ヴィラ・デ・マリアージュpresents 「辰巳琢郎の日本ワインde乾杯!」 2023年2月23日OA

2020年7月から始まったラジオ番組『ヴィラ・デ・マリアージュpresents「辰巳琢郎の日本ワインde乾杯!」』
2023年2月のゲストは山梨県勝沼の「麻屋葡萄酒株式会社」専務取締役、雨宮一樹さんです。
最終回にして初めて赤ワインが登場。そのブラッククイーンのこと、そして、またしても”甲州”というネーミングについて言及します。
(全4回 4回目)

辰巳:2月のお客様は、山梨県勝沼の「麻屋葡萄酒」、雨宮一樹さんです。
(いつも通り、この収録会場「Villas des Marriages 多摩南大沢」の井村貢シェフにも同席いただいています)

全員:よろしくお願いします!!!

辰巳:最終回となりました。飲みだしてマイク前にするとすごく喋り出す人と物静かな人とに分かれますが、その辺がワインにも出てるのかな、と。
多くを語らずとも”質実剛健”と言いますか(後者に当てはまるということですね)、ワインにも(キャラが)出てくるんでしょうかね。

辰巳:今まだお父さんが社長で、ワイン造りもみんなでやってるんでしょうけど、リーダーシップは?

雨宮:僕がリーダーシップも取るんですけど、清水(勇二さん)という醸造責任者が現場をしっかり取り仕切ってくれてる。

辰巳:で、一樹さんは主に何を?

雨宮:僕はですね、畑作業、配送作業、その他モロモロ笑。

辰巳:ポートフォリオの作り方?新しい新酒のネーミングとか?そんなのもでしょ?

雨宮:そうですね。自分のアイデアを出しつつ、社内合作で。

辰巳:さ、今日は赤ワインですよ~。先週の最後の方に「ブラッククイーンに力を入れている」という話をしたんですが、
今日はこのブラッククイーンで乾杯したいと思いまーす。

全員:カンパ~イ🎶

【麻屋限定 ブラッククイーン 2018】
https://asaya-winery.net/items/5630f94a3bcba9af9c0031d9

辰巳:2018年 樽熟成のブラッククイーンでございます。シェフ、いかがですか、このワイン?

井村:すごく濃厚。”安心できる赤いワイン”って感じがします。

辰巳:その安心感ってのはこの’樽’からくるんだと思います。でもブラッククイーンの特徴は「酸がしっかりしてる、色がよく出る(濃いぃ)」。
ってのがあるんでしょうけど、このワインはそんなに強く出してない気はします。ブラックっていうほど黒くないし。どういう方向性で造ってるんですか?

雨宮:最近思ってるのが「現場でブドウを食べた時の果実感を素直に表現する」「無理してセニエして濃く造ろうというよりは、果実感出したいな」。

辰巳:ちなみにブラッククイーンのノン・バリックもあるんですか?

雨宮:うちはないです。樽もフレーヴァーつけるってよりも、「いっかい樽の中でゆっくり落ち着かせよう」っていう感覚で使ってます。

辰巳:これはおいくら?

雨宮:(勝沼の)売店のみなんですけど4500円。

辰巳:あれ、前からそうでしたっけ?

雨宮:若干上がってるかも汗。

辰巳:ですよね。でも価値はきちんと打ち出したほうがいい。今コロナや戦争の影響ですべてのものが値上がりしてますからね。
レストランも大変でしょう?

井村:はい、(光熱費から何から)全部上がってますから。

辰巳:ですよね。戦争やめてほしい、絶対やんないほうがいいんすよ。旧ユーゴスラビアやボスニア・ヘルツェゴビナにも行きましたけど、
たとえ戦争後の海外でもブドウはいつも通りすくすく育ってたりしますからね。これからはどうなっていくんでしょうか?
さて、このブラッククイーンに合わせた今日のお料理はなんでしょう?

井村:煮込んである豚肉をプルコギ風に焼肉にしまして、それをアレンジしました。シンプルに’豚肉を焼く’お料理なんですけど、
あのプルコギを食べたあとの感覚をどうにかできないかなぁ、をブラッククイーンに合わせて考えてみました。

【豚バラ肉の煮込みをプルコギ風に 西洋葱のエテゥベと赤ワインのソース ハッセルバックポテトのリヨネーズ仕立てを添えて】

辰巳:美味し❤︎。ちょっと焦げ目もあってね、それがこのワインの樽感にも合ってくる。

井村:こないだ韓国料理を食べに行って「あの美味しさを再現できないかな」と。

辰巳:なるほどー、いろいろ考えますねぇ。部位はロース?

井村:バラ肉です。

辰巳:にしては脂あんまりない。

井村:一回煮込んでありますんで、余分な脂は抜けてます。そのほうがヘルシーに食べられるかなと。

辰巳:脂好きにはちょっと物足りない、ような笑。でもこのネギとの相性はバツグン。前から思ってたんですけど”ネギとブラッククイーン”って合う。

井村:今日は八王子の西洋ネギ。付け合わせは切り込み入れてバター塗りながら焼き上げたジャガイモです。実はこれスウェーデンの料理で
ハッセルバックポテトって言います。

辰巳:鱧の骨切りみたいな笑。

雨宮:先ほどシェフとも話したんですけど、日本ワインって豚肉とすごく相性がいい。このブラッククイーンとも非常に合うな、と思います。

辰巳:ブラッククイーンって造る上でどういうブドウですか?

雨宮:ブドウの木自体は非常に樹勢が強いんですけど、できる果実は食用としてもとても美味しくて。今日持ってきた2018年ヴィンテージは、
辰巳さんのテレビ番組、「*葡萄酒浪漫」で来ていただいた時に収穫したブドウも入ってるはずなんです笑。
(*葡萄酒浪漫:https://www.bs-tvtokyo.co.jp/budoshu/

辰巳:10年ぶりぐらいに2度目の訪問した時に、僕もちょっと手伝ったり?

雨宮:実はそのヴィンテージ笑。

辰巳:じゃぁこれには僕が切ったブドウがちょっと入ってるんですね笑。なんか、すんっっっごく美味しく感じます爆。
もっと値段高くしたほうがいいかもしれない笑笑。

雨宮:食用にもいいですし(ワインにしても)非常に個性あるので、個人的には好きな品種です。

辰巳:日本の食に合うってのもありますけど、「押し付けがましくない」んですよね、「うまいだろうまいだろっ」ってのがない。
自然に寄り添ってくれる、みたいな。今あらためて思いました。
このブラッククイーンを大事にしてるワイナリーも増えて来ましたよね?

雨宮:山梨県でも多いですし、長野でも最近増えてますし。

辰巳:(長野の方の)*アルプスさんも最近畑増やしてますよね。
(*株式会社アルプス:https://www.alpswine.com

雨宮:僕はそのアルプスさんのワインがけっこう好きで、よく飲んでます。

辰巳:あそこの(ブラッククイーン)はもうちょっと濃縮してますけど、こちらはサラッとしてるイメージはあります。
あとはお近くのシャトー勝沼さんも造ってますし。

辰巳:ではここでリクエスト曲を聴きたいと思います。今日は何を?

雨宮:河島英五さんの「時代おくれ」を。

辰巳:んもぅ、知ってる歌をリクエストしてもらえるのが嬉しい❤︎。若い造り手さんのリクエスト曲はぜんぜん知らない歌ばっかりで
どう反応していいかわかんない笑。これはいい歌。思い出か何かあるんですか?

雨宮:うちの親父がよく聴いてたのかな。今僕がこの歳になって聴くと”沁みる”歌詞だなと。「こうなりたい」。

辰巳:阿久悠さんの詩でね。今どんどんどんどん時代が早く行き過ぎちゃって、もっと「地に足つけた生活しなくちゃ」っていう、
ブドウ作り、ワイン造りしてる人にはすごくいい歌かもしれません。

雨宮:ブドウも植えてすぐ実るわけじゃない。3年、5年・・・おっしゃったように地道に見守っていく。共通するところはあるかもしれません。

辰巳:好きな誰かを思い続ける、という歌詞がありますけど、そんなことも思い浮かべながら笑。では聴いていただきましょう。

河島英五「時代おくれ」(1986年)
https://www.youtube.com/watch?v=RwpW08trC64

辰巳:「(歌詞中の)1日2杯の酒」、では絶対すまないですよね、この歌聴くといつもそう思っちゃう笑笑。2杯でやめられる勇気?意志?
この歌でそこがいちばん引っかかる爆。(←ですよね。会場内の全員ナットク笑)

雨宮:まぁ、ね、ほどほどにという笑。

辰巳:なんだか今月はずぅーっと(血液型)A型の気質が出てますね(←真面目気質?)。シェフもでしょ、こう見えて笑。
ラジオでは見えなくてすいません。一瞬怖そうな顔ですけどすごく優しい。ぜひこのお店に来ていろんなお料理を食べていただければどういう人かよくわかります。

辰巳:日本ワインの総括、というか、日本ワインを今どんな気持ちで眺めてますか?

雨宮:(私的には)原料栽培に関しては、甲州であれば系統選抜とか、ハイブリットの新しい品種も積極的にチャレンジしていきたい。
ワイン造りでは、いろんなワイナリーさんでも世代交代行われてますけど。先代の作ってきた伝統に甘んじずに、新しい感性・技術をさらに磨きかけて、
さらに高品質なワインを造るのが大事かな、と。

辰巳:自分のやるべきこと、これだけはっ!ってなことは?

雨宮:実は今新しい畑を開いていて、ブドウも植えてすぐ実るわけじゃないんで、次の世代に”種を蒔く”。そういう状況を作っていきたいかなと思います。

辰巳:先月は大阪のカタシモワイナリーの高井社長(高井の高ははしごだか)がきてくださって、ぶわぁぁっっとまくし立ててしゃべり倒しましたけど笑笑、
ほとんど僕しゃべってないという笑(←そうでもなかったです)。。。その話の中でね、「『甲州』というブドウをどうするか?」。
だってね、今甲州って「山梨のもん」(って認識が強い)。でも実際は全国に広がってて、山形や大阪、山陰地方にも栽培地域多いんですけど。
この「甲州」という名前についてはどう思います?今世界的に「ブドウ品種名=土地の名前」ってのは避けるようになってきている。
甲州の将来ってどうなる?

雨宮:ルーツはいろいろあると思いますけど、”Japanese Original”の品種として守っていくのと、さらに品質を高めていく。

辰巳:”甲州”という呼び名については?「変えた方がいいんじゃないか?」vs「山梨の人たちは絶対反対する」とか。

雨宮:OIV(フランスを拠点にするブドウ、ワインに関する研究機関)にも登録されたり、日本を代表する品種でもあるので、名前はやはり『甲州』でー、っということで爆。

辰巳:でもこの名前があると、長野(ほか)の人が作りにくい。長野に作らせない(作戦)?笑笑。

雨宮:だって(名前)付いちゃったんだからしょうがない爆。

辰巳:それを変えようって話(←辰巳さんは変えよう派)。大阪では「堅下本葡萄」とか「紫葡萄」とか呼んでるわけで。ぜんぜん”甲州”って名前書いてないんですよ。その辺も全国各地で動き出てくるかもしれないし。
ま、最も甲州を作ってる中心のワイナリーとして、ちょっと聞いてみました。

雨宮:難しい問題でもあるんですけど、僕はこのままで。

辰巳:非常に保守的笑笑、まさにA型!
今月4回ありがとうございました。なんかね、ゲストの皆さんグビグビ飲んで結構酔っ払っていろいろしゃべってくださるんですけど、
一樹さん、お酒の減り方も少ないんすよ。その辺すごく性格が出てて面白い。今後ともご活躍を祈っております!
2月のお客様は山梨県勝沼からお越しくださいました「麻屋葡萄酒」の雨宮一樹さんでした。

全員:ありがとうございました!!!

(お断り:番組の収録日、OA日、この原稿の掲載には時差があります。また、この番組はお招きしたゲストのワイナリーのワインと、収録会場の「Villas des Marriages 多摩南大沢」の井村貢シェフが作るお料理のマリアージュをみなさまにもお越しいただき楽しんでいただくのがコンセプトの一つですが、現時点でお店でお楽しみ頂けるワインとお料理のマリアージュの詳細については直接お店にお問い合わせください。)

あさや葡萄酒株式会社
http://www.asaya-winery.jp/index.html

News Data

ヴィラ・デ・マリアージュpresents 「辰巳琢郎の日本ワインde乾杯!」

2023年2月23日放送回

ワイナリー

あさや葡萄酒株式会社
http://www.asaya-winery.jp/index.html

収録会場

ヴィラ・デ・マリアージュ多摩
https://villasdesmariages.com/tama/

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