2020年7月から始まったラジオ番組『ヴィラ・デ・マリアージュpresents「辰巳琢郎の日本ワインde乾杯!」』
3月のゲストは岩手県のくずまきワイン、専務取締役の漆真下満(うるしまっか みつる)さんです。今回は10年前の3月11日の葛巻を振り返りつつ、リースリング・リオンとカスレを堪能します。後半は北欧ミュージックを聴きながら、なぜかドイツのお話。(全4回 2回目)
詳しい番組内容、出演者の情報はこちらから
https://775fm.com/timetable/tatsumi/
辰巳:3月のお客様は岩手県のくずまきワインの漆真下満専務です。
辰巳・漆真下:よろしくお願いします!
辰巳:今日は3月11日、あの日から丸10年、、、そういう日です。当時はどうでしたか、葛巻の方は?
漆真下:葛巻も大きくは揺れたんですけど、幸いワインは1本も破損しませんでした。ですんで被害の方はほとんどなかったんですが、2日間停電したんで外部の情報がぜんぜん入ってきませんでした。
辰巳:葛巻は「ワインとミルクと自然エネルギーの町」として電気生み出してるのに(←風力発電です)、送電線の関係で使えなかったんですよね?
漆真下:そうですそうです。
辰巳:今は改善されました?
漆真下:それがあったので、各地区のセンターには太陽光をつけまして、そういう災害があった場合はセンターに行くと多少の電気が使えるという体制になってます。
辰巳:この、いろんな思い入れの詰まった3月11日ですが、番組はまた専務のいろいろな話を伺っていきたいと思います。
葛巻に生まれ育って?ご実家の家業はなんだったんですか?
漆真下:農家です、葉タバコを生産してました。
辰巳:あーそうか、北のほうは特にタバコの葉を作ってるんですよね、南部や八戸の方。寒いとこですからなかなか商品作物って難しくて、、、あとは雑穀とか?ヤマブドウもこういう地域ならでは。あ、蕎麦もある。(←なんだ、色々あるじゃないですか)
漆真下:そうですね、蕎麦も美味しいですね。
辰巳:そういう地域で「農業を継がなくっちゃ」っとは思わなかったんですか?
漆真下:それは思いませんでした。
辰巳:長男として盛岡で「嫁を見つけて帰らなきゃ」と?笑。
漆真下:それはありました笑。
辰巳:当たり!!笑笑。
漆真下:「できれば嫁を連れて帰れれば」笑。
辰巳:だって葛巻に戻ったって牛ばっかりですからね爆(人口6000人の町に牛1万頭)。
で、”東北の小京都”盛岡から(久慈出身の)奥様を連れて葛巻に帰って来られたんですよね?でも葛巻は盛岡よりも久慈の方が近いから、、、。
漆真下:はい、(彼女は)葛巻の事情(結婚したらどういう生活になるか)、はわかってたはずです。
辰巳:昭和61年に設立された葛巻高原ナンチャラ・・・?
漆真下:葛巻高原食品加工株式会社(現くずまきワインの前身)、です。
辰巳:、に転職された。幾つの時ですか?
漆真下:31(歳)、、、ですかね。
辰巳:(前職に)10年いたっておっしゃってたから32でしょう?(←細かい)
漆真下:ぁ、そうでした。酔っ払って勘定が・・・笑笑。
辰巳:今日まだ飲んでないでしょっ!?
今日もですね、ヴィラ・デ・マリアージュ多摩南大沢の井村貢シェフに同席してもらってます。では本日のワインの紹介に入りたいと思います。これはなんでしょう?
くずまきワイン「風」
漆真下:これは「風」という、
辰巳:漢字一文字で「風」。”*リースリング・リオン”という品種から造られてます。’リースリング’と’甲州三尺’という品種の掛け合わせで、サントリーさんが開発したブドウ品種。”寒い土地にもよく育つ”白ブドウ。では乾杯しましょう!(結局辰巳さんが全部説明しちゃいました笑)
(*リースリング・リオン
●リースリング・リオン [Riesling Lion] / リースリング・フォルテ [Riesling Forte]
リースリングが白ワイン用原料としての優れた果実特性をもっている反面、収量が低くかつ不安定である欠点を改良する目的で生まれた交配品種。いずれも「甲州三尺」と「リースリング」との交配種で、交配・種苗登録ともサントリーが行なった。リースリングより成熟期が早く、やや大きい粒で裂果性が少ない。(日本ワインを愛する会HPより))
全員:カンパ~イ🎶
辰巳:あーーー、これも久しぶりに飲むとやっぱ美味いっすねぇ。シェフいかがですか?
井村:これはすごい美味しいですねぇ、いくらでも飲める笑。
辰巳:あれ、これヴィンテージが入ってない。先週の(ヤマブドウワイン)「レアリティ」も入ってませんでしたけど、、、。ヤマブドウは元々野生のブドウを畑で栽培しているので、年の差(ヴィンテージ)によって味わいが違ってくるんですが、リースリング・リオンはそういうわけでもないんでしょ?
漆真下:そうですね、これは2020年です。
辰巳:ヴィンテージをつけないのはどうしてなんですか?
漆真下:えー、まぁ、その時々によってブレンドもしますので、、、。
辰巳:ぇ、ブレンドもするんですか?「風」というワインは常にリースリング・リオン100%じゃない?
漆真下:多少違う品種も入れて味の調整をしたりする場合もあるんで。
辰巳:この年は(今飲んでるワイン)は?
漆真下:これはリースリング・リオンだけです。
辰巳:酸味もあるし、けっこうしっかりしたボディ感もあるし。5年とか10年とか熟成したら美味しいと思うんですよ。だったらヴィンテージ打っといた方がいいんじゃないですか?ここの社長は(葛巻)町長なんですけど、名物町長でちっちゃい町ながら最近全国的にも名前を知られていて。「ミルクとワインとクリーンエネルギー」の町として震災以降、自然エネルギーは大事だ、ということで活躍されてますよね。でもワイナリーのトップは漆真下さんですからー。
漆真下:いえいえ、ま、現場の責任者ってことで。
辰巳:このワインの「ヴィンテージを打とうよ」を提案します。
漆真下:笑笑。わかりました、帰ったらスタッフと相談してみます笑。
辰巳:ちなみにおいくらですか?
漆真下:2000円です。
辰巳:濃縮はしてます?濃いぃ濃縮感があるんですけど?
漆真下:してません。ただ、今回初めて(火入れをせずに)生詰めしました。
辰巳:濾過は?
漆真下:してます。
辰巳:ホント美味しい♡シェフ、この白ワインに合わせるお料理はなんでしょ?
豚バラ肉と鶏もも肉のコンフィが入った3種の豆のカスレ
井村:「カスレ」、という豆を煮込んだお料理です。このワインを合わせるのにあたって、フレッシュな野菜を少し茹でて最後に加えてみました。
辰巳:カスレって言えばフランスの田舎料理、煮込みみたいなものですよね?「カスレ」の定義、何をどうしたら「カスレ」になる?
井村:「お肉と豆をしっかり煮込んでしっかり染み込ませて、最後にオーブンで焼く」お料理。
辰巳:お肉は?
井村:豚肉ですとかソーゼージとか・・・。今日は豚バラ肉と鶏のモモ肉が入ってます。豆は大豆とインゲン豆とひよこ豆です。
辰巳:ほぉぉぉ。いただきまーす!
う~ん、なるほど。ローズマリーとか香草の香りがしてきますが?
井村:今日は(乾燥)タイムを。
辰巳:あー美味し♡ワインとのバランスいいですね。
井村:そうですね、(このワインは)何にでも合わせやすいですね。
漆真下:いや、美味しいです、これいいですね。
辰巳:フランスの田舎料理ですけど、葛巻にも持って帰りません、この料理?(←お土産という意味ではありません)。だって豆も採れるでしょ?笑。
漆真下:ですね、うち(くずまきワイン)でもレストランやってるんでぜひ!葛巻は大豆が美味しいんですよ。豆腐なんかもわざわざ盛岡から買いに来るっていう。
辰巳:へぇぇ、そうなんすか?
今日いただいている料理はこのレストランに来ると同じもの(お料理とワインのペアリング)が楽しめるという思考になっておりますので、みなさま是非お運びください。この辺り環境もいいでしょう?
漆真下:そうですね~♡葛巻に比べれば明るくてあったかい笑。
辰巳:葛巻寒いんですよー、ね?
漆真下:今日もマイナス13℃
一同:驚!
辰巳:こっちは今10 ℃ぐらいあるのかな。(2月下旬、八王子周辺での収録でした)その差20℃以上!
辰巳:ラジオをお聴きの皆さん、こちらでぜひ井村貢シェフの料理をお楽しみください。毎週毎週違うワインに合わせた料理、けっこうプレッシャーだと思いますが、やっぱり先にワインをテイスティングしてからお料理を合わす?
井村:味見しながら料理の味付けを若干変えたりしていると合わさる瞬間があります。ワインの味は変えられないんで、料理の方でアレンジを、、、。
辰巳:これは普通のカスレをどういう風にアレンジした?
井村:普通のカスレはもっと煮込むんです、豆がもっと柔らかくなるまで。それを豆の歯ごたえが残るようにあえて軽めに煮込んでワインに合うようにしました。あとは季節の野菜を茹でで加えることで料理自体がまた少し軽くなります。野菜はロマネスコ、ニンジン、ケールとか入れてちょっとヘルシーなカスレにしてみました。
辰巳:専務、この料理ぜひ作ってください。「*森のこだま館」の中にあるレストランで。あの、あるんですよ、町民会館というか集会場というか、「憩いの場」が笑。もう毎年10回以上行ってるんですが、去年はコロナがあって行けなくて、、、そろそろいかなくちゃ行けない。(*森のこだま館http://morinokodamakan.in)
漆真下:ぜひ来てください。
辰巳:東京や他地域の人に”葛巻”をどうPRしますか?
漆真下:まぁ自然は豊かですよね、町の面積の86%は山林という。なので「山の恵みが豊富」。春は山菜、秋はきのこ、辰巳さんの好きな松茸笑、、、美味しいものたくさんあります。
辰巳:シェフも一度行ってくださいね。
井村:なんか美味しそうな町ですね笑。
辰巳:牛ばっかりじゃなしに羊もいますしね笑。
辰巳:ではこの辺でリクエスト曲にいきたいと思います。今日はなんにしましょうか?
漆真下:今日はABBA(アバ)の「I have a dream」、お願いします。
辰巳:どんな曲でしたっけ笑。キング牧師の「I have a dream」の?
漆真下:それで有名(な文句)ですよね。
うちは毎年海外研修やってるんですけど、ドイツとの交流ってのもありまして。うちの醸造技師がドイツに行ったり、向こうから’マイスター’を招聘して指導してもらったり、地元の高校生の海外研修をくずまきワインが支援してたり。
辰巳:あれ、ABBAは北欧じゃなかったでしたっけ?(←スウェーデンです)
漆真下:でもその研修でなぜかこの曲がかかってまして、ドイツで笑。なんかその印象が・・・笑。
辰巳:じゃ、ちょっとその気持ちになって聞いてみたいと思います。
ABBAの「I have a dream」。
ABBA 「I have a dream」(1979年)
https://www.youtube.com/watch?v=_HMjOiHqE18
辰巳:(ドイツの)ラインガウの「*ガイゼンハイム」という有名なワイン研究所(大学)がありますが、そこに行かれてたんですか?
(*ガイゼンハイム大学 https://www.hs-geisenheim.de/en/
(英語))
漆真下:うちの職員を2000~2001年にそこに派遣してますね。
辰巳:漆真下さんも?
漆真下:いえ、私はそこには行ってないんですが、その後ドイツに6回ほど。プファルツ州のバート・デュルクハイムって郡に。
辰巳:マイセンのちょっと南の方?
漆真下:そうです、温泉とワインの街。
辰巳:あれ、そういえば葛巻って温泉ないですね?
漆真下:笑、ないんです。
辰巳:掘れば出るんですかねぇ。
漆真下:いずれは出るんだろうという話はずぅーーっとありますけど笑笑。
辰巳:まぁ別に(温泉が)あればいいってもんじゃないですからね笑。日本中どこにでもありますし珍しくもないですから笑笑。
ドイツもぬるい(温度の低い)温泉がけっこうあるんですよね?ガイゼンハイムにはどなたが留学されてたんですか?
漆真下:今の醸造責任者の大久保(佳祐氏)が行ってました。
辰巳:漆真下さんは醸造にはまったくタッチされてないんですか?
漆真下:ほとんどやってません。営業と、今は経営、、、雑用ですね笑。
辰巳:経営って雑用なんですか笑笑。じゃその辺の話はまた次回にいたしましょうね。本日のゲストは岩手県のくずまきワイン、漆真下満専務にお越しいただきました。ではまた来週!
全員:ありがとうございました!
(お断り:番組のOAとこの原稿の掲載には時差があります。現在提供されているワインとお料理はお店にお問い合わせください。)
News Data
- ヴィラ・デ・マリアージュpresents 「辰巳琢郎の日本ワインde乾杯!」
2021年3月11日放送回
- ワイナリー
岩手くずまきワイン
https://www.kuzumakiwine.com- 収録会場
ヴィラ・デ・マリアージュ多摩
https://villasdesmariages.com/tama/