ヴィラ・デ・マリアージュpresents 「辰巳琢郎の日本ワインde乾杯!」 2020年10月29日OA

7月から始まったラジオ番組『ヴィラ・デ・マリアージュpresents「辰巳琢郎の日本ワインde乾杯!」』10月のゲストはシャトー・メルシャン ゼネラル・マネージャー兼チーフ・ワインメーカーの安蔵光弘さんです。最終回の今回は、「とっておき!安蔵さん、結婚までの(短い)道のり」と、安蔵さんもモデルとなって登場した映画「ウスケボーイズ」のエピソード。亡き麻井宇介氏との思い出を交えながらとっぷりと語ります。(全5回 5回目)
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https://775fm.com/timetable/tatsumi/

辰巳:10月のお客様はシャトー・メルシャン ゼネラル・マネージャー兼チーフ・ワインメーカーの安蔵光弘さん!今回は5回目、最終回になってしまいました。今日は少しプライベートなお話も伺いたいと思っております。どうぞよろしくお願いします!

安蔵:よろしくお願いします!

辰巳:ではまず乾杯しましょう!

全員:カンパ~イ♪


シャトー・メルシャン 長野メルロー 2017

辰巳:今日は赤ワインです。こちらは?

安蔵:はい、「シャトー・メルシャン 長野メルロー2017」です。メルシャンはですね、長野県内でメルローを何箇所かで作ってまして、それをブレンドしたワインです。

辰巳:塩尻、北信、

安蔵:そして椀子(マリコ)でも。

辰巳:椀子でも?あ、そうですか。じゃ、それをブレンドしたお求めやすい価格帯のレギュラークラスってことですか?

安蔵:そうですね。でもメルローは最近ちょっとブドウの値段が上がってますので、ま、価格でいうと税抜きで3880円ぐらい(オープン価格)。

辰巳:ちょ、ちょっと高めですね。あのーこのお店で使えますかー?

ベーやん(ヴィラ・デ・マリアージュ多摩南大沢社長):頷

辰巳:このワインは「ヴィラ・で・マリアージュ多摩南大沢」のレストランでいただけますよー!
どうですか?

ベーやん:樽が効いてるっていうか、重めですよね。

辰巳:バニラっぽい香りが強いですよね。でも果実味はしっかりとあって。そのわりにはタンニンがギシギシしない。僕はあんまりタンニンが強いの好きじゃないんですよ。

安蔵:飲みづらいですよね、タンニン強いのは?

辰巳:うーん、これいいんじゃないですか。どうですかシェフ?

井村:なんかまろやかな香りと味がしますね、料理に合わせやすいような。

辰巳:そうですか。印象的にはニューワールドっていうかカリフォルニアっぽいイメージがありますが?

安蔵:2017年、雨が少なくてけっこういい年だったんです。そういうニュアンスを感じられる、かもしれません。

辰巳:日本のメルローにしてはわりとドシッとした感じ。

安蔵:長野県ってボディのあるメルローが採れる傾向がありますね。

辰巳:では、今日のお料理は?


鳥もも肉のソテーのマスタードソース ナスのピューレ添え

井村:はい、長野なので信玄鷄っていう鶏を使って。。。

辰巳:信玄って山梨じゃないの?

井村:まぁあっち、の方ですね笑。うちが入れてるのは長野です。その鶏とマスタードを使ったソース。非常にまろやかに仕上げてますんで、赤ワインとぜひ合わせていただけたらなーと。

辰巳:このピューレは?

井村:ナスです。付け合わせは秋のお野菜、カボチャ、じゃがいも、ナス。

辰巳:もっとワインが強く感じると思ったら、この野菜とかが出汁っぽくて、そして塩味がしっかりしてるからバランスがいい。

安蔵:やっぱり日本ワインって、柔らかいというか主張しすぎないというか。そういう傾向があるように感じます。
ベーやんどうですか?

ベーやん:あ、合うと思います。
”今日の質問”いいですか?(←先週からなぜかデフォルトになったコーナー)

辰巳:どぞ♪先週すごくいい質問でしたからね。(←なぜボルドーは複数品種をブレンドするのか?でした)

ベーやん:さっきも出てきましたけど”ニューワールド”ってあるじゃないですか?何を”ニューワールド”っていうんですか?日本もニューワールドですか?

安蔵:元々ワインってヨーロッパから出てきたものですので、ヨーロッパを、ま、”旧世界”、で、それ以外を”新世界”って言うことが多いですね。

辰巳:ま、あとはグルジア(現ジョージア)とか中近東とかがギリシャに入ってローマ帝国に広めたっていう。あのあたりが昔からワイン文化があったエリア。で、その植民地とかから各地に広がったっていうのがニューワールドって言うでしょうねぇ。

安蔵:アメリカ、チリ、オーストラリア、、、この辺りを”ニューワールド”って言いますね。

辰巳:南アフリカもですよね?

安蔵:そうですね。ニュージーランドもそうですし。

ベーやん:日本は?

安蔵:日本もニューワールドでしょう。

辰巳:日本も中国も東南アジアもそうでしょうしねぇ。

ベーやん:ぇ、中国でもけっこう(ワイン)造ってるんですか?

辰巳・安蔵:頷

辰巳:中国すごいですよ。世界一(量は)造ってるんじゃないですか?

安蔵:広いですからね。

辰巳:まだ実際には見たことないんでなんとも言えないんですが。
はい、”今日のベーやんの質問”でした笑。

ベーやん:ありがとうございました!


辰巳:前回ちょっとお話ししましたが、安蔵さんの奥さんもワイン醸造家で今丸藤葡萄酒工業で醸造を担当されているんですけど。どうなんですか、ワインメーカー同士の結婚ってのは?

安蔵:笑笑。そうですねぇ、結婚したばっかりの頃はですねー。お互い1本ずつワインを用意してブラインドテイスティングしてたんですね。

辰巳:笑笑。

安蔵:2人でどっか飲み行ってそんなことしてたんですけど、そうすると「1人1本」(←つまり2人で2本空ける)飲むことになってしまう「飲み過ぎだ」ってことに気づきましてー笑。それからは代わりばんこに笑笑。

辰巳:で、ブラインドはどっちが強かったんスか?

安蔵:あの、当たりハズレっていうよりもですね、やってみてわかったのは、「人それぞれ感じ方が違うんだな」って。自分が自信を持って出したワインを相手が「いや、美味しくない!」っていうことがお互いありまして、けっこう喧嘩になったりしたんです笑笑。

辰巳:離婚の危機とか笑笑?

安蔵:いや、そこまではいかないですけど笑。

辰巳:だってワインメーカー同士の好みが違うと大変なことでしょ!?

安蔵:ま、、、

辰巳:だんだんお互い認め合って?

安蔵:まぁそうなんですけれど。ボルドーに(奥様と共に)赴任した時ボルドー大学の講座を受けてわかったんですけど、人それぞれ感じ方が違うんです。”Aさんが美味しい”と言ったけれどもBさんとは感度の違いがあるんですね。特に”青い香り”に対して自分よりもカミさんの方が敏感なんです。それまで例えば自分が赤ワインを用意して「これは大丈夫だな」って出しても(カミさんは)「すっごい青いよ」っていう押し問答がけっこうあって。でもボルドーで勉強することによって「あーそうなんだ」って。

辰巳:「あーしょーがないんだ」って認め合うようになった笑。
結婚したのは?

安蔵:2000年です。

辰巳:ん?じゃ結婚してすぐ2001年からボルドー生活?商社マンが海外赴任の前に結婚して行くパターン?どさくさ婚?爆。

安蔵:いやぁ、偶然汗。あの、ただ海外赴任にはなりそうだなと。カリフォルニアかボルドーかどっちかへ。その頃はフランス語まったくできなかったのでカリフォルニアかなと勝手に思ってたんですけど。大先輩の*麻井宇介さんに「安蔵くんはフランスでしょう!って言われて笑。
(*故・麻井宇介氏:本名は麻井昭吾。メルシャン在職中から日本ワインの発展に貢献し”現代日本ワインの父”と称されている。
https://ja.wikipedia.org/wiki/麻井宇介

辰巳:麻井さんに推薦されて?

安蔵:そうですね。*先輩からこう言われたんです。「人生を楽しむならカリフォルニア、ワインを勉強するならボルドー」だと。カリフォルニアは雨が少ないですし、ゴルフとかいろんなことがあって楽しいらしい笑笑。
(*齋藤浩氏:シャトー・メルシャン元工場長 現在は顧問)

辰巳:人生楽しむよりワインを選んだってことですよね?

安蔵:いやまぁ麻井さんに選ばれたようなものですけども笑。

辰巳:(奥様への)プロポーズの言葉は?

安蔵:・・・なーんだったかなぁ???笑笑。(プロポーズは)私からしたんですけど、、、。あの頃ですね、自分の仕事で「なにがしかの”達成感”があったらプロポーズしますよ」って彼女に言ってたんですよ。

辰巳:いずれプロポーズしますよっていうフリを前もって?賢いっすね笑笑。付き合い出したのはいつぐらい?

安蔵:2月の終わりぐらい、1999年の。でまぁそういう話をしてー。

辰巳:で、仕事でなんか(達成感)あった?

安蔵:世界的なワイン評論家の*ジャンシス・ロビンソンさんに、自分が醸造したワインにとてもいいコメントをいただいて。「あ、これがきっかけだな」と思ってプロポーズしたら「随分期間が短いんだね」って笑。
(*ジャンシス・ロビンソン女史:https://ja.wikipedia.org/wiki/ジャンシス・ロビンソン

辰巳:ジャンシス・ロビンソンに褒められたのはいつだったんですか?

安蔵:4月爆。

辰巳:2ヶ月の助走期間で笑笑。褒められたから、結果出したから結婚しようぜって?

安蔵:(頷)。プロポーズ、えーなーんて言ったかなぁ?言葉まで覚えてない笑。

辰巳:すんなりOK?

安蔵:そうですね、早かったです。付き合い出して1ヶ月半ぐらいで結婚しようということになって翌年に結婚式を挙げて、その1年後にフランスに行きました。

辰巳:なるほどー。この安蔵正子さん、旧姓はなんでしたっけ?

安蔵:水上(みずかみ)です。

辰巳:*「ウスケボーイズ」っていう映画にも出てこられて、エピソードもいろいろあるんですよ。どなたが演じられてたんでしたっけ?
(*「ウスケボーイズ」:http://usukeboys.jp

安蔵:竹島由夏さんです。

辰巳:安蔵さんの役は?

安蔵:金子昇さんです。カッコよすぎるってみんなに言われて笑。似てない!って笑笑。

辰巳:そんなことないでしょう?まぁ彼のほうがもうちょっと2枚目ってだけで。ごめんなさい汗。
じゃぁ、今日のリクエストはこれにしましょうか?

安蔵:そうですね。「ウスケボーイズ」の主題歌、Yuccaさんの「風の未来」という曲をリクエストします。

辰巳:ではどうぞ♪

辰巳:今の曲は2年前に公開された「ウスケボーイズ」っていう映画の主題歌なんですよねー。”ウスケボーイズ”ってのは、「麻井宇介さん」というメルシャンの大御所で、安蔵さんが”最後の弟子”なんでしょ?

安蔵:そう言われることも多い、です。

辰巳:いわゆる”日本ワインのレジェンド”、もう亡くなられましたが。僕は生前お会いしてないんですよ。僕が「(旧)日本ワインを愛する会」の副会長になったのが2003年、麻井さんは2002年に亡くなられてますからちょっと入れ違いだったんです。残念でした。でもこの映画は日本ワイン好きにはたまらない作品でしたね。どうですか?ご自分がモデルにされて、その時代の話が映画になって?

安蔵:まぁあの、事前に監督の*柿崎ゆうじさんからインタビュー受けまして、**本に書かれてることじゃない”当時の雰囲気”とかそういうものをお話しして、それがけっこう再現されているので、「第1号試写会」っていうのにカミさんと呼んでいただいで観たんですけど、すんごい緊張しましたね、すごいリアルで。当時のことを本当に思い出しました。
(*柿崎ゆうじ氏:https://ja.wikipedia.org/wiki/柿崎ゆうじ
(**原作:河合香織「ウスケボーイズ 日本ワインの革命児たち」)

辰巳:麻井さんの影響を受けた人たちが”日本ワインのブランドを作って引っ張ってきたっていう”事実”と、あとは麻井さんって人の”情熱”でしょうねぇ。実際(麻井さんは)どんな方だったんですか?

安蔵:ま、すごく厳しい方でしたね。お年を召してからのイメージがみなさん強いので、ニコニコ笑ってるイメージがある方も多いですけど、ワインに関しても仕事に関してもとにかく厳しい方でした。自分も何年もお付き合いしている中で、なかなか褒めてくれないんですね。だからたまに褒めてくれた時はすごく嬉しいですよね。”ニッコリ笑って”褒めてくれる、、、それがやりがいに繋がります。

辰巳:麻井さんが後釜を託してくれたっていうかね、信頼されて亡くなる直前まで気にかけてくださってたっていう話を本でも読みましたけども。

安蔵:そうですね。自分は麻井さんが病気になられた時にちょうどボルドーに駐在していましたんで、一番最後の麻井さんの講演には出られなかったんですけど。そのちょっと前、日本に(一時)帰ってきてお見舞いに行ったんですね、カミさんと一緒に。その時にボルドーの話とかいろいろした後、(病院の)エレベーターまで送ってくれて扉がバァっと開いたとき、ま、麻井さんはガンだったんですけれども、「まぁ治るつもりだからサヨナラは言わないけれど、これからの日本ワイン造りを背負ってってくれよ」と。まだ入社6年目だったので「いやぁ、それはちょっと重いですね」って(笑)ちょっとボケてしまったら「君が背負わなくてどうするんだっ!」って背中を2回叩かれた。ドンドン、「頑張れよ!」って感じで。エレベーターが閉まる瞬間を今でも思い出せますね。

辰巳:僕もエレベーターでの別れが最後になった恩人がいますけど、なんか泣けてきますよね。
でもメルシャンでも優秀な人が沢山いる中で今の地位にちゃんと就いてるのは素晴らしいですよね。

安蔵:ま、タイミングが良かったってのもありますけども。

辰巳:若くして醸造責任者になって、しかも、山梨県のワイン酒造組合の会長にまでなって、、、。でもこれからまた大変ですね。

安蔵:そうですねー。山梨県は日本でいちばんワイナリーの数が多い県ですので。麻井さんが生前「メルシャンは酒造組合の会長を積極的に引き受けて、日本ワイン(当時「日本ワイン」って言葉はなかったんですけど)全体に貢献するんだ」って言われていて。今回会長の打診を受けた時は正直「重いな」って思ったんですね。2週間ぐらい考えさせてもらったんですけど、麻井さんのその言葉を思い出して、というよりずっと頭の中にはあったんですけどもね。「シャトー・メルシャンの工場長を拝命した以上は、ワイン酒造組合にも貢献しなくちゃいけない」、と気持ちの整理をつけて。

辰巳:そうだったんですか。まだまだお話伺いたいんですけど、時間がいっぱいいっぱいになっちゃいました。5週間あればもっっといろんな話聞けるはずなんですけどね。なんか、、、なんででしょうねぇ???

ベーやん:いや、聞けましたよ。途中ちょっと居酒屋じゃないかと思いましたけど爆。

辰巳:この続きはまたどっかで。これからますますのご活躍を期待しております。10月のゲストは、シャトー・メルシャン ゼネラル・マネージャー兼チーフ・ワインメーカーの安蔵光弘さんでした。本当にありがとうございました!

安蔵:ありがとうございました!

★麻井宇介さんのこと、映画「ウスケボーイズ」こと
もっと詳しくはこちらから
https://www.kirin.co.jp/company/news/2018/0731_03.html

(お断り:番組のOAとこの原稿の掲載には時差があります。現在提供されているワインとお料理はお店にお問い合わせください。)

News Data

ヴィラ・デ・マリアージュpresents 「辰巳琢郎の日本ワインde乾杯!」 2020年7月16日OA

2020年10月29日放送分

ワイナリー

シャトー・メルシャン
https://www.chateaumercian.com/aboutus/

安蔵光弘
https://www.chateaumercian.com/aboutus/winemaker/

収録会場

★ヴィラ・デ・マリアージュ多摩
https://villasdesmariages.com/tama/

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