2020年7月から始まったラジオ番組『ヴィラ・デ・マリアージュpresents「辰巳琢郎の日本ワインde乾杯!」
2023年8月のゲストは山梨県「シャトレーゼベルフォーレワイナリー」勝沼ワイナリー取締役工場長の戸澤一幸さんです。
今回は樽熟成の甲州で乾杯!戸澤さん、その甲州を突き詰めるべく、会社を休職してニュージーランドに渡ります。
(全5回 3回目)
辰巳:8月のお客様は、シャトレーゼ、勝沼ワイナリーの工場長、戸澤一幸さんでーす!
戸澤:よろしくお願いしまーす!
辰巳:今日は第3回目。お菓子の会社でワイン部門を始める、っということで就職してワイン勉強して。それから二十数年たったんですねぇ。いろいろと迷いもあったんでしょうが、でも、今はシャトレーゼのワインの評価は高くなってきましたよね。
戸澤:おかげさまで昔に比べると。今はシャトレーゼの店舗でも扱う店も増えてきましたんで。
辰巳:今は大体何本ぐらい(年間生産)?
戸澤:勝沼の狭東地区のブドウと、須玉の自社圃場をメインでやってますんで3万本ぐらい。ほんとにちっちゃい。
辰巳:ぁ、そんなもんですか。でも(シャトレーゼには)もう一つワイナリーがあるんですよね。それはどの辺に?
(シャトレーゼ ベルフォーレワイナリー:http://www.belle-foret.co.jp/belleforet/)
戸澤:甲斐市、です。
辰巳:あそこは甲斐市ですか。昔雪印が持ってたワイナリーを、いろいろあってシャトレーゼが買い取ったんですよね。何年でしたっけ?
戸澤:2002?2003?ぐらいですかね。
辰巳:そっかー、じゃ、勝沼にワイナリー作ってその後すぐに、ですよね。けっこう混乱したんじゃ?
戸澤:そこらへん、も、いろいろあって・・・ってとこですよね。先週お話しした”いろいろ悩んだ”中の一つではありましたね。
辰巳:雪印のワイナリーの醸造担当者も(シャトレーゼに)入ってきたんでしょ?
戸澤:はい。
辰巳:でもそことは別々にされてるんでしょう?あちらはだいぶ大きい。(向こうは)大体何本ぐらい?
戸澤:いやぁ、何本とかいう単位ではなく・・・(←勝沼工場とは単位が違うらしいです)。うちはお菓子の会社ですので、全国に700ある店舗にワインを供給する、ってなるとだいぶ量多いですし、あとは蔵出しって言って”店頭でワインをボトルに詰める”っていう販売方法をとってるんで。
辰巳:それは「日本ワイン」というよりは海外原料から造る「(主に)国内製造ワイン」ってことですよね?
戸澤:でないと、
辰巳:ってことは何百万本って感じですか?
戸澤:多分そのぐらいになるか・・・って気はしますけど・・・笑汗。(あくまで)ボトルに換算するとですよ。(各ショップには)ケグで運んでるんで。私があまり本数換算が理解してなくてすいません。
辰巳:でもその大きな方のワイナリー(甲斐市の)でも日本ワインは造ってるんでしょ?
戸澤:造ってます。
辰巳:でも棲み分けはしてて、一緒にはやらないんですね?
戸澤:「ブランド」という意味で一緒にはやってないです。シャトレーゼのブランドはブランドなんですけど、『日本ワインのこだわり』というブランドは勝沼で造って、ベルフォーレ(甲斐市製造のワイン)シャトレーゼのワインは店舗で売って”ワインの敷居を下げる”というきっかけになってもらえればいいと。
辰巳:戸澤さんは、量は少ないけれど「(品質のいい)日本ワインを造る」担当として引っ張ってこられた。賞もいっぱい受賞されてますしね。今日のワインも金賞ですよ。
戸澤:そうですね。去年の「日本ワインコンクール」で金賞いただいた「勝沼甲州樽発酵2021」です。
辰巳:ではこちらで乾杯したいと思います。
全員:カンパ〜イ🎶
【勝沼甲州樽発酵2021】
http://www.belle-foret.co.jp/katsunuma/item/p_white056/
辰巳:いかがですか、シェフ?今日も「Villas des Marriages 多摩南大沢」の井村貢シェフにも同席いただいています。
井村:旨みがありながら、それでいてスッキリしてる。非常に飲みやすい。
辰巳:まろやか〜な感じですね。これは樽発酵樽熟成?
戸澤:はい、そうです。
辰巳:これも初期の頃から造ってると思うんですけど。なんとなくね、’甲州に樽’は合わない感じはしてて、なかなか難しくて各ワイナリー工夫はされてると思うんですけど?
戸澤:勝沼とは表記してあるんですけど、これはその中でも鳥居平、菱山。標高の高いところの甲州を使ってます。そこの甲州は他の低い地域や砂地に比べると、ボリューム感だとかコクのあるワインに仕上がるんです。だからそれを樽で発酵させたり熟成させたりすることでも「樽に負けないボリューム感」、を目指して造ってます。
辰巳:もうちょっと熟成させたらもっといい感じになると思いますけどね。ぁ、でも賞獲っちゃったからもうないか?
戸澤:これが去年金賞もらったヴィンテージなんで、そろそろ切り替わると思います。
辰巳:何本ぐらい?
戸澤:5樽、6樽ぐらいなんで2000本ぐらい。
辰巳:金賞獲ってバァーっとなくなってましたけど、最近はどうですか?
戸澤:ちょっと調整して出してる。お客様、一見さんにも知っていただきたいんですけど、どうしてもお付き合いがあるお客様もいらっしゃるので、そういう意味での調整を。
辰巳:ちなみにこれはおいくらでしょうか?
戸澤:2500円+消費税。
辰巳:なかなかバランスの取れた美味しいワインです。さて、今日のお料理はなんでしょうか?
井村:夏野菜のタルトです。
【夏野菜のタルト】
辰巳:うん、ズッキーニとトマト。
井村:あとはアンチョビと、下には白身魚のムースを下に敷いてあります。
辰巳:このお料理とワインをどのあたりで合わそうと?
井村:ワインに旨み、まろやかさがありますんで、この(タルトの)香ばしい香りを合わせたいなと。
辰巳:確かに香ばしい香りはありますね。生地にはバターも?
井村:はい。
辰巳:どうですか、戸澤さん?
戸澤:、、、美味しいんでついつい食べちゃってました。この香ばしいパイ生地のところと、あと甲州はどうしても青い香りもありますんで、そこがズッキーニと合うというか。これがシャルドネだったら多分合わない。
辰巳:ズッキーニは甲州に合うんですかね?
戸澤:今そう感じました。シャルドネはオイリーなのでスッキリとした甲州にはこういうのがいいのかなーなんて。
辰巳:このお料理とワインの組み合わせも今後2ヶ月間、ラジオをお聞きの皆さまにもサーヴできますので、試してみたいと思われる方はぜひこちらにお越しください。今日は8月17日ですので3日後の20日にはこの番組の公開収録がありますのでみなさんぜひお越しください。次のゲストは東京の「ブックロード」というワイナリーの須合美智子さんがゲストです。東京のワインと東京のお野菜の会になりますねー、楽しみです。
(←こちらの収録は大盛況、無事終了いたしました)
辰巳:さ、、ここでリクエスト曲聴きましょう。なかなか戸澤さんの選曲面白いんすよ、今日は何しましょ?
戸澤:えへへ、今日はゆずの「栄光の架橋」を。
辰巳:先週は「明日に架ける橋」で今週はこれ?架け橋が好き?笑。
戸澤:「橋の向こう側に行きたいっ!!」現状維持じゃなく、向こうの景色を見たい!
辰巳:それはお彼岸に・・・?笑笑。
戸澤:いやいや、そんな意味じゃなく。
辰巳:”架け橋シリーズ”かぁ。なんかこの曲は思いがあるんですか?
戸澤:今日飲んでいただいた甲州樽発酵っていうのが金賞いただいたんですが、それまではニュージーランド行ったりとかいろいろ苦労した中で、ようやく2009年に初めて金賞をいただいた。そっからどんどん賞をいただく機会が増えて、、、。でもそれまでは社内外でいろんな辛酸を舐めながら、、、笑。
辰巳:舐めてたんですか笑。ニュージーランドは何しに?会社から何か?
戸澤:いやいや、会社からじゃないですよ。「このまま今ここに居ちゃダメだ」っと休職願い出して(驚!)、行き先もワーキングビザも自分で手配して。
辰巳:どれぐらい?
戸澤:2ヶ月ぐらい。向こうの3月、だから収穫と仕込みをやってきた。
辰巳:それがいつ?
戸澤:2009年。会社から行けと言われたわけでもなく、ニュージーランドのフライングメーカーの方とも話をして、「いかなきゃダメだな」、で上司に休職願いを出して。
辰巳:で、帰ってきて、その夏のコンクールで金賞獲ったんでしょ?でもニュージーランド関係ないでしょ?
戸澤:いや、帰ってきてからブレンドとかキュヴェに対しての考えが変わってからのコンクール出品だったんで影響はすごいあった、っと思います。
辰巳:では聴きましょう、ゆずの「栄光の架橋」
ゆず「栄光の架橋」
https://www.youtube.com/watch?v=PRJoAPH0ZGo
辰巳:はい、この曲、やっぱり耳についてニュージーランドにいた頃も響いてたんですか?
戸澤:ニュージーランドにいたときは、っていうより、そのときNZにいたことで、帰ってきて賞をいただいたことに響いて。架け橋になったんだな。もちろん私だけでなく、栽培スタッフだったり契約農家さんのブドウも使ってるんで(すべての人の架け橋に)。
辰巳:ニュージーランドは独りで?どこに?
戸澤:独りです。本当は甲州のためにソーヴィニョン(・ブラン)を偵察、マールボローに行きたかったんですけど、そこのヴィンテージワーカーがいっぱいになっちゃった。ので、ワイパラっていうクライストチャーチの北に60kmぐらい行ったところの、「マウントフォード」っていう小山(竜宇)さんのところでやろうと思ったんですが、「ここではソーヴィニョンはやってない」。「でも紹介してやるよ」ってことでまったく知らない向かいのワイナリーに入ったんですけど。
そこではソーヴィニョン以外にもピノ・グリ、ピノ・ノワール・・・。周りからは「アイツ誰だ!?」ってなってたらしいんですけど、でもそんな中でも仲良くやってました。
辰巳:英語は?
戸澤:カタコト笑、行けばなんとかなる、なんとかなりました。
辰巳:そこで得たのは何がいちばん大きかったですか?
戸澤:ブドウが違う、土壌が違う。そのワイパラって地区はライムストーン(=石灰)が。そして暑いんですけど日陰に入ればすごい涼しい。湿度が全然違うんです。を身をもって感じて、仕込みの間に目を盗んではブドウを食べたりだとか、(ブドウを)投げ入れて発酵してるところを目を盗んではタンクを開けて・・・
辰巳:盗み飲み?
戸澤:ちょっともらっただけです笑笑。ワインのタンクからタンクへ移動する時とか、そんなちょっとしたことで勉強したり。それはある程度日本でやってから行ったから”違い”がわかる。
辰巳:なんかここら辺の話はいっぱい聞きたいんですけど、また来週にしましょう。8月のお客様は山梨県「シャトレーゼベルフォーレ」の
勝沼ワイナリー工場長、戸澤一幸さんでした。また来週!
お断り:番組の収録日、OA日、この原稿の掲載には時差があります。また、この番組はお招きしたゲストのワイナリーのワインと、収録会場の「Villas des Marriages 多摩南大沢」の井村貢シェフが作るお料理のマリアージュをみなさまにもお越しいただき楽しんでいただくのがコンセプトの一つですが、現時点でお店でお楽しみ頂けるワインとお料理のマリアージュの詳細については直接お店にお問い合わせください。)
シャトレーゼ ベルフォーレワイナリー 勝沼ワイナリー
http://www.belle-foret.co.jp/katsunuma/
News Data
- ヴィラ・デ・マリアージュpresents 「辰巳琢郎の日本ワインde乾杯!」
2023年8月17日放送回
- ワイナリー
シャトレーゼ ベルフォーレワイナリー 勝沼ワイナリー
http://www.belle-foret.co.jp/katsunuma/- 収録会場
ヴィラ・デ・マリアージュ多摩
https://villasdesmariages.com/tama/