ヴィラ・デ・マリアージュpresents 「辰巳琢郎の日本ワインde乾杯!」 2022年2月3日OA

2020年7月から始まったラジオ番組『ヴィラ・デ・マリアージュpresents「辰巳琢郎の日本ワインde乾杯!」』
2022年2月のゲストは機山洋酒工業株式会社 代表取締役の土屋幸三さんです。日本ワインラヴァーにとってはその名は知り渡っている存在ながら、あまり表に出ていらっしゃらない土屋さん。今回家業のルーツや「神の雫」のエピソードがいきなり露呈します。案外お話好きな3代目の1回目です。(全4回  1回目)
詳しい番組内容、出演者の情報はこちらから
https://775fm.com/timetable/tatsumi/

辰巳:さぁ、2月です。ほんと早いですね。今月のお客様は、、、こないだちょっとお会いしたんですけどね(辰巳さんがワイナリーを訪問されたようです)、山梨県甲州市の機山洋酒工業株式会社の土屋幸三さんです!そして今日もVillas des Marriagesの井村貢シェフにも同席いただいてます。

全員:よろしくお願いします!

辰巳:機山洋酒って・・・シェフ、聞いたことあります?

井村:いえ笑。

土屋:普通の人はね、知らないです笑。

辰巳:日本ワイン好きにはね、ヒジョ~に有名なワイナリー、だったんです。もう最近ね、どんどん新しいワイナリーができちゃって。土屋さんは質実剛健というか地味ぃ~にやってるんですけど、それが逆に買いづらいという噂もあったりして。ステルス?潜んでる?

土屋:いや、そんなこともなかったんですけどねぇ笑。

辰巳:ではまず乾杯しましょう!

全員:カンパ~イ🎶


KIZAN SPARKRING TRADITIONAL BRUT 2019
(機山洋酒工業のワインリストはこちら:https://kizan.co.jp/wine-list/

辰巳:あー久しぶり、トラディショナルブリュット。瓶内2次発酵で造られた甲州のスパークリングです。ヴィンテージも入ってますね。

土屋:はい、これは2019年です。

辰巳:シェフ、このワインいかがですか?

井村:非常に奥ゆかしいお味ですね。

辰巳:もうシャンパーニュみたいな「どうだ、美味いだろう!?」系にみんな飛びついちゃうんですけど、、、飽きちゃうっ笑。
日本ワインのいちばんいいのは’奥ゆかしさ’とかそういうところで。シェフに先に言われてしまいました。白(スパークリング)ワインなんですけど、少しだけピンクがかった感じですね。

土屋:甲州ってのは果肉には色素はないんですけど、ブドウの皮がピンク色なんです。

辰巳:いわゆる”グリ”(←フランス語でグレー)。ピノ・グリとか、あとはデラウェアなんかも。

土屋:そうです。甲州もその部類に入ります。だから醸造法によっては少し色が入ってくる場合があって、最近では”オレンジワイン”と呼ばれるワインもあって。このワインはそこまでではないんですけど、ちょっとピンクがかってます。

辰巳:マセラシオン長め、とかプレス強め、とか?

土屋:皮を漬け込んだりだとか、プレスのワイン多めに使ったりだとかよく聞かれるんですけど特にはしてないんです。色合いのことは気にしてなくて、「こういう味わいに」っと造ったらちょっとこんな色合いになったっていう。

辰巳:結果こうなったという?年によっても違うんでしょうね。

土屋:若干違うこともありますね。’瓶差’って言いますけど、それは色合いというよりもガスの圧力の方が大きいです。

辰巳:なるほど。このワインのファーストヴィンテージは?

土屋:2000年です。

辰巳:甲州で造った瓶内2次(発酵)のスパークリングワインとしては最初じゃ?

土屋:そうですね。当時は甲州以外で瓶内2次で造ってたメーカーは何社かあったんですけど、

辰巳:十勝ワイン(北海道)が最初で次がタケダワイナリー(山形)・・・。

土屋:さすがお詳しいですね、今言おうと思ったのに笑笑。
2000年に沖縄サミットってのがあって、その時に(栃木県足利市の)ココ・ファームさんの「NOVO」っていうスパークリングが使われたんですよ。NOVOは「リースリング・リオン」っていうリースリングと甲州の交配品種のワインなんですけど、その情報を知った時「しまったっ、僕もやろうと思ってたのに先越されたっ汗」笑笑。でもあれ見て真似したと思われるのが嫌だったんですよ、「あと半年早けりゃなー」。でも甲州種のスパークリングではなかったんで(これを製品化することにしました)。ココ・ファームさんも甲州は仕込んでたんで、これをスパークリングにされてたらもうちょっと違うこと考えたかもしれない笑。(←何気に「負けず嫌い王」)

辰巳:土屋さんにもそういうところあるんですね。

土屋:ぇ、みんな気にしてますよ。ライバル心、ないようでみんなあります笑笑。

辰巳:土屋さんは’ないような顔’してるのに笑。
ところで、土屋さんのワイン初めて飲んだのが2003年、2004年、だったかな?その時に「美味しいなぁ」っと思って。で、買おうと思ったらなかなか買えない。だって量が少ない。

土屋:そうですね、1000本とか。。。だって最初は売れるかどうかもわかんなかったんで。「売れなかったら自分で飲んじゃえっ!」っと思って少なめ少なめでやってたんです。でもおかげさまで皆さんに注目していただいて。今はある程度本数造ってるんで、’手に入らない’ってことはなくなってるとは思います。

辰巳:そう、このワインも最初は安かったんすよ。

土屋:(当時)2800円。今は2950円ぐらいですね。

辰巳:あれ、そんなに変わってない笑。

土屋:うちは自家売が多かったんですけど、最近は酒販店さんですとかワインショップさんに扱っていただくようになって、その分値段も上がってます。そうはいっても3000円ぐらい。

辰巳:非常にリーズナブルなワインだと思います。「神の雫」っていう漫画の原作者(亜樹直氏)とけっこう仲良くて、「このワインいいよ」って薦めたことがあったんでこのワインは(漫画に)登場するはずだったんですよ。いっかい彼らに飲んでもらって「美味しい!」ってなったのに、「土屋さんに断られた!」笑笑。

土屋:だってあんまり流行られても笑。

辰巳:14~15年前の話。「モノ(ワイン)もないしあんまり騒がれたくないんで」、っとやんわりとお断りされて(?)。結果(漫画に)出たのが有賀さんとこ(勝沼醸造)の「アルガブランカ ブリリャンテ」だったという。

土屋:この番組そこまで喋っちゃってダイジョブなんですか?

辰巳:ダイジョブ👍なんでもありです笑笑。だいたいが時効ですから笑。

土屋:じゃぁ。まぁそれはありがたいお話だったんですけど、本数的にちょっと少ないのと、今でもそうですけど、品質的にまだ’出来上がってる’とは言えない、っというのを自分たちでも感じてたんで。メディアはとてもありがたいんですが、場合によっちゃちょっと怖いなと、、、。

辰巳:怖いっすよ、あんまり信用しちゃダメですよ笑(←ミョ~な説得力)。

土屋:(メディアに取り上げてくださるのは)ほんとありがたい話なんですけど、他(のワイナリー)にもいいワインたくさんありますし、今回は僕らの役割じゃないなとちょっと思ったんですよねぇ。

辰巳:そうでしたかー。今になってちょっと失敗したと思ってるでしょ笑。

土屋:でもそのあとで、なんか裏話をまとめたような冊子が出たらしく、それには(この件について)触れられてたみたいです。普通はこんな風に断ったら怒っちゃうんでしょうに穏便に・・・笑。

辰巳:いや、彼らはよくわかってますから。日本のワイン事情なんかはその辺のソムリエなんかよりずっと詳しい笑。
ぁw、料理食べるの忘れてました汗。今日はネギのパイ?


西洋葱のタルト
(番組中の試食はこれを小分けにして提供しています)

井村:はい、西洋ネギです。

辰巳:フランス語では?

井村:ぁ、ポワローと言います。

辰巳:そうか、ドイツ語ではリークと言ったりしますね。そしてこのソースは?

井村:今日は2種類、ポワローを茶色くなるまで煮詰めたエキスを使ったのと、(ネギの)青い部分をピューレにしたもの。ポワロー1本丸ごと。

辰巳:お料理の前のアミューズみたいな感じです。ではいただきましょう。

辰巳:うん、甘いお葱ですねー。

井村:今ちょうど甘さが乗ってる時期なので。

辰巳:これは美味し♡いかがですか、土屋さん?

土屋:美味し~いですねぇ。ネギの風味が程よくあって、パイともよく絡んでますよね。

辰巳:すいませんラジオをお聴きの皆さん。この美味しさ、食べられないし見られない。なんとお伝えしていいか・・・。サクサクのパイの上に輪切りにしたポワローが満月?日の丸?みたいに乗っかってる。この香ばしさがスパークリングによく合います。


こちらはサービスショット(辰巳さん訪問の際撮ってきてくださいました)。機山洋酒工業のテイスティングルームです。なんだか時が止まってる感じがします。

辰巳:ちょっとこれを味わいながら、ここで土屋さんからのリクエスト曲を聴きたいと思います。今日はなんでしょ?

土屋:はい!アリスの「君の瞳は1万ボルト」ですっ!

辰巳:あらららららら笑。

土屋:いかがですか?

辰巳:世代がけっこう近いんすよ。(辰巳さんは1958年生まれ)

土屋:僕昭和40年(1965年)生まれ。これ中学校の時に流行ってたんですよ。姉貴が2人いるんですけど、当時みんなフォークギター弾いてまして、*雑誌のガッツだの**新譜ジャーナルだのがあって。アリスの(曲の)コードも3つか4つ覚えれば弾けた笑、っていう楽しい時代。今思うとあれは戦略だったんですかね?笑
(*音楽雑誌「guts」**「新譜ジャーナル(後にシンプジャーナル)」いずれも現在は廃刊)

辰巳:、かもしれません笑。

土屋:それもあって当時よく歌ってたのと、歌詞の中に「金木犀」って出てくるんです。で、金木犀が咲く頃になるとどうしてもこの曲がグルグルグルグル回るんですよね🌀。

辰巳:実は僕も。シェフは?

井村:僕実はアリス大好き♡金木犀の箇所は印象的です。

土屋:「金木犀」と「アリス」とまぁ中学校時代の、

辰巳:「初恋」?

土屋:まぁ・・・・・・・笑笑(←分かりやすっ)ほーんと回っちゃうんですこの曲🌀。

辰巳:そうですか、じゃぁそれを思い出しながら聴いてみましょう!
アリスの「君の瞳は1万ボルト」!

*アリス「君のひとみは10000ボルト」(1978年)
https://www.youtube.com/watch?v=3G_ujoFWmX0
(*正式にはアリスのメンバー、堀内孝雄のソロシングル。理由はこちらから:https://ja.wikipedia.org/wiki/君のひとみは10000ボルト

土屋:いやぁ金木犀思い出しましたねぇ。

辰巳:金木犀ってね、子供の頃、この曲聴くまではあんまり意識してなかったんですけど。

土屋:僕らが子供の頃の金木犀っていえば”芳香剤の香り”なんですよね。

辰巳:ぁw、トイレの芳香剤?確かにそうでしたねー。

土屋:金木犀って花の香りだったんだなぁってこの曲で教えてもらった感じです笑笑。

辰巳:こういう歌の大衆文化って大事ですよね。ほんとに歌からいろんな知識得ましたよ。ワインの表現でもね、「金木犀の香り」って使う場合もありますしね。

土屋:「花の香り」の中でも出てきますよね。

辰巳:白のちょっと甘みがあってまったりとしたワインの表現でよく使いますが、例えばどんなワイン思い起こしますか?

土屋:そうですね、僕は造ってないですが、例えばゲヴュルツトラミネールがそういう印象ありますね。

辰巳:こないだ僕が飲んだウッディファームのアルバリーニョ。プティ・マンサンが13%入ってるんですけど、これがすごく香り系でね。この歌聴いてちょっと思い出した。いろんな風が結びついて、歌にも結びついて、昔の思い出にも。。。いいもんですね。

土屋:はい、アリスはいいです笑。

辰巳:でもアリスのこの曲は中盤~後盤でしたよね?

土屋:うちは田舎なので、ひとしきり売れてから火が点くみたいな感じだったので(我々にとっては)全盛期でしたねー。「みんなが知ってるからみんなが歌ってみんなが聴きたがる」みたいなそういう感じでしたね。

辰巳:「田舎でしたから」という話でしたけど、今は*合併して甲州市になりましたが当時は塩山市。その塩山にある老舗ワイナリーの息子として生まれて、えっと、何代目でしたっけ?
(*2005年 山梨県塩山市、勝沼町、大和村が合併して甲州市になりました)

土屋:3代目です。

辰巳:おじいちゃんが始めた?

土屋:はい、おじいちゃんが始めて90年ぐらいになります。

辰巳:ひと世代がけっこう長いんですね。

土屋:祖父が(ワイナリーを)始めた年に父が生まれたということになっていまして。

辰巳:ってことは今お父さんが90歳?

土屋:91歳。

辰巳:まだご存命で?

土屋:仕事はもちろんしてないですけど、元気でやってます。

辰巳:ワイナリーができたのは?

土屋:昭和5年です。「息子が生まれた年にワイン始めたんだよ」って祖母が言ってただけでちゃんとした書類も何もないんですけど。

辰巳:それはそれでロマンティック♡、その話は初めて聞きました。ブドウ農家(生食用)としてはもっと長いんでしょ?

土屋:いえ、うちはワイン始める前、甲府の駅前で石炭商をしてたらしいんですよ。

辰巳:あらぁ~、石炭商!?

土屋:当時石炭といえば鉄道ですよね?あとは甲府盆地の製糸工場で(繭を煮るための)お湯を沸かす燃料として商いを。
ところが昭和初期の大恐慌があって養蚕業が衰退してしまいー、、、。

辰巳:そうですかー。ちょっとこの辺の歴史はもう少し掘り込みたいので、続きはまた来週お願いしたいと思います。今月のゲストは「機山洋酒工業」の土屋幸三社長をお迎えしています。ではまた来週!

全員:ありがとうございました!


(お断り:番組の収録日、OA日、この原稿の掲載には時差があります。また、この番組はお招きしたゲストのワイナリーのワインと、収録会場の「Villas des Marriages 多摩南大沢」の井村貢シェフが作るお料理のマリアージュをみなさまにもお越しいただき楽しんでいただくのがコンセプトの一つですが、現時点でお店でお楽しみ頂けるワインとお料理のマリアージュの詳細については直接お店にお問い合わせください。)

News Data

ヴィラ・デ・マリアージュpresents 「辰巳琢郎の日本ワインde乾杯!」

2022年2月3日放送回

ワイナリー

機山洋酒工業株式会社
https://kizan.co.jp

収録会場

ヴィラ・デ・マリアージュ多摩
https://villasdesmariages.com/tama/

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