2020年7月から始まったラジオ番組『ヴィラ・デ・マリアージュpresents「辰巳琢郎の日本ワインde乾杯!」
2023年11月のゲストは山梨県の株式会社Cantina Hiro 代表取締役、広瀬武彦さんです。
モテまくっていた高校時代、東京でのバブル時代でしたが、実家に戻り2018年にワイナリーを立ち上げたと思ったらコロナ。
順風満帆とはいかなかったようで。。。(全4回 2回目)
辰巳:今日は12月14日、元禄15年は赤穂浪士内入りの日!何してましたか?笑。
広瀬:生まれてません笑。
辰巳:今月のお客様は山梨市牧丘「カンティーナヒロ」代表、広瀬雄彦さんです。そしてこの会場「Villas des Marriages 多摩南大沢」の井村貢シェフも一緒です!
全員:よろしくお願いします!!!
辰巳:まずは乾杯しましょう。
全員:カンパ〜イ🎶
辰巳:今回は白ワイン。なんですけど少し色味が黄色がかってて、ゴールド、ですかね。ではいただきまーす。
【H/ACCA Cuore Trebbiano 2022】
辰巳:香りがいいっ!でも味わいとはだいぶ差があるような・・・。シェフはこのワインどうですか?
井村:旨みも感じられて上品にまとまってる。
辰巳:あとこのキリーっとした酸味も出てますよね。これはどんなワインでしょうか?
広瀬:これはイタリア品種でトレッビアーノ100%。
辰巳:日本でトレッビアーノは珍しいですよね〜?
広瀬:あんまり聞いたことないですね。
辰巳:青森で若干やってたかな、イタリアンのシェフが。
広瀬:はいはい、ネッビオーロもやってますね。
辰巳:笹森シェフ。(←「ダ・サスィーノ」の笹森道彰シェフ)
まずはこのワイン。アッカ(イタリア語で”H”を意味します)は「広瀬のH」?
広瀬:そうです。イタリア系品種はうちでは「アッカシリーズ」にしています。
辰巳:この「クオーレ」は?心臓でしたっけ、ハートでしたっけ?母をたずねて三千里?あのあたりのクオーレですよね。
広瀬:そうです。自社畑100%。この品種は通常の白の造り方だとすごく軽くなってしまうので皮ごと漬けて、ま、オレンジワインの造り方。
辰巳:マセラシオン、ですね、皮も種も?
広瀬:そうです、1週間ぐらい。
辰巳:そうですか。イタリアでは(白は)いちばんリーズナブルで生産量も多い。単収も多いんでしょ?
広瀬:うちはそんなに付けないんで、だいたい10rで1t〜1.2tですね。
辰巳:ってことは剪定をしっかりやられてる?棚栽培の場合つけようと思えばもっと付けられるんじゃ?このワインの場合、もっと付けた方が値段が安くなっていいのかなと?笑。
広瀬:自社畑のブドウについては基本、補糖・補酸しないんで。糖度上げるためにはつけすぎると上がって来ないんで、その辺のバランスはしっかりと。
辰巳:このブドウは糖度はどれぐらい上がるんですか?
広瀬:上げようと思えば25度以上にはなりますね。
辰巳:アルコール度数10%だから21度ぐらい?
広瀬:その前後。
辰巳:それでこの酸味が残るって、、、。
広瀬:イタリア品種の特徴だと思います。牧丘の気候の特徴もあるんですけど、それ以上に品種特性だと思います。ネッビオーロも糖度25度以上になっても酸がきっちり残るんで。
辰巳:すごいですね。他のワイナリーはなんでこういうブドウ使わないんですかね?
広瀬:それは他のワイナリーさんに聞いてください爆。私がワイナリー立ち上げる時に、ネッビオーロをネットでいろいろ調べたところ『10年20年寝かすと1本20万30万になる』と書いてあったんです。「ワイナリーってそんなに儲かるんだ〜😍」で、そっち方向に行ったら大失敗したんですね〜爆。
辰巳:え、大失敗?
広瀬:立ち上げて2年でコロナでズタズタ笑。在庫が増えて(収穫)量をだいぶ減らしたんですね。そのころ買いブドウもあったので「今年はごめんなさい、取引できません」って言って減らした影響が今出てきて「欠品」。
辰巳:そうか、それでも買い続けて熟成させとけばワインは美味しくなるんですから。
広瀬:資金繰りがきついです。うちみたいにできたばっかしで、ちょうど波に乗りかけた時にコロナでどん底まで落とされて・・・。上見たら30mもあるような壁があって、そこをどうやって這いあがろうかと。
辰巳:当時どのぐらい減らしたんですか?
広瀬:半分ぐらい。立ち上げた当時はうちのブドウはそんなに穫れてなかったので、5000本(ボトル)ぐらい。コロナがなかったら2年後には10000〜15000本に増やそうと思ってました。
辰巳:(設備的には)30000本はできるんでしょ?
広瀬:はい。でもそんなこんなでズタズタにやられて。もういつホームセンターでロープ買って裏山の木につるさげて・・・って何百回考えたことか。
辰巳:ほんとですかー?
広瀬:うそですぅ爆。
辰巳:こんな人なんですね。とてもセクハラパワハラする人には見えない笑。
広瀬:仕事になるとまたちょっと人格が変わるんです笑。
辰巳:さ、今日のお料理、シェフ説明してください。
井村:はい、地元(八王子)の中西ファームで採れた里芋です。下処理に2日かかるんですけど、里芋をコンソメで煮込んでそれをベーコンで巻いたテリーヌにしました。ソースは同じ畑から採れた春菊をクリームと。
付け合わせも春菊、とトマトのサラダ。
【中西ファームの里芋のテリーヌ】
辰巳・広瀬:いただきます!!
辰巳:広瀬さん、ここの料理本当に美味しいんですよ。
広瀬:だけど遠い。
辰巳:山梨からは近いでしょ?(←勝沼方面から特急に乗るとだと都心からよりも時間かからないです)
広瀬:八王子駅から遠い。
辰巳:でも山梨市の駅からワイナリーに行くにしても車で20分ぐらいかかるでしょ?
広瀬:タクシーで20分って3000円ぐらいかかっちゃうんで、お客さん来ないです。ワイン1本買えちゃうんで笑。
辰巳:駅前に出店かなんかすればいいのに。
広瀬:いやぁ、そんだけ魅力あるワインまだ造れてないんで。
辰巳:今日のワインもけっこう魅力ありますよ。このテリーヌの濃さとトレッビアーノがすごいマッチしてる。
広瀬:うん、マッチしてる、大丈夫だと思います!
辰巳:あ、今日は飲んでる!
広瀬:もともと(注がれた量が)少なかったんで。(←広瀬さんお酒がほとんど飲めません)シェフ、これは事前にワインをテイスティングしてペアリングするんですか?
井村:そうっす。
広瀬:ですよね。見ただけで合わせられたら超天才ですよね爆。
辰巳:これはおいくら?
広瀬:税込3800円です。
辰巳:なるほど、ここでもうちょっと食べながら曲を聴きたいと思います。今日は何を?
広瀬:「22歳の別れ」です。先週(スティービーワンダーの)「迷信(Superstition)」をお願いしたんですが、喫茶店で彼女とその曲を聞いてた最中に「22歳の別れにしような」って言いながら口ずさんでた思い出があります。
辰巳:その時は付き合ってたんですよね?
広瀬:もちろんもちろん。結局付き合ってた当時17歳、、、(←つまり「あと5年は付き合おうな」って契りですね)
辰巳:17本目からは一緒に火をつけたのが・・・♪?爆。
広瀬:18で別れましたかね爆。
辰巳:もたなかったというね笑。よっぽど喫茶店の彼女との思い出が’人生のターニングポイント’だった気がしますが?
広瀬:そうですね。高校2年の時の同級生だったんですけど、とても高校2年に見えないような綺麗な人で。美容院の娘さん♡。私が横で歩いてると、お姉さんと中学生が歩いてる感じになっちゃって、引け目感じてました「オレでいいのかな?」ってだんだん弱気になっちゃって。いろいろいろいろ考えました。そのうち他に好きな人ができて、、、。
辰巳:どっちに?
広瀬:オレに爆。
辰巳:なんだそれ爆。とりあえず曲行きましょう。
風「22歳の別れ」(1975年)
https://www.youtube.com/watch?v=5Cj4UlfzSVc/
辰巳:懐かしいですねぇ、いい歌だ。大ヒットしましたからね。シェフはこの歌は?
井村:フレーズは聞いたことあります。
辰巳:我々が高校生の頃だから、シェフは小学校行ってないかもしれませんね。その喫茶店まだあるんすか?
広瀬:もうないです、高校(甲府工業)から歩いて2,300mのところ。
辰巳:甲府まで通ってたんですね?
広瀬:そうです。
辰巳:18歳の時にその彼女と別れて、別に彼女ができたと?
広瀬:そうですねぇぇぇ。
辰巳:それは今の奥さん?
広瀬:いや、違います爆。
辰巳:高校の先は?
広瀬:行ってません。
辰巳:じゃ、高校出てすぐ(NEC)に?
広瀬:ちょうど氷河期の時代だったんです。オイルショックの影響で就職がまったくなかった。大学も考えたんすけど、うちが貧乏すぎて。大学へ行けない就職はない。途方に暮れてた時です。
辰巳:途方によく暮れますね笑。(←そういえば11月ゲスト、高畠ワイナリーの村上会長のリクエスト曲が「そして僕は途方に暮れる」でした)それから東京に?
広瀬:そのころは現NTTとかJRとか、三公社五現業ってのがあって、NTTが人気があったんです。こんな話していいのかな、当時はコネがあれば入れたんですけど、私が高3の時にはそれもダメになって倍率30〜40倍。
辰巳:はぁぁぁ。
広瀬:NTT受けて落っこった。あの頃は10月1日に解禁、一斉に試験が始まって、それ逃すと次はほとんどなかったんですけど、たまたまNECさん(正確には当時の日本電気ソフトウェア)が、10月1日に設立された。そこに募集が来てテスト受けて一次試験受かって面接。
で、その面接の時に「広瀬くんのテストの点は24点だった。」百点満点ですよもちろん笑。「本来なら落ちてるけど一応面接は受けさせてやるよ」と。
その面接の時に「広瀬くんはずっと部活でハンドボールやってたみたいだけど、まだやってるのかい?」と聞かれて「もう引退しました」。面接官全員になぜか爆笑されて結果は合格。入社式の時に「なんで?」と聞いたら「引退」の一言だったみたいです。
辰巳:言葉、とその風貌、、、なんか’人間力’みたいなのがあったんじゃないですか?
広瀬:なんなんでしょうねぇ。でもその前のNTTの時は「絶対に受からなきゃダメだ!」っていう(自己暗示?焦り?)のがあって、言いたいことも言えず、自分がどっか飛んでっちゃってた。NECさんの時はテストはダメだってわかってましたから、かえって面接の時はリラックスできてたんだと思います。
辰巳:人から好かれるというか、モテるタイプだったんでしょ?だってそんな美しい方と付き合ってしかも振って笑。
広瀬:まぁ高校んときは彼女いない時はなかった(外野ザワザワ)。
辰巳:ほーらね、ちょっと自慢してますけど笑。
広瀬:二股、、のときもあった、ような笑笑。
辰巳:ま、モテる人ではあるような気がします。
広瀬:あの頃は。東京に出てきてからはよく六本木のディスコにも行ってました。
辰巳:「サタデーナイトフィーバー」が流行ってた頃ですよ。
広瀬:アン・ルイスがいたこともありました。ディスコ行くと「ショーケン(萩原健一さん)に似てる」ってよく言われてました。ちょっとコレ(←ジェスチャーはもちろん天狗です👺)になってたかもしれませんねぇ爆。
辰巳:それで地元の彼女振ったんですね笑。
広瀬:いやいや、それは東京以前笑笑。
辰巳:それからしばらく東京?
広瀬:そうですね、12年ぐらいいましたかね。
辰巳:30歳ぐらいまで、バブルの絶頂期。
広瀬:初任給が3万2000円だったんです。4月1日に入社して6月には昇給で6万4000円になってました。次の昇給は10万5000円とか、、、そういう時代です。だけど。今ブラックブラックって言われてるじゃないですか?あんなのは比じゃないですね。もう残業300時間とか、酷いプロジェクトだと品川プリンス借りてくれてて、明け方4時ぐらいに仮眠に行って7時には課長からモーニングコール。
辰巳:日本の高度成長ってそれで成り立ってるんですよ。今は逆にゆとり教育だとかいって30年成長しないっていう風になって。そのころはお酒は飲んでたんでしょ?
広瀬:そのころはー、飲んでましたね。ウイスキー、とあとはビール。
辰巳:ウィスキーはサントリーオールドの全盛期でしたね。お店に行くとダルマがたくさん並んでるという時代。学生にはなかなか手が届かなかったですけど。そうかぁ、今日の話はすごい時代を感じる、思い出します。次回はバブル絶頂期の30歳で山梨に戻って、って話からかな。やっぱ話オモシロイすよ、そりゃ面接通りますよ笑笑。
辰巳:この里芋のテリーヌとアッカ(トレッビアーノ)のペアリングをこちらの「Villas des Marriages 多摩南大沢」でぜひお試しください。
ではまた次回、今月のお客様は山梨市の「カンティーナ・ヒロ」広瀬武彦さんです。
全員:ありがとうございました!!!
(広瀬さんの社会人東京編は、現在放送中の「不適切にもほどがある」、を地でいってるお話でした 編集者談)
お断り:番組の収録日、OA日、この原稿の掲載には時差があります。また、この番組はお招きしたゲストのワイナリーのワインと、収録会場の「Villas des Marriages 多摩南大沢」の井村貢シェフが作るお料理のマリアージュをみなさまにもお越しいただき楽しんでいただくのがコンセプトの一つですが、現時点でお店でお楽しみ頂けるワインとお料理のマリアージュの詳細については直接お店にお問い合わせください。)
Cantina Hiro
https://cantina-hiro.jp/
News Data
- ヴィラ・デ・マリアージュpresents 「辰巳琢郎の日本ワインde乾杯!」
2023年12月14日放送回
- ワイナリー
Cantina Hiro
https://cantina-hiro.jp/- 収録会場
ヴィラ・デ・マリアージュ多摩
https://villasdesmariages.com/tama/