2020年7月から始まったラジオ番組『ヴィラ・デ・マリアージュpresents「辰巳琢郎の日本ワインde乾杯!」
2023年12月のゲストは山梨県の株式会社Cantina Hiro 代表取締役、広瀬武彦さんです。
今回はアッカシリーズの赤ワイン「ネッビオーロ」で乾杯!
日本では栽培が難しいと言われるイタリア品種のネッビオーロを植えようと思った下心とは?(全4回 3回目)
辰巳:12月の3週目です。今月のお客様は山梨市の牧丘からお越しいただきました、「カンティーナ・ヒロ」の広瀬武彦さんです。
広瀬:よろしくお願いしまーす!
辰巳:いつもながら2週終わって話がぜんぜん進んでないんですけど笑、でも今回は通常よりワインの話はしっかりできてる、ような。ねぇシェフ?ぁw、いつもながらこの会場「Villas des Marriages 多摩南大沢」の井村シェフです。
井村:よろしくお願いします!
辰巳:まずは乾杯しましょう、早くワイン飲みたいっ!笑。
全員:カンパ〜イ🎶
【ACCA ネッビオーロ 2018】
辰巳:赤ワインなんですが、ちょっとオレンジ?レンガ色がかった熟成した色ですね。たばこ?葉巻?っぽい香りがしてきたりでも酸味もしっかりしてます。
広瀬:お香のような。
辰巳:ぁ、白檀のような。
井村:ぼくはドライフルーツ。
辰巳:ドライフルーツでもちょっと黒いナツメみたいな感じですね。さて、これはなんでしょう?
広瀬:ACCAシリーズのネッビオーロです。
辰巳:イタリアでは「H」と書いてアッカと読みます。広瀬さんの(イニシャル)「H」。イタリアが好き?イタリア語が好き?イタリア女性が好き?笑笑。
広瀬:えーーーっと。特にどれも好きではない笑。
辰巳:イタリア料理は?
広瀬:それはまぁまぁ。
辰巳:僕も”ドメーヌ”がつくより”カンティーナ”のほうがなんとなく行きたいなと笑笑。(←再三言いますが、辰巳さんフランス嫌い)
広瀬:会社辞めて(2013年)ワイナリー立ち上げるまで準備期間が5年ぐらいあったんですけど、まぁそれでできなかったらやめようと思ってました。で、まずは名前をどうしようか?”ドメーヌ”っていっぱいあるじゃないですか?だからこれは切り捨てて。次に品種も考えてて。
世界共通品種のメルロー、カベルネ、シャルドネ・・・その辺も切り捨てて。「山梨で作ってなくていちばんお金になる品種」爆。それを探したらネッビオーロが引っかかった。
辰巳:ピノ・ノワールは、
広瀬:北海道さんに任して笑。ネッビオーロが引っかかったんで、他のワイナリーさんで作ってるところは山梨県ではなかったんですよ。今「カンティーナ」がついてるのは新潟県の「ジーオ・セット」さん、長野の「リエゾー」さん、あとはうち。3つかな。ワタシ調べ笑。「ファットリーア」という名前がついてるのがひとつ。
辰巳:宮城の「アル・フィオーレ」。
広瀬:あと青森の笹森さん(ファットリア・ダ・サスィーノ)。関西の方でイタリア帰りでネッビオーロ植えてるところが。
辰巳:愛知の「アズッカ エ アズッコ」じゃ?
広瀬:ぁ、そこかもしれません。当時はまだ(イタリア品種植えてるところが)そんなに多くはなかったんで「なんで?」って県内の農家さんに聞いたら「実績がない」「データがない」「苗もない」「栽培が難しい」。。。『じゃ、もうここしかない』。人のやってることやっても儲からない、だからやらないことをやる!
辰巳:あれ、ヒロさんは確かA型。あまりそういうことやりそうにはない気がしますけど?
広瀬:だから失敗したんですよね〜爆。(←立ち上げて2年でコロナ禍)
そのネッビオーロの苗をどこで買おう?と調べてもどこにも売ってない。山梨県に上原葡萄研究所さんっていうのがあって、「ネッビオーロ欲しいんだけど」って言ったら「うちは受注生産でやるからー、どれだけ欲しいの?100本200本300本?」とか言われて、「いや、そんなにはいらないんだけど、、、棚でやるし、、、とりあえず15本あれば」。「ぁ、そんなもんでいいの?じゃ、2年待って」って言われて2年待って作ってもらったんです。そのときはネッビオーロとトレッビアーノ、ちょっと遅れてランブルスコとバルベーラ。
もう一つのとっかかりのワイナリーの名前。イタリアでよくあるワイナリーの頭についてる「カンティーナ」はイタリア語では「倉庫とか小屋とかいう意味で、小規模で自社畑100%」という訳し方ができる。それも「じゃ、これでいこう!」。でスタートしました。
井村:「フランス料理」はまずフランスに置き換えて、ストーリーをつけていったりするじゃないですか。今回はイタリア独自のストーリー性があって面白いなと思いました。このワインに関しては、見た目は’赤ワインとしては色がくすんでる’から「えっ!?」っと思うんですけど、味わいは「すんごい美味しいなぁ」とさっきからクイクイ飲んじゃってます。
辰巳:2018年ヴィンテージですでに酸化的色合いになってきてるのはなんでなんですか?
広瀬:・・・(←この沈黙に)爆。どうしてかって言われても。ちょっとワインに聞いてください笑笑。
辰巳:もしもーし爆。
辰巳:ちょっとお料理にしましょう笑。
今日はなんでしょう?
【秋鮭のカツレツ ほうれん草のソース】
井村:きょうは秋鮭を使ってカツレツにしました。今回のワインを試飲してからアレンジしたんですけど、煮詰めた日本酒を少し入れた赤ワインソースにしました。日本酒の甘みを少しプラスしたいなと思いまして。
辰巳:逆にいうと、このワインから日本酒を感じたと?
井村:そうっす。なんていうんでしょうね、ワインに’日本酒を煮詰めた時’の香りを少し感じたんですよね。僕らはよくお酒を煮詰めて、香りの変化に使うことが多いんです。下はほうれん草のソースです。
広瀬:このソースとワインはよく合いますね。
広瀬:ネッビオーロっていうブドウ自体が、ワタシの栽培技術が悪いのか、真っ黒にはならないんです。色々試行錯誤はしてるんですけどならない。赤黒い、どっちかというと赤みの方が強い。そこを今改善しようとやってるんですが、なかなか実現できなくて、、、。とても難しいブドウです。病気にも弱い。
辰巳:防除は?袋かけたり?
広瀬:これに関しては傘にしてます。品種ごとに袋か傘に分けてます。袋はヤマ・ソーヴィニョン、完熟で遅づみにするために。
辰巳:ネッビオーロのネッビオっていうイタリア語で言うところの「霧」でしょ。その霧みたいに皮に白い粉がふくから、とも言われてますが?
広瀬:そうです。今年のヴィンテージは収穫の真最中です。(←収録は2023年11月24日でした)
辰巳:今真っ最中ってチョー遅づみですね。今年のヴィンテージ、他の品種の収穫はけっこう早かったですよね?
広瀬:基本的にはブドウの熟成見ながら収穫するんすけど、ネッビオーロの葉っぱはまだ青いんですよ。(秋になっても)紅葉もしてない。だからまだ引っ張れる。
辰巳:そうか、もともとイタリアでは標高の高い寒いところで作られてるブドウですもんね。
広瀬:うちはもともと”人ありき”ではなく”ブドウありき”。
辰巳:普通そうでしょ?
広瀬:じゃ、うち”も”にしますね笑。
辰巳:ちなみにこれはおいくらですか?
広瀬:・・・
辰巳:なんで黙ってんすか、忘れちゃったんですか?笑
広瀬:ヴィンテージが・・・
辰巳:2018!
広瀬:税込4400円です。これはうちにあった2本のうち1本を持ってきたので、あと1本しかありません。
辰巳:じゃ、このお店で出せないじゃないですか!?(←この番組のコンセプトはこの記事の後方の「お断り」に記していますのでご覧ください)
広瀬:出さないでください!
辰巳:あれ、コンセプト言ってなかったかな?
広瀬:聞いてないです笑笑。
辰巳:じゃ、じゃ、2019とか2020はあるのかな?💦
広瀬:2019もあと2本ですね。2020は今から瓶詰め。2024年1月リリースですね。
辰巳:ちょっとーシェフ、それでもいいっすか?系統はいっしょでしょ?
広瀬:これも220〜230本ぐらい。
辰巳:ってことは毎年それぐらいしか?ひと樽?
広瀬:ブドウの傷みが、、、。
辰巳:それって遅くまで(収穫)引っ張るからでしょ?
広瀬:それもあるんですけど、もともと病気に弱い。”握る”っていって、房に粒がいっぱいついちゃって、雨が多い日本の気候で玉が張ってくるんですね。皮が薄いんでそうすると割れる。そして傷む。
辰巳:(この地、牧丘にネッビオーロが)向いてないって言ってるようなもんじゃないですか笑笑。向いてるんすか?
広瀬:日本には向いてない爆。でも向いてないんだったら「これをいかに克服するか?」
辰巳:そりゃぁそう。だってものづくりなんてだいたいそんなもんですから。
広瀬:で、試行錯誤しても玉割れしてハイカビが出てくる。
辰巳:じゃ、貴腐ブドウですればいいんじゃ?
広瀬:だから今貴腐で・・・。
辰巳:混ぜ込んで造るのもありでしょ。
広瀬:混ぜ込んで造るのは今年はやめといてー、ハイカビだけ分けて。
辰巳:高級ワインに?
広瀬:1本10万円ぐらいになれば嬉しい♡、ま、ムリでしょうね笑笑。
辰巳:ではここでリクエスト曲を。今日はなんにしましょうか?
広瀬:サザンのyayaあの時代(とき)を忘れない。N社に就職してー、そんときに彼女ができてー、その彼女が横浜の子でー、よく海辺をドライブしながらー、聴いてた曲です。
辰巳:なるほど、ではあの時に戻ってお聴きいただきましょう笑。
サザンオールスターズ「yayaあの時代を忘れない」(1982年)
https://www.youtube.com/watch?v=lksSA8_G2z0/
辰巳:当時付き合ってた彼女は今の奥さん?
広瀬:違います違います爆(←過去の2回放送分も彼女との思い出を語ってましたが、全部違う人。奥様にはいつ辿り着くんでしょう?)
辰巳:その彼女はどんな人?
広瀬:当時おんなじ会社で、3〜4年付き合ってたのかな。
辰巳:そしたら結婚するんじゃないかと思ってたでしょ?
広瀬:そうそうそう。結婚する前提でお互いの親にも紹介して、ちょうど(当時の)11月22〜24日の連休に彼女がうちに来て、結納と式の日を決める段取りのとき。僕は前日に実家に帰って彼女を迎える予定だったんですね。そしたら。20日ごろに手紙が届いて、「私は事情により結婚することができませんから、、、」と。見事にバサっと切られた笑。
辰巳:何か心当たりは?
広瀬:俺は何も悪いことしてません、その時は笑笑。あっちに好きな人ができたみたいですね。
辰巳:ぁ、そういうこともあるんすね笑。
広瀬:たまーにありますね笑。
辰巳:この曲はそのことを思い出すと?
広瀬:そうですね笑。今は畑仕事やりながら、涙流しながら、「いいブドウになれよ」って笑。
辰巳:ブドウの涙ってなんかありましたね。(←映画「ぶどうのなみだ」参考サイト:https://eiga.com/movie/79199//)
まぁまぁ、いろいろありますよね。ただいちばん驚くのは(広瀬さんは過去を)よく覚えてる!その失恋は25歳ぐらいの時、はいいとして、日付まで笑。よっぽどの人生の分かれ道だったんでしょうねぇ笑。
広瀬:分かれ道ですね。
辰巳:彼女とはその手紙1枚っきり?
広瀬:そうですね、その翌年に私が山梨に帰ることになって、その前にちょこっと会いましたけどね。
辰巳:結婚は?
広瀬:そのときはまだですよ。当時は彼女に彼氏ができたことはまだ知らなくて、山梨に帰ったあとに友達から電話で「(彼女)結婚したよ」しかも「二股かけてたみたいだよ」と聞いて。「あー別れてよかったー」と思いました。
辰巳:まぁそうですね、いろいろありますね。で、広瀬さんの親御さんが具合悪くなって地元に帰ったんでしたっけ?
広瀬:いや、それは(失恋の)もっと後です。東京でもう遊び疲れて、「そろそろ田舎のいい空気を吸いたい」。たまたまNECの資本が入ってるソフトハウスができるっていう話もあったんで「じゃ帰ろうかなー」っていう。
辰巳:帰ってから畑仕事も手伝ってたんですか?
広瀬:はい。IT企業ってドカタよりも酷い。電気とPCがあれば仕事できるじゃないですか?だから夜の10時11時は当たり前っていう世界でした。
辰巳:もう時間もあまりないんですけど、今思い出しましたけど、シャインマスカットの”最初の株”が?
広瀬:山梨では。株はもともとは広島か岡山のへんで、それが広まって山梨に植えたのがうち。「このブドウは絶対売れる!」っと取り寄せて植えたのはワタシ。それが16年ぐらい前です。
辰巳:今も生食用ブドウも作ってるんでしょ?
広瀬:はい、シャインマスカットも巨峰も売ってます。うちのブドウ食べてください、ひと味違います笑笑。うちのシャイン食べると他の食べれないってお客さん結構いますんで笑。
辰巳:今年はもうおしまいでしょうから、これ聞いた以上来年楽しみにしてます。送ってください笑。(←ぇ)っということで、今日はこの辺にしておきましょう。
全員:ありがとうございました!!!
お断り:番組の収録日、OA日、この原稿の掲載には時差があります。また、この番組はお招きしたゲストのワイナリーのワインと、収録会場の「Villas des Marriages 多摩南大沢」の井村貢シェフが作るお料理のマリアージュをみなさまにもお越しいただき楽しんでいただくのがコンセプトの一つですが、現時点でお店でお楽しみ頂けるワインとお料理のマリアージュの詳細については直接お店にお問い合わせください。)
Cantina Hiro
https://cantina-hiro.jp/
News Data
- ヴィラ・デ・マリアージュpresents 「辰巳琢郎の日本ワインde乾杯!」
2023年12月21日放送回
- ワイナリー
Cantina Hiro
https://cantina-hiro.jp/- 収録会場
ヴィラ・デ・マリアージュ多摩
https://villasdesmariages.com/tama/