2020年7月から始まったラジオ番組『ヴィラ・デ・マリアージュpresents「辰巳琢郎の日本ワインde乾杯!」』
2022年2月のゲストは機山洋酒工業株式会社 代表取締役の土屋幸三さんです。山梨で高校まで育ち大学は関西へ。そこでのサークル活動、男声合唱団での思い出の曲を聴きながらキザンワイン白を飲みます。必見の秘蔵映像あり!(全4回 2回目)
詳しい番組内容、出演者の情報はこちらから
https://775fm.com/timetable/tatsumi/
辰巳:2月のお客様は山梨県からです!甲州市、機山洋酒工業株式会社の土屋幸三社長です。そしてこの会場で毎回お料理を作ってくださる井村貢シェフもご一緒です。
全員:よろしくお願いします!
辰巳:先週は金木犀の香り(←土屋さんのリクエスト曲「君の瞳は10000ボルト」の歌詞に登場しました)から話が広まりました。これを聴いて育った土屋さんの家業の創業は昭和5年だったと。世界恐慌が昭和4年ぐらいだったと思いますが、養蚕地帯だった山梨の工業がどんどん衰退して、、、。先週はそれまで石炭商だったというお話まで伺いました。
土屋:それまで私のおじいさんが進取の気概といいますか、新しい商売をしたいということで始めたらしいんですね。「(石炭は)これからの時代の新しいエネルギーだ」っとある人から言われて始めたらしいんですけど長くはやってなかったみたいなんです、写真が数枚残ってる程度。始めたのは大正ぐらいですかねぇ。
辰巳:第1次世界大戦が終わっての大正の前半、日本はバブル。いろんな産業・文化が発達して会社もたくさん立ち上がった頃ですね。
土屋:甲府の駅前の一番いい場所で始めたみたいなんです。なのに世界の景気が落ち込んで繭(マユ)の値段も暴落、「もうダメだ」ってなったみたいで。(←当時は繭を石炭で煮ていました)じゃぁ「次の新しい産業は『葡萄酒』だ!」って盛り上がった時期があったみたいなんです。今は山梨県に90ほどのワイナリーがありますけど、当時は3000ヶ所ぐらい醸造所があったと言われてます。つまりみんなが始めちゃった!農家さんにちょっとした庭先があったり、ちょっとお金がある人はみんな始めたんですよねー驚。
辰巳:免許は?
土屋:届出制だったらしいです。それでみんなが始めたんですけど、当然技術もないし市場もないし。そのうちどんどん統廃合されてそしてまた戦争の時代になってしまう。うちはたまたまその時代にやめずに残ったという感じですね。
辰巳:んじゃ、さっきの話からですと1/30になったうちの一つ。
土屋:まぁそうっすね。
辰巳:そうはいってもその頃から”甲州”の生産地ではあったわけですよね?
土屋:ですね。
辰巳:今日のワインはその甲州で造られた白ワインでございます。まずは乾杯しましょう!
全員:カンパ~イ🎶
キザンワイン白 2020
(機山のワインリストはこちら:https://kizan.co.jp/wine-list/)
辰巳:いいなぁこのキリッとした・・・。
土屋:美味しいですね♡、自分で言うのもなんですが笑笑。
辰巳:KIZAN WINEの白、2020年です。これが現行ヴィンテージなんですね。
土屋:そうです。
辰巳:井村シェフ、いかがですか?この番組が始まって1年半。これまでいろんな甲州を飲んできた中で、この頃はシェフが「どう言い分けるか?」笑笑、というのが楽しみでもあるんですが。
井村:甲州ってわりとスッキリしたイメージがあるんですけど、これは奥が深い甘さと香ばしさを受けました。濃いぃ味。
辰巳:どうですか土屋さん、この評価?
土屋:ありがとうございます。甲州って今はあまり言われないですけど、僕らの世代より上の方々にとっては”薄い”って・・・。
辰巳:だから仕方なく甘みをつけて甘ったるくなっちゃったり。
土屋:”味に特徴がない”という評価とずっと戦ってこられたんです。僕らの世代にはあまりそういうイメージはなくて、それよりもっと若い世代にはさらにない。甲州に薄っぺらいイメージはまったく持ってないし、このワインに関しては最初に味の”膨らみ”、中盤に”厚み””味わい”、最後飲み込んだ後の”余韻”があって。全ての要素はある。じゃ、なんで上の世代がそういう評価と戦って来たんだろう・・・?はっきりとは言えませんが、より濃い、濃醇なものが評価されるようになった時代が長くて、、、ってことだと思うんですけどね。
辰巳:やっぱりフランスワインはじめヨーロッパ、それからカリフォルニアのワインなんかが樽のビシッと効いた甘くて濃いぃワインを造ってそれが全盛だった時代がありましたもんね。
土屋:シェフもご存知だと思いますけど料理も変わって来てますよね。昔のソースたっぷりの、いわゆる「(THE・)フランス料理」からは今はんどん進化していて。消費者の嗜好他いろいろなものが時代とともに変わってきてると思うんです。僕らの甲州もそういった文脈の中で評価してもらってるのかなって気はしてます。
辰巳:この甲州は久しぶり、最近いろんな甲州飲んでますから。でもね、「甲州だったらどこのやつ飲みたい?」っと聞かれたらまずパッと浮かぶ5つの中に必ず入る。
土屋:ありがとうございます。
辰巳:しかも安いんですよ笑。1300円?ちょっと信じられない値段。
シェフも僕も大阪人なんでまず’安い’とこに目がいく笑笑。ぁ、そういえば土屋さんも阪大(大阪大学)でしたね。向こうには何年ぐらい?
土屋:学生時代の4年間です。
辰巳:ま、その話は追い追いということで。ともかくこの1300円という値段とクオリティの高さ。
土屋:さっきおっしゃっていただいたように、最近では甲州っていろんなタイプが出てきて。樽を使ったもの、オレンジワイン、あるいはある特定の香りを際立たせたもの・・・どれも甲州だとは思うんですけど、、、。でも僕らにとっての甲州はこういう味わい。うちのスティルワインの甲州はこれだけなんですけど、「これがうちの甲州だよ」って打ち出してるんです。
辰巳:一升瓶とかも造ってましたっけ?
土屋:地元の方にはお安く出せるように大瓶もありますけど、基本はこのライン(750ml)です。
辰巳:さ、この甲州に井村シェフが合わせたお料理は?
中西ファームの白菜のロースト
井村:白菜を半分丸ごとローストしました。白菜自体味の濃い野菜ではないですが、焼き締めることで甘みが増します。今回は1時間ぐらいかけてじっくりと焼きました。
辰巳:ではいただきます!
んーーー、甘み苦味旨味。全部凝縮されてこの甲州が・・・
井村:スッと入っていくようなイメージで作りました。
辰巳:いかがですか、土屋さん?
土屋:これワインが濃くなりますよね。
井村:笑。
土屋:さっき井村さんがおっしゃった甘み、このワイン自体は発酵が完全に終わってるのでドライなんですけどほのかに甘みみたいのが感じられる。白菜にも甘みがありますし、辰巳さんのおっしゃった(白菜の)苦味は甲州にもあるんですよ。だからすんごく合います♪両方が美味しくなる♫
辰巳:このシェフは日本ワインのマリアージュに関しては経験実績ともに今や日本一!こうやって毎週毎週新しいワインとお料理を合わせてたペアリングをお越しのお客様にも楽しんでいただけるんです。
土屋:先週もそうでしたけど「野菜と甲州」ってやっぱりいいですよねぇ。
辰巳:ここら辺でリクエストを聴きながら、もうちょっとお料理を楽しみたいと思います。今日はなんでしょ?
土屋:はい、今日はミュージカル「コーラスライン」から「One」。
辰巳:ミュージカルお好きなんですか?
土屋:学生時代に合唱やってたんですよ。
辰巳:阪大のグリー?
土屋:そう、男声合唱団。その当時の定期演奏会で、なぜかミュージカルのナンバーを演るステージが。確か3回生の時の演目がこの「コーラスライン」で。今思い出していろんなことがグルグルグルグル回ってるんですけど(先週の放送でも「君の瞳は10000ボルト」でグルグル回ってました🌀笑)、その中でも一番メインなのはこの「One」。その後ビールのCMかなんかに使われて、一番搾りだったかな?そのCM見るたびにまたグルグル回っちゃって🌀🌀爆。(←回りすぎて倒れないでくださいね笑)
辰巳:実際のミュージカルはご覧になったんですか?
土屋:映画でも観たし四季(ミュージカル)も観ました。
辰巳:出たんですか?
土屋:映画には出てないんですけど笑。
辰巳:合唱団では?
土屋:はい。恥ずかしいことにそのステージ、YouTubeなんかで動画が見れるんですよ笑。今見ると発音はカタカナ英語だし、タップダンスやってるんすよ、バラッバラな爆。もう恥ずかしくてしょうがない笑笑。
辰巳:YouTube見なくちゃいけませんね、拡散しましょう笑。
土屋:検索しないでください笑。(←そんなこと言われれば言われるほど検索したくなります)
でもそのステージの裏側にはいろんな物語があって、今思い出しても何人もの顔が浮かんできてちょっとウルっとくる。
辰巳:そうなんですかー。男性女性、どっちが多いんですか?
土屋:全員男性です爆。
辰巳:まずは聴きましょう!「コーラスライン」より「One」。
「A Chorus Line」より「One」(1985年)
https://www.youtube.com/watch?v=BrLcbi68R_A
辰巳:この曲がかかった途端土屋さんが歌い出しまして笑。若い頃に覚えた歌って覚えてるもんですねー。
土屋:覚えてますねぇ。当時僕らは(英語の歌詞を)カタカナに変えて覚えたりしてたんで。
辰巳:小学生みたいじゃないですか!?笑。
土屋:その程度なんですよ笑。
辰巳:受験して難関大学に入ってるのに?
土屋:2次試験は英語なかったんですよウフフ♪
辰巳:入試でしょ?ウソぉ、あるでしょ?
土屋:共通1次ではありましたけど、2次では僕の受けた学科はたまたまなかったんです。でも次の年からはあったみたいです。(←ラッキ~✌︎)
辰巳:で、(英語の)歌歌うのにこれはマズいと?
土屋:そうですねー。
↓、というわけで件のYouTube見つけました。
さぁ、「土屋さんを探せ!」
大阪大学男声合唱団 第34回定期演奏会 1987年1月10日(土) フェスティバルホール 「A Chorus Line」 より 「One」
(注:「One」は1曲めとラストの28:00から2回演じられてます)
https://www.youtube.com/watch?v=MLq12mMPcV0
辰巳:話はちょっと元に戻りますけど。ワイナリーの3代目として生まれて、子供の頃から”継ぐんだ”という気持ちはあったんですか?
土屋:んー、深刻にはあんまりなかったですねー。大学卒業して実家にどうしても帰ってこいとも言われなかったし。でも「やだっ!」っていう気持ちもなくて。だからいったんはある会社に就職をして、、、。
辰巳:じゃ、その前にね。大学を受けるときに発酵だとか・・・
土屋:本当は違う学科に行きたかったんですけど(実家から)
「それはダメだ!オマエは継ぐんだろ?」って。でもその時はまだピンと来てなかったんです。
辰巳:ご兄弟は?
土屋:姉が2人。オンナオンナオトコ・・・。
辰巳:お姉さんたちはどうされてる?
土屋:好きなことやってますねー笑。
辰巳:ワイナリー継ぐとか(そういう気風は)?
土屋:ぜんぜんぜんぜん、いいなぁと思いますよ笑。
(ワイナリーと)関係ある学科に進学するってなったときに、僕自身はあまりピンとこなくて。当時は”バイオテクノロジー”ブーム(←土屋さんは1965年生まれです。そのあたりからお察しください)。今は”発酵”という言葉がキーワードになってますけど、当時は”バイテク”。
辰巳:確かに、”バイテク”って言葉ありました。
土屋:その後”財テク”ってのもありましたけど笑笑。とにかくその時はバイオテクノロジーの分野でこれからを担うと。ま、そういう学科もいいかなっと思ったんですよね。直接ワイン造りの勉強ではなかったんですけど、それはそれでよかったんじゃないかなと。
辰巳:地元の大学じゃなしに関西の大学に?
土屋:地元の大学には行きたくなかった。
辰巳:普通は東京じゃない?
土屋:東京にもそういう学科なかったんです。
辰巳:農大とか・・・
土屋:んーーー、ちょっと違うとこ行きたいなと思って。たまたま関西だったんです。それも私の人生を変えてしまったんです爆。
辰巳:さぁ、どう変えたか?ぁw、もう時間?この番組短くて、話が盛り上がったらもう終わり笑。
小中高までは末っ子として育って、いつか継ぐ気持ちだったってことですね。ちなみに高校はどこだったんですか?
土屋:日川高校。(←山梨県立日川高等学校)
辰巳:名門じゃないですか。そこから大阪に行かれたという話はまた来週ということで。理系の方だし話が整理されててとてもわかりやすい中に頭が時々グルグル回る🌀笑、楽しい方です。また来週もよろしくお願いします!今日はありがとうございました。
全員:ありがとうございました!
(お断り:番組の収録日、OA日、この原稿の掲載には時差があります。また、この番組はお招きしたゲストのワイナリーのワインと、収録会場の「Villas des Marriages 多摩南大沢」の井村貢シェフが作るお料理のマリアージュをみなさまにもお越しいただき楽しんでいただくのがコンセプトの一つですが、現時点でお店でお楽しみ頂けるワインとお料理のマリアージュの詳細については直接お店にお問い合わせください。)
(辰巳さんが訪問時に撮影した写真です)
News Data
- ヴィラ・デ・マリアージュpresents 「辰巳琢郎の日本ワインde乾杯!」
2022年2月10日放送回
- ワイナリー
機山洋酒工業株式会社
https://kizan.co.jp- 収録会場
ヴィラ・デ・マリアージュ多摩
https://villasdesmariages.com/tama/