ヶ月経ちましたが、この度*「月刊たる」というお酒に特化した雑誌がありまして、この番組内容を編集したものを掲載していただけることになりました。もちろんその前にはHPにも掲載します。少しづつですけど、日本ワインがみなさんに触れる機会が増えてうれしく思っております。ぜひお買い求めください。さ、今日も白ワインです。乾杯しましょう!
(*たる出版:http://taru-pb.jp/

全員:カンパ〜イ🎶

【プティ・マンサン モワルー 2019】
https://www.woodyfarmonline.jp/product-page/プティ-マンサン-ドゥミセック2020/(←こちらのヴィンテージは2020年、味わい表記はドゥミセック)

辰巳:あま〜い香りのワインでございます。プティ・マンサンのモワルー2019年。

井村:完熟の洋梨みたいなあま〜い香りが鼻先から抜けていくような、非常にエレガントなワインだと思います。

辰巳:モワルーというのは、

木村:”ちょい甘”ですね。スパークリングワインに使われることはありますけど、スティルワインではあまり使わないですね。

辰巳:南仏あたりでときどきありますね。プティ・マンサンというブドウもそちらの原産ですから。この糖はどうやって?

木村:11月中頃の収穫時点で25(Brix)にはなります。

辰巳:アルコール度数14.5%ありますから、それだと残糖が残らない計算になりますけど?

木村:”ちょい甘”ですからー。若干は残ってる、6g/L。

辰巳:それは濾過?それともアル添?

木村:元々弊社のワイン造りのコンセプトの一つに「濾過はしない」(ほか補糖補酸もなし)っていうのがあるんですが、この品種に関しては、2017年に仕込んだ時、糖が残ってしまって再発酵する可能性があって。

辰巳:酵母を取り除かないと再発酵して爆発する可能性があると。これで合ってます?

木村:爆発はしなかったですけど、微発泡になるってことはありました。ということでうちのコンセプトとはちょっと違いますが、酵母だけを取り除くフィルターかけてちょい甘のワインが出来ました。

辰巳:木村さんが甘いワインがお好きだからこれを造ったんですか?

木村:2019年にプティマンサンをジュランソンに見に行ったんです。そしたらこの’プティ・マンサン’という一つの品種だけで9月からいろんなタイプのワインにしてるんですよ。遅積み、甘口まで。それらのワインを現地で買い集めて、帰国して仲間で試飲してみたら、日本の食事に合わせられるギリギリが”ちょい甘”だったんです。
通常ブドウはだんだん酸落ちするもんなんですけど、このプティ・マンサンだけは11月に入っても落ちない。そこが魅力です。「酸があるからある程度の甘さがあっても食事に合わせやすい」という確信を得て商品開発に至りました。

辰巳:さてお料理です。今日はなんでしょう?


【ポワローをまとった真鯛のフリチュール 八王子黄金生姜のソース】

井村:真鯛にネギの衣をつけて揚げたお料理、八王子の黄金生姜をソースにしています。

辰巳:甘い料理ではないですね。生姜の香りが逆にこのワインとマッチしてる。この使い方いいすね。

井村:コクがあって飲み心地がしっかりしてるんで、とても満足感のあるワイン、っていうのが第一印象。これだったら魚料理がいいなといろんな組み合わせ考えてみて今日のお料理になりました。

辰巳:肉にも合いそう。

井村:鶏肉や豚肉でもいけると思います。

木村:これまでの日本ワインにはなかったBrix20度越えて、さらに酸がしっかり残ってるのが特徴的だと思います。

辰巳:行ったのは南仏ですよね?

木村:そうです、ピレネー山脈のポーというところ。

辰巳:プティ・マンサンもありますが、グロ・マンサンもありますよね?

木村:それもうちで少し作ってます。

辰巳:でもプティ・マンサンの方が酸が残ったり凝縮感があったりするんですか?

木村:両方酸があってとても作りやすいブドウです。ジュランソンは元々雨が多いんですよ、日本と変わらないくらい。周りの植生見ると日本と似てるんです。

辰巳:これも一文字単梢?

木村:そうです。これも収量はアルバリーニョと同じくらいで800〜1000kgぐらい。

辰巳:それぐらい採れればいいですよね。

木村:やっぱり農業ですから。垣根で500kgとかだと土地生産性が上がらない。せめて800kgぐらいはないと、っと思ってやっております。

辰巳:このワイン、ちょっと高いんですよね笑。

木村:・・・希少性、というか・・・汗。収穫は11月の中頃、去年おととしは12月の初雪の中収穫したりして。

辰巳:収穫が大変だからお値段が?

木村:まず発酵に時間がかかる。通常の白ワインと違って、発酵が途中で止まってしまうんで1年かかるんです。

辰巳:山形が寒いから?

木村:そうです。冬は発酵が止まってまた春になって始まる。2回ぐらいスタックすることもあるんです。

辰巳:でもタンクや樽に入れて放っておけば勝手に発酵するんでしょ?前回のアルバリーニョは3300円で、これは7000円ぐらいするんでしょ?この倍の値段の差を知りたいなーと。単純な疑問です。

木村:おっしゃる通りです笑。あのー、、、赤ワインと同じぐらい熟成期間が長くてリリースまでに時間がかかる。ステンレスと樽は半々で樽の方は新樽等々。

辰巳:先日オーストリアに行ってきたんですけど、あのあたりの白ワイン、リースリングやグリューナーフェルトリーナーなんかのアロマティックな品種に似た感じがありますよね、こういうタイプのワインは好きなんで、日本でもこういうタイプのワインができたのはすごくうれしく思います。これはどれぐらい造ってるんですか?

木村:この年(2019年)は1156本です。去年はもうちょっと、2000本近く造れました。

辰巳:これは現行(ヴィンテージ)ですか?

木村:近々新しいヴィンテージが出ます。これはもう完売しました。

辰巳:ウッディファームさんのいつもの可愛らしいエチケットじゃなしに、ちょっとロマンティック?シャガールっぽい雰囲気もあるかもしれませんが。どなたのデザインですか?

木村:上山在住の新進気鋭の洋画家で近藤亜樹さんという方のデザイン。先日六本木の画廊で個展やりまして、最近とても注目されてるアーティストです。

辰巳:「この人の絵いいな」と木村さんが思ってお願いしたんですか?

木村:県立美術館でお一人で2フロア全部使って個展やったのを僕が見に行って、気に入ったんです。その時は(彼女に)会えなかったんですけど、僕の知人の友人だってことがわかって、お願いしたら快く引き受けていただきました。しかも無償で。

辰巳:へぇぇ。じゃ、ワインをドーンと?

木村:そうですね。ワインお好きだっていうんで時々お持ちしてます。

辰巳:そういうのいちばんいいですよね、「物々交換」笑。このラベルは毎年変わるんですか?

木村:いや、このワインはこれで。

辰巳:白熊に跨った金太?笑笑(←ぇ、さっきシャガールみたいって言ってましたよね?笑)。

木村:「Waku Waku」というテーマ。

辰巳:ここでリクエスト曲を。今日はなんでしょう?

木村:ボブ・ディランの「ライクアローリングストーン」。

辰巳:先週に引き続きボブ・ディラン。今週もまた転がってますね。風に吹かれたり転がったり・・・そんな感じなんですね笑。

木村:そうですー笑。


BOB DYLAN「Like a Rolling Stone」(1965年)
https://www.youtube.com/watch?v=QSt0is5bSas/

辰巳:この頃の歌、歌も文化、芸術、演劇もそうですけど、「反体制」が強かったですよね〜。やっぱりジンと来るものがありますか、元ヒッピーとしては?笑。

木村:ただよく聴いてたってだけで個別の思い入れはないですよ。

辰巳:農作業をしながら聴いてたとか?

木村:そうです。僕らの時代は「カウンターカルチャー」ってのがあって、まぁ今もおんなじですね。”新しいことにチャレンジしたい”。

辰巳:木村さん、すごくチャレンジされてるなと思いますよ。

辰巳:今生産本数はどれぐらいですか?

木村:4万本ぐらいです。

辰巳:ぁ、そんなもんですか?もっといってるかと思った。アルバリーニョだけでも2万本ぐらい造れそうなのに。

木村:いやまだそこまでいってません。若い樹が多いのでこれからです。来年再来年で5万本、一応7万本目指して計画してます。

辰巳:このワイナリーのいちばんの特徴は、”買いブドウなし”。

木村:最初から自前の畑でやる、その見通しが立ったとっからスタート。

辰巳:洋梨を使ってシードル(シードル・ポワレ)作ったりもしてますよね。あれ、リンゴはやってなかった?

木村:多少ありますけど、それは営業的なもんじゃないですね。

辰巳:あとはさくらんぼも。

木村:でもいちばんはラ・フランスです。

辰巳:戦後はデラウェアを作ってたみたいですけど、抜いちゃった?

木村:そうです、今はまったくないです。

辰巳:ウッディファームさんにデラウェアやマスカット・ベーリーAとかを造ってほしいんですけど、あまり好きじゃないんすか?

木村:ワイナリー始める時に皆さんからいろいろ話をお聞きして、やっぱり「ヴィニフェラに特化しよう!」。それがスタートですから。

辰巳:誰が決めたんですか?

木村:誰が決めたって・・・。(タケダワイナリーの)武田(重信)さんは特にそうでした。

辰巳:でも武田さんとこはデラもベーリーAもやってますよ。

木村:それは典子ちゃんになってからで、今は買いブドウでデラウェアもやってますけど、それ以前重信さんはヴィニフェラでやるとずっと言ってたんで。その影響は大きいです。いつも見たこともない高級ワインをご馳走になりながら笑。

辰巳:けっこういいワインお持ちでしたよねー。自分とこのシャトー・タケダとムートン開けて「どっちが美味い?」「そりゃぁシャトー・タケダでしょう」なんてことやってましたよ。懐かしいなぁ。

木村:その重信さんの影響もあって、なんか特化してやらないとなー、とは思いました。特に、過去にサントネージュさんなどに提供していたのは、カベルネ・ソーヴィニヨン、メルロー、シャルドネが中心のヴィニフェラでしたから。

辰巳:今の醸造家、金原さんもそういう考え方ですか?

木村:それはないとは思いますけど。彼はたまたまうちに来たことでヴィニフェラをやってますけどね。

辰巳:その前の醸造担当の方は今は?

木村:国吉くんは上山の、うちの向かいの山あたりで、やはり地元出身の前田くんと2人で新しいワイナリーを作るってことで今畑をやってるところです。

辰巳:上山は勢いがありますね。市役所で”ワインブドウ生産支援”みたいなことやってますしね。担当の彼女まだやってるんですか?

木村:佐野さんね。がんばってます。

辰巳:今上山の大事な拠点の一つになりつつありますね。なんかいいところになったと思ったら時間がきちゃいました。この続きはまた来週伺いたいと思います。

全員:ありがとうございました!!!


「ウッディファーム&ワイナリー(有限会社蔵王ウッディファーム)」
https://www.woodyfarm.com/

収録会場:エネコ東京

News Data

プリオホールディングスpresents 「辰巳琢郎の日本ワインde乾杯!」

2024年9月19日放送回

ワイナリー

「ウッディファーム&ワイナリー(有限会社蔵王ウッディファーム)」
https://www.woodyfarm.com/

収録会場

ENEKO Tokyo
https://eneko.tokyo/jp/

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