2025年9月のゲストは長野県坂城町の坂城(さかき)葡萄酒醸造株式会社、成澤篤人さんです。
東京から地元に戻り、いくつかの仕事を経て再び飲食業界に。ソムリエ試験がんばって、ようやくワインの世界に踏み込みます。
長かった〜笑。(全4回 3回目)
辰巳:9月の3週目、今月のお客様は長野県の坂城葡萄酒醸造、成澤篤人さんです。
なかなか進まない話なんですが笑笑。まずは飲んでからにしましょうか。
今日は赤ワイン?ロゼかなぁ。軽い赤色のワインです。
全員:カンパ〜イ🎶

【赤獅子 弍零弍肆(2024)】
https://sakakiwine.myshopify.com/products/赤獅子-アカジシ-弐零弐弐
辰巳:タンニン感はしっかりある品種系のワインです。
井村:きれいな色してるんですけど、この色のわりに旨みや香り、味わいがすごいしっかりしてますね。
辰巳:もう少し冷やしてもいいぐらいのワインですね。これはどういうワインでしょうか?
成澤:これは「赤獅子」です。
辰巳:あれ、猫は・・・?。1週目は「ニャンブルスコ」2週目は「キャッツアイ」、今回は獅子に昇格ですか?笑。
成澤:自社畑のエステートシリーズってのがあって、カベルネ・フランで造ったこの「赤獅子」と、
メルローで造った「黒虎」というのが『猫強化シリーズ』笑笑。
辰巳:猫科でいくんですね。おもしろい〜。チーターとかピューマとかはないんですかね笑。
「赤獅子 2024」これはロゼじゃなしに赤?
成澤:赤ワインです。ただ、軽く造ってるんですよ。カベルネ・フランはうちではまだ新しい品種なんです。
それまでは(黒ブドウは)カベルネ・ソーヴィニヨンとメルローしかなかったんで、タンニンしっかりの重めのワインだったんですけど、うちはレストランもやってるんで、肉料理にはいいんですけど、軽めの前菜とかお魚に合わせるワインがなくて。
シェフと相談して「カベルネ・フラン」いいんじゃないかとなって。2015年に、ワインジャーナリストのジェイミー・グッドさんが長野に来たんですよ。その方がワイナリーいくつか周って「カベルネ・フランが面白いんじゃないか」っていう話をしてたんで、
「じゃぁ自分たちも挑戦してみようか」で植えて、このワインに関しては、古樽とステンレスタンクだけで軽く造ってます。
辰巳:これが初リリース?
成澤:2021からです。
辰巳:そうでしたか。なかなかいいです。僕も食事とのペアリングをしょっちゅうやってるんですけど、特に和食とのペアリングの時には軽やかなのがやっぱりいいんですよ。合わせやすい。実際(軽やかなワインは)増えてきましたし、世界的にもこれから増えてきそうな感じはします。これお値段は?
成澤:4950円です。
辰巳:ちょ、ちょっと高め?
成澤:ぃ、一応エステートシリーズ💦『(猫)強化シリーズ』なんで笑笑。
辰巳:この辺の値段が悩ましいところですけどね、仕入れ値如何ですか笑?
井村:でもこの味わい考えたらコスパはすごいいいと僕は思います。
辰巳:好感触いただいたところで、お今日のお料理です。本日はなんでしょうか?
井村:この赤ワインにはトマトを合わせたいなと思ってお魚と煮込んでみました。
成澤:そのためにこのワインを造ったようなもんです。
井村:イタリアンとか合いますよね?
成澤:トマトソースのパスタとか。
井村:今日の具材はエビとホタテ貝と真鯛です。
全員:いただきます🍴🍴🍴

【トマト味のブイヤベース】
辰巳:鯛のちょっと焦がした感じもいいですね。このワインとバランスが取れてる。
成澤:「トマトソースのための赤ワイン」だと思ってるんで、本当にこのお料理が出てきてうれしいです♡
辰巳:”主張もしないけど、でもしっかり支える”。けっこういいですねぇ。僕もうれしい♡
ここに樽のビシッと効いた赤ワイン出てきたらどうしよ?と思いますもん。
最近はレストランでお料理との”ペアリングコース”も増えてて、それをお願いしたら8割は合わないですから。
これうれしくなるようなワインでした。

辰巳:ちょっとここでリクエスト曲を聴きたいと思います。今日は何にしますか?
成澤:米津玄師で「M八七」。
辰巳:エム87?なんだかウルトラマンみたい。
成澤:はい、ウルトラマンです。(←うっそ〜、辰巳さん、言ってみるもんですね笑)
映画のウルトラマンの・・・。
辰巳:ぇ、ほんとに?
成澤・井村:ほんとですっ!
辰巳:あれ、ウルトラマン78じゃなかった?
成澤・井村:そうなんですけど、歌は「ハチジュウナナ」。
辰巳:いつぐらいの歌なんですか?
成澤:映画が5〜6年ぐらい前です。
辰巳:じゃぁ聴いてみたいと思います。

米津玄師「M八七」(2022年)
https://www.youtube.com/watch?v=Zhx1n6uvgUE&list=RDZhx1n6uvgUE&start_radio=1
辰巳:はい、これは「シン・ウルトラマン」の主題歌なんですって。井村シェフが珍しく頷いてましたけど?
井村:知ってました。
辰巳:観ました?
井村:観ました。
辰巳:どして?笑。お子さんもう大きいでしょ?
井村:子供は関係ないです。自分が子供の頃よく観てましたから、仮面ライダーとかも。
辰巳:どっちかというと仮面ライダーの時代じゃない?
井村:ウルトラマンも観てました。多分再放送だったと思いますけど。
辰巳:ウルトラマンは我々が小学校1年生〜3年生ごろだと思うから、1965〜66年じゃないかなぁ、最初のシリーズがね。
井村:毎日夕方やってました。
辰巳:この曲はなんで好きなんですか?
成澤:うちの娘がウルトラマン好きなんですよ笑。
辰巳:娘って女の子ですよね?笑。
成澤:いとこのお兄ちゃんがウルトラマンがすごく好きで、影響をモロに受けました。
辰巳:今幾つになりました?
成澤:5歳です。
辰巳:結婚が遅かったんでしたっけ?
成澤:そうなんですよ、39。
辰巳:そうか。前回前々回と2回に渡って、高校卒業して東京に出て坂城に戻ってトラック運転手を2年やってワインの営業マンをやってっていう話をして、それから?
成澤:飲食に戻るんですよ。(←長かった〜)
辰巳:起業したんじゃないしに?
成澤:上田市に新しくダイニングバーがオープンするにあたり「バーテンダーを探している」と、知り合いから連絡があり。
辰巳:バーテンダーとして入られて?で、その店はまだあるんですか?
成澤:もうないですね。業態変わって焼肉屋さんになっちゃって。元々の母体が焼肉屋さんで、新規でダイニングバーということだったんで。そこには6年ぐらいいましたか。その時期けっこう店舗展開してて、新規の立ち上げを僕がやらしていただいてて。
そこで”立ち上げ”という作業を経験させていただきました。スペインバルも出すというところで「じゃぁ、ソムリエの資格をちゃんと取ろうかな」と。
それまでバーテンダーもやってたしワインの営業もやってたんで「ソムリエ試験なんて簡単でしょ」、なんて考えてて、教本取り寄せて、、、。今はないらしいですけど、昔はそのテキストの巻末に問題集みたいのが載ってたんですね。
その100問中で「確実にわかる!」ってのが3問か4問ぐらいしかなくって💦
辰巳:ワインの営業してて一体何を勉強してたんですかって話ですよね笑。
成澤:ホントですよね笑笑。「ぇw、ソムリエの試験ってこんなに難しいのっ?ヤバっ、勉強しなくちゃ💦」。
それから仕事終わった後深夜のファミレスで朝までメチャメチャ勉強しました。
辰巳:生まれて初めて?
成澤:はいっ、生まれて初めて勉強しました爆。
辰巳:勉強が嫌いだったから大学にも行かずに仕事したのに。人生初めて真面目に勉強したのがソムリエ試験の勉強だったと?
それもある種運命ですよね。
成澤:ま、そうですよね。長野県はそんなにワインスクールなんてないんで、ほんとに独学で。
辰巳:ワインスクール行く必要ないんすよ。ってこの中にたくさんいるんですけどね。(番組のギャラリーの中にはワインスクールの先生方がたくさんいらっしゃいます)基本的にはモチベーションのためです。お受験のための塾も一緒で、勉強は結局自分でやらなくちゃいけない。自分を律することさえできればダイジョブだと思いますけどね。ちなみに何回受けたんですか?
成澤:一発で!👏
辰巳:出だし3問しかわかんなかったのに、1年勉強して合格!すごいじゃないですかー。
成澤:3問しかわかんなかったのがよかったんだと思います。これが中途半端に半分ぐらいできてたら「そんなに頑張んなくても大丈夫でしょ」ってなるかもしれない。
辰巳:大したもんです。それに受かったのは30過ぎぐらい?
成澤:そのぐらいの時です。
辰巳:2006年ぐらいですね。で受かって?
成澤:受かって、自分も30超えたし、そろそろ自分の店やってもいいかなー。実は当時結婚した妹のダンナがたまたま料理人だったんですよ。で、お正月に一緒に飲んでたら、「一緒にお店やりましょうよ」って言ってきて、でも義理のお兄さん(←ご自身のことです)って義理の弟からしたらちょっとめんどくさそうじゃないですか笑。
だから僕のほうはその気なかったんですけど、向こうから言ってきたんで「じゃぁ」。
それで2009年にイタリアン「オステリアガット」をオープンさせました。(1軒目はガット(雄猫の意味)、のちに開いた2軒目はガッタ(雌猫)です。)
辰巳:僕オープンしてすぐぐらいに行ったのかな?
成澤:ガッタの方のオープンは2013年、どっちも来ていただきましたけど、最初いらしたのはガッタの方だったと思います。
辰巳:ようやくワインの世界に入ってきました笑。(←長かった〜)『ワインを造ろう!』は当初からあったんですか?
成澤:ぜんぜん考えてなかったんですけど、そのころ少しずつ新しいワイナリーが増えてきたんですよ。そこにワインの仕入れに行ったりしてるうちに仲良くなって・・・。
辰巳:レストランでは最初から長野県のワインだけ出してたんですか?
成澤:いや、イタリア料理のお店なので、ワインもイタリアンを。でも僕は地元のワインも出したかったんで長野県のワインも。
辰巳:長野県のワインを応援してるすごくいい店がある、と長野県の関係者か原産地呼称の人か、地元のソムリエたちに聞いて
行ったんですよ。もう10年以上前。その長野ワイン愛が高じて?
成澤:そうですね、ワイナリーに手伝いに行くうち、特区使ってマイクロワイナリーみたいなことやってる人もいて。
「あれ、これなら自分でもできる?」
辰巳:どのあたり行ってたんですか?
成澤:東御のリュー・ド・ヴァン、はすみファーム、ファンキーシャトー、あとは楠ワイナリーさんとか、まぁ近場だったんで行ってましたね。みなさんその頃ちょうど立ち上げるタイミングだったので。
辰巳:ちっちゃいワイナリーって(生産本数)少ないからなかなか仕入れられないんですよね。だから、(直接行って)関係性作って
たんですね。

辰巳:就職していろいろワインにも関わってきたと思うんですけど、「自分はこういうワイン」っていう好みが確立されたのっていつ頃ですか?
成澤:僕らは”料理屋さん””ソムリエ”なんで、常に”お料理”の方から考えるようにしたいなー。ま、”寄り添う”だったり”支える”だったり。そういうワインを造りたいと思ってます。それはずっと変わらずです。
辰巳:千曲川ワインアカデミーの1期生でしたっけ?2015年に入られたんですね。この玉村(豊男)さんの構想は素晴らしいですよね。
ワインの教育機関を作るって。
井村:知りませんでした。
辰巳:これが大事なエポックで、今(ヴィラデスト)の小西さんもいらっしゃいますし、いろんな人が集まってきてます。
1期生ってどなたがいらっしゃいました?
成澤:高山村のドメーヌ長谷の長谷さん、小諸のDomaine Fujitaの藤田さん、上田のSail the Ship Winery 田口くん・・・
辰巳:この辺りからばぁぁぁーーーっとタネが撒かれて・・・。(ワイナリー件数)もしかして山梨抜きました?
成澤:いや、まだだと思うんですけど、今年多分95ぐらいいくと思うんです。山梨もよくはわからないんですけど実際稼働してるのは90半ばぐらいと聞いてるんで、もしかしたら来年ぐらいは♪かなーみたいな感じはあります。
辰巳:また時間がなくなってしまいました。来週もう1回ありますんでよろしくお願いします!
全員:ありがとうございました!!!


News Data
- 日本のワインを愛する会提供 「辰巳琢郎の日本ワインde乾杯!」
2025年9月18日放送回
- ワイナリー
坂城葡萄酒醸造
https://sakaki.wine- 収録会場
収録会場【アネーリ大宮】
https://anelli-omiya.smtk.jp