7月から始まったラジオ番組『ヴィラ・デ・マリアージュpresents「辰巳琢郎の日本ワインde乾杯!」』11月のゲストは長野県須坂市の楠ワイナリー代表、楠茂幸さんです。須坂市は故郷ではあるもののすべてが1からのチャレンジ。第1回目は、異業種から40歳を過ぎてシフトチェンジしたワイン造りの入り口からスタートします。(全4回 1回目)
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辰巳:はいっ、11月になりました!今月のゲストは、長野県、楠ワイナリーの楠茂幸さんです。
辰巳・楠:よろしくお願いします!
辰巳:ワイン造りを始めて14~15年?
楠:そうですねー。(自身の)ワイナリーを作って10年です。
辰巳:ワインの世界に飛び込んだのは?
楠:準備を入れて2000年からですのでー、、、。
辰巳:それはおいくつの時?
楠:42、3歳の頃ですね。
辰巳:40超えてからね、それまでの人生を捨ててワイン造りに飛び込んだという。初めてお会いしたのは多分12~3年前かなぁ。まだ委託醸造されててね、ファーストリリースをされたのが2006年で。そのワインを持って、東京のいわゆるワインの展示会に来られた。「ワイン東京」でしたっけ?そこに海外からいろんなメーカーが出展されてる中、独りポツーンっとブースにいらした。まだ名前も知られてないし、日本ワインだし、なんか寂しそーうにしていられた笑。その姿にすごく惹かれて、「初めまして、ちょっと飲ましてください」って言って飲んだら、、、美味しかったんです!
楠:ありがとうござます。
辰巳:なんかすーんごくキリッとした白でした。
楠:今「日滝原」っていう名前になってますけど、当時は「セミヨン ソーヴィニョン・ブラン」って言ってたと思います。
辰巳:それを初めていただいて、「へぇ、そんなワインを造ってるんだ!?」ってとても驚いて、それからおつきあいが始まったんですけどね。
あれ、生年月日はいつでしたっけ?
楠:昭和33年の4月2日です。
辰巳:同い年なんですー、楠さんの方が4ヶ月ほどお兄さんなんですけど笑。それもあって以来ずっと注目をしてるんです。今収穫も終わったところでどこも忙しいでしょうけど、楠さんなら来てくれるんじゃないかなぁと思って電話してみました。今日はわざわざ長野から新幹線で東京駅まで、そっから車で1時間(番組ディレクターの車に同乗)。「いったいどこに拉致されるんだ!?」って思いませんでした笑?
楠:、、、そ、そんなことはないですけど汗。でもちょっとここら辺まで来ると「いいとこだな」って思いました。
辰巳:そうでしょ?それに最近この辺ですごく日本ワインが売れてるらしいです笑。この番組が始まって5ヶ月目、このレストランで日本ワインとシェフの料理とのマリアージュを楽しみにくるお客さんが増えてきたそうで。
ベーやん:ありがたいことに!
辰巳:楠さんには”満を持して”来ていただきました。あらためまして、よろしくお願いしまーす!
楠:よろしくお願いします!
辰巳:そして、このレストランの井村貢シェフでーす。
井村:よろしくお願いします!
辰巳:今日も美味しい料理とワインのマリアージュを楽しみたいと思います。そしてもうひと方、こう見えて社長なんですよ、このヴィラ・デ・マリアージュ多摩南大沢の。田鍋真巳さん(以下ベーやん)です。
ベーやん:よろしくお願いしまーす!
辰巳:元吉本興業のお笑い芸人で、売れかけてた時に優秀なんでこちらに引き抜かれてね笑、今日はそういうことにしときましょう笑笑。
ベーやん:はい、引き抜かれたことに笑。
辰巳:今日楠さんにお持ちいただきました「りんご名人」っていうシードル、ですか?(ラベル読みながら)”ふじから造った”と書いてありますけども。これでまずは乾杯したいと思います。
全員:カンパ~イ♪
楠ワイナリー Cidre de Fuji りんご名人
辰巳:ん~~~、すごい自然な甘みといいますか、りんごの風味がよく出た”あまり作り込んでない”シードル、とお見受けしましたけど?
楠:はい、ワイナリーは長野県の須坂市というとこにあるんですが、昔から果樹栽培の盛んなところでして、、、。
辰巳:須坂市というのは、長野市の東側ですよね?
楠:はい。で、ブドウとリンゴの栽培が盛んなところでして、そこのリンゴを使って。今は自社でもりんごの栽培を始めてるんですけれど、これは地元の知人の作ったりんごを使ったもので、ちょっと変わった造りをしました。一旦アップルワインを作りまして、それを樽に入れて熟成させました。それから瓶に詰めまして二次発酵させたものです。
辰巳:自然な感じがしましたけど、逆に手が込んでたんだホントは?さっきはうまく表現できませんでしたけど、樽に入れた香りが”切ったりんごをちょっと置いとくと茶色になる”ように、少し酸化したような味わいがします。
楠:コクがまぁ出てるかな、というような・・・。
辰巳:ですね。で、ちょっと砂糖加えており引きせずに。どうですかシェフ?
井村:はい、リンゴの皮の香りというか、自然なりんごを囓ってるかのような味わいしましたんで、それを元にして料理をしてみました。
今日はマッシュルームのタルトをご用意してます、トリュフのソースで。
辰巳;これも新しいメニュー?
井村:そうです。
辰巳:このシードルからイメージしたお料理だそうです。ではいただきましょう!
マッシュルームのタルト トリュフのピューレ
辰巳:うん、美味しい♡りんごの皮の苦味とキノコの感じと。マッシュルームの裏に引かれてるソースはなんですか?
井村:これは魚のすり身に香草を混ぜたものを少し忍ばせてあります。
辰巳:な・か・な・かー。シェフ!やりますね笑。
井村:ありがとうございます!
辰巳:隠し味的なものなんでしょうけども、すごくバランスいい。
井村:樹に成ってるリンゴを連想して、香草の香りがあった方が”繋ぎ”になるんじゃないかな?と思いまして。
辰巳:どうですか、楠さん?
楠:とても美味しいです。この黒トリュフのソースの香りが最初にプーンときて、それとマッシュルームと魚のすり身がリンゴに合ってるなぁと思います。実はシードルを選ぶにあたって、こちらのようなフレンチレストランにはちょっとカジュアルすぎるかな?と思ったんですが、井村シェフがこれを飲んでいただいて、お料理の味わいを変えていただいたそうで、とてもよく合っているんで、さすがだなと思いました。
井村:(照れ笑い)ありがとうございます!
辰巳:シャチョーはどうですか?
ベーやん:”一瞬で合う!”が体験できました。今日お店に来たお客様も「ラジオを聴いて」って方がいらっしゃったんですよ。
辰巳:あーそういえば。この店でワイン会とかセミナーとかやりましょうって話してましたよね。まだしてませんね笑。
ベーやん:まだラジオの方が先行してますね。そのお客様は岩の原のマスカット・ベーリーAを2杯。だんだんラジオ聴いて来られるお客様が増えてて、フランスワインも一応置いてるんですけど、フレンレストランとしては。でもほぼ日本ワインが出る。
辰巳:ホントにっ?いや嬉しいなぁ。この地道な運動、1年か2年かかると思ってたんですけど、こんなに早く結果が出るとは笑笑。
ベーやん:そりゃすぐ結果出しますよ!
辰巳:今はまだ近所の方ばかりかもしれませんが、都心からも横浜からも山梨からも長野からも、この店を目指して来るように。
ベーやん:いろんな車のナンバー多いっすよ。
辰巳:んじゃ飲めないじゃないですか?笑。
ベーやん:1人運転して1人飲む笑。
辰巳:日本各地でだんだん市民権を得てきて応援団が増えてきて。ホントに嬉しいですねぇ。
ベーやん:ここでは市民権100%得てますねー。フランスワインしばらく仕入れてないですから笑笑。
井村:もう日本ワイン全面でやってます笑。
辰巳:このシードルってのはまぁカジュアルなものですけど、日本のワイン界においてはお値段もワインと同じぐらいするし、ワイン同等と考えていいと僕は思ってるんですけども。これはちなみにおいくら?
楠:ほぼ2000円です。
辰巳:いいでしょ?
ベーやん:その値段聞いてビックリしました。
辰巳:ん?高くて?安くて?
ベーやん:安くて笑。
辰巳:シャチョー金持ちだから2000円で安くてビックリするんですよね笑笑。
楠:2000円切ってはいますが。うちの場合けっこう熟成させますので、何年置いといても(熟成させても)だんだん味わいが深くなってきてー美味しくなるんです♡
辰巳:2000円だったらお店でも使いやすいだろうし。これグラスででも出せますよね?
楠:大丈夫です。下の方に行くにしたがって、オリが出てきますけれど。ま、人によってはそのオリの部分が好きだという方もいたりして。。。
辰巳:炭酸もあまり強くないですよね?
楠:そうですね。砂糖の量で調整してまして、あまりこれは強くはしてないです。開けた瞬間はそこそこ(炭酸)ありますけど、いわゆるシャンパーニュと同じようなスパークリングワインよりは低めにしています。
辰巳:んーとてもいいと思います。ところで、リンゴ栽培はやられてないんですか?
楠:今やってます。
辰巳:どんな品種を?
楠:いろんな品種ありましてー。このシードルは「ふじ」ですけども、「シナノゴールド」「秋映(あきばえ)」「つがる」「夏あかり」とかですね。
辰巳:それは”食べる”リンゴとして?
楠:えっと、食べるリンゴなんですけど、一部を食べてあとはやはりシードルを造るための畑を確保して、4~5種類のリンゴを作ってます。
辰巳:そうですか。酸味の強い「紅玉」とかちっちゃい「姫りんご」とかシードル(専)用のリンゴを作ることはないんですか?
楠:そこは今は考えてないですねー。
辰巳:最初からシードルを造ろう、という気持ちはあったんですか?
楠:最初ブドウ栽培始めた時は、まだ原料のブドウがないので、リンゴを買ってシードル造りました。
辰巳:そっか、ワイナリーできた頃は醸造酒免許の関係で税法では(なにがしかの醸造果実酒を)年間6kl造んなくちゃいけないからー。
ブドウができる前にリンゴでシードルを。。。っというちっちゃいワイナリーはけっこう多いですよね?
楠:うちの場合は免許が降りた頃はすでにブドウがあったんで大丈夫だったんですけど、その前の委託醸造の時、自分のブドウができる前ですね。
辰巳:あ、どっちかって言ったら”運転資金”の方?
楠:というよりどちらかというと「地元のものを使ってみんなで盛り上がりたいな」っていう思いで頒布会やったりとかしてました。
辰巳:あーそうなんですかー。その時代のシードルは飲んだことなかったんで覚えがないんですけどね笑。それはどこでやってたんですか?
楠:(須坂のとなり町の)小布施ワイナリーさんで造っていただいてました。
辰巳:曽我くんとこ。
楠:はい、だいぶお世話になりまして笑。
辰巳:じゃちょっとこの辺りでリクエスト曲を聴いてみたいと思います、何を?
楠;はい、井上陽水さんの「夢の中へ」を。これはですねー、実は実家がもともと農家なわけでもないものですから、(1から)畑を借りて苗を植えたんですね、農業経験も実地はなく。ある日その畑に行ったら草に覆われていて苗木が見えない状態だったんです。(ブドウの)葉も落ちて・・・っという状況もあったんですが、とにかくその苗木を出さなきゃいけない。四つん這いになって周りの草を鎌で刈って、、、。その時に自然に頭の中に出てきたのが「探し物はなんですか♪」爆。
辰巳:てっきりワインという”夢”の中へ飛び込んでいくからこの曲かなと思ったら!草ボウボウの中の苗木を探してた笑笑。
楠:苗木を探してた、というよりはー。草刈りをしながらですねー、「自分は何をやるか?」をもう分かってた、「ワインを造るんだっ!」ってのがもうあったんで、大変な作業だったんですけれど苦にならずやってはいたんですがー、それなりに体力を使う作業でもあって。でもその時にどういうわけか、頭の中に浮かんだメロディーが「探し物はなんですかと♪」そのフレーズだったんですねぇ。
辰巳:ま、同じ世代ですからね。中学の頃に深夜放送でよく聴いてましてけども。では!
「夢の中へ」井上陽水https://www.youtube.com/watch?v=Z1G6vOrCHlY
辰巳:懐かしっ!1973年の、我々が中学校3年生の頃の・・・。
楠:そのくらいになりますねぇ笑(遠い目)。
辰巳:これからこの曲を聴いたら”楠さんが草刈りをしている姿”を思い浮かべるんじゃないかと、思います笑。
家が農家じゃなかったとでしたけども、出身は長野なんでしょ?
楠:えぇ、須坂(市)なんですけど、父親が教師やってたもんですから、小学校と中学校の。
辰巳:あ、そうなんですか?じゃ教育者の息子で真っ当に就職して・・・?あれ、首傾げてる笑。
楠:・・・まぁ高校卒業して田舎を出ましてー大学行ってー大学卒業してー就職しましてー・・・。
辰巳;大学は東京?
楠:仙台でした。
辰巳:どちら?
楠:たまたま入れたところの東北大学、工学部です。
辰巳:へぇぇぇ、前に一回聞いたんですけど、でもなんで?っていうのを覚えてなかった。なんで?
楠:たまたまです。でも入った瞬間「自分に向いてない」爆。
辰巳:工学部で何を?
楠:「金属工学」というものをやってたんですね。’精錬’なんですけども。
辰巳:でもすぐに向いてないなと?
楠:えぇ。だからまず水泳部に入りまして。それから昔から憧れてたフランス行きたいなと思ってフランス語勉強して大学途中で休学してフランス半年ほど行って帰ってきてまた1年(元来の)研究して卒業してなんとかそんな感じで(←ここまでブレスなし)。
辰巳:フランスはどこに?
楠:パリ~、ですねー♪留学というよりは語学の学校に行ってー、向こうで生活しながらフランス語を勉強したという。。。
辰巳:じゃ、今でもフランス語を?
楠:笑。ほとんど忘れました。
辰巳:ぁ、今日は時間がなくなってしまいましたが、続きはまた次回。ちょっとその前に。就職はちゃんとしたんスか?
楠:はい、中堅の商社に入りまして。小さい頃から海外に憧れていたもんですから、そういう海外とのビジネスがある会社に入って5年ほど働いてました。それからまた転職して、”航空機のリース”という会社に入りまして、そこが長かったんです。
辰巳:あ、そうだったんですかー。とにかく大学は4年間で出たんですか?
楠:いや、5年で出ました。半年(留学で)休学しましたのでー。
辰巳:で、就職は東京で?
楠:そうです。
辰巳;じゃぁ仙台にはあまり残ろうとは思わなかったんですね?
楠:そうですね、(元々)商社系を希望してましたので。
辰巳:ふぅんそうか、フランスが好きだった・・・その辺からまたワインの方に結びついていくのかなぁという感じはしますけど?
楠:多分そういうきっかけだったと思います。
辰巳:学生時代、パリで留学して生活してた時期にワインと出会ったという?
楠:実はその後なんですよ。ま、ワインとは出会ってはいたんですが、、、、(←なんだか気になるエンディング)
辰巳:では次回は楠さんがワインと出会った頃の話から始めたいと思います。今月4回連続でお話を伺います、長野県須坂市の楠ワイナリー、楠茂幸さんでした。どうもありがとうございましたー!
全員:ありがとうございました!
(お断り:番組のOAとこの原稿の掲載には時差があります。現在提供されているワインとお料理はお店にお問い合わせください。)
News Data
- ヴィラ・デ・マリアージュpresents 「辰巳琢郎の日本ワインde乾杯!」
2020年11月5日放送分
- ワイナリー
- 収録会場
★ヴィラ・デ・マリアージュ多摩
https://villasdesmariages.com/tama/