八王子FM「辰巳琢郎の一緒に飲まない?」2019年6月20日放送分

ゲスト:山田直輝さん(ヒトミワイナリー 醸造責任者)
ヒトミワイナリー入社6年目の若き醸造家、山田さんがゲストの2回シリーズ。2回目の今回は、「今の自分があるのは実家の家庭環境にあり?」辰巳さんにからかわれタジタジでしたが、ワイン造りの話になると途端に饒舌に。滋賀でブドウ造ることを、ワインを造ることを、熱く語ります!
辰巳:今回のお客様は、滋賀県のヒトミワイナリーの醸造責任者、山田直輝さんをお迎えしています
辰巳・山田:よろしくお願いします!
辰巳:前回は発泡ワインの話、就職の話、、、、東京農大で勉強してヒトミワイナリーに新卒で入ったというお話を伺ったんですが。
ってことは東京にも住んでたんですよね?
山田:そうですね、4年間。それから滋賀県です
辰巳:滋賀県、住みやすいですか?
山田:東北の人間にはちょっと暑いかな(山田さんは岩手出身です)
   5月にも35度を超える日があってほんとに暑くて笑
辰巳:でも北海道でも39度とかね
山田:全体的に暑くはなってるんですけどね
辰巳:東京時代はどこに住んではったんですか?’はったんですか?’ってすぐ関西弁になってしまうな笑
山田;小田急線の千歳船橋ってとこです、歩いて学校行けるので
辰巳:うん近い近い、うちからも笑。経堂とかあの辺のお店行くと農大生がアルバイトしててね笑。なんかしてました?
山田:バイトもそれなりに点々と。
辰巳:で、出身が盛岡市で?お父さんは何を?
山田:歯科医師(開業医)です
辰巳:(山田さんが)子供の頃からワインが普通にある生活だったっていう・・・(前回の会話に出てきた話題です)
もしかしてお坊ちゃん?
山田:いえいえ、そういうわけでも・・・
辰巳:歯医者さん継ぐとかそういう話はなかったんですか?
山田:兄弟がいたんで(山田さんは次男です)。自分はやりたいことをやらせてもらえるという・・・
辰巳:じゃ、お兄さんが継いだ?あーあー、好きなことができていい身分ですね笑
兄弟は?
山田:4人兄弟の一番下(お兄さんの他に姉二人)なので、ほんとに甘やかされて笑笑笑
辰巳:そういうのが大事なんですよね、ワイン造りにも。ワインの味わいにも影響が出るんでしょうね笑
どう飲んでもちょっと甘めやね、とか笑
そんなことはないですか?
山田:どうなんでしょう笑。ブドウの特徴もあるのでなんとも言えないと思うんですが苦笑。出てるんですかねぇ笑
ワイン登場

タータルワイン ルージュ 2015
辰巳:さ、今日お持ちいただきましたのは”タルタルワイン?タータルワイン?”
山田:タータルワインですね
辰巳:これはどういう(ネーミング)?*酒石酸の?
   *酒石酸:Tartaric acid(英語)
山田:そうですね
辰巳:あの’タルタルステーキ’のネーミングとは違うのかな?笑
(さておき)赤ワインです。このワインもだいぶ前からありますよね?
山田:そうですね、2000年代前半から造ってたかな
辰巳:初めて(ヒトミワイナリーに)伺ったのが15年くらい前ですから、その頃からあった記憶はありますね
(ワインを注ぐいい音)
辰巳:ぁ、ちょっとこぼしちゃいましたがまぁご愛嬌ということで
辰巳・山田:かんぱーい!
辰巳:深みというか、熟成感があって。久しぶりに飲みましたけど
美味しいですねー。
山田:ありがとうございます!
山田:そうです、カベルネ・サントリーという品種を使ってまして。
創業当初から、小さい面積ですけど30年近く栽培しています。
辰巳:ワイナリーからちょっと琵琶湖の方に戻った辺りに畑があって、一文字短梢でね。割と低いんじゃなかったかな?
山田:150cmくらいですね
辰巳:腰を屈めて入った覚えがありますよ笑
山田:辰巳さん背が高いので笑
辰巳:*カベルネ・サントリーはサントリーって名前の通りサントリーが開発した、ブラック・クイーンとカベルネ・ソーヴィニョンの交配ですよね。同じ交配に甲斐ノワールがあるんですけど、これは父方と母方が逆なんでしたっけ?
山田:だった、、、はずです、確か
辰巳:誰か、ワインの先生いませんかー?
(周囲に確認求めますが誰もわからず)
こういうことをね、日本ワインのことをサっと答えられる人がまだまだ少ないんですよ
**これサントリーさんも若干やってませんでしたっけ?もう抜いちゃったのかな?
山田:今は、、、栽培してない、かな
*補足:後日調べました&サントリーの方に伺いました
*甲斐ノワールとカベルネ・サントリーはどちらも
「ブラッククイーン(母)×カベルネ・ソーヴィニョン(父)」
甲斐ノワールは1969年山梨県果樹試験場
カベルネ・サントリーは1957年サントリーにて交配
**サントリー登美の丘ワイナリーにカベルネ・サントリーの畑はありますが、この品種での商品化は現在はしていないそうです

辰巳琢郎の一緒に飲まない? ヒトミワイナリー山田さん編vol2(1).jpg

辰巳:カベルネ由来のね、どっしりした苦味とか酸味とかちょっとありますね。川上善兵衛品種のブラック・クイーン(ベーリーA×ゴールデンクイーン)とカベルネ・ソーヴィニョンで3/4がヨーロッパ系というブドウ品種なんですけど、日本で、暑い滋賀県で栽培するにあたってどうですか、向いてますか?
山田:ヴィニフェラの原種で赤系はなかなか難しいなーって中で、暑さもそうですけど降雨量もあるので、この雨に対しては耐病性があるのかな。ベト病がそんなに出ないので。開花してから枝とか葉っぱ管理する上では他の品種よりは楽かなってのはあります。
皮が厚くて、でもカベルネ・ソーヴィニョンよりはちょっと薄くて実の大きさはメルローと同程度、渋みはカベルネよりは幾分ライトって感じです。とにかく酸の残りがよくて。暑い夏超えてゆっくり熟していくので。
辰巳:秋の長雨が続いてそれ超えてゆっくり収穫できるっていう晩熟品種。これって大事ですよね。8月とか早くに収穫できる品種か、遅くまでもつ品種か、どっちかなんでしょうねぇ。
山田:そうです。いちばん真ん中にあたる品種っていうのが難しくて。’水の入り方’でその年の差が出やすいので。リスクを分散させるやり方っていうのが多いんじゃないかな、実際自分たちもそうですし。
辰巳:収量はどれくらい?
山田:デラウェアやベーリーAよりは少ないですね。1tもいかないです。ヴィニフェラ系の他の品種と比べると比較的採れるのかなっていう感じではありますが。
辰巳:今日これを持ってこられたのは山田さんが力を入れてる品種だから
山田:そうですね。メジャー品種になると「あ、メルローね、ピノね」ってそれなりに注目されるんですけど、やっぱりその場所で一番栽培しやすくて一番キレイな形で採れるブドウで表現することができるのが魅力だと思っているので。これ(カベルネ・サントリー)は全くメジャーではないんですけど、自分たちの中では樹齢もあって安定して採れて病気も少ないので、実ができてからの農薬もかなり少ない。品種が環境に適応しているというのがすごく大事な要素なのかな、と6年やっていて思っています
辰巳:ま、フラッグシップと言ってもいいかな?
これおいくらでしょ?
山田:4.320円です
辰巳:いま日本ワインはどんどん高いのがいっぱい出てきちゃってね、あんまり手に入らないっていう状況が続いてるんですけど。
これはまだ在庫ある?
山田:はい、数百本程度ですけど。
辰巳:生産本数は?
山田:900本~1200本の間ですね、毎年。これはカベルネ・サントリー単体ですけど、今後はメルローとか糖度が高いけど酸の残せない品種と、この(カベルネ・サントリー)酸の残せる品種を一つのキュヴェにすることがいいのかなー、とは思っていて。単一の品種っていうよりはその土地でうまく出せるものをブレンドして一本のワインにしていくっていう考え方もありなのかな、とは個人的には思ってます。
辰巳:でも単一品種も残して欲しいですね。これはやっぱり特徴的なものだし。
辰巳:このタータルワインというネーミングの由来は?
山田:ワイナリーに小泉武夫さん(元東京農業大学の教授、発酵の権威)がいらしてつけてくださったと伺ってます。
辰巳:酒石の意味だそうですけど、ん、じゃ酒石がたくさん出るってこと?
山田:そうですね。そういう酒石を落とす処理も特にしてないし
辰巳:(ヒトミワイナリーは)’濁りワイン’として有名ですけど、じゃ、これも’濁りワイン’と言っちゃっていいんですか?
山田:はい。自分たちの定義づけとして『ろ過をする作業をしない=濁りワイン』とさせていただいているので。
辰巳:ですよね。前回(放送分)の「パピヨン」なんかは”一目で「濁り!」って感じですけど、これはちょっと軽~く濁ってるなって感じはするけどあまり’濁りワイン’っていうイメージじゃないでしょ?
山田:’濁りワイン’として(ヒトミワイナリーの)全てのワインをお伝えしてるんですけど、熟成期間があれば澱を鎮める時間があるのでボトリングの際には澱がほとんど入らないワインもあるんです。あとはブドウの品種。生食用のラブルスカ系品種っていうのは果汁も多いですけど繊維質も多いので、フレッシュなタイプで瓶詰めしようと思うとやはり濁りが多くなってしまう。パピヨンもそうですけどフレッシュさを生かすために澱が落ちきらない状態で瓶に詰めるもんですから、、、
辰巳:食用は繊維質が多い?
山田:ブドウの中にプルプルっとしたグミのような’ペクチン’という成分が多いんです。ヴィニフェラ系や、このカベルネ・サントリーなんかはブドウ潰して齧ると皮と種の間の水がピュッと出る感じでプレスするときも液体と皮を分けるのが楽なんですけど食用の方はネトっとしてるので絞り機の間のメッシュを詰まらせたりだとかが結構あるんですよ。ま、そういった意味で生食用とヴィニフェラはブドウの中身自体が違うので、同じ(醸造)作業してても濁り具合も変わりますよね。
辰巳:何も言われずにこれ飲んだらヒトミワインじゃない感じするかも。思ったよりクリア。
辰巳:これからはどんなワイン造っていこうとかあります?この濁りワインを突き詰めるんだ、とか?
山田:この形(濁りワイン)はしっかり残していっていくのがまず第一にあって、その次には県内産のブドウを増やしていくってことがすごく大事だと思っています。全国同様農家さんがどんどん辞められていっているし、ヒトミワイナリー1社だけでは滋賀県内の畑を繋いでいくことができない。「地元のつながりから滋賀県のブドウを美味しくワインとして楽しんでもらうこと」に積極的にチャレンジしていければなと思ってます。
辰巳:滋賀県には新しいワイナリーがどっかにできそう、とかブドウ栽培を始めた地域とかありますか?
山田:近江八幡市というところの空色農園さん、だったかな?シャルドネとシラーを植えてワイナリーを始められる、と聞いてます。今は2軒だけですけど。3軒目ができることでまた変わってくることがあるかもしれない。
辰巳:最低3軒欲しいですね、5軒6軒出てくると訪問する方もまとめて行けますし。ワインツーリズムっていう方面でも便利で相乗効果も得られる
山田:生産者としても、栽培の過程とかをいろんな人(近くの同業者)と共有していくってことで(トラブルを)未然に防げることもあるし。滋賀県がブドウ産地であるっていう大きな意味を将来は見出せればなーと思いますね。
辰巳:去年から「日本ワイン」という表示になってだいぶ変わってきたなという実感、あるいはこれからどうなっていくんだろうなという展望とか期待とかありますか?
山田:やっぱり自分たちの産地の問題ですかね。ブドウが減ってるっていう現状があるので。日本ワインが盛り上がってるなって中でしっかり応えられるような潰して絞って瓶に詰めるだけじゃない活動っていうのが各ワイナリーに必要なのかなっていうのはすごく感じています。ワイナリー1社で取り組むこと以外に、近くの農家さんの繋がりなんかも大事にしていかなきゃいけないんじゃないかなと感じています。
辰巳:行政の応援とかも増えてきました?こんな支援してほしい、どういうことが変わっていけばよくなる、みたいなことありますか?
山田:苗木がないので苦労してます
辰巳:高いしね
山田;気候も年々変化しているので今まである品種だけでは難しいっていうところで、開発されていない品種っていうのがこれから大事なのかな
辰巳:いま自社畑で1ha?
山田:1.4haです
辰巳:植えてるのはカベルネ・サントリーと?
山田:メルロー、シャルドネとソーヴィニョン・ブランが多いですね
辰巳:それ以外は?新しい品種試してる、試そうとしてる?
山田:試したいのはアルバリーニョとかプチ・マンサンとか興味ありますね
辰巳:あー、方々で増えてきましたね。これからアルバリーニョは確実に増えてきますよね。棚栽培に向いている品種なので苗木たくさん要らないしね。そういう意味でいいと思います
山田:(アルバリーニョは)まだ試せてないですね。ただ(よその)アルバリーニョのワインにはすごい魅力を感じてますし、温暖な気候でスッキリしたアロマってのはすごく重宝されるんではないかと個人的には思ってます
辰巳:日本のワイナリーは300軒を超えました。これからはお互いをライバルとして、地域間の競争もあるかもしれませんが、独自の’濁りワイン’専門ワイナリーとして頑張っていただきたいと思います
ありがとうございました!

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八王子FM「辰巳琢郎の一緒に飲まない?」

2019年6月20日放送分

ワイナリー

ヒトミワイナリー

1991年、老舗アパレルメーカー(日登美株式会社)の図師禮三氏が出身地、滋賀県東近江市(旧永源寺町)に創設。国内唯一のにごりワイン(無濾過ワイン)を専門とするワイナリー。フラッグシップのh3シリーズは発売当初から話題を集めている。
http://www.nigoriwine.jp/HWHP/web/main.html

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