2020年7月から始まったラジオ番組『ヴィラ・デ・マリアージュpresents「辰巳琢郎の日本ワインde乾杯!」
2023年7月のゲストは広島県「瀬戸内醸造所株式会社」代表取締役の太田祐也さんです。
今月は若さと地元愛にあふれたワインたちが登場しましたが、最終回は瀬戸内のニューベリーAの微発泡です。
ん?ニューベリーAって?(全4回 4回目)
辰巳:7月最後の週になってしまいました。今月のお客様は、広島県三原市の「瀬戸内醸造所株式会社」太田祐也代表です。そしていつも通り、この会場「Villas des Marriages 多摩南大沢」の井村貢シェフにも同席いただいてます。
全員:よろしくお願いします!!!
辰巳:シェフ、何笑ってるんすか?(←なんか笑ってました)でもまぁ3年前、会社がこの施設を買い取って、赴任して、、、
太田:まさかまさかで?
辰巳:コロナ禍のこの会場で番組が始まって、そしてまさかまさかのご本人が出演されるとはね笑。
井村:そうすね、ほんとに。
辰巳:月4回の(時に5回)3年間だから、約150種類のワインに合わせた全部違うお料理を作ってんすよ。
太田:すごっ!
辰巳:そのレシピもすごいんです。「このレシピ本にしませんか?」って思ってるんですけどどなたか出版社いらっしゃいませんかー?笑笑。(←絶賛募集中)
太田:いいと思います、した方がいいと思います。え〜どうしようかな〜。(←前向きにお願いいたします🙇)
辰巳:ものすごい知的財産ですよこれ。文字起こしも「日本のワインを愛する会」で公開してますし(←ぁ、この記事のことですね)、いい編集者さんさえいれば出来る、はず。
太田:これなら絶対日本のワインのためになりますよ。
辰巳:またそのへんのコンサルもしていただければと。
太田:かしこまりました!
辰巳:ではこのへんで乾杯したいと思います。今日は赤ワインです。
全員:カンパ〜イ🎶
辰巳:うん、柔らかいスパークリング。これはどんなワインでしょうか?
【2021 三原 ニューベリーA スパークリング】(←現行ヴィンテージは2022です)
https://shop.setouchijozojo.jp/products/2022baileya_miharasp
太田:三原のベーリーAを使いました、瓶内2次発酵の微発泡のお酒でございます。この三原の畑というのは、80年前から葡萄栽培をしておりまして。戦後すぐぐらいですね。山を切り開いて4軒の農家さんたちが重機もない中、手掘りとかしていきながら開墾していってブドウを植えた。
辰巳:食用としてのマスカット・ベーリーAでしょ?
太田:おっしゃる通りです。
辰巳:そのベーリーAをジベレリン処理して種なしにした。それが”ニューベリーA”という名前。
太田:その通りでございます。
辰巳:この名前も広島とか岡山のあたりだけなんでしょ?
太田:そうです。種無しのベーリーAのことを「ニューベリーA」と。
辰巳:僕も知らなかった。現地に行って’そういう言い方するんだ?’と。でも今はワイン用になってるじゃないですか。生食用にも今だに出してるんですか?
太田:はい、今だに。キロ2000円とかで取引されるような高級なベーリーAです。
辰巳:へぇ。でもキロ2000円のブドウ使ってワインにするんでしょ?これはおいくらか覚えてますか?笑笑。(←太田代表、過去2回分のワインの価格を把握してませんでした)
太田:はい、これは覚えてます笑、3850円でございます!
辰巳:3500円+消費税ね。シェフ、どうですかこのワイン?
井村:見た目は’ちょっと甘そう’っと思ったんすけど。でも飲んでみるとドライで、ブドウの香りがグッと凝縮されたような味わい。旨みが・・・
辰巳:旨みあってね。スティルでもなくスパークリングでもない、中途半端な微炭酸にしたのは?微笑。
太田:”ほどよく”と言ってください笑笑。気圧を高めすぎるのは味わいがわからなくなってくる。目の前の海を眺めながら、夏に飲んでいただくときに、ちょっとゆるゆる飲める微炭酸、に。
辰巳:目を瞑って飲むと瀬戸内海が見えてきます笑。
太田:ですよね〜爆。
辰巳:これスティルは?
太田:、も、あります。ま、年によって(スティルは)造ったり造らなかったり。
辰巳:この周辺にも新しく畑作ったりしてるんですか?
太田:はい、作ってます。
辰巳:自社畑でしょ?そこには何を?
太田:シャルドネ、カベルネ・ソーヴィニヨン、セミヨン、ソーヴィニョン・ブラン、ピノ・ノワール、カベルネ・フラン、など。
辰巳:せっそうない感じですねぇ笑笑。
太田:まぁ最初なんでね、いろいろと笑。今までのラインアップであるものと、個人的に僕が飲んでみたい品種。ピノ・ノワールとカベルネ・フランは完全にチャレンジ企画です笑。
辰巳:標高は高いとこですか?
太田:そこまでではなく、270mぐらいです。
辰巳:畑には行ったことないんですけど、確か(海沿いの)ワイナリーから山の方に30分ぐらい?
太田:これがまたメチャクチャ景色が良くてですね、
辰巳:海が見えるんですね?
太田:これが見えないんです、すいません汗笑笑。
辰巳:「見えるっ!」って言った方がいいですよ笑。
太田:はいっ、早々に着手しますっ🫡。(←新たな畑開墾か?)
(今の畑は)なだらかな丘の、見渡す限りがブドウ畑なんすよ。
辰巳:そんなに広いの?それは自社畑だけじゃなく、他の4軒の畑も含めて?
太田:そうです。最初は4軒から始めたんですけど、一時期20軒ぐらいまで増えたんですよ。それが今また4軒に戻っちゃってる・・・。耕作できない、今休耕地になってる畑を我々が戻してってことをやってるところ。
辰巳:棚(栽培だったん)でしょ?棚もねー、いいんですけどねー、なかなか大変。太田さん身長も高い(←183cm)から。もうちょっと高い棚だったらいいんですけど(←辰巳さんも180cm超え)。
太田:そうなんです。それがブドウ栽培引き継げない要素にもなるのかなとも思いますね。(←「足腰に負担がかかる」ということでしょうね)
辰巳:さ、今日のお料理を伺うの忘れてました。なんでしょ?
井村:トマトファルシ、南フランスの郷土料理です。
辰巳:ファルシって?
井村:’詰め物’。トマトの中にベーリーAで煮込んだ牛肉を詰めてあります。グリーンはジャガイモに香草のピューレを混ぜ合わせたものと(香草入りの)バターソースです。赤ワインですけど微炭酸だったんで、ちょっとライトに仕上げてみました。
全員:いただきます!
【牛ほほ肉のトマトファルシ プロヴァンス風】
辰巳:どうですか?
太田:サイコーですね。いやぁもうビックリ、さすがです。
井村:見た目だけで最初は赤ワインだと思ってたんで、(牛肉の)赤ワイン煮込みを作ってたんですが、途中でワイン飲んだら「ん、微炭酸だぞ」っと気づいて作り替えました笑。
辰巳:当店は非常に臨機応変です笑。うん、美味しい♡。でもなんで(三原市にありながら)その名をワイナリーの名前に入れなかったんですか?
太田:瀬戸内の島を巡ってるうちに「この島一つ一つに(地元の)お酒があったら」って言うところからスタートしたし、それぞれブドウの産地があって、そこが危機的状況にあるので、その人たちとも連携してやっていきたい。
「瀬戸内全体がワイナリーの範囲」っということで、瀬戸内醸造所という名前をつけさせていただきました。
辰巳:思いが大きいんですよね。(ワイナリーは)コロナ禍からどうでしたか?
太田:コロナの頃はもうどうしようかと思ってましたけど、今は百貨店さんやホテル、レストランさんからも使い始めていただいてます。ようやくボチボチ、というところですね。
辰巳:「在庫抱えて大変」って話もよく聞きますけどね、じゃその辺は大丈夫ですか?
太田:いや、売るほどありますんでいつでもどこでもどなたでも。ネットからも買えますんで爆。
辰巳:でも(ネットは)けっこう売り切れてる笑。
太田:、、、すいません汗。
辰巳:今注目され始めたワイナリーです。ではいったんここでリクエスト曲を。締めは何にします?
太田:小坂忠(こさかちゅう)さんで「ふうらい坊」お願いします。
小坂忠「ふうらい坊」(1975年)
https://www.youtube.com/watch?v=Xfq4NBw32Mw
辰巳:これかなり昔、生まれる前の歌でしょ?何が好き?風来坊という言葉?
太田:あの世代の歌が好きで、LPも集めてるぐらい。
辰巳:ワインやお酒の師匠が好きだったからとか?
太田:いや、酒の師匠は酒だけなんで。もとい、人生の色々を教えていただきましたが笑。音楽は自分でリークしてます。
辰巳:でも曲の好みってワインの好みにも表れてくるもんでしょうね。(太田さんセレクトは)こだわりの中にもちょっと軽さがあって。
太田:お酒(ワイン)も地域一つ一つにいろんな課題があって造ってるので、地域の名前売りたいから一緒に造るとか、農家さんが次の世代に渡せる仕組みを作っていくのが「我々のお酒」かなぁと思ってますね。
辰巳:今日本のワイナリーは450〜500軒ぐらいになって、競争とかいろいろあるでしょうから、今後の立ち位置とかスパンとかありますか?
太田:ワイナリーが増えてきた中で、造り手になって思うのは「日本のワイン」というのに誇りを持って消費者の方に飲んでいただきたいな。辰巳さんもすごくその活動されてると思うんですけど、ワインってフランスじゃなくて、「地元のテロワールがこうこうこうでおもしろいから地元のこの食材と合わせてみようよ」とかいう動きがもっと出てきて、シェフの方々や消費者の連携をもっともっと密にしていきたい。
それで「日本のワインをもっと世界に広めたい」。ってことを僕は思っています。それをやることによって「農家さんのためにもなる」。
辰巳:どうですか、農家さんとお付き合いして?
太田:みなさんからほんとに喜んでいただいて。うちのワインを造ったブドウの産地の品種の値段が上がるんですよ。この広報効果だったり、農家さんがほかの畑を偵察して「あそこだったらうちの畑の方がいい」とか言うように(熱心に)なってきたんですよ。
みんながどんどんどんどん前のめりになってくれて、「うちのブドウでワイン造ってもらってこういうことやりたいっ!」とか言うようになってます。もちろん彼らが主役なので、我々は一歩下がって”編集者”というか”翻訳者”というか、そういった形で地域のテロワールを発信していきたいなと思ってます。
辰巳:新しい畑は垣根?
太田:垣根と棚両方。
辰巳:カベルネ・ソーヴィニョンは?
太田:棚でやってます。「その地域にあってる農業のやり方」が絶対にあるはずなんです。棚でも僕はぜんぜんいいんじゃないかなと僕は思ってますね。ベーリーAなんて樹齢60年の棚ですから。自称『瀬戸内の酒ベンチャー』、ベンチャーなのに樹齢60年70年のブドウを普通に使ってるし、キャンベル・アーリーなんて(一部は)100年ですよ。我々のお酒の特徴として寄与していただいてるのかなぁとは思います。
辰巳:それに地元の食材とのマリアージュができればほんとにいいと思いますねぇ。シェフ、どう思います?
井村:料理人も同じような課題でやってます。「生産者をどうやって盛り上げていくか?」は、今いちばん大事な課題になってるのですごい共感できますね。
太田:よかったです。
辰巳:料理作る人とワイン造る人ってやっぱり一緒になってやってかなくちゃいけないんですよ。なのにね、こんなこと言っちゃなんですがフランスワインだ輸入ワインだーに向いてるレストランがいかに多いことか笑笑。
太田:いやぁほんとにほんとに。
辰巳:もちろん西洋の料理とワインにはリスペクトはあるんですけどね。でも太田さんみたいに若い人(39歳)がでてきたり、昔からのワイナリーも代替わり始まってますし、”これからの日本ワイン”ますます楽しみになってまいりました!
7月のお客様は広島県三原からお越しくださいました「瀬戸内醸造所」代表、太田祐也さんでした。
全員:ありがとうございました!!!
お断り:番組の収録日、OA日、この原稿の掲載には時差があります。また、この番組はお招きしたゲストのワイナリーのワインと、収録会場の「Villas des Marriages 多摩南大沢」の井村貢シェフが作るお料理のマリアージュをみなさまにもお越しいただき楽しんでいただくのがコンセプトの一つですが、現時点でお店でお楽しみ頂けるワインとお料理のマリアージュの詳細については直接お店にお問い合わせください。)
瀬戸内醸造所株式会社
https://setouchijozojo.jp
News Data
- ヴィラ・デ・マリアージュpresents 「辰巳琢郎の日本ワインde乾杯!」
2023年7月27日放送回
- ワイナリー
瀬戸内醸造所株式会社
https://setouchijozojo.jp- 収録会場
ヴィラ・デ・マリアージュ多摩
https://villasdesmariages.com/tama/