2020年7月から始まったラジオ番組『ヴィラ・デ・マリアージュpresents「辰巳琢郎の日本ワインde乾杯!」』
2022年8月のゲストは(株)くらむぼんワイン、4代目代表取締役社長の野沢たかひこさんです。
最終週にして初めての赤ワイン「『N』カベルネ・ソーヴィニョン 2017」が登場。
山梨の変わったお寿司事情と野沢さんのワイン造りについて語ります。(全4回 4回目)
辰巳:はい、今日は9月1日。9月1日といえば関東大震災、あれから確か来年で100年。(8月の1週目をお休みしたので
4回放送分を9月1週目にスライドしています)お客様は山梨県勝沼からお越しいただきました「くらむぼんワイン」の野沢たかひこ社長です。
(いつも通り、この会場「Villas des Marriages 多摩南大沢」の井村貢シェフにも同席いただいています)
全員:よろしくお願いします!
辰巳:前回放送分3回、ずっと白ワインで乾杯だったんですけど泡は造ってないんですか?
野沢:造ってはいるんですけど、他のワイナリーに委託してガスを添加してもらってるので。
辰巳(マンズワインさんとかですか?)ぁ、そうですか。
くらむぼんワインさんはやっぱり白中心なんですか?
野沢:そうですね、甲州が中心。
辰巳:でも今日は赤ワインです。これはなんでしょうか?
野沢:先週のシャルドネと同じ、垣根式の七表地畑のカベルネ・ソーヴィニョンです。
辰巳:これはカベルネ・ソーヴィニョン100%?
野沢:いえ、タナとかプティ・ヴェールドとか入ってます。
辰巳:「日本ワインの規定」で主要ワイン品種を名乗ることができるのは85%以上でしたっけ?
野沢:そうです。
辰巳:だからカベルネ・ソーヴィニョンが85%以上入ってれば他の品種は表記しなくてもいいんですね、今の決まりでは。
プティーヴェールドとタナと、、メルローは?
野沢:あとはシラーとか。メルローはやってないです。「”メルローはやらない”ワイナリー」で行こうかと笑。
辰巳:この辺のこだわりがちょっとB型的笑。オモシロイ!
では乾杯しましょう。
全員:カンパ~イ🎶
くらむぼん「N カベルネソーヴィニョン 2017」
https://kurambon.shop-pro.jp/?pid=151022186
辰巳:ボルドー系の香りですがかなり個性的。
シェフ、今日のワインいかがですか?
井村:ドライフルーツの香りが若干中に潜んでる。最初にスッと飲んだらわかんないんですけど、後からジワァっと心地よかったです。
辰巳:今ちょっと冷やし過ぎかもしれませんが温度が上がれば違ったものになると思います。でもこのタンニン感は心地いいですね。
あまりシュンとしたのは苦手なんですけど、この柔らかい感じのタンニンはいい。
野沢:骨格はカベルネから来るんですけど、周りの酸味とか果実感はタナとかプティ・ヴェールドから来るんですよ。
辰巳:2017年ヴィンテージなんですけどこれは現行(最新ヴィンテージ)なんですか?
野沢:はい。カベルネはちょっと熟成した方が、、、。
辰巳:ですね。これはおいくら?
野沢:5093円です。うちの中ではいちばん高いワイン。
辰巳:赤ワインは他に?マスカット・ベーリーAが多い?
野沢:はい、いちばん多いのがベーリーAです。
辰巳:今回(この4週間の収録で)ベーリーAを持ってこなかったのはどうしてですか?
野沢:・・・
辰巳:別に批難してるわけじゃぁないんですよ笑。いや、あんまり(ベーリーAが)好きじゃないのかなぁ、とか?
野沢:いや、そんなことはないんですけど。過去にブルゴーニュにいたんで、ちょっとピノ(・ノワール)的なワインを造りたくて
(ベーリーAの)発酵の初期に茎とかも入れたりしてるんですけど。でも今日辰巳さんに飲んでいただきたいのはこの4種類だったんですよ。
辰巳:この”こだわりのセレクト感”がまたいいですよね笑。
このお店(Villas des Marriages 多摩南大沢)でもこれからグラスで出しますよー。
これに合わせるお料理はなんでしょうか?羊?
井村:いや、これは豚肉なんです。3時間ぐらいじっくり低温調理した加藤ポークっていう群馬県産の豚。
オレイン酸が豊富で甘みがすごくありますので、このワインにはすごく合うと思います。
今日は骨つきのロース肉をご用意しました。
グリーンのソースは「ピストゥ」というナッツと香草のピューレです。
「加藤ポークロース肉の肉のロティ 夏野菜とピストゥとトマトを入れたジュ」
(カット&サーブする前の骨つき肉塊)
野沢:ま、(プロヴァンスで修行した井村シェフにとっては)当たり前なんでしょうけど、プロヴァンスにこだわっていて
今回は懐かしく美味しくいただいてます。(←野沢さんの最初の留学先がプロヴァンス)
辰巳:この、肉の脂の脂っこさらしくないのがまたいいですよね。三元豚?
井村:そうです。
辰巳:なんとなくホッとする味わい。お醤油は?
井村:使ってないです。
辰巳:なんかジャパニーズとプロヴァンスが融合したような味わい。
井村:今回はバターも入ってなく、(代わりに)シェリーヴィネガーを使ってます。
野沢:ソースにちょっとコクがあるというか。
井村:ワインにちょっとシェリーに似た香りがあったので。普通の赤ワインより少し樽香するのでシェリーヴィネガーと相性がいいんじゃないかと。
辰巳:野沢さんはどんな食事がお好きなんですか?
野沢:美味しいものが基本的に好きで、ま、季節に合わせてなんでも食べるんですけど。でもいちばん好きなのは”美味しいお寿司♡”、ですかね。
辰巳:ぁ、寿司ですかー?やっぱり山梨県は人口に対する寿司屋比率が日本一ですからね。これはびっくりしますよね?(←海なし県)
野沢:消費量がハンパないですからね。子供の頃からマグロばっか食べてたんで笑。海ない分逆に憧れるんすよ。
辰巳:やっぱ魚はマグロ?
野沢:いろいろ・・・。今季節ごとにけっこういい魚が入ってくるんで。
辰巳:勝沼だとどこのお寿司屋さんに?
野沢:山梨市駅のすぐ近くのいづ屋(http://izuya-sushi.net)っていうお店。
辰巳:ぁ、そこポチ(←SNSでのいいね系でしょうか?)はしてるけどまだ行ったことない。(メルシャンの)安蔵さんとかの投稿は見たような。
野沢:ここは’山梨だ’って思わないで行く、東京の美味しいとことぜんぜん変わらないので。
辰巳:でも値段は東京の半分ぐらいでしょう?
野沢:ふふ、そうですね。
辰巳:それがいいですよね~。勝沼には美味しいお寿司屋さんはないんですか?
野沢:もちろんお寿司屋さんはありますけど、、、けっこう昔ながらというか、マグロのヅケ、もそうですけどすべてのネタの上に
タレをかけるのが山梨のお寿司なんです。
辰巳:!?!?!?
野沢:けっこう驚かれるんですけど。だから全部同じ味笑笑。
辰巳:これは経験したことない。
野沢:伝統的な(山梨の)お寿司屋さんはそうなんです。
辰巳:今度行ってみなくちゃ。そのお寿司にワインは何が合うんですか?
野沢:やっぱり(マスカット・)ベーリーAじゃないですか?お醤油使ってる甘ジョッパイ感じなんで。
辰巳:そうかそうか。なるほど、寿司好きでしたかー。
では今日はちょっと早いですけどリクエスト曲を聴きましょう、オレもうちょっとこの豚食べたいんでその間に笑。
今日はなんにしましょう?
野沢:うちと同じ名前の「クラムボン」というバンドがあって、その「バイタルサイン」という曲を。
辰巳:その「クラムボン」って有名なバンドなんですか?
野沢:この間のフジロックフェスティバルにも出てましたしけっこう有名じゃないかと。
辰巳:このバンド名も宮沢賢治から?
野沢:そうみたいです。今までお互いに知ってたんだけど去年初めてコラボしました。「オリジナルのワインを作ろう」と。
辰巳:では聴いてみたいと思います、クラムボン「バイタルサイト」。
クラムボン「バイタルサイト」(2005年)
https://www.youtube.com/watch?v=6uNcoc6L87g
辰巳:はい、くらむぼんのバイタルサイトでした。
あの、どうなんですか?僕は日本ワインの応援団長として約20年やってきましたが、この20年ってものすごく変わってきましたよね。
日本ワインを取り巻く環境といいますか・・・。
野沢:はい。今日本のワイナリーの数は400超えてますし、ブームになって日本ワインがメジャーになってきてるんで、、、。
辰巳:ねぇ。でも量はまだまだ少ないですよね?集中して売れてあっという間になくなっちゃうというかね。
そんなに差があるわけじゃないんですけど、もうちょっと均等に売れればいいのに、、、。
やっぱり流通が弱いんでしょうね。
野沢:新規のワイナリーは増えましたけどやっぱり「甲州」とか「マスカット・ベーリーA」の品種は大事にしたいなと思っていて。
一升瓶も造ってますし。
辰巳:輸入ブドウなしの山梨県産だけで?
野沢:そうです。普段の生活に定着する、湯呑みで飲むようなワインがどんどん広まっていかないと。
辰巳:(価格も)安くないとね。ちなみにくらむぼんさんの一升瓶はおいくら?
野沢:安いか高いかわかんないですけど2800円です。
辰巳:一升瓶ってフルワインボトルにしてだいたい2本半分ですからね。だからワインボトルに換算すると一本1100円ぐらいかな。
野沢:一応はお得価格に設定はしてます。
辰巳:他のワイナリーさんからするとちょっと強気の値段じゃ?
野沢:そうかもしれませんが、ただ、輸入ワインは使ってないですから(←”国内製造ワイン”ではなく「日本ワイン」)。
辰巳:でもこのぐらいの価格で飲めたら日本酒とも競合しますしね。
辰巳:くらむぼんという名前に改名して8年、もう少し+アルファみたいなのはないんですか?
野沢:社名変えてからワイナリーの個性が出てきたんで、リピーターのお客さんも増えましたし、
今温暖化で品種入れ替えてるとこも増えてますけど、うちは前から(ヨーロッパの)南の方の品種植えてるし。
一方、甲州やマスカット・ベーリーAはちょっと収穫早めれば温暖化にぜんぜん対応できるんで。
辰巳:あーそうかそうか。
井村シェフ、今回4回くらむぼんの野沢さんお招きしてワイン飲んで。どんな印象ですか?お店ではどういうオススメしますか?
井村:初回から3週連続で白ワインだったんですけど、これをいらっしゃるお客さんにぜひ飲み比べてもらいたいなと思います。
「同じ甲州でもこんなに違うんだ?」「甲州飲んだ後シャルドネ飲んだらこうなるんだ?」みたいな学びがあるというか。
それを楽しさに変えていただければ。
(←基本的にはグラスでお出ししますが、ラジオのOAとこの記事の掲載には時差がありますので
ワインの在庫についてはお店にお問い合わせください。)
辰巳:そういうことがこのお店ではできるんですね?
野沢:全部グラスで出していただけるのはありがたいですね。今回も料理ごとに違うワインがあったらすごく楽しめる。
井村:今スタッフと話してるのは、”グラスワインの(さらに)ハーフ”をご提供しようかなと。
やっぱり’1杯は飲めない’とかいうお客様もいらっしゃる。飲み切れないと次飲めないんで。
(←テイスティングフライトみたいなイメージですかね)
野沢:辰巳さんみたいに一升瓶空いちゃう人と違って、、、爆。
辰巳:いやぁ、一升瓶はなかなか・・・(とか言いながら)ヘタしたら飲みますよね笑笑。ワインって明るいお酒だし。
このお店も日本ワインの”聖地巡礼”じゃないけど、けっこう「ラジオ聴いてきた」ってお客様が多いらしいです。
井村:はい、いっぱいいらっしゃいます。これまでのゲストのワインも全部お店に飾ってますし。
辰巳:最後になりますが。くらむぼんワイン4代目として「後継が欲しい!」と爆。
(←野沢さん、このOA時点では独身で後継者はいませんが、この原稿がアップされる頃の保証はありません)
野沢:あんまり言いませんが・・・ま、いい出会いがあれば笑。
うちのワインを理解してくれて、うちのワインが好きな人がいちばんいいなと。
辰巳:あのねぇ、野沢さんってけっこう気難しいとか言われてますけど、そんなことないなと思います。
”変態感”は若干なきにしもあらずですけど笑。
野沢:ま、ま、公共の場なので深くは話せないすけど。
辰巳:でもだんだんラジオも自由の場になってきてます。まだワインの色もわからないし我々が食事してるお料理も召し上がれませんけどね。
野沢:でも想像するうちに食べたくなってきますよ。
(ぜひ検証に「Villas des Marriages 多摩南大沢」までお越しください)
辰巳:8月のお客様は「くらむぼんワイン」社長の野沢たかひこさんでした。
全員:ありがとうございました!
(お断り:番組の収録日、OA日、この原稿の掲載には時差があります。また、この番組はお招きしたゲストのワイナリーのワインと、収録会場の「Villas des Marriages 多摩南大沢」の井村貢シェフが作るお料理のマリアージュをみなさまにもお越しいただき楽しんでいただくのがコンセプトの一つですが、現時点でお店でお楽しみ頂けるワインとお料理のマリアージュの詳細については直接お店にお問い合わせください。)
株式会社 くらむぼん
https://kurambon.com/
News Data
- ヴィラ・デ・マリアージュpresents 「辰巳琢郎の日本ワインde乾杯!」
2022年9月1日放送回
- ワイナリー
株式会社くらむぼんワイン
https://kurambon.com/- 収録会場
ヴィラ・デ・マリアージュ多摩
https://villasdesmariages.com/tama/