八王子FM「辰巳琢郎の一緒に飲まない?」2019年6月6日放送分

ゲスト:山田直輝さん(ヒトミワイナリー 醸造責任者)
ヒトミワイナリー入社6年目の若き醸造家、山田さんがゲストの2回シリーズ。1回目は岩手出身の山田さんが滋賀の山奥(?)のワイナリーに就職したわけ、今回テイスティングしたワイン’パピヨン’の変遷など、穏やかな口調で熱く語ります。前任の名物醸造家のエピソードも併せてお楽しみください
辰巳:今回のお客様は、滋賀県にありますヒトミワイナリーの醸造責任者、山田直輝さんです!
辰巳、山田:よろしくお願いします!
辰巳:何度か会ってますよね?ここのところご無沙汰なんですがワイナリーには3回くらい行ってるんですよ
山田さんは入社何年くらいですか?
山田:2013年の4月からですから、1度ツアーでいらした時にお会いしてるかな?
辰巳:岩谷さんという醸造家がいまして、ずっと仕切ってましてね。
今は(岩谷さんは)独立して山形でイエローマジックワイナリーを遣られてますよね。その岩谷さんの弟子?
山田:3年間は岩谷さんの元でワインを造らせてもらってました。彼のワインがすごい好きで
辰巳:日本で唯一にごりワインだけを造っているワイナリーなんですよね
山田:そうですね
辰巳:年間10万本くらい?
山田:そうです、ブドウは100tから120tくらい
辰巳:「なんでこんなとこにワイナリーあるんだ!?」ってくらい山奥にありますよね(笑)滋賀県から鈴鹿の方に抜ける途中の。永源寺という紅葉の綺麗な寺があって。元々永源寺町という町だったんですよね?
(さすが関西出身者、詳しいです)
山田:今は合併して東近江市の山上町ですね
辰巳:東近江市ですか。なんかねーピンとこないんですよね。合併してしまって昔の名前がどんどんなくなっていくのは寂しい気がするんですけど。最寄りの駅は?
山田:近江鉄道の八日市駅です。そこからバスで35分から40分くらいですね
辰巳:京都からだと1時間半近くかかりますかね?
山田:車だと高速使って45分くらいですけど。電車だと1本乗り継いでバスですからね。
辰巳:なかなかいくのが大変・・・よくそんなとこに就職しようと思いましたね(笑)
山田:東京にいた時に’滋賀のワインですごい美味しいのがある’ってことでここを知ることになったんです。出身は岩手県なんですけど。
辰巳:岩手県!?今やワイン県でどんどん伸びてってるとこですよね。岩手のどちら?
山田:実家は盛岡市の南、紫波や大迫に近いんですけど。
辰巳:紫波のワイナリーもなかなかいいですしね。いずれは帰りたいと思ってます?
山田:個人的にはブドウがある場所だしワイナリーもあるし、素晴らしい先輩方もいらっしゃるので、まぁそういう夢は持ってます
辰巳:今おいくつ?
山田:29歳
辰巳:若いなーいいなー(笑)
ワインに出会ったきっかけは?
山田:ワインを飲むっていうシーンが家庭にも普通にあったもので。
兄や姉や親が楽しんでもらえるものを造りたい、その中で”ワイン”が(選択肢の一つとして)あって、そういうことをしたいなとは漠然と思ってました。
辰巳:実家は農家とか?
山田:いや、そういうわけではないんですけど。(家族が)お酒が好きで、ワインも飲んでました。
辰巳:そのワインはどこの(産地)?
山田:日本のワインは最初はあんまりなかった印象ですけど、私が学生時代になってからは・・・あったかなぁ・・・
どうやらご家庭では当時日本ワインはあまり飲んでなかった様子ですね)
辰巳:盛岡は割と日本ワインの消費量は多いとこですよね。
で、ワインを仕事にしようと思ったのは?学校で勉強した?
山田:大学は東京農大なんですけど、醸造学科ではなくてバイオサイエンス学科なんです。お酒を造る仕事をしたいってなったけれど”就職難”っていう言葉が頭の中にあって。醸造以外に何か微生物とか、いろんな範囲で見つけられないかと思って入ったって感じなんです
辰巳:なるほど。それで(ヒトミには)新卒で就職したんですか?
山田:そうです
辰巳:どんどんワイナリーが増えてきて、日本ワインもだいぶ活発になってきた頃。就職状況は?ワイナリーからの求人情報はけっこうあるもんなんですか?
山田:自分が探した時にはほとんどなくてですね、岩手出身なので岩手のワイナリーも一応考えてはいたんですが、そういう機会もなく。
じゃぁ岩手のブドウを使っている美味しいワイナリーはどこなんだろう?、と探したらヒトミワイナリーが岩手県のキャンベルアーリーを使った’パピヨン’を造ってた。
辰巳:あ、’パピヨン’のキャンベルアーリーは岩手県産だったんですか?
、ということで今日は思い出の’パピヨン’を持ってきていただきました。
(ワイン登場)

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h3 Papillon 2018
辰巳:このボトルがね、昔ながらのなんて言うんでしたっけ?
山田:キカイセンです
辰巳:あ、そうだそうだ、キカイセン
「スポーン」っといい音がしました

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これがキカイセンです
(ワインを注ぐいい音)
辰巳:シュワシュワっていう軽い発泡でもありまして、色は濃い目の若干紫がかったピンク色。にごりです、にごりワイン。
では乾杯しましょう!
(カンパイ!)
辰巳:久しぶりにいただきます!好きでよく飲んでましたよ、このパピヨンとかカリブー(デラウェア)とかイッカク(マスカット・ベーリーA、キャンベルス)とか。いろんなキカイセンのシリーズがあるんですよね。これおいくらでしたっけ?
山田:1800円、税込で1944円です
辰巳:ちょっとだけ値上げしたかな?
山田:そうですね、入社当時は1500円とか。消費税もまだ5%でした
辰巳:これは岩谷さん(前の醸造担当)の頃とは変わりました?
山田:はい、最初は巨峰をメインにキャンベルアーリーを加えていたんですけど、今はデラウエアをベースにキャンベルアーリーとマスカット・ベーリーAを加えてロゼに仕上げています。白系の品種に醸した赤をアッサンブラージュして瓶の中で発酵させるような造りになってます
辰巳:セパージュは?
山田:80%がデラ
辰巳:80?だからこんなに印象が違うんだ
山田:キャンベルアーリーが本当に甘いフルーツのフレーバーが強い品種なんで10%でも十分その個性が出てる。ベーリーAはロゼ仕込みで、キャンベルアーリーは房ごと密閉して発酵させたものを最後に加えるっていう(造りです)。
辰巳:それぞれ10%くらい?
山田:そうです、キャンベルとベーリーAがそれぞれ10%です
辰巳:よかったー、オレ「(以前飲んだのは)違うワインだったかなぁ」と思ったんですよ。いやよかった、ナットクしました。
イッカクはベーリーAが多かったんでしたっけ?
山田:イッカクはベーリーAがメインでちょっとだけキャンベルアーリー
辰巳:で、カリブーがデラウェア100%でしたよね
山田:はい
辰巳:よかったよかった(笑)。味の記憶って細かく覚えてなくても飲んだ時なんとなくね、出てくるんですよね、状況とかその時の印象とか・・・
いつからこんな風になったんですか?
山田:パピヨンの造りは2015年からですね。この年からだんだん赤系の比率が下がってきて。ベーリーAは全房で醸して’赤’の状態をブレンドするっていう方法だったんですけど、今のビンテージ(2018年)から1日醸してプレスするロゼ仕込みのような形にして、赤系の香りをキャンベルアーリーで出すという仕込みにしています
辰巳:これは山田さんの考えで?
山田:醸造やってるのは4人なんですけど、その中での総意ですね。
全体像はみんなで話し合って、アッサンブラージュの比率とかのディテールは担当する人が内容を持ち込んで、最後にみんなで決を取るっていう
辰巳:h3(エイチスリー)の意味はヒトミのh、ハンドメイドのh、最後は発泡のh?
山田:はい、発泡だけ日本語なんです(笑)
辰巳:ヒトミも日本語でしょ(笑)
山田:あ、そうですね(笑)
辰巳:ヒトミワイナリーのヒトミはどっからきたんでしたっけ?
山田:創業者の名前が・・・
辰巳:図師禮三(ズシレイゾウ)さんでしたっけ?アパレルメーカーで成功した方が・・・
山田:自分の出身地(滋賀県)でワイナリーをってことでスタートしたんです
辰巳:永源寺のご出身で。そのアパレルメーカーの名前がヒトミ
山田:日登美株式会社です。語源は・・・創業者の名前から引っ張ってきて字を当てたらしいんですけど・・・忘れました(笑)
辰巳:では次回までに(宿題)ということで(笑)
(ワインに話を戻します)
辰巳:パピヨン、美味しいですね。なんか甘い香りはあるけど、辛口に仕上げてて。若干残糖あります?
山田:一応、瓶に詰めて残糖は無くなるようにしてはいるんですけど、わずかに甘みが残るような時もあって。2018年はそういう要素が多少ありますね。
辰巳:再発酵もあるんじゃないですか?
山田:そうですね、多少ガス圧上がる、、、かも。
辰巳:あ、こんなこと言っちゃダメなのかな。
山田:かなりー、、、いやどうなんでしょ(笑)
辰巳:このあたりがねー、ワインって生き物だからどういう風になるかわからないところに面白さがあるのに、って思うんですが。。。
(日本の酒税法、めんどく・・・いや、難しいですね。話題、戻ります)
辰巳:で、このワイン(ヒトミのワイン)を学生時代に飲んで美味しかったなと?
山田:そうなんです。学生時代に人に紹介されて、ネットで購入して家で飲んだはずです。「あー美味しいなー、こういうワイナリーもあるんだなー」とは思ったんですけど、その時は求人がなくてほとんど諦めてました。そしたらフェイスブックに求人が出てるっていうのを人から聞いて応募して受かったていう経緯で。
辰巳:そうなんですか。で、その時には岩谷さんの他に何人いたんですか?
山田:入社する前は2人いらして、新卒で自分の他にもう一人入社しました。
辰巳:今は一番年上?
山田:いや、下から2番目なんですけど、ワイン造ってる歴が長いっていうかずっといるので。
辰巳:じゃ、入った時いた先輩はもういなくなっちゃった?
山田:先輩は今東京のワイナリーに勤めてらっしゃる方と、もうワインの仕事をされてない方と。
辰巳:なるほど。
滋賀県に長くいると関西弁になってくる?
山田:あ、やっぱり伝染ります、ちょっとだけ伝染ってしまいますね。
辰巳:やっぱり会社の標準語は関西弁でしょ?
山田:そうです、ハイ(笑)
辰巳:そういえば前任の岩谷さんも確か東北出身でしたよね?
山田:青森です
辰巳:あの人も変な関西弁使ってたのを覚えてますけどね(笑)
山田:自分は正しいと思って使ってるつもりが、やっぱ本場の関西の人にはちょっと変みたいで(笑)
(話がまた外れましたがまたワインの話に戻ります)
辰巳:さっきh3の話しましたけどR3ってなかったでしたっけ?
山田:R3ってのは大阪のカタシモワイナリーさんと京都の丹波ワイナリーさんとヒトミワイナリー3社でR3プロジェクトっていうのを立ち上げてスタートしたんです。
辰巳:これはなんなんですか?
山田:自分が入社した時には終わってました(笑)。h3っていうのが自分が初めて出会ったシリーズだったんです。このシリーズからヒトミだけでやらせてもらうということになった
辰巳:そうかそうか、前のことはよく知らない(笑)
山田:そうですね、スイマセン(笑)
辰巳:デラウェアをしっかりと美味しく造り始めたのがこのヒトミワイナリーとカタシモさんですよね、大阪の。この後フジマルさんが出てきたり。デラウェアがどんどんどんどん注目され始めた最初がヒトミさんだった気がするんですけど?
山田:山梨のワイナリーにも東京にいる頃伺ったことはあるんですが、やっぱり’甲州’なんですよね。あんまりデラウェアという品種でワインを造ってない印象が。だからデラウェアはヒトミワイナリーで知ったって感じですね
辰巳:今はどこのデラウェアを使ってるんですか?
山田:山形県の南の高畠町と一部南陽市のブドウを使ってますね
辰巳:滋賀では造ってないんですか?
山田:滋賀は元々ワイナリーがなかったので、、、
辰巳:ブドウ栽培の歴史もないですもんね、あんまり
山田:大きな産地として動いていることはないですけど場所によっては(あります)。元々は米処なので。で、その米造りに適さない痩せた土地に45年くらい前一部果樹を植えることに補助金が出て、そこに梨だったり生食用のマスカット・ベーリーAを植えていたんです。その後ワイン用のブドウを弊社のために造ってくれる農家さんが増えた。品種はほとんどがベーリーAですね。デラウェアはホント少ない
辰巳:へぇー。デラウェアは好きな品種?
山田:はい。うちは商品の種類が多いワイナリーで
(h3シリーズを始め、デラウェア主体の商品がたくさんあります)
辰巳:そうですよね、覚えきれないくらいアイテム多いですよね。(笑)新商品もどんどん出てますし
山田:デラウェアを絞って自然発酵させて瓶の中で最終的には発酵を終わらせるというカリブーは白ワインですが、皮と一緒に発酵させることでちょっとオレンジがかった、いわゆる’オレンジワイン’も造ってます
辰巳:一時はよく飲みましたよカリブーを。昔イベントで使わしていただこうと思ってワイナリーで5ケースキープしてもらってたのを岩谷さんが売ってしもてね(笑)、かなり困ったことがありました(大笑)
山田:スイマセンでした(スイマセンが大苦笑いでほどんど言葉になってません)
辰巳:ホント人気があってね、どんどん売り切れるワインに成長しましたもんね。それで少し値段も上がって落ち着いたかな(笑)。
山田:取引価格が上がってきたのもあるし、県外からとか流通の部分もありますしね。
辰巳:今アイテム数はどのくらい?
山田:年間で50近く、いや、超えてますね
辰巳:この規模のワイナリーとしてはかなり多いですよねー
今回は時間が来てしまいました。次回もよろしくお願いします!
山田:よろしくお願いします!ありがとうございました!

辰巳琢郎の一緒に飲まない?ヒトミワイナリー山田さん編vol2(2).jpg

ヒトミワイナリー
1991年、老舗アパレルメーカー(日登美株式会社)の図師禮三氏が出身地、滋賀県東近江市(旧永源寺町)に創設。国内唯一のにごりワイン(無濾過ワイン)を専門とするワイナリー。フラッグシップのh3シリーズは発売当初から話題を集めている。

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